【奥美濃】海ノ溝谷ホーノ洞から滝波山へ
Posted: 2011年9月12日(月) 00:12
【日 時】2011年9月10日(土)
【山 域】奥美濃 滝波山(1412.5m)周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】海ノ溝林道入口6:33---8:12林道終点8:35---10:06大滝---12:23源頭二俣13:24---13:42滝波山14:04---
15:09三俣---15:39シン谷出合15:54---16:05滝波大滝---17:02車デポ地
川浦(かおれ)谷川支流の海ノ溝谷と言えば、最下流のゴルジュが有名だ。通行困難の悪絶ゴルジュが尽きると、
その上流は大きく開けて長閑な流れが続く。そして、その流れはホーノ洞と名前を変えて、北から東、南東へと向き
を変えながら、奥美濃の雄峰滝波山へと突き上げる。島口からの滝波谷が表口とすれば、さしずめこちらは裏口とい
うところか。半円を描くように流れるホーノ洞から滝波山に立ちたいと思い立ってから数年が経っていた。
海ノ溝谷林道の入口には可動式の柵が置かれていた。どこかに強固なゲートがあると書いてあった覚えがあったの
だが、林道の途中だろうか。しかししばらく歩いてもそれらしいものは出て来ない。ならば車を取りに戻れば1時間以上
の林道歩きを省略できる。
荷物を置いて入口まで戻ると、道の両側にゲートのポールがあり、鍵のぶら下がったチェーンが垂れていた。横を見る
と林道奥での作業スケジュールが書かれたホワイトボードがある。おとといから今日まで伐採、明日は休みらしい。
ならば作業のために鍵を開けてあるだけか。夕方には閉められる可能性が高い。滝波谷にデポしたふ~さんの車でこ
こへ戻ってきた時にゲートが閉っていれば万事休す。お手上げである。
車に乗って現われるはずの私が歩いてきたの見て、ふ~さんが「どうしたんですか?」と驚く。状況を説明して納得。
元々歩くつもりで来たんだから歩きましょう。
林道歩きも半ばを過ぎたあたりで、3台の車が後ろからやってきた。「どこまで行くん?」と聞くからてっきり「乗って行
くか?」と言ってくれるものと思っていたが、軽快なエンジン音を響かせて走り去ってしまった。
640m標高点のあたりで橋を渡る。支流のように見えるこの谷が本流のホーノ洞だ。林道は急に勾配を強めて、やが
て大きく開けた工事現場に出た。真新しい堰堤と、林道側壁の防護壁工事が人目につかない山中でひっそりと行われ
ている。
急に草深くなった林道はすぐに終点(厳密には右上へ折り返していたが)となった。ヤブを分けて沢へ下りる。
2日前までの予報では土曜日は怪しい天気だった。しかし頭上は抜けるような青空。
先々週の白山もそうだった。天気予報は直前まで信用しないほうがいいようだ。
標高の割に意外に水は冷たく、白山と変わらないように感じた。しかし標高で言えば半分、9月初めの奥美濃である。
前回と同じ格好のふ~さんはいかにも暑そうだ。時々水に浸かってクールダウンしている。当方は半袖Tシャツ1枚に薄
手のパンツ、靴下はネオプレーンではなく普通の靴下と、暑さ対策は十分だ。
[attachment=4]P1110900_1.JPG[/attachment]
ホーノ洞下部は等高線で読み取れる通り、まさに平流が続く。時折小さな落差はあるものの、読んで字の如く、「平ら
かな流れ」を淡々と進む。
連日の寝不足がたたっているのか、ふ~さんがハイペースで歩くので付いて行くのがやっとである。
谷の屈曲点に入った。徐々に小滝が現われ始める。正面に横たわるのは越美国境稜線だ。
谷の雰囲気が変わってきた。これまでの解放感にあふれていた頭上の空間が狭くなった。両岸は高い岩壁。
谷が90度右折するところに10mの滝が落ちていた。その上にまた90度折り返して5mほどの滝が見える。
滝の前でひと息。弱点を探る。右の岩壁に取り付き、中段から滝頭へ続くガリー以外ルートはなさそうだ。ガリーの手前
までホールドは豊富だが、ガリーへ上がる1手が難しいかもしれない。
[attachment=3]P1110940_1.JPG[/attachment]
ロープをセットして登り始める。予想通り壁の部分は簡単だった。問題視していた所で思案。次のスタンスまで高さが
あり、ホールドは外傾気味で掴んで一気に引き上げるというわけにはいかない。
左につま先ほどの微妙なスタンスがあるが、そこへ体重移動してしまうと後戻りできない。立ち込めば嫌でも上がるしか
ない。右手を思い切り伸ばすとガリーの中に指が完全にかかるホールドがあった。行ける。ただ、そのままでは体が伸び
切り過ぎて危ない。左の細かいスタンスに静かに立ち込んで体半分上がると右手のホールドを余裕を持って掴むことが
できた。慎重に荷重移動してガリーに立った。もうOKだ。
安全地帯まで上がって、大岩でセルフビレイを取り、ガリーのすぐ上まで戻ってふ~さんにコール。ふ~さんも下部の壁
はスルスルと上がってきたが、やはり中段で苦労している。
右手のフィンガーホールドを教える。これがなければ登れなかったかもしれない。
安全地帯でビレイ解除。5m滝の上に8mほどの滝が勢いよく噴き出していた。この中間点はなかなか素晴らしい場所だ。
上の滝は落ち口近くまで上がれそうだが、そこから先は宙を舞う水流に叩き落されそうだ。
ここは右の岩場から巻き上がり、落ち口にドンピシャで着地。楽しませてくれた30分だった。1時間半の林道歩きと2時間
の平流歩きを我慢した者だけが味わうことができる至福の時間である。
続いて現われたのは自然の堰堤のような6m滝。左から巻くが、落ち口へ下りるところで足が攣ってしまいヒヤっとする。
深い淵を持つ10m斜瀑は左岸をへつって取り付き快適に直登。釜に流木の刺さる8m滝は手が出ず左岸の巻きとなった。
[attachment=2]P1110965_1.JPG[/attachment]
その後も直登できる斜瀑や板状節理が面白い2段8m滝等、飽かせることがなかった。
1210mで左に大きな支流を分けるあたりではまた平流に戻ってしまう。しかし奥美濃の沢の雰囲気は存分に感じられ
るので不満はない。
http://youtu.be/2VG1xXlA6gA
ほぼ読み通りの時間で上がってきたので、そろそろランチ場を決めよう。
山頂のヤブの中でメシを食う気はさらさらないので、水が切れる前に1320mの最後の二俣でザックを降ろした。ここから
なら山頂まで標高差100m足らず。稜線はすぐそこに見えている。山頂真西のコルを経由して30分と掛かるまい。
今沢シーズン始めて湯を沸かしての食事とする。もちろん食後のコーヒー付きだ。
やっぱり火を使う食事は落ち着けていいものだ。
ヤブコギを最小限に留めるために、左俣に入ってすぐ右の支流を辿った。ラッキーなことに、一直線にコルに伸びる谷は
源頭までまったくヤブがなかった。
コルに飛び出す。もう山頂は目の前だ。さすがに道があるはずもなく、初級のヤブコギを5分もすれば、ヤブの中にぽっ
かりと切り開かれた滝波山頂に着いた。ふ~さんとハイタッチ、そしてガッチリと握手。
沢登りとすれば、楽しい時間とそれ以外の時間のバランスを考えれば効率の悪い沢だろう。しかしそんなことは問題では
ない。海ノ溝谷ホーノ洞を詰め切って、滝波山の山頂に立ったことに意味があるのだ。
ただ、この意味を理解してくれるのはごく少数のマニアックな人だけだろうが。
[attachment=1]P1120022_1.JPG[/attachment]
積雪期の360度の展望とは違い、南側だけがわずかに見通せる。それも風采の上がらないずんぐりした奥美濃の山々
の一部が見えるだけである。メジャーな山々は背丈を越す潅木の向こうだ。
誰が付けたのか、三角点から10mほど離れた木に山名標識が付けられていた。恐らく積雪期にちょうどそこが一番雪で
盛り上がっていたのだろう。
下山は谷を取るか、尾根を選ぶか。尾根には一応登山道らしきものがあるらしい。滝波谷(白木谷)の奥の中俣はかな
り等高線が詰まっている。ヤブを回避するなら谷、危険を回避するなら尾根である。
安全策でなんとなく踏み跡があるようなないような南東尾根を下り始めた。
積雪期に「滝波平」と名付けたブナ林もヤブをかき分けて進む。下部で右に寄り過ぎて、ルンゼ状の急傾斜の小沢を急
降下。つま先を痛めてしまい、衝撃を与えないようソロソロと下る。
三俣よりかなり上の、中俣1100m地点へ出てしまった。しかし谷筋を下る方が格段に楽だ。ズルズル滑るのを食い止め
ることに神経を使わなくて済む。これなら最初から谷を選択した方がよかったか。
谷は広がりを見せ始め、960mの三俣のあたりは非常にいい雰囲気である。ここからは破線路の道があり、テープも右
岸の高い方へ導いている。ほぼ平流だということと、何より涼しいという理由で沢沿いに下ることを選んだ。
まったく問題なく860mの二俣、シン谷出合に到着。ここには昔「滝波山」と書かれた立派な道標があったはずだ。ヤブの
中を探してみたが見つからなかった。
ここからは美しいナメ滝と小滝が楽しませてくれる。そして急に谷が途切れたような空間に突き当たる。
滝波大滝である。20mほどあるらしい。滝頭に立ち、落水の様子を覗き込む。エメラルドグリーンの滝壺に白濁した水流が
吸い込まれていた。
ここは落ち口ラインの小尾根を急登、20mばかり登ったところで道に出た。後は楽勝か。
[attachment=0]P1120068_1.JPG[/attachment]
しかし本当の核心部はここからだった。この道は登山道と呼ぶにはあまりに悪い道だ。渓流シューズのまま歩いている
せいもあるが、急斜面のトラバース、足場の悪い急降下、ヤブに消えてしまう道、沢の中を歩く(これは問題ないが)、崩壊
地の迂回でトラロープを使い上下する等々、まさにバリハイルートである。
あまり人の事は言えないが、こんな道を使って滝波山へ登ろうなんてどうかしているのではないか。しかも上部はヤブだ。
とにかく汗の噴き出る下山だった。ふ~さんは暑さに耐えかねて、2度3度と水浴していた。
もしこの道で闇下になったらとても歩けんやろなと笑い合う。
最後に植林を抜けるとデポしていたふ~さんの車が見えた。
「お疲れさん!!」再度のハイタッチ&握手で締めくくる。今日も「やり切った感」一杯の山行だった。
スタート地点の海ノ溝林道入口へ車の回収に行くと、林道のゲートは開いたままだった・・・
山日和
【山 域】奥美濃 滝波山(1412.5m)周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】海ノ溝林道入口6:33---8:12林道終点8:35---10:06大滝---12:23源頭二俣13:24---13:42滝波山14:04---
15:09三俣---15:39シン谷出合15:54---16:05滝波大滝---17:02車デポ地
川浦(かおれ)谷川支流の海ノ溝谷と言えば、最下流のゴルジュが有名だ。通行困難の悪絶ゴルジュが尽きると、
その上流は大きく開けて長閑な流れが続く。そして、その流れはホーノ洞と名前を変えて、北から東、南東へと向き
を変えながら、奥美濃の雄峰滝波山へと突き上げる。島口からの滝波谷が表口とすれば、さしずめこちらは裏口とい
うところか。半円を描くように流れるホーノ洞から滝波山に立ちたいと思い立ってから数年が経っていた。
海ノ溝谷林道の入口には可動式の柵が置かれていた。どこかに強固なゲートがあると書いてあった覚えがあったの
だが、林道の途中だろうか。しかししばらく歩いてもそれらしいものは出て来ない。ならば車を取りに戻れば1時間以上
の林道歩きを省略できる。
荷物を置いて入口まで戻ると、道の両側にゲートのポールがあり、鍵のぶら下がったチェーンが垂れていた。横を見る
と林道奥での作業スケジュールが書かれたホワイトボードがある。おとといから今日まで伐採、明日は休みらしい。
ならば作業のために鍵を開けてあるだけか。夕方には閉められる可能性が高い。滝波谷にデポしたふ~さんの車でこ
こへ戻ってきた時にゲートが閉っていれば万事休す。お手上げである。
車に乗って現われるはずの私が歩いてきたの見て、ふ~さんが「どうしたんですか?」と驚く。状況を説明して納得。
元々歩くつもりで来たんだから歩きましょう。
林道歩きも半ばを過ぎたあたりで、3台の車が後ろからやってきた。「どこまで行くん?」と聞くからてっきり「乗って行
くか?」と言ってくれるものと思っていたが、軽快なエンジン音を響かせて走り去ってしまった。
640m標高点のあたりで橋を渡る。支流のように見えるこの谷が本流のホーノ洞だ。林道は急に勾配を強めて、やが
て大きく開けた工事現場に出た。真新しい堰堤と、林道側壁の防護壁工事が人目につかない山中でひっそりと行われ
ている。
急に草深くなった林道はすぐに終点(厳密には右上へ折り返していたが)となった。ヤブを分けて沢へ下りる。
2日前までの予報では土曜日は怪しい天気だった。しかし頭上は抜けるような青空。
先々週の白山もそうだった。天気予報は直前まで信用しないほうがいいようだ。
標高の割に意外に水は冷たく、白山と変わらないように感じた。しかし標高で言えば半分、9月初めの奥美濃である。
前回と同じ格好のふ~さんはいかにも暑そうだ。時々水に浸かってクールダウンしている。当方は半袖Tシャツ1枚に薄
手のパンツ、靴下はネオプレーンではなく普通の靴下と、暑さ対策は十分だ。
[attachment=4]P1110900_1.JPG[/attachment]
ホーノ洞下部は等高線で読み取れる通り、まさに平流が続く。時折小さな落差はあるものの、読んで字の如く、「平ら
かな流れ」を淡々と進む。
連日の寝不足がたたっているのか、ふ~さんがハイペースで歩くので付いて行くのがやっとである。
谷の屈曲点に入った。徐々に小滝が現われ始める。正面に横たわるのは越美国境稜線だ。
谷の雰囲気が変わってきた。これまでの解放感にあふれていた頭上の空間が狭くなった。両岸は高い岩壁。
谷が90度右折するところに10mの滝が落ちていた。その上にまた90度折り返して5mほどの滝が見える。
滝の前でひと息。弱点を探る。右の岩壁に取り付き、中段から滝頭へ続くガリー以外ルートはなさそうだ。ガリーの手前
までホールドは豊富だが、ガリーへ上がる1手が難しいかもしれない。
[attachment=3]P1110940_1.JPG[/attachment]
ロープをセットして登り始める。予想通り壁の部分は簡単だった。問題視していた所で思案。次のスタンスまで高さが
あり、ホールドは外傾気味で掴んで一気に引き上げるというわけにはいかない。
左につま先ほどの微妙なスタンスがあるが、そこへ体重移動してしまうと後戻りできない。立ち込めば嫌でも上がるしか
ない。右手を思い切り伸ばすとガリーの中に指が完全にかかるホールドがあった。行ける。ただ、そのままでは体が伸び
切り過ぎて危ない。左の細かいスタンスに静かに立ち込んで体半分上がると右手のホールドを余裕を持って掴むことが
できた。慎重に荷重移動してガリーに立った。もうOKだ。
安全地帯まで上がって、大岩でセルフビレイを取り、ガリーのすぐ上まで戻ってふ~さんにコール。ふ~さんも下部の壁
はスルスルと上がってきたが、やはり中段で苦労している。
右手のフィンガーホールドを教える。これがなければ登れなかったかもしれない。
安全地帯でビレイ解除。5m滝の上に8mほどの滝が勢いよく噴き出していた。この中間点はなかなか素晴らしい場所だ。
上の滝は落ち口近くまで上がれそうだが、そこから先は宙を舞う水流に叩き落されそうだ。
ここは右の岩場から巻き上がり、落ち口にドンピシャで着地。楽しませてくれた30分だった。1時間半の林道歩きと2時間
の平流歩きを我慢した者だけが味わうことができる至福の時間である。
続いて現われたのは自然の堰堤のような6m滝。左から巻くが、落ち口へ下りるところで足が攣ってしまいヒヤっとする。
深い淵を持つ10m斜瀑は左岸をへつって取り付き快適に直登。釜に流木の刺さる8m滝は手が出ず左岸の巻きとなった。
[attachment=2]P1110965_1.JPG[/attachment]
その後も直登できる斜瀑や板状節理が面白い2段8m滝等、飽かせることがなかった。
1210mで左に大きな支流を分けるあたりではまた平流に戻ってしまう。しかし奥美濃の沢の雰囲気は存分に感じられ
るので不満はない。
http://youtu.be/2VG1xXlA6gA
ほぼ読み通りの時間で上がってきたので、そろそろランチ場を決めよう。
山頂のヤブの中でメシを食う気はさらさらないので、水が切れる前に1320mの最後の二俣でザックを降ろした。ここから
なら山頂まで標高差100m足らず。稜線はすぐそこに見えている。山頂真西のコルを経由して30分と掛かるまい。
今沢シーズン始めて湯を沸かしての食事とする。もちろん食後のコーヒー付きだ。
やっぱり火を使う食事は落ち着けていいものだ。
ヤブコギを最小限に留めるために、左俣に入ってすぐ右の支流を辿った。ラッキーなことに、一直線にコルに伸びる谷は
源頭までまったくヤブがなかった。
コルに飛び出す。もう山頂は目の前だ。さすがに道があるはずもなく、初級のヤブコギを5分もすれば、ヤブの中にぽっ
かりと切り開かれた滝波山頂に着いた。ふ~さんとハイタッチ、そしてガッチリと握手。
沢登りとすれば、楽しい時間とそれ以外の時間のバランスを考えれば効率の悪い沢だろう。しかしそんなことは問題では
ない。海ノ溝谷ホーノ洞を詰め切って、滝波山の山頂に立ったことに意味があるのだ。
ただ、この意味を理解してくれるのはごく少数のマニアックな人だけだろうが。
[attachment=1]P1120022_1.JPG[/attachment]
積雪期の360度の展望とは違い、南側だけがわずかに見通せる。それも風采の上がらないずんぐりした奥美濃の山々
の一部が見えるだけである。メジャーな山々は背丈を越す潅木の向こうだ。
誰が付けたのか、三角点から10mほど離れた木に山名標識が付けられていた。恐らく積雪期にちょうどそこが一番雪で
盛り上がっていたのだろう。
下山は谷を取るか、尾根を選ぶか。尾根には一応登山道らしきものがあるらしい。滝波谷(白木谷)の奥の中俣はかな
り等高線が詰まっている。ヤブを回避するなら谷、危険を回避するなら尾根である。
安全策でなんとなく踏み跡があるようなないような南東尾根を下り始めた。
積雪期に「滝波平」と名付けたブナ林もヤブをかき分けて進む。下部で右に寄り過ぎて、ルンゼ状の急傾斜の小沢を急
降下。つま先を痛めてしまい、衝撃を与えないようソロソロと下る。
三俣よりかなり上の、中俣1100m地点へ出てしまった。しかし谷筋を下る方が格段に楽だ。ズルズル滑るのを食い止め
ることに神経を使わなくて済む。これなら最初から谷を選択した方がよかったか。
谷は広がりを見せ始め、960mの三俣のあたりは非常にいい雰囲気である。ここからは破線路の道があり、テープも右
岸の高い方へ導いている。ほぼ平流だということと、何より涼しいという理由で沢沿いに下ることを選んだ。
まったく問題なく860mの二俣、シン谷出合に到着。ここには昔「滝波山」と書かれた立派な道標があったはずだ。ヤブの
中を探してみたが見つからなかった。
ここからは美しいナメ滝と小滝が楽しませてくれる。そして急に谷が途切れたような空間に突き当たる。
滝波大滝である。20mほどあるらしい。滝頭に立ち、落水の様子を覗き込む。エメラルドグリーンの滝壺に白濁した水流が
吸い込まれていた。
ここは落ち口ラインの小尾根を急登、20mばかり登ったところで道に出た。後は楽勝か。
[attachment=0]P1120068_1.JPG[/attachment]
しかし本当の核心部はここからだった。この道は登山道と呼ぶにはあまりに悪い道だ。渓流シューズのまま歩いている
せいもあるが、急斜面のトラバース、足場の悪い急降下、ヤブに消えてしまう道、沢の中を歩く(これは問題ないが)、崩壊
地の迂回でトラロープを使い上下する等々、まさにバリハイルートである。
あまり人の事は言えないが、こんな道を使って滝波山へ登ろうなんてどうかしているのではないか。しかも上部はヤブだ。
とにかく汗の噴き出る下山だった。ふ~さんは暑さに耐えかねて、2度3度と水浴していた。
もしこの道で闇下になったらとても歩けんやろなと笑い合う。
最後に植林を抜けるとデポしていたふ~さんの車が見えた。
「お疲れさん!!」再度のハイタッチ&握手で締めくくる。今日も「やり切った感」一杯の山行だった。
スタート地点の海ノ溝林道入口へ車の回収に行くと、林道のゲートは開いたままだった・・・
山日和
海ノ溝谷林道の入口には可動式の柵が置かれていた。どこかに強固なゲートがあると書いてあった覚えがあったのだが、林道の途中だろうか。