【鈴鹿】 オフ会の一日
Posted: 2019年5月27日(月) 20:41
【日付】 2019年5月26日
【山域】 鈴鹿
【天候】 晴れ
【ルート】 朝明~カクレ谷左岸尾根~ブナ清水~キノコ岩~・1041~・995~鈴鹿の上高地~水晶岳南西尾根~水晶岳~水晶岳東尾根~朝明
空が白み始めた時にはすっかり目が覚めていた。最近、早朝夜中覚醒が続いている。
今日は楽しみにしていた一日。寝不足でぼぉっとしないように、もう少し寝ていたかったのだが眠れない。諦めてシュラフをたたむ。
待ち合わせの時間には少し早いが、集合場所の朝明に行こうと決め、車中泊した藤原簡易パーキングを出発する。
オフ会の会場までは山日和さん、みれさんとご一緒させていただく。山日和さんからはブナ清水経由のワクワクするルートの地図を頂いている。
朝明駐車場に着き車の中でぼんやりとしていると7時になる。さぁオフ会の一日が始まる。みれさんとお話をするのは初めてだ。
柔らかな笑顔にすっと力が抜け、今日の幸せを早速感じる。ブナ清水までは先ずカクレ谷左岸尾根を辿る。
急傾斜の尾根で息が切れるが、ふうと息を吐き空を見上げると陽光に輝く木々の葉が送る爽やかな風にこころが洗われ、
足元に目をやれば濃淡のピンク色のイワカガミの愛らしさに笑みがこぼれる。
「きれいだねぇ」というお二人の声にやぶこぎの方々とご縁が出来、今、オフ会の会場に向かい、同じ風景の中を歩いているうれしさに包まれる。
尾根から緩やかな地形の森へと風景が移る。
静かに佇む大きな岩、傍らには健やかに広げた枝にきらきらと光る無数の小さな青い葉をつけ着飾ったブナの木々、
その美しさを讃えるかのように根元を縁取る宝石のようなイワカガミ・・・目に映る風景は優しく、切ない。
私の中の、形にはならない遠い記憶がかすかな音を立てる。
水の流れを聞く。近づくと大きな岩の下から水が流れ落ちている。ブナ清水だ。命の水の始まりは意外に力強い。
地図を眺め思い描いた風景と実際の風景との違いを感じる瞬間は面白く、その風景が期待以上の時の喜びは大きい。
今やブナ清水は観光地だそうだが、訪れる誰もがこの地に山のいのち、美しさを感じるからなのだろうと納得する。
もう少しのんびりとしたい気持ちを振り切り、ここでみれさんと一旦お別れをして、山日和さんのキノコ岩への直進ルートを進んでいく。
シロヤシオの林を抜けるとキノコ岩に出る。何時訪れたのかは覚えていないがこの岩は記憶に残っている。
岩とその向こうに広がる鈴鹿の山並み、緑の海を眺める。かつて見た風景は思い出せない。
でもここに立った記憶は確かに残り、今ここに立つ私のこころは緑の海のように清々しい。
そして確信に近い思いが胸に湧き上がる。いつかまたこの場所に立った時、今度は鮮明に今日という日を思い出すのだろうと。
キノコ岩からは根の平峠への登山道をしばらく進み、・1041の先から西に延びる尾根を下り、オフ会の会場「鈴鹿の上高地」へと降り立つ。
神崎川の右岸に広がる台地はのびやかで、なるほど小梨平に漂う空気と重なるところもある。
木々の間に色鮮やかなまあるい円が浮かび上がる。やぶこぎの方々だ。車座になった光景は山に飾られたリースの様だ。
私もそのリースに編み込ませていただく。
ぐーさんのご挨拶でオフ会が始まる。メンバーお一人ずつ近況報告をしていく。お話をされる方々の笑顔が眩しい。
途中でみるくさんのイチゴタルト、みれさんのブルーベリーマフィンを頂く。お二人のお菓子の美しさ美味しさにうっとりする。
そして今日の集いのために準備してくださったお二人のお心が優しい甘さと共にからだに沁み渡り、目の前の風景がより輝きを増していくのを感じる。
山中に響く平和な笑い声を聞きながら、やぶこぎネットとは様々な思いを抱え異なる日常を送る人たちが、自由な山登りという愉しみで繋がり、
オフ会とは年に二度、山の中で顔を見せ合い、お互いの愉しみを語り合うきらきらした一日なのだなぁとあらためて感じる。
今回のオフ会は22回だそうだ。
このようなサイトを生み、オフ会という場を設け、それを維持していくことは並々ならぬお気持ちがなければ続かないと思う。
やぶこぎネットを立ち上げた山日和さんの想い、やぶこぎを愛するメンバーの方々の想いを想う。
前回は小さなお嬢さんを背負い、今回は大きなおなかを抱えて参加されたマリベさんのお姿に胸が熱くなる。
山登りのスタイルはそれぞれ、今ある環境、自身の状態で山登りを愉しんでいらっしゃるメンバーの方々のお姿に、
私も私の山登りを愉しんでいこうと希望をいただく。
解散の時間になる。帰路に就くメンバーの方々の背中に暖かな光を感じる。
ここからは、山日和さんに鈴鹿の中でも数少ないバリエーションルートの水晶岳東尾根を教えていただく。
水晶岳山頂へは南西尾根を登る。県境尾根を少し進み東に入るとバリエーションルートが始まる。
最初は尾根の形状は見られず斜面を下っていくが、岩場が現れ痩せ尾根になる。樹の幹や根っこをつかみながら慎重に下っていく。
常緑樹の落ち葉でつるつると滑るので緊張する。尾根も枝分かれしていて間違わぬよう注意が必要だ。
目の前が切り落ち、さてどうしようと考えてしまうような箇所では、山日和さんはさっと的確なラインを見つけ下って行かれる。
後に続く私は緊張しても気持ちは軽く、ままならぬ足でも歩ける感触、バリエーションルートを歩く楽しさを味わう。
標高700メートル辺りの岩壁の上ではきれいに形をとどめた石積みに目が留まる。炭焼き窯ではない。何のために築かれたのだろう。
予期せぬ風景との出会いは胸の高まりを覚える。尾根の最後は先週の山旅で見た植樹地だった。林道に出て一息つく。
アスファルトの道に出ると、先週道路の傍らで艶やかに咲いていたタニウツギの花はしおれかけていた。
駐車場に戻ると残っているのは私達の車の他は2,3台だった。
「鈴鹿の上高地」で輝く時間を共有したメンバーの方々は、今、何を想い車を走らせているのだろうと汗をぬぐいながら思った。
sato
【山域】 鈴鹿
【天候】 晴れ
【ルート】 朝明~カクレ谷左岸尾根~ブナ清水~キノコ岩~・1041~・995~鈴鹿の上高地~水晶岳南西尾根~水晶岳~水晶岳東尾根~朝明
空が白み始めた時にはすっかり目が覚めていた。最近、早朝夜中覚醒が続いている。
今日は楽しみにしていた一日。寝不足でぼぉっとしないように、もう少し寝ていたかったのだが眠れない。諦めてシュラフをたたむ。
待ち合わせの時間には少し早いが、集合場所の朝明に行こうと決め、車中泊した藤原簡易パーキングを出発する。
オフ会の会場までは山日和さん、みれさんとご一緒させていただく。山日和さんからはブナ清水経由のワクワクするルートの地図を頂いている。
朝明駐車場に着き車の中でぼんやりとしていると7時になる。さぁオフ会の一日が始まる。みれさんとお話をするのは初めてだ。
柔らかな笑顔にすっと力が抜け、今日の幸せを早速感じる。ブナ清水までは先ずカクレ谷左岸尾根を辿る。
急傾斜の尾根で息が切れるが、ふうと息を吐き空を見上げると陽光に輝く木々の葉が送る爽やかな風にこころが洗われ、
足元に目をやれば濃淡のピンク色のイワカガミの愛らしさに笑みがこぼれる。
「きれいだねぇ」というお二人の声にやぶこぎの方々とご縁が出来、今、オフ会の会場に向かい、同じ風景の中を歩いているうれしさに包まれる。
尾根から緩やかな地形の森へと風景が移る。
静かに佇む大きな岩、傍らには健やかに広げた枝にきらきらと光る無数の小さな青い葉をつけ着飾ったブナの木々、
その美しさを讃えるかのように根元を縁取る宝石のようなイワカガミ・・・目に映る風景は優しく、切ない。
私の中の、形にはならない遠い記憶がかすかな音を立てる。
水の流れを聞く。近づくと大きな岩の下から水が流れ落ちている。ブナ清水だ。命の水の始まりは意外に力強い。
地図を眺め思い描いた風景と実際の風景との違いを感じる瞬間は面白く、その風景が期待以上の時の喜びは大きい。
今やブナ清水は観光地だそうだが、訪れる誰もがこの地に山のいのち、美しさを感じるからなのだろうと納得する。
もう少しのんびりとしたい気持ちを振り切り、ここでみれさんと一旦お別れをして、山日和さんのキノコ岩への直進ルートを進んでいく。
シロヤシオの林を抜けるとキノコ岩に出る。何時訪れたのかは覚えていないがこの岩は記憶に残っている。
岩とその向こうに広がる鈴鹿の山並み、緑の海を眺める。かつて見た風景は思い出せない。
でもここに立った記憶は確かに残り、今ここに立つ私のこころは緑の海のように清々しい。
そして確信に近い思いが胸に湧き上がる。いつかまたこの場所に立った時、今度は鮮明に今日という日を思い出すのだろうと。
キノコ岩からは根の平峠への登山道をしばらく進み、・1041の先から西に延びる尾根を下り、オフ会の会場「鈴鹿の上高地」へと降り立つ。
神崎川の右岸に広がる台地はのびやかで、なるほど小梨平に漂う空気と重なるところもある。
木々の間に色鮮やかなまあるい円が浮かび上がる。やぶこぎの方々だ。車座になった光景は山に飾られたリースの様だ。
私もそのリースに編み込ませていただく。
ぐーさんのご挨拶でオフ会が始まる。メンバーお一人ずつ近況報告をしていく。お話をされる方々の笑顔が眩しい。
途中でみるくさんのイチゴタルト、みれさんのブルーベリーマフィンを頂く。お二人のお菓子の美しさ美味しさにうっとりする。
そして今日の集いのために準備してくださったお二人のお心が優しい甘さと共にからだに沁み渡り、目の前の風景がより輝きを増していくのを感じる。
山中に響く平和な笑い声を聞きながら、やぶこぎネットとは様々な思いを抱え異なる日常を送る人たちが、自由な山登りという愉しみで繋がり、
オフ会とは年に二度、山の中で顔を見せ合い、お互いの愉しみを語り合うきらきらした一日なのだなぁとあらためて感じる。
今回のオフ会は22回だそうだ。
このようなサイトを生み、オフ会という場を設け、それを維持していくことは並々ならぬお気持ちがなければ続かないと思う。
やぶこぎネットを立ち上げた山日和さんの想い、やぶこぎを愛するメンバーの方々の想いを想う。
前回は小さなお嬢さんを背負い、今回は大きなおなかを抱えて参加されたマリベさんのお姿に胸が熱くなる。
山登りのスタイルはそれぞれ、今ある環境、自身の状態で山登りを愉しんでいらっしゃるメンバーの方々のお姿に、
私も私の山登りを愉しんでいこうと希望をいただく。
解散の時間になる。帰路に就くメンバーの方々の背中に暖かな光を感じる。
ここからは、山日和さんに鈴鹿の中でも数少ないバリエーションルートの水晶岳東尾根を教えていただく。
水晶岳山頂へは南西尾根を登る。県境尾根を少し進み東に入るとバリエーションルートが始まる。
最初は尾根の形状は見られず斜面を下っていくが、岩場が現れ痩せ尾根になる。樹の幹や根っこをつかみながら慎重に下っていく。
常緑樹の落ち葉でつるつると滑るので緊張する。尾根も枝分かれしていて間違わぬよう注意が必要だ。
目の前が切り落ち、さてどうしようと考えてしまうような箇所では、山日和さんはさっと的確なラインを見つけ下って行かれる。
後に続く私は緊張しても気持ちは軽く、ままならぬ足でも歩ける感触、バリエーションルートを歩く楽しさを味わう。
標高700メートル辺りの岩壁の上ではきれいに形をとどめた石積みに目が留まる。炭焼き窯ではない。何のために築かれたのだろう。
予期せぬ風景との出会いは胸の高まりを覚える。尾根の最後は先週の山旅で見た植樹地だった。林道に出て一息つく。
アスファルトの道に出ると、先週道路の傍らで艶やかに咲いていたタニウツギの花はしおれかけていた。
駐車場に戻ると残っているのは私達の車の他は2,3台だった。
「鈴鹿の上高地」で輝く時間を共有したメンバーの方々は、今、何を想い車を走らせているのだろうと汗をぬぐいながら思った。
sato