【湖北】8年振りの矢谷からブンゲンへ
Posted: 2019年10月08日(火) 22:06
【日 付】2019年10月6日(日)
【山 域】湖北 ブンゲン周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】奥伊吹スキー場7:00---7:40入渓点---12:00ブンゲン13:50---16:40駐車地
喉元過ぎれば熱さを忘れる。8年前に訪れた時のレポは次のような言葉で締めくくっていた。
「ヤブ沢周遊も時間が立つと、鬱陶しい思い出を忘れてしまうから面白い。写真を見ながら書いていると、当然
のことながら写真はいいところでしか撮らないので余計にいい場面だけが増幅されてしまう。
このレポと写真を見て行く気になった人は注意が必要である。」
暑さを忘れて再び訪れたのは湖北の姉川源流の矢谷である。花崗岩の岩床が美しく、ナメ滝の多い谷という印
象が強く残っていた。嫌なことは忘れたいという自己防衛本能のせいなのか、鬱陶しい部分の記憶はあまり蘇っ
て来ないのだ。
早朝の奥伊吹スキー場は予報に反して曇り空。気温が低く風も強い。沢に入るモチベーションが下がってしま
いそうだ。
県道沿いの矢谷橋から林道に入ってしばらく進むと、もう一つ矢谷橋が現われる。ここが入渓点なのだが、もう
一つの矢谷橋が生い茂った草で見えなくなっていたのには驚いた。
橋の手前から入渓するとすぐに美しいナメ滝が出迎えてくれて期待を持たせる。8年前もそうだったなと思い
出した。周りが味気ない植林なのが残念だ。少しヤブが被さる部分があるものの、岩盤が発達した谷は数多くの
ナメを擁して、落ち着いた中にも躍動感を感じさせる渓相だ。
倒木が邪魔をして通れないところで右岸から迂回しようと前方を見ると、黒い塊が動いていた。
次の瞬間、その物体は脱兎?のごとく走り去ってしまった。クマである。今年2回目の遭遇。7月に江若国境で出
くわしたヤツよりはかなり小ぶりだった。余裕があったので写真を撮っておけばよかった。
この谷は支谷の分岐が多く、注意が必要である。ひとつ間違えばとんでもないところへ連れて行かれてしまう。
Ca790mの二俣では90度右折して、一見支流と見える谷に入らないといけない。出合から見える長さ30m以上はあ
るナメ滝が目印となるので間違うことはないだろう。傾斜は強くはないが、よく滑るので慎重に右端を登る。
次の20m斜瀑はチェーンスパイクを履いて左岸を巻き上がるが、落ち口へのトラバースが微妙で嫌らしい。
支谷の分岐を注意深く見ていたつもりだったが、最後の二俣で間違えてしまった。標高差70mほど登ったとこ
ろで気が付いたが戻るのも面倒だ。等高線沿いにトラバースして本流に復帰。間違えた谷に2つばかり登れる滝
があったので良しとしよう。
源頭ではまるで舗装路のような水の切れたナメを進んで行くと谷の形が消え、背丈を軽く超える笹ヤブに捕ま
る。すぐ北側にスキー場からの登山道が通っているのでわずかの辛抱だ。
satoさんはこういう場面でも喜々として歩いているのが頼もしい。
ガサガサと5分ほどヤブを漕ぐと、ぽっかり開けた空間に飛び出した。8年前にここに出た時、居合わせたパー
ティーにクマと間違えられたことを思い出す。あの時は「鉄砲を持ってたら撃ち殺してたで」と笑われたものだ。
ブンゲンの山頂手前で江美国境稜線と合流して驚いた。踏み跡すらなかった尾根上に、1mぐらいの幅で切り開
きができている。これは7月に新穂山で見たトレラン大会のための道の続きだ。新穂山では申し訳程度の踏み跡で
さほど驚きも感じなかったのだが、ここの切り開きはレベルが違った。いずれは登山用のトレールとして整備す
るのだろうか。今ある道でトレラン大会をやるのは結構だが(あまり歓迎はしないが)、わざわざそのために道のな
い山に切り開きを付けるというのはどうなのか。
これが完成すれば、県境踏破が重みのないものになることは間違いないだろう。
そのせいなのかどうなのかはわからないが、山頂では数名の登山者と出会った。
山頂ではスタート時と打って変わって快晴で、少し日陰が恋しいぐらいだ。
見晴らしは良く、白山や御嶽は望めないものの、中距離の山並みはクッキリと見えていた。
南を見ると琵琶湖が逆光に煌めいている。
静寂を楽しむはずの山頂でタイヤの軋む音が聞こえた。奥伊吹スキー場ではスキーのオフシーズンの営業で車
のドリフト大会のようなイベントをやっているのだ。そう言えば朝、入渓点へ向かう途中、続々と80年~90年代
のアメリカンスポーツカーが上がって来ていた。
7月の新穂山からの下りでも、思わぬ方向からスキッド音が聞こえて驚いたものだ。
北峰でランチタイムの後は、山頂との鞍部へ戻って大長谷源頭の笹ヤブに突撃する。この笹はなかなか密度が
濃く、頭から突っ込んで行くしかない。少しの我慢で谷の形が現われて水が流れ出した。
大長谷は小滝が多いがヤブっぽい場面も多く、矢谷の下り用という感じの谷である。
2ヶ所の懸垂下降を交えて下ればそう退屈することもない。
二俣にかかる美しい滝を愛でた後、取水用のホースが現われると登山口は近い。
8年を経て再訪した矢谷はやはり矢谷に変わりはなかったことを確かめた一日だった。
山日和
【山 域】湖北 ブンゲン周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】奥伊吹スキー場7:00---7:40入渓点---12:00ブンゲン13:50---16:40駐車地
喉元過ぎれば熱さを忘れる。8年前に訪れた時のレポは次のような言葉で締めくくっていた。
「ヤブ沢周遊も時間が立つと、鬱陶しい思い出を忘れてしまうから面白い。写真を見ながら書いていると、当然
のことながら写真はいいところでしか撮らないので余計にいい場面だけが増幅されてしまう。
このレポと写真を見て行く気になった人は注意が必要である。」
暑さを忘れて再び訪れたのは湖北の姉川源流の矢谷である。花崗岩の岩床が美しく、ナメ滝の多い谷という印
象が強く残っていた。嫌なことは忘れたいという自己防衛本能のせいなのか、鬱陶しい部分の記憶はあまり蘇っ
て来ないのだ。
早朝の奥伊吹スキー場は予報に反して曇り空。気温が低く風も強い。沢に入るモチベーションが下がってしま
いそうだ。
県道沿いの矢谷橋から林道に入ってしばらく進むと、もう一つ矢谷橋が現われる。ここが入渓点なのだが、もう
一つの矢谷橋が生い茂った草で見えなくなっていたのには驚いた。
橋の手前から入渓するとすぐに美しいナメ滝が出迎えてくれて期待を持たせる。8年前もそうだったなと思い
出した。周りが味気ない植林なのが残念だ。少しヤブが被さる部分があるものの、岩盤が発達した谷は数多くの
ナメを擁して、落ち着いた中にも躍動感を感じさせる渓相だ。
倒木が邪魔をして通れないところで右岸から迂回しようと前方を見ると、黒い塊が動いていた。
次の瞬間、その物体は脱兎?のごとく走り去ってしまった。クマである。今年2回目の遭遇。7月に江若国境で出
くわしたヤツよりはかなり小ぶりだった。余裕があったので写真を撮っておけばよかった。
この谷は支谷の分岐が多く、注意が必要である。ひとつ間違えばとんでもないところへ連れて行かれてしまう。
Ca790mの二俣では90度右折して、一見支流と見える谷に入らないといけない。出合から見える長さ30m以上はあ
るナメ滝が目印となるので間違うことはないだろう。傾斜は強くはないが、よく滑るので慎重に右端を登る。
次の20m斜瀑はチェーンスパイクを履いて左岸を巻き上がるが、落ち口へのトラバースが微妙で嫌らしい。
支谷の分岐を注意深く見ていたつもりだったが、最後の二俣で間違えてしまった。標高差70mほど登ったとこ
ろで気が付いたが戻るのも面倒だ。等高線沿いにトラバースして本流に復帰。間違えた谷に2つばかり登れる滝
があったので良しとしよう。
源頭ではまるで舗装路のような水の切れたナメを進んで行くと谷の形が消え、背丈を軽く超える笹ヤブに捕ま
る。すぐ北側にスキー場からの登山道が通っているのでわずかの辛抱だ。
satoさんはこういう場面でも喜々として歩いているのが頼もしい。
ガサガサと5分ほどヤブを漕ぐと、ぽっかり開けた空間に飛び出した。8年前にここに出た時、居合わせたパー
ティーにクマと間違えられたことを思い出す。あの時は「鉄砲を持ってたら撃ち殺してたで」と笑われたものだ。
ブンゲンの山頂手前で江美国境稜線と合流して驚いた。踏み跡すらなかった尾根上に、1mぐらいの幅で切り開
きができている。これは7月に新穂山で見たトレラン大会のための道の続きだ。新穂山では申し訳程度の踏み跡で
さほど驚きも感じなかったのだが、ここの切り開きはレベルが違った。いずれは登山用のトレールとして整備す
るのだろうか。今ある道でトレラン大会をやるのは結構だが(あまり歓迎はしないが)、わざわざそのために道のな
い山に切り開きを付けるというのはどうなのか。
これが完成すれば、県境踏破が重みのないものになることは間違いないだろう。
そのせいなのかどうなのかはわからないが、山頂では数名の登山者と出会った。
山頂ではスタート時と打って変わって快晴で、少し日陰が恋しいぐらいだ。
見晴らしは良く、白山や御嶽は望めないものの、中距離の山並みはクッキリと見えていた。
南を見ると琵琶湖が逆光に煌めいている。
静寂を楽しむはずの山頂でタイヤの軋む音が聞こえた。奥伊吹スキー場ではスキーのオフシーズンの営業で車
のドリフト大会のようなイベントをやっているのだ。そう言えば朝、入渓点へ向かう途中、続々と80年~90年代
のアメリカンスポーツカーが上がって来ていた。
7月の新穂山からの下りでも、思わぬ方向からスキッド音が聞こえて驚いたものだ。
北峰でランチタイムの後は、山頂との鞍部へ戻って大長谷源頭の笹ヤブに突撃する。この笹はなかなか密度が
濃く、頭から突っ込んで行くしかない。少しの我慢で谷の形が現われて水が流れ出した。
大長谷は小滝が多いがヤブっぽい場面も多く、矢谷の下り用という感じの谷である。
2ヶ所の懸垂下降を交えて下ればそう退屈することもない。
二俣にかかる美しい滝を愛でた後、取水用のホースが現われると登山口は近い。
8年を経て再訪した矢谷はやはり矢谷に変わりはなかったことを確かめた一日だった。
山日和