【台高】増水の木屋谷川から水無山北東尾根
Posted: 2019年8月21日(水) 20:50
【日 付】2019年8月18日(日)
【山 域】台高北部 国見山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】菅谷川駐車地8:05---8:40万才橋---10:20ワサビ谷出合---11:10奥山谷出合---12:35源流ランチ場14:15
---14:50国見山---15:15水無山--16:15-二俣---17:15万才橋--17:45駐車地
数日前から国交省の河川情報サイトで水位を確認していた。今回の台風で台高にはかなりの雨が降ったようで、
増水が恐い。降り終わりから2日間の好天で水は引いただろうか。
木屋谷川の林道は木クズや小さい落石が目立ったものの、ところどころで掃除しながら問題なく菅谷川の駐車
地まで入ることができた。さらに前進できないこともなさそうだが、自重して林道を歩く。
しかし林道から見下ろす本流ゴルジュは恐ろしいぐらい増水して、激流が轟音を立てている。流れに入れば粉微
塵になりそうな勢いである。ホントに遡行できるのか。
いつものごとく、万才橋から入渓する。木屋谷川本流を歩くのは何度目だろう。数えればもう両手の指では足
りないことは間違いない。癒しの渓相と適度な滝を配して気楽に歩けるお気に入りの谷なのだ。
しかし今日はいつもと様相が違う。これまで訪れた中でも最高の水量だ。水流通しに滝を突破することなどとて
も叶わず、巻くために右へ左へ渡渉するのも速い流れに抗いながらで一筋縄ではいかない。
下界では今日も35度を超える猛暑日。積極的に水に入って涼むつもりが、これだけ水量が多いと水温も低く、水
際を歩いているだけでも寒いぐらいである。深い谷間に差し込むわずかな日差しが恋しくなってしまう。
ワサビ谷出合まで通常の倍ぐらいの時間をかけて到着。左に深く刻まれて分岐するワサビ谷は、急激に左折し
て大滝をかけるのだが、普段は出合からは見えない。ところが今日はなんと落口から躍り上がった水流の頭が見
えているではないか。これは凄い。
ここまで右岸から流れ込む小谷にも見慣れない滝がかかっていた。下山時に右岸をトラバースする山道を歩く
のだが、渡渉が必要になるかもしれない。
ここからは谷幅が狭まってゴルジュ状の場面が増えてくる。
そして本流最大の大滝(と言っても12mしかないが)とご対面である。いつもは「もう大滝まで来たな」としか感
じないのだが、本日の大滝は凄い迫力だ。普段なら左岸の独自ルートから巻き上がるのだが、今日は左岸へ渡る
のも苦労しそうだ。初めてトラロープの張られた右岸の巻き道を使った。
落口の上は快適なナメ滝が続くのだが、今日はとんでもない奔流が荒れ狂ったように走っている。
そしてゴルジュ出口のチョックストン滝。両岸が極端に迫ったここは、滝までのアプローチが背丈を越えそうな
深さになっていたので、滝に取り付くこともできず右岸の斜面を上がって登山道に出た。
すぐに奥山谷出合の二俣に到着。ここで再び谷へ下りて右俣の本流を眺めると、3mほどの小滝に続く、いつも
なら流れの中をヒタヒタと歩くナメ滝がとんでもない激流になっている。
腰まで浸かって3m滝の左を上がって、ナメ滝は流れに足を踏み入れることすらできず巻いた。こんなことは初め
てだ。
ここから上流はほとんど滝もない癒しの渓相が続く。水量も大支流の奥山谷を分けてかなり落ち着いてきたよ
うだが、まだまだ勢いがある。
右岸から鉄砲谷が入る。ここは出合から快適に直登できる4段の25m滝があるのだが、今日は段が消えるほど豪快
な滝になっており、とても登れる状態ではない。
国見山への直登沢を分けるといよいよ源流の装いを見せ始める。と同時に倒木が目立ち始め、荒れた谷は癒し
の雰囲気を減じているのが残念だ。
冷たかった水も生温かさを感じるようになり、今度は暑くなってきた。
左から小谷の入るいつものランチ場で店開き。トチに抱えられた大岩の前の小台地が定位置だ。この小谷はい
つも水が流れていないのだが、今日は真横で水が汲めるので手っ取り早い。ミズナラ主体の森に包まれたここは
実にいいところである。
ランチ場横の小尾根を上がって台高主脈の県境稜線へ。さっきまではほとんど気にならなかった小さな虫がワ
ンワンとたかって、鬱陶しいことこの上ない。
国見山頂を通過して水無山から北東尾根に入る。山頂直下は尾根の形のない急斜面だ。しばらく我慢して下る
と傾斜も緩み、はっきりとした尾根に乗る。この尾根はブナ、ミズナラ、ヒメシャラの素晴らしい樹林が広がる
お気に入りの尾根なのだが、やはり倒木が目立って痛々しい。大きなブナが根こそぎ倒れて無残な姿を晒してい
るのを見ると悲しい気持ちになってしまう。
奥山谷と木屋谷川の二俣へ下り立つ。登山靴に履き替えているが、委細構わず水に入って渡渉。登山道へ這い
上がればあとは気楽な道歩き、のはずだったがどうも様子がおかしい。こんなに木屋谷川の流れが近くに見える
はずはない。どこかで道を外してしまったようだ。数えきれないほど歩いているのに情けない限りである。
斜面の上に道があるのはわかっているので遮二無二登るとすぐに登山道が現れた。
ワサビ谷も靴のまま水に浸かって渡渉。一度入ってしまえばヤケクソである。ワサビ谷上流の連瀑も見事な眺
めを見せている。
豪快に水を落とすワサビ谷大滝を横目で見ながらトラバース。ここから3度小谷を渡ることになるのだが、本流
遡行時に滝になっていた谷ではまっすぐに渡れず、一度流れの中を上がってから対岸をクライムダウン。
登山道とは言いながら楽をさせてくれない。
完全に崩れ落ちて骨だけになった木橋が現れると万才橋は近い。
通い慣れたいつもの木屋谷川とは違う顔を見せてくれた一日も、もうすぐ終わる。
山日和
【山 域】台高北部 国見山周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】sato、山日和
【コース】菅谷川駐車地8:05---8:40万才橋---10:20ワサビ谷出合---11:10奥山谷出合---12:35源流ランチ場14:15
---14:50国見山---15:15水無山--16:15-二俣---17:15万才橋--17:45駐車地
数日前から国交省の河川情報サイトで水位を確認していた。今回の台風で台高にはかなりの雨が降ったようで、
増水が恐い。降り終わりから2日間の好天で水は引いただろうか。
木屋谷川の林道は木クズや小さい落石が目立ったものの、ところどころで掃除しながら問題なく菅谷川の駐車
地まで入ることができた。さらに前進できないこともなさそうだが、自重して林道を歩く。
しかし林道から見下ろす本流ゴルジュは恐ろしいぐらい増水して、激流が轟音を立てている。流れに入れば粉微
塵になりそうな勢いである。ホントに遡行できるのか。
いつものごとく、万才橋から入渓する。木屋谷川本流を歩くのは何度目だろう。数えればもう両手の指では足
りないことは間違いない。癒しの渓相と適度な滝を配して気楽に歩けるお気に入りの谷なのだ。
しかし今日はいつもと様相が違う。これまで訪れた中でも最高の水量だ。水流通しに滝を突破することなどとて
も叶わず、巻くために右へ左へ渡渉するのも速い流れに抗いながらで一筋縄ではいかない。
下界では今日も35度を超える猛暑日。積極的に水に入って涼むつもりが、これだけ水量が多いと水温も低く、水
際を歩いているだけでも寒いぐらいである。深い谷間に差し込むわずかな日差しが恋しくなってしまう。
ワサビ谷出合まで通常の倍ぐらいの時間をかけて到着。左に深く刻まれて分岐するワサビ谷は、急激に左折し
て大滝をかけるのだが、普段は出合からは見えない。ところが今日はなんと落口から躍り上がった水流の頭が見
えているではないか。これは凄い。
ここまで右岸から流れ込む小谷にも見慣れない滝がかかっていた。下山時に右岸をトラバースする山道を歩く
のだが、渡渉が必要になるかもしれない。
ここからは谷幅が狭まってゴルジュ状の場面が増えてくる。
そして本流最大の大滝(と言っても12mしかないが)とご対面である。いつもは「もう大滝まで来たな」としか感
じないのだが、本日の大滝は凄い迫力だ。普段なら左岸の独自ルートから巻き上がるのだが、今日は左岸へ渡る
のも苦労しそうだ。初めてトラロープの張られた右岸の巻き道を使った。
落口の上は快適なナメ滝が続くのだが、今日はとんでもない奔流が荒れ狂ったように走っている。
そしてゴルジュ出口のチョックストン滝。両岸が極端に迫ったここは、滝までのアプローチが背丈を越えそうな
深さになっていたので、滝に取り付くこともできず右岸の斜面を上がって登山道に出た。
すぐに奥山谷出合の二俣に到着。ここで再び谷へ下りて右俣の本流を眺めると、3mほどの小滝に続く、いつも
なら流れの中をヒタヒタと歩くナメ滝がとんでもない激流になっている。
腰まで浸かって3m滝の左を上がって、ナメ滝は流れに足を踏み入れることすらできず巻いた。こんなことは初め
てだ。
ここから上流はほとんど滝もない癒しの渓相が続く。水量も大支流の奥山谷を分けてかなり落ち着いてきたよ
うだが、まだまだ勢いがある。
右岸から鉄砲谷が入る。ここは出合から快適に直登できる4段の25m滝があるのだが、今日は段が消えるほど豪快
な滝になっており、とても登れる状態ではない。
国見山への直登沢を分けるといよいよ源流の装いを見せ始める。と同時に倒木が目立ち始め、荒れた谷は癒し
の雰囲気を減じているのが残念だ。
冷たかった水も生温かさを感じるようになり、今度は暑くなってきた。
左から小谷の入るいつものランチ場で店開き。トチに抱えられた大岩の前の小台地が定位置だ。この小谷はい
つも水が流れていないのだが、今日は真横で水が汲めるので手っ取り早い。ミズナラ主体の森に包まれたここは
実にいいところである。
ランチ場横の小尾根を上がって台高主脈の県境稜線へ。さっきまではほとんど気にならなかった小さな虫がワ
ンワンとたかって、鬱陶しいことこの上ない。
国見山頂を通過して水無山から北東尾根に入る。山頂直下は尾根の形のない急斜面だ。しばらく我慢して下る
と傾斜も緩み、はっきりとした尾根に乗る。この尾根はブナ、ミズナラ、ヒメシャラの素晴らしい樹林が広がる
お気に入りの尾根なのだが、やはり倒木が目立って痛々しい。大きなブナが根こそぎ倒れて無残な姿を晒してい
るのを見ると悲しい気持ちになってしまう。
奥山谷と木屋谷川の二俣へ下り立つ。登山靴に履き替えているが、委細構わず水に入って渡渉。登山道へ這い
上がればあとは気楽な道歩き、のはずだったがどうも様子がおかしい。こんなに木屋谷川の流れが近くに見える
はずはない。どこかで道を外してしまったようだ。数えきれないほど歩いているのに情けない限りである。
斜面の上に道があるのはわかっているので遮二無二登るとすぐに登山道が現れた。
ワサビ谷も靴のまま水に浸かって渡渉。一度入ってしまえばヤケクソである。ワサビ谷上流の連瀑も見事な眺
めを見せている。
豪快に水を落とすワサビ谷大滝を横目で見ながらトラバース。ここから3度小谷を渡ることになるのだが、本流
遡行時に滝になっていた谷ではまっすぐに渡れず、一度流れの中を上がってから対岸をクライムダウン。
登山道とは言いながら楽をさせてくれない。
完全に崩れ落ちて骨だけになった木橋が現れると万才橋は近い。
通い慣れたいつもの木屋谷川とは違う顔を見せてくれた一日も、もうすぐ終わる。
山日和