【白山】今シーズン最後?の雪山は超メジャーな百名山
Posted: 2019年5月14日(火) 21:12
【日 付】2019年5月11日(土)
【山 域】白山
【天 候】晴れ
【コース】別当出合6:48--8:27-甚之助避難小屋8:40---9:35黒ボコ岩---10:11室堂10:25---11:23翠ヶ池12:57---
13:38御前峰14:08----15:05甚之助避難小屋15:15---16:07別当出合
今シーズンの雪山は寡雪のせいで3月末で終わってしまった。数年前は5月一杯、しつこい時は6月に入っても
雪を追っかけていたものだ。しかし先日satoさんが白山を訪れたことを聞き、矢も楯もたまらず白峰へ向かうこ
ととなった。
例年より早く別当出合まで車で入れるようになったこともあり、そこそこの登山者が白山を目指しているよう
だ。それでも夏山の最盛期に比べれば静かなものである。
メイン登山道である砂防新道は出だしは無雪期状態。1700mを超えたあたりでようやく雪が繋がり始めた。
甚之助避難小屋の手前からは斜面いっぱいに雪原が広がるが、その雪面は踏み荒らされたトレースだらけだ。
こういう雪山に自分は登りたかったのか。自問自答すれば答は「ノー」だ。
道路が開通していない時期に岐阜県側から登った白山は静寂の山だった。
それでも今日は天気も最高。何も考えずに登るしかない。ここしばらく標高差の少ない楽な山ばかり登っていた
ので、標高差1500mの白山は心理的なハードルがあった。
甚之助小屋からはアイゼンを装着する。雪は意外に締まっておらず、トレースを外すとくるぶしまで潜るとこ
ろが多い。それにしてもピッケルを持っている登山者が少ないのには驚いた。
5月の白山はいつからピッケル不要の山になったのだろうか。今回は自分自身も使うことがなかったが、雪の状
態次第ではストックでは対応できない場面が出てくるだろう。
持ってないものは使えないのだ。スニーカーを履いたトレランスタイルの人が何人もいたのにも驚かされる。
昔気質の登山者としては時代が変わったと感じざるを得ない。
黒ボコ岩の登りで結構バテていたが、想定した時間より早く室堂に到着。センター以外の建物はまだ屋根が
雪面から頭を出しているだけだ。横では除雪車が作業の真っ最中。雪が少ないとは言え、さすがは白山である。
ここまで来れば最高峰の御前峰までは300mほどの登りを残すのみだ。山頂への道には登山者の姿が点々と見
えている。しかしこのまま山頂へ向かうのも面白くない。人だらけの山頂では落ち着いてメシも食えない。
そこでトレースの少ない池めぐりコースへ向かった。池めぐりと言ってもこの時期に水面を見せている池はない。
雪に覆われながらかろうじて池だとわかるところや、雪穴にしか見えないような池を愛でる道である。千蛇ヶ池
などは池を見逃したのかと思ったら、クレーターのような深い窪みになったところがそうだった。
大汝峰を正面に見ながら翠ヶ池へ向かう。翠ヶ池の畔はお気に入りのランチ場だ。しかしまだ時期が早過ぎて、
池はただの雪原だった。池から流れ出る水をあてにしてランチ用の水を持って来なかった。これなら池の畔まで
下りる意味もない。池を見下ろして、御前峰、剣ヶ峰、大汝峰のトライアングルの真ん中でランチとしよう。
雪に少しお茶を加えて水を作る。大した重さにもならないのだから少しぐらい水を持って来ればよかった。
この場所は白山三山のみならず、北縦走路と奥三方や三方崩、猿ヶ馬場、人形山方面の展望も得られるいいと
ころだ。何より静かなのがいい。
室堂から御前峰を目指す登山者は大半が空身で、山頂往復だけを目的としているようだ。それは山頂という点だ
けを目的としているということでもある。それはそれで否定するつもりもないが、点と点の間に線を引くことで
山がより豊かなものになるだろう。まあ、そのおかげでこちらは静けさを味わえるのだが。
食後、重い足に鞭打って御前峰に向かった。こちら側はかなりの急斜面である。ジグを切りながらくるぶし程
度のプチラッセルで高度を上げる。ここはクラストしていればちょっと手強いかもしれない。
山頂の西端に出ると頂稜には雪がなく、アイゼンを手にぶら下げて山頂へ。時間差のおかげで山頂にいた登山
者はひとりだけだった。目論見通りである。別山の展望が素晴らしい。室堂平の奥に大きく翼を広げるように横
たわる別山の姿は実に美しい。その左に見える南白山と、登り下りした急峻な雪渓の記憶が懐かしく蘇る。
そのひとりが下りて行った後、別の単独者が上がって来た。写真撮影を頼まれたのはいいが、三角点の前に犬
のぬいぐるみを置いて「ワンちゃんと一緒に撮って下さい」と言う。その前に何枚もぬいぐるみと山頂標柱の写
真を撮影していた。結構いい歳のおっさん(と言っても確実に私よりは若いが)である。世の中にはいろんな人が
いるものだ。
久し振りの標高差にここまでで結構足にきていたようで、下山にどれぐらいかかるかやや不安だった。
しかしそれも杞憂で、緩んだ雪はトレースに関係なく踵落としでぐんぐん下って行けた。雪のクッションでひざ
にも優しい。結局山頂から2時間足らずで別当出合に着地。
最後には朝咲いていなかった花たちも一斉に開花して見送ってくれた。
山日和
【山 域】白山
【天 候】晴れ
【コース】別当出合6:48--8:27-甚之助避難小屋8:40---9:35黒ボコ岩---10:11室堂10:25---11:23翠ヶ池12:57---
13:38御前峰14:08----15:05甚之助避難小屋15:15---16:07別当出合
今シーズンの雪山は寡雪のせいで3月末で終わってしまった。数年前は5月一杯、しつこい時は6月に入っても
雪を追っかけていたものだ。しかし先日satoさんが白山を訪れたことを聞き、矢も楯もたまらず白峰へ向かうこ
ととなった。
例年より早く別当出合まで車で入れるようになったこともあり、そこそこの登山者が白山を目指しているよう
だ。それでも夏山の最盛期に比べれば静かなものである。
メイン登山道である砂防新道は出だしは無雪期状態。1700mを超えたあたりでようやく雪が繋がり始めた。
甚之助避難小屋の手前からは斜面いっぱいに雪原が広がるが、その雪面は踏み荒らされたトレースだらけだ。
こういう雪山に自分は登りたかったのか。自問自答すれば答は「ノー」だ。
道路が開通していない時期に岐阜県側から登った白山は静寂の山だった。
それでも今日は天気も最高。何も考えずに登るしかない。ここしばらく標高差の少ない楽な山ばかり登っていた
ので、標高差1500mの白山は心理的なハードルがあった。
甚之助小屋からはアイゼンを装着する。雪は意外に締まっておらず、トレースを外すとくるぶしまで潜るとこ
ろが多い。それにしてもピッケルを持っている登山者が少ないのには驚いた。
5月の白山はいつからピッケル不要の山になったのだろうか。今回は自分自身も使うことがなかったが、雪の状
態次第ではストックでは対応できない場面が出てくるだろう。
持ってないものは使えないのだ。スニーカーを履いたトレランスタイルの人が何人もいたのにも驚かされる。
昔気質の登山者としては時代が変わったと感じざるを得ない。
黒ボコ岩の登りで結構バテていたが、想定した時間より早く室堂に到着。センター以外の建物はまだ屋根が
雪面から頭を出しているだけだ。横では除雪車が作業の真っ最中。雪が少ないとは言え、さすがは白山である。
ここまで来れば最高峰の御前峰までは300mほどの登りを残すのみだ。山頂への道には登山者の姿が点々と見
えている。しかしこのまま山頂へ向かうのも面白くない。人だらけの山頂では落ち着いてメシも食えない。
そこでトレースの少ない池めぐりコースへ向かった。池めぐりと言ってもこの時期に水面を見せている池はない。
雪に覆われながらかろうじて池だとわかるところや、雪穴にしか見えないような池を愛でる道である。千蛇ヶ池
などは池を見逃したのかと思ったら、クレーターのような深い窪みになったところがそうだった。
大汝峰を正面に見ながら翠ヶ池へ向かう。翠ヶ池の畔はお気に入りのランチ場だ。しかしまだ時期が早過ぎて、
池はただの雪原だった。池から流れ出る水をあてにしてランチ用の水を持って来なかった。これなら池の畔まで
下りる意味もない。池を見下ろして、御前峰、剣ヶ峰、大汝峰のトライアングルの真ん中でランチとしよう。
雪に少しお茶を加えて水を作る。大した重さにもならないのだから少しぐらい水を持って来ればよかった。
この場所は白山三山のみならず、北縦走路と奥三方や三方崩、猿ヶ馬場、人形山方面の展望も得られるいいと
ころだ。何より静かなのがいい。
室堂から御前峰を目指す登山者は大半が空身で、山頂往復だけを目的としているようだ。それは山頂という点だ
けを目的としているということでもある。それはそれで否定するつもりもないが、点と点の間に線を引くことで
山がより豊かなものになるだろう。まあ、そのおかげでこちらは静けさを味わえるのだが。
食後、重い足に鞭打って御前峰に向かった。こちら側はかなりの急斜面である。ジグを切りながらくるぶし程
度のプチラッセルで高度を上げる。ここはクラストしていればちょっと手強いかもしれない。
山頂の西端に出ると頂稜には雪がなく、アイゼンを手にぶら下げて山頂へ。時間差のおかげで山頂にいた登山
者はひとりだけだった。目論見通りである。別山の展望が素晴らしい。室堂平の奥に大きく翼を広げるように横
たわる別山の姿は実に美しい。その左に見える南白山と、登り下りした急峻な雪渓の記憶が懐かしく蘇る。
そのひとりが下りて行った後、別の単独者が上がって来た。写真撮影を頼まれたのはいいが、三角点の前に犬
のぬいぐるみを置いて「ワンちゃんと一緒に撮って下さい」と言う。その前に何枚もぬいぐるみと山頂標柱の写
真を撮影していた。結構いい歳のおっさん(と言っても確実に私よりは若いが)である。世の中にはいろんな人が
いるものだ。
久し振りの標高差にここまでで結構足にきていたようで、下山にどれぐらいかかるかやや不安だった。
しかしそれも杞憂で、緩んだ雪はトレースに関係なく踵落としでぐんぐん下って行けた。雪のクッションでひざ
にも優しい。結局山頂から2時間足らずで別当出合に着地。
最後には朝咲いていなかった花たちも一斉に開花して見送ってくれた。
山日和