【若狭】桧ノ木谷から庄部谷山・甲森谷へ
Posted: 2019年8月13日(火) 21:43
【日 付】2019年8月11日(日)
【山 域】若狭 庄部谷山周辺
【天 候】晴れ
【コース】黒谷林道8:10---8:40桧ノ木谷(黒谷左俣)---11:10庄部谷山---12:10大産岩室の滝13:15---
15:15市町境稜線16:15---17:15 Ca850mピーク---18:55駐車地
大阪の予想最高気温は38℃。山は今日も暑い一日になりそうだ。
黒谷林道に車を止めて、ほとんど道の痕跡を留めない本流への廃林道を進む。
堰堤を巻いたところが黒谷の二俣。今日は左俣の桧ノ木谷を行くが、まずは右俣の入口にあるトチが両脇を
門番のように固めた小滝に挨拶をしていこう。谷間にわずかに差し込んだ光が、この何気ない風景を神々しい
ものにしている。ここはお気に入りの場所だ。
左俣へ戻って遡行開始。いきなりの連瀑帯に希望がふくらむ。小滝ばかりだが、トチやカツラの巨木を縫う
ように流れる谷は、巨岩の下をくぐって登る滝もあったりして変化に富んで楽しい。
しかしすぐに息切れして平流になってしまうのは、5年前の遡行で確認済みである。途中で鉄塔巡視路が横切り
、辛うじて現役の面目を保っている鉄橋をくぐって進んだ。
ご多聞に漏れず、この谷も流倒木が目立つ。これがなければ美しい谷なのに残念至極である。真新しい倒木
が木橋のように谷の両岸に掛かっているところもあり、最近の台風の猛威を感じさせる。
どこまで行っても炭焼窯跡があり、小道が細々と続いていた。
谷の中ではほとんど日差しを浴びることもなく、極力水の中を歩いて来たのでそれほど暑さに悩まされるこ
ともなかった。源頭部は庄部谷山西の804mピーク東側鞍部のブナ林に緩やかに登って行くが、谷芯は倒木で
歩き辛いので左岸の斜面を歩く。
日陰とはいえ、水がなくなると途端に猛烈な暑さに襲われ、体温が急激に上昇していくようだ。
庄部谷山頂に着いた時には、ここでひっくり返って昼寝でもしようかとも思ったが、心に鞭打って甲森谷へ
下りようと歩を進めた。
渓流シューズではズルズルに滑るので、チェーンスパイクを履いて急降下に備える。急な分仕事は速い。
40分ほどでサルハシ谷と甲森谷の出合に下り着いた。
ここまで予定より時間がかかったので、今日はワンダーランド散策はカット。大産岩室の滝でランチタイムと
しよう。
ここまでの激下りでたっぷり汗をかかされたが、滝の前に腰を降ろすと天然のシャワーミストですぐにひん
やりとしてきた。目の前を3条になって落ちる滝の涼やかな風景は視覚的にも涼しく、灼熱の猛暑日がウソの
ような快適さである。
食後、いつも通りのラインで滝を登って、森水屋と名前を変えた甲森谷本流を遡って行く。
小滝とナメを交えながらとにかく水の中を進む。岸に上がるとすぐにもわっとした暑さで頭がボーっとしそう
になるのだ。
七ツ釜(実際は4つほどしかないが)と呼んでいる、小さな滝と釜が連続する場所では水浴を楽しんだりして体を
冷やす。しばらく歩いているとまたすぐに暑くなるので、ヘルメットで水を汲んで頭から水を被った。
猛暑のせいもあるが、とにかく最近暑さに体がついていかなくなってしまった。こんなに歩けなくなったかと
ガックリしていても、風が吹いたりして少し涼しくなるとすぐに元気を取り戻すのだ。
源頭に近い場所にワサビ田の跡がある。右岸に突然現れる石垣が目印である。何段にも組まれた石垣には水
が流れ、最上段まで上がってみると斜面の岩間から水が湧き出している。その上は谷状地形でもなんでもなく、
ただの樹林の斜面が続いているだけだ。炭焼きもそうだが、ここで作ったワサビを運び出すのもなかなか大変
だっただろうなと思う。こういう生活や仕事の痕跡を見つけ出すのが低山歩きの楽しみのひとつだ。
ただ、あんまり暑過ぎるとそんなことを考える余裕もなくなってしまうが。
源頭では今日は忠実に溝状になった谷芯を上がって行く。まわりはトチからサワグルミ中心の森となり、見
上げる斜面にはブナ林が広がる。谷芯がいよいよ歩き辛くなり、左岸の急斜面を這い上がる。
登り着いたところは敦賀市と美浜町の市町境稜線直下。稜線まで上がらずここで靴を履き替える。
なぜなら稜線上よりもこの斜面の方が濃密なブナ林を味わえるからである。
3mを超すブナの巨木があたりまえのように散在するこの斜面に座っていると、時間を忘れてのんびりしてしま
いそうだ。しかしまだ下山が待っている。勝手知ったる山とはいえ油断は禁物だ。
806mピークからCa830mピーク、Ca850mピークと、ずっとブナの森が続くが、倒木が目立つのが残念だ。
Ca850mからは795mピークを経て南西への支尾根に入った。ここを歩くのはまだ2度目である。正直なところあ
まり面白い尾根とは言えない。放置植林と伐採後のヤブで、はっきり言うとつまらないコースだ。
前回コースロストした場所で今回も同じ轍を踏んでしまった。北西を向いているつもりが南へ進んでいると
いうお粗末は、まるでビデオを見ているような展開だ。
なんとか踏み跡を見つけ出して倒木帯を脱出すると、やっとまともに歩ける道になった。
これは上を走る送電線のおかげ。やがて鉄塔が現われて登山道レベルの道になった。
林道に合流するともう楽勝ムードだ。674mピークの西で林道は大きく山腹を迂回しているのでそのまま直進
してショートカット。この林道の下に素晴らしい疎林の台地が広がっている。まったく下生えのない疎林はまる
で自然公園のようだ。前回も時間がなく、次に来る時はゆっくり楽しみたいと思っていたのだが、今日も日没が
迫ってきた。
急ぎ足で最短ルートの急斜面を転げ落ちるように下りると、そこはちょうど朝の林道分岐。車の屋根が見えてい
る。どうやら今シーズン初闇下は回避できたようだ。
山日和
【山 域】若狭 庄部谷山周辺
【天 候】晴れ
【コース】黒谷林道8:10---8:40桧ノ木谷(黒谷左俣)---11:10庄部谷山---12:10大産岩室の滝13:15---
15:15市町境稜線16:15---17:15 Ca850mピーク---18:55駐車地
大阪の予想最高気温は38℃。山は今日も暑い一日になりそうだ。
黒谷林道に車を止めて、ほとんど道の痕跡を留めない本流への廃林道を進む。
堰堤を巻いたところが黒谷の二俣。今日は左俣の桧ノ木谷を行くが、まずは右俣の入口にあるトチが両脇を
門番のように固めた小滝に挨拶をしていこう。谷間にわずかに差し込んだ光が、この何気ない風景を神々しい
ものにしている。ここはお気に入りの場所だ。
左俣へ戻って遡行開始。いきなりの連瀑帯に希望がふくらむ。小滝ばかりだが、トチやカツラの巨木を縫う
ように流れる谷は、巨岩の下をくぐって登る滝もあったりして変化に富んで楽しい。
しかしすぐに息切れして平流になってしまうのは、5年前の遡行で確認済みである。途中で鉄塔巡視路が横切り
、辛うじて現役の面目を保っている鉄橋をくぐって進んだ。
ご多聞に漏れず、この谷も流倒木が目立つ。これがなければ美しい谷なのに残念至極である。真新しい倒木
が木橋のように谷の両岸に掛かっているところもあり、最近の台風の猛威を感じさせる。
どこまで行っても炭焼窯跡があり、小道が細々と続いていた。
谷の中ではほとんど日差しを浴びることもなく、極力水の中を歩いて来たのでそれほど暑さに悩まされるこ
ともなかった。源頭部は庄部谷山西の804mピーク東側鞍部のブナ林に緩やかに登って行くが、谷芯は倒木で
歩き辛いので左岸の斜面を歩く。
日陰とはいえ、水がなくなると途端に猛烈な暑さに襲われ、体温が急激に上昇していくようだ。
庄部谷山頂に着いた時には、ここでひっくり返って昼寝でもしようかとも思ったが、心に鞭打って甲森谷へ
下りようと歩を進めた。
渓流シューズではズルズルに滑るので、チェーンスパイクを履いて急降下に備える。急な分仕事は速い。
40分ほどでサルハシ谷と甲森谷の出合に下り着いた。
ここまで予定より時間がかかったので、今日はワンダーランド散策はカット。大産岩室の滝でランチタイムと
しよう。
ここまでの激下りでたっぷり汗をかかされたが、滝の前に腰を降ろすと天然のシャワーミストですぐにひん
やりとしてきた。目の前を3条になって落ちる滝の涼やかな風景は視覚的にも涼しく、灼熱の猛暑日がウソの
ような快適さである。
食後、いつも通りのラインで滝を登って、森水屋と名前を変えた甲森谷本流を遡って行く。
小滝とナメを交えながらとにかく水の中を進む。岸に上がるとすぐにもわっとした暑さで頭がボーっとしそう
になるのだ。
七ツ釜(実際は4つほどしかないが)と呼んでいる、小さな滝と釜が連続する場所では水浴を楽しんだりして体を
冷やす。しばらく歩いているとまたすぐに暑くなるので、ヘルメットで水を汲んで頭から水を被った。
猛暑のせいもあるが、とにかく最近暑さに体がついていかなくなってしまった。こんなに歩けなくなったかと
ガックリしていても、風が吹いたりして少し涼しくなるとすぐに元気を取り戻すのだ。
源頭に近い場所にワサビ田の跡がある。右岸に突然現れる石垣が目印である。何段にも組まれた石垣には水
が流れ、最上段まで上がってみると斜面の岩間から水が湧き出している。その上は谷状地形でもなんでもなく、
ただの樹林の斜面が続いているだけだ。炭焼きもそうだが、ここで作ったワサビを運び出すのもなかなか大変
だっただろうなと思う。こういう生活や仕事の痕跡を見つけ出すのが低山歩きの楽しみのひとつだ。
ただ、あんまり暑過ぎるとそんなことを考える余裕もなくなってしまうが。
源頭では今日は忠実に溝状になった谷芯を上がって行く。まわりはトチからサワグルミ中心の森となり、見
上げる斜面にはブナ林が広がる。谷芯がいよいよ歩き辛くなり、左岸の急斜面を這い上がる。
登り着いたところは敦賀市と美浜町の市町境稜線直下。稜線まで上がらずここで靴を履き替える。
なぜなら稜線上よりもこの斜面の方が濃密なブナ林を味わえるからである。
3mを超すブナの巨木があたりまえのように散在するこの斜面に座っていると、時間を忘れてのんびりしてしま
いそうだ。しかしまだ下山が待っている。勝手知ったる山とはいえ油断は禁物だ。
806mピークからCa830mピーク、Ca850mピークと、ずっとブナの森が続くが、倒木が目立つのが残念だ。
Ca850mからは795mピークを経て南西への支尾根に入った。ここを歩くのはまだ2度目である。正直なところあ
まり面白い尾根とは言えない。放置植林と伐採後のヤブで、はっきり言うとつまらないコースだ。
前回コースロストした場所で今回も同じ轍を踏んでしまった。北西を向いているつもりが南へ進んでいると
いうお粗末は、まるでビデオを見ているような展開だ。
なんとか踏み跡を見つけ出して倒木帯を脱出すると、やっとまともに歩ける道になった。
これは上を走る送電線のおかげ。やがて鉄塔が現われて登山道レベルの道になった。
林道に合流するともう楽勝ムードだ。674mピークの西で林道は大きく山腹を迂回しているのでそのまま直進
してショートカット。この林道の下に素晴らしい疎林の台地が広がっている。まったく下生えのない疎林はまる
で自然公園のようだ。前回も時間がなく、次に来る時はゆっくり楽しみたいと思っていたのだが、今日も日没が
迫ってきた。
急ぎ足で最短ルートの急斜面を転げ落ちるように下りると、そこはちょうど朝の林道分岐。車の屋根が見えてい
る。どうやら今シーズン初闇下は回避できたようだ。
山日和