【鈴鹿/霊仙山】行者の谷から最高点にタッチして水平軌道跡をグルリンポン
Posted: 2019年6月07日(金) 18:54
【日付】2019年6月2日(日)
【山域】鈴鹿/霊仙・行者の谷
【ルート】権現谷林道/行者の谷出合-霊仙山最高点-笹峠-ナガサコ-水平軌道-行者の谷下降
【天候】曇り、山頂部強風
【メンバー】単独
梅雨入り前の晴天続き。膝はギシギシ、心臓もアヤシイけれど、山に入れるのは今のうちかな? 週明けからはアタフタするだろうからと、意を決して出かけることに決めた。
で、どこへ?
う~ん…と唸って頭を過ったのが「行者の谷」。沢登り? いや違うんです。言うなら「沢歩き」。
それって同じやないの? そうですね。「沢」というから分りにくい。要するに、水の流れていない谷を歩いて登るってこと。
ちょっと待て! 水に浸れるから沢登りは楽しいんですね。わざわざ水のない沢に、このクソ暑いさなかに行くのはなんでやねん?
その疑問には自分でも答えられないのですが、以前見た先行者レポが頭から離れないのでありました。
レポの主はヤブコギネットの双耳峰(?)T氏とY氏。T氏のレポで行者の谷を、Y氏のレポでその延長線上の山ルートをつなげてみたい欲望が、昨年あたりからフツフツと発酵してきていたのです。
コースタイムはお二人のレポに3割増しの係数を掛けて設定。天気jpやyahoo天気予報で当日の予報はしっかり確認(これがやや狂ったけれど)。落石対策としてヘルメットを持参。ヒルやヤブは行ってみないと分らない。
もしものためにツエルトとヘッデン、お助けロープも忍ばせる。そうそう、忘れちゃいけない攣り薬とパワーアップ製剤。もちろん、アワワは保冷剤とセットで2重の保冷袋に。
ま、これだけ慎重に準備すればコトは起こる前に立ち去るでしょう。備えあればなんとやらである。
前夜のうちにパッキングを終え、翌朝は5時起き。最近は目覚しなしで5時台に起きられる。4時台でも大丈夫。なんのことはない、生理現象が目覚し時計の代わりをしてくれる。
それでもロートルカーは出足が良くない。家をスタートしたのは、もう6時前だ。
多賀から河内風穴へ向かい、落石だらけの権現谷林道を慎重に走って、「元行者窟」案内板のある出合へ到着。 いろんなレポにあるように、岩壁の隙間の奥に祠が祭ってある。しかし、拝むには急斜面を10mほど登らねばならない。前に一度来たことがあるが、下からの合掌でお許しいただいた。なんだか、穴毛谷の観音洞窟の印象があり、入りたいようで、怖いようで…、そのままになっているのだが、今回は先が長い。拝観は次の機会に、と、屈伸運動でヒザをほぐしてから草ボーボーの腐朽ブリッジを渡り対岸へ。 行者の谷の前に立つといきなり白っぽい涸谷が立ちはだかる。やはり、流れはない。水音も聞こえない。天井川は湖南辺りにいっぱいあるが、ここは「天上河床」ってところか? 流れ込むはずの権現谷も涸れ谷っぽいから、芹川か琵琶湖のどっかの湖底から伏流水が湧き上がっているのかもしれない。
かつては谷の両岸に道があったそうだが、その名残か時々踏み跡や林道並みの道型が現れる。両岸が立つゴルジュ状のところは河床の石を踏みながら行くしかない。普通の沢なら泳ぐしかない淵になるのだろうが、ここはそんな心配はない。心配なのは、左右の断崖からの落石。時折、落下音にヒヤリ! ウワサ通りのデインジャラスな地帯である。雪解けの春先などはもっと多いのかもしれない。
ちょうど1時間歩いたところが谷の二股。右はコザト方面へ続く支流で「滝谷」というらしい。林道跡がのびているらしいが入り口だけ確認して、左俣(分岐からは重谷)へ進む。斜度はいっそう緩くなり、左側に林道跡の踏み跡が続く。杉の植林帯になるといっそう歩きやすくなってうれしいなあ。 やがて、前方に人工物が目に入る。石橋の残骸と石組、その奥の杉林の中にプレハブの廃屋。どうやらここがナガサコからの水平トロッコ軌道の終点なんだろう。往時はここで橋を渡った林道は権現谷林道へと続いていたのかもしれない。
T氏のレポはUターンするようにこの軌道跡をナガサコへ向かっている。しかし、今日はここから霊仙山の最高点をめざすのだ。
このまま重(かさなり)谷を直進してもいいのだが、右手の尾根に取り付いてコザトからの稜線へ出るのも悪くない。その稜線は2年前に歩いたことがある。
やや急だが30分ガマンして石岳・681mピーク近くのコルへ。ここからは白谷林道出合まで緩やかな登りが続く。
2年前は林道を逆Uターンするように権現谷まで下った。なんと2時間以上のロングウオーク。今日は峠から左の尾根に入りそのまま霊仙山へ直進。
もっとヤブっぽいかと思ったがアセビの枝が被さってくる程度で、良く踏まれた登山路が付いている。さすがにラスト100mは急斜面だが、ゴロゴロと重なる石が足場になり、手がかりの灌木もあってゆっくり進めば問題はない。落石の恐れはあるが、前にも下にも誰もいない。単独山行の気楽さだ。 予定通りというか、結果論というか、正午前に山頂台地へ到着。石柱の横から強い南風を避けて北側へ少し下ったカレンフェルトの斜面を最高峰へ行ってみる。
人声が聞こえたような気がしていたが、柏原道からの単独男性とピークに同着となった。少し話をするが風の音で聞き取りにくい。5月中旬に登った四国の剣山でもこんな天気に出くわしたそうだ。南風が運んできたガスで辺りの景色もボンヤリ気味。けっして白内障が進んだ目のせいだけではないだろう。
それにしても、霊仙山の山頂は以前にもまして荒廃イメージが強い。笹もなければシダさえ見当たらない。何年ぶりの山頂台地だろう? 地肌が見える無雪期に来たのは、もう10年以上前になるかも?
汗冷えになりそうなので別れて、稜線を下りながらランチ場を探す。シカの糞だらけで座り込む気になれない。それでも疎林の中に場所を見つけ弁当にする。
最高点で体が冷え過ぎて、冷えたアワワがいっそう冷たく感じる。やはり汗を拭うのが先か、プルタブを開けるのが先か?というホットなタイミングでないといけない。仕方なく、雨具の上着を着込んで助六寿司+アワワランチを震えながらいただいた。
長居は無用。カッパを着込んだまま南霊山から近江展望台へ。踏み跡は南側についている。冬の北風を避けるためそうなっているのだろう。なのに今日は強烈な南風。凍りつく心配がないだけマシかも?
近江展望台とは言っても琵琶湖など近江方面もガスの中だ。黙って下って早く強風帯を脱出しよう。とはいってもこの急斜面、走って下るわけにはいかない。痛み出した膝と相談しながらヨロヨロと一歩ずつだ。
笹峠からは点線道をナガサコへ下る予定。時間によっては今畑へ下る手もあるが、車からは離れてしまう。
近江展望台からだいぶん下ったよなあ…。笹峠ってこんなに遠かったかなあ?
GPSで確認すると、ありゃ?ちょっと行きすぎだ。・712の辺りまで来ている。
左手に進路変更。谷形地形を意識しながら踏み跡を探すが、ハッキリしたルートは分らない。標高にして約100mの下り。谷といってもここも水流はない。軟らかな草地を方向を間違わないように下って行くと、谷底の広場のような場所に出た。ここかな? 左手から広い道型が延びてきている。地面にレールの残骸…。その先の斜面を少し登るといい感じの広場があり、端っこまで進むと、落ち込んだ谷の対岸に断崖を持つ別の山が見える。地図で確かめると、谷は行者の谷、対岸の山はリョウシ。ここから飛び降りたら、行者の谷の入り口へ一足飛びだけど…。
だからここまでレールを引いて、木材を谷底へ降ろしていたのだ…T氏のレポにあったのを思い出した。
地形図に・598の表記。ここがナガサコなんだろうか?
一休みしてから、水平軌道を進んでみる。右側の崖の下は行者の谷。さすがに目印テープも案内板もないけれど、荒れてはいても水平に続く道型は見失うことはない。時々現れるレールやワイヤーの残骸が往時を偲ばせてくれる。30分ほどで往路で見たプレハブ廃墟が視野に。石橋の残骸も。
これでプラン通り一周できた。あとは朝登ってきた重谷~行者の谷を下るだけ。怪しい林道(軌道?)跡に迷い込まないように、谷に沿って下る。
いい加減膝が痛くなったころ、対岸の権現谷林道との出合に到着。やれやれ…。時刻も想定内の16:30。
不安を抱えた一人旅だったが、それだけに達成感は大きい。サワフタギの白い花に送られて林道を走り、河内からR307へ。
~biwa爺
【タイム詳細】行者の谷出合8:00-9:00二股(co490滝谷分岐)9:15-9:40二股(co570水平軌道終点)9:45-co680尾根10:07-10:35白谷林道出合10:45-・861標点11:10-山頂台地石柱11:45-11:55最高点(・1094)12:10-12:25ランチ場12:50-近江展望台(・1003)13:10-笹峠13:45-14:15ナガサコ(・598)14:30-水平軌道終点(重なり谷分岐)15:10-二股(滝谷分岐)15:30-16:30権現谷林道出合
(赤色は出発or通過時刻)(8時間30分、休憩含む)
【山域】鈴鹿/霊仙・行者の谷
【ルート】権現谷林道/行者の谷出合-霊仙山最高点-笹峠-ナガサコ-水平軌道-行者の谷下降
【天候】曇り、山頂部強風
【メンバー】単独
梅雨入り前の晴天続き。膝はギシギシ、心臓もアヤシイけれど、山に入れるのは今のうちかな? 週明けからはアタフタするだろうからと、意を決して出かけることに決めた。
で、どこへ?
う~ん…と唸って頭を過ったのが「行者の谷」。沢登り? いや違うんです。言うなら「沢歩き」。
それって同じやないの? そうですね。「沢」というから分りにくい。要するに、水の流れていない谷を歩いて登るってこと。
ちょっと待て! 水に浸れるから沢登りは楽しいんですね。わざわざ水のない沢に、このクソ暑いさなかに行くのはなんでやねん?
その疑問には自分でも答えられないのですが、以前見た先行者レポが頭から離れないのでありました。
レポの主はヤブコギネットの双耳峰(?)T氏とY氏。T氏のレポで行者の谷を、Y氏のレポでその延長線上の山ルートをつなげてみたい欲望が、昨年あたりからフツフツと発酵してきていたのです。
コースタイムはお二人のレポに3割増しの係数を掛けて設定。天気jpやyahoo天気予報で当日の予報はしっかり確認(これがやや狂ったけれど)。落石対策としてヘルメットを持参。ヒルやヤブは行ってみないと分らない。
もしものためにツエルトとヘッデン、お助けロープも忍ばせる。そうそう、忘れちゃいけない攣り薬とパワーアップ製剤。もちろん、アワワは保冷剤とセットで2重の保冷袋に。
ま、これだけ慎重に準備すればコトは起こる前に立ち去るでしょう。備えあればなんとやらである。
前夜のうちにパッキングを終え、翌朝は5時起き。最近は目覚しなしで5時台に起きられる。4時台でも大丈夫。なんのことはない、生理現象が目覚し時計の代わりをしてくれる。
それでもロートルカーは出足が良くない。家をスタートしたのは、もう6時前だ。
多賀から河内風穴へ向かい、落石だらけの権現谷林道を慎重に走って、「元行者窟」案内板のある出合へ到着。 いろんなレポにあるように、岩壁の隙間の奥に祠が祭ってある。しかし、拝むには急斜面を10mほど登らねばならない。前に一度来たことがあるが、下からの合掌でお許しいただいた。なんだか、穴毛谷の観音洞窟の印象があり、入りたいようで、怖いようで…、そのままになっているのだが、今回は先が長い。拝観は次の機会に、と、屈伸運動でヒザをほぐしてから草ボーボーの腐朽ブリッジを渡り対岸へ。 行者の谷の前に立つといきなり白っぽい涸谷が立ちはだかる。やはり、流れはない。水音も聞こえない。天井川は湖南辺りにいっぱいあるが、ここは「天上河床」ってところか? 流れ込むはずの権現谷も涸れ谷っぽいから、芹川か琵琶湖のどっかの湖底から伏流水が湧き上がっているのかもしれない。
かつては谷の両岸に道があったそうだが、その名残か時々踏み跡や林道並みの道型が現れる。両岸が立つゴルジュ状のところは河床の石を踏みながら行くしかない。普通の沢なら泳ぐしかない淵になるのだろうが、ここはそんな心配はない。心配なのは、左右の断崖からの落石。時折、落下音にヒヤリ! ウワサ通りのデインジャラスな地帯である。雪解けの春先などはもっと多いのかもしれない。
ちょうど1時間歩いたところが谷の二股。右はコザト方面へ続く支流で「滝谷」というらしい。林道跡がのびているらしいが入り口だけ確認して、左俣(分岐からは重谷)へ進む。斜度はいっそう緩くなり、左側に林道跡の踏み跡が続く。杉の植林帯になるといっそう歩きやすくなってうれしいなあ。 やがて、前方に人工物が目に入る。石橋の残骸と石組、その奥の杉林の中にプレハブの廃屋。どうやらここがナガサコからの水平トロッコ軌道の終点なんだろう。往時はここで橋を渡った林道は権現谷林道へと続いていたのかもしれない。
T氏のレポはUターンするようにこの軌道跡をナガサコへ向かっている。しかし、今日はここから霊仙山の最高点をめざすのだ。
このまま重(かさなり)谷を直進してもいいのだが、右手の尾根に取り付いてコザトからの稜線へ出るのも悪くない。その稜線は2年前に歩いたことがある。
やや急だが30分ガマンして石岳・681mピーク近くのコルへ。ここからは白谷林道出合まで緩やかな登りが続く。
2年前は林道を逆Uターンするように権現谷まで下った。なんと2時間以上のロングウオーク。今日は峠から左の尾根に入りそのまま霊仙山へ直進。
もっとヤブっぽいかと思ったがアセビの枝が被さってくる程度で、良く踏まれた登山路が付いている。さすがにラスト100mは急斜面だが、ゴロゴロと重なる石が足場になり、手がかりの灌木もあってゆっくり進めば問題はない。落石の恐れはあるが、前にも下にも誰もいない。単独山行の気楽さだ。 予定通りというか、結果論というか、正午前に山頂台地へ到着。石柱の横から強い南風を避けて北側へ少し下ったカレンフェルトの斜面を最高峰へ行ってみる。
人声が聞こえたような気がしていたが、柏原道からの単独男性とピークに同着となった。少し話をするが風の音で聞き取りにくい。5月中旬に登った四国の剣山でもこんな天気に出くわしたそうだ。南風が運んできたガスで辺りの景色もボンヤリ気味。けっして白内障が進んだ目のせいだけではないだろう。
それにしても、霊仙山の山頂は以前にもまして荒廃イメージが強い。笹もなければシダさえ見当たらない。何年ぶりの山頂台地だろう? 地肌が見える無雪期に来たのは、もう10年以上前になるかも?
汗冷えになりそうなので別れて、稜線を下りながらランチ場を探す。シカの糞だらけで座り込む気になれない。それでも疎林の中に場所を見つけ弁当にする。
最高点で体が冷え過ぎて、冷えたアワワがいっそう冷たく感じる。やはり汗を拭うのが先か、プルタブを開けるのが先か?というホットなタイミングでないといけない。仕方なく、雨具の上着を着込んで助六寿司+アワワランチを震えながらいただいた。
長居は無用。カッパを着込んだまま南霊山から近江展望台へ。踏み跡は南側についている。冬の北風を避けるためそうなっているのだろう。なのに今日は強烈な南風。凍りつく心配がないだけマシかも?
近江展望台とは言っても琵琶湖など近江方面もガスの中だ。黙って下って早く強風帯を脱出しよう。とはいってもこの急斜面、走って下るわけにはいかない。痛み出した膝と相談しながらヨロヨロと一歩ずつだ。
笹峠からは点線道をナガサコへ下る予定。時間によっては今畑へ下る手もあるが、車からは離れてしまう。
近江展望台からだいぶん下ったよなあ…。笹峠ってこんなに遠かったかなあ?
GPSで確認すると、ありゃ?ちょっと行きすぎだ。・712の辺りまで来ている。
左手に進路変更。谷形地形を意識しながら踏み跡を探すが、ハッキリしたルートは分らない。標高にして約100mの下り。谷といってもここも水流はない。軟らかな草地を方向を間違わないように下って行くと、谷底の広場のような場所に出た。ここかな? 左手から広い道型が延びてきている。地面にレールの残骸…。その先の斜面を少し登るといい感じの広場があり、端っこまで進むと、落ち込んだ谷の対岸に断崖を持つ別の山が見える。地図で確かめると、谷は行者の谷、対岸の山はリョウシ。ここから飛び降りたら、行者の谷の入り口へ一足飛びだけど…。
だからここまでレールを引いて、木材を谷底へ降ろしていたのだ…T氏のレポにあったのを思い出した。
地形図に・598の表記。ここがナガサコなんだろうか?
一休みしてから、水平軌道を進んでみる。右側の崖の下は行者の谷。さすがに目印テープも案内板もないけれど、荒れてはいても水平に続く道型は見失うことはない。時々現れるレールやワイヤーの残骸が往時を偲ばせてくれる。30分ほどで往路で見たプレハブ廃墟が視野に。石橋の残骸も。
これでプラン通り一周できた。あとは朝登ってきた重谷~行者の谷を下るだけ。怪しい林道(軌道?)跡に迷い込まないように、谷に沿って下る。
いい加減膝が痛くなったころ、対岸の権現谷林道との出合に到着。やれやれ…。時刻も想定内の16:30。
不安を抱えた一人旅だったが、それだけに達成感は大きい。サワフタギの白い花に送られて林道を走り、河内からR307へ。
~biwa爺
【タイム詳細】行者の谷出合8:00-9:00二股(co490滝谷分岐)9:15-9:40二股(co570水平軌道終点)9:45-co680尾根10:07-10:35白谷林道出合10:45-・861標点11:10-山頂台地石柱11:45-11:55最高点(・1094)12:10-12:25ランチ場12:50-近江展望台(・1003)13:10-笹峠13:45-14:15ナガサコ(・598)14:30-水平軌道終点(重なり谷分岐)15:10-二股(滝谷分岐)15:30-16:30権現谷林道出合
(赤色は出発or通過時刻)(8時間30分、休憩含む)