【奥美濃】ブナの回廊 寺尾から扇谷・梨ヶ平へ

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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【奥美濃】ブナの回廊 寺尾から扇谷・梨ヶ平へ

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2019年11月2日(土)
【山 域】奥美濃 徳山ダム湖左岸域
【天 候】晴れ
【コース】櫨原望郷広場7:05---7:55三角点寺尾---10:10 P823m10:30---11:50扇谷12:20---13:45 P916m 14:40---
15:40梨ヶ平分岐---16:05三角点梨ヶ平---17:40駐車地

 徳山ダム湖左岸の山の第3弾である。扇谷姫街道橋の東詰から扇谷左岸の尾根を辿り、途中で扇谷本流へ下
ってから右岸へ登り返し、最後は扇谷姫街道橋の西詰へ下りようというプランだ。
先日は同じような計画を少し南で試みたのだが、時間が足りずに断念してしまった。果たして今回はうまく
周回できるだろうか。
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 橋の東詰から地図にない道を上がると、櫨原望郷広場がある。これは先日の本郷望郷広場同様ダム湖に沈ん
だ櫨原という集落跡を記念して作られた広場だ。全住民の家の位置が記載された地図が立派な碑となって建て
られている。ここに車を止めて歩き出した。
 橋を渡って櫨原義徳隧道の左手から植林の斜面を上がる。急だがしっかりした杣道があって歩きやすい。
少し登れば尾根に乗った。ここから689.3mの三角点「寺尾」まで右自然林、左植林の緩やかな尾根歩きだ。
今日は絶好の登山日和。風もなく、天気が崩れる心配はまったくない。朝日に光るダム湖を見下ろしながら、
よく踏まれた尾根筋を行く。
 古いケーブルの残骸は、かつての櫨原集落のテレビアンテナのものだろう。集落に近い尾根には必ずと言っ
ていいくらい、電波の通じやすい高みに設置されたテレビアンテナへの道がある。

 雑木林の中の三角点寺尾に着いた。南西の磯谷ベロリ橋からの尾根が合流する。本当ならこちらの尾根の方
が林相が良さそうだったのだが、周回のために北西尾根を選んだのである。
登山道レベルと言える明瞭な踏み跡は何の問題もなく、進むべき方向へ導いてくれる。
PB020028_1.JPG
 岩を抱いたケヤキが何本も集まった小台地を過ぎてCa660mのピークへ着くと、ここからがメインディッシュ
の始まりだった。どこまでも続くブナの森の中、まさに極楽尾根と呼ぶべき尾根が目の前に伸びている。
以前にも書いたが、越美国境稜線へと続く前衛の山々を繋ぐ尾根は、これまで着目することがなかった。植林
とヤブという先入観に捉われていたのだ。しかし現実には豊潤なブナ林に覆われた山稜が続くのである。
昔はもっとヤブが繁茂して歩き辛かったかもしれないし、ダム湖ができる前はスタート地点の標高が低く、植
林歩きの区間が長かったのだろう。それを考えれば、最近になって登山の対象となる山に変わったのかもしれ
ない。逆に道路の反対側に並ぶダム湖右岸の山々は、手の届かないところへ去ってしまったと言える。
もう少し早く着目していれば良かったと後悔の念を拭えない。
PB020051_1.JPG
PB020058_1.JPG
 644m標高点からCa810mピーク、823m標高点へと、ブナの回廊は続く。期待していた紅黄葉はまだ少し早い
ようで、青々とした葉が目立つことだけが些か残念だが、そんなことはどうでもいいと思わせるような、ほぼ
純林と言えるブナの森をそぞろ歩く喜びは言葉に表せないほど豊かな気持ちにさせてくれる。
正面に見える堂々とした山塊は磯倉だ。この角度から見ることは稀なので、実に新鮮な感覚だ。
PB020057_1.JPG
 地形図で期待していた823m標高点は少し期待外れだった。しかしそれに続くCa820mピークから777m標高点
へと、ブナの回廊は続いていた。777m標高点を過ぎるとさすがにブナの純林は消え、雑木主体の尾根となった
が気持ち良く歩けることに変わりはない。
扇谷の水音が聞こえ出してきた。再び植林がちになると、突然立派な炭焼窯跡が現われた。掘り込まれた道ら
しきものもある。扇谷から上がってきて炭を焼いたのだろう。
PB020134_1.JPG
 尾根の末端は痩せてヤブっぽくなってきたので、左側の斜面へ逃げる。下の方に小屋の屋根が見えている。
往時の作業小屋の跡だろう。廃林道に下りると、辛うじて原型を留めた軽トラが打ち捨てられていた。
靴を脱いで扇谷を渡渉する。水は冷たく、足がしびれそうだ。対岸へ渡ってひと息入れる。

 なんとか予定通り周回できそうだ。最悪の場合はここから地図にない林道を辿って駐車地へ戻るつもりだっ
た。若丸山へのルートになっている尾根への登り返しは、尾根がヤブっぽければ沢通しに詰めるつもりで沢装
備も持って来た。ここから見た感じでは歩けそうだ。登山靴のまま進むことにする。

 末端の植林帯の斜面をジグザグを切って尾根に取り付くと、明瞭な杣道があった。これは楽勝かもしれない。
ところどころヤブが被さる箇所もあるが、足元はよく踏まれている。標高差380mを一気に登り切ってしまおう
とひたすら足を出す。
 ふとGPSを見ると、とんでもないことに気が付いた。地図に赤いラインを引いた予定の尾根の隣の尾根を歩
いているではないか。この尾根は目的地から遠ざかって行くだけではなく、さらに高いところまで登らなけれ
ばならない。当初の予定ルートの2倍以上の距離がある。しかしここまで登ってしまえば、このまま進む以外
の選択肢はない。腹を括って歩き出した。
懸念されるのは下山途中に日没を迎えることである。ややもすると落ち込んでしまいそうな心を、右手から見
守る能郷白山と磯倉の姿が勇気付けてくれた。
PB020164_1.JPG
 916m標高点は、塚の集落跡から若丸山へ向かうルート上のピークだ。このコースは無雪期に2度往復してい
るので勝手はわかっている。もうほとんど登りはないので気は楽だ。
ところがここで左ひざが痛み始めた。サポーターを巻いてごまかすと、今度は左の太ももが攣ってしまった。
秘薬を飲んでだましだまし歩くが、スピードは上がらない。年寄りのような(十分年寄りかもしれないが)ノロ
ノロとした歩みでブナ林を進む。木の間越しに見える若丸山や冠山、金草岳の雄姿が慰めである。
 最後の登りをなんとかこなして、897.1mの三角点「梨ヶ平」へジャンクションに立った。ここから先は未踏
だ。尾根の状況次第では闇下ギリギリだろう。
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 こちらの尾根もまったく素晴らしい。延々とブナ林が続くゆったりした尾根だが、気が急くのでじっくり味
わえないのが残念だ。日が傾き始めて、一日の最後の残照がブナの頭の方だけを黄金色に染めている。
 690m標高点を過ぎてしばらく進んだところで日が暮れた。ヘッドランプを出す。今年初の闇下である。
基本的には尾根芯を辿ればいいのだが、ところどころ歩けない場所があり、ヘッドランプの限られた視界では
判断が難しい。ダム湖畔の道を走る車のエンジン音に懐かしさを覚える。

 トンネルの出口の光が見えた。朝、斜面に取付いた地点だ。鬱陶しいヤブをくぐり抜けるとネットの張られ
たガケの上に飛び出した。この真下が駐車地のはずである。ヤブを避けて右に回り込むと、ヘッドランプの光
が白い平面を捉えた。櫨原望郷広場の舗装だ。
 日の長い季節なら何ということもない時刻だが、秋の日はつるべ落とし。なんとか無事下山できてホッとひ
と息というところだ。
さあ、藤橋の湯で長い一日の疲れを癒すとしよう。

                     山日和                  
グー(伊勢山上住人)
記事: 2223
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:10
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Re: 【奥美濃】ブナの回廊 寺尾から扇谷・梨ヶ平へ

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山日和さん、おはようございます。
明日のお天気は雨の心配の微塵もない最高の日ですね。

2日に歩いて4日にはレポアップ。力作なのにレスが付かないのは
ダレも後追いをしようと思わないようなよっぽどのマイナーな山なのでしょうね。
グーの全く知らない山域ですが、オフ会の前に片付けておかないと・・・・。

ここからがメインディッシュの始まりだった。どこまでも続くブナの森の中、
まさに極楽尾根と呼ぶべき尾根が目の前に伸びている。


これは事前に情報を取っていたのですか?
山日和さんと言えば、ブナの続く稜線歩きが必ず付いてくるのですが。

 ふとGPSを見ると、とんでもないことに気が付いた。
地図に赤いラインを引いた予定の尾根の隣の尾根を歩いているではないか。


もうすでに十分歩いているのに、疲れた足でもう一山登るプランですか。
まだまだ気は若いのですね。そろそろのお年に突入していると思うのですが。
しかし、こんな間違いを犯すとは・・・山日和さんも・・・・
当初の計画はもう一つ小さな谷を跨ぐのでしょ?

ところがここで左ひざが痛み始めた。サポーターを巻いてごまかすと、今度は左の太ももが攣ってしまった。

シートを敷いてごろりと横になるシーンが無くなったのは安心ですが・・・・

690m標高点を過ぎてしばらく進んだところで日が暮れた。ヘッドランプを出す。今年初の闇下である。

若かりし頃の夢をもう一度。
洞吹さんのお腹は凹んだかな?明日が楽しみです。

                       グー(伊勢山上住人)
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山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【奥美濃】ブナの回廊 寺尾から扇谷・梨ヶ平へ

投稿記事 by 山日和 »

グーさん、どうもです。

明日のお天気は雨の心配の微塵もない最高の日ですね。

いつもこういう風だと助かるんですけどねえ。 :lol:

2日に歩いて4日にはレポアップ。力作なのにレスが付かないのは
ダレも後追いをしようと思わないようなよっぽどのマイナーな山なのでしょうね。
グーの全く知らない山域ですが、オフ会の前に片付けておかないと・・・・。

お気遣いありがとさんです。まあ、地味というか、まったく無名の山ですから。

これは事前に情報を取っていたのですか?
山日和さんと言えば、ブナの続く稜線歩きが必ず付いてくるのですが。

情報は得てました。ほとんどヒットしませんけどね。
PB020099_1.JPG
もうすでに十分歩いているのに、疲れた足でもう一山登るプランですか。
まだまだ気は若いのですね。そろそろのお年に突入していると思うのですが。

もう一山と言うか、登り返しを足しても標高差は1000m足らずなんで、それほどではありません。
距離はちょっとありますけどね。

しかし、こんな間違いを犯すとは・・・山日和さんも・・・・
当初の計画はもう一つ小さな谷を跨ぐのでしょ?

西北西向きの谷を50mほど進んだ二俣の中間尾根を上がるはずでしたが、その谷の入口で休んでいる時、
左岸の尾根が歩けそうなのを見て勘違いしてしまいました。
若丸山の三角錐
若丸山の三角錐
>ところがここで左ひざが痛み始めた。サポーターを巻いてごまかすと、今度は左の太ももが攣ってしまった。

シートを敷いてごろりと横になるシーンが無くなったのは安心ですが・・・・

これはこれで難儀ですよ。 :mrgreen:

洞吹さんのお腹は凹んだかな?明日が楽しみです。

それは期待薄というか、絶望的ですね。 :mrgreen:

                   山日和
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