【湖北】ヤブ沢周遊 矢谷からブンゲン 大長谷下降
Posted: 2011年9月04日(日) 17:28
さすがにこの週末は台風には勝てなかった。
ヒマつぶしに書かずに終わりかけたレポを1本。
【日 時】2011年7月10日(日)
【山 域】滋賀県北部 ブンゲン周辺
【天 候】晴れ
【コース】駐車地6:59---7:29入渓点(上の矢谷橋)---9:14二俣---11:50ブンゲン13:05
---14:48二俣---15:47駐車地
ニュースでは一昨日梅雨明けしたことを報じていた。例年からすれば信じられないほど早い梅雨明けだ。
奥伊吹スキー場の駐車場も早朝からカンカン照りだ。県道を少し戻ったところで駐車、さらに県道を下って矢谷を目指す。
姉川上流域に位置する矢谷はほとんど紹介されていない谷である。ネットで検索してもわずかに1本。それも隣の起し
又谷遡行の下りに使ったという記録だ。「百山百渓」の記述ではまあまあの沢らしい。当たるも八卦、当たらぬも八卦だ。
矢谷橋から林道に入り、しばらく登って行くと再び橋が掛かっていた。欄干をみるとこちらも矢谷橋と書かれている。
ややこしい話だ。厳密に言うと下の橋は瀬戸山谷を渡って矢谷へ向かう橋。この橋は矢谷を渡る橋である。
ともあれ、橋の右岸から入渓。あたりは植林一色で雰囲気も何もあったものではないが、谷そのものはそれほど悪くは
ない。
小滝を越えて行くと、長さ10mばかりのナメ滝が出迎えた。その後もしばらくナメが続き、予想外にいい感じだ。なかなか
いいんじゃないの。3m~5mの小滝が次々と現われて楽しませてくれる。
[attachment=4]P1100829_1.JPG[/attachment][attachment=3]P1100845_1.JPG[/attachment]
これは「当たり」かと思っていたが、やはり湖北の沢はそう甘くはなかった。次第にヤブが流れに被るようになり、真っ直
ぐ立って歩けない場面が増えてきた。しかも蜘蛛の巣のオマケ付き。油断すると顔にベッタリと蜘蛛の巣が張り付いて気
持ち悪いことこの上ない。沢登りで何が一番嫌かと聞かれたら、この顔面蜘蛛の巣攻撃だと答えることは間違いない。
このままの状態で終わったらどうしようと心配していたら、しばらくの我慢で渓相は持ち直してきた。5mナメ滝、5m幅広
滝、8m斜瀑と楽しく登ると、Ca800mの二俣に到着した。本流は直角に右折する右俣だ。出合から長さ30mばかりのナメ
滝がかかっているのが見える。
右に取ってナメ滝を登り始める。上部は完全な1枚岩のスラブ滝。滑るように流れ落ちる水流が美しい。
右側をフリクションで登れば、ここからが本当の核心部の始まりだった。
[attachment=2]P1100861_1.JPG[/attachment]
[attachment=1]P1100869_1.JPG[/attachment]
苔に覆われた3m滝、全長30mに及ぶ溝状の瀑流と続き、その上の15m滝は手が出ず左岸の渋い巻きでかわす。
その上にも小滝が続いて飽きさせない。当然ながら林相も自然林に変わっており、ヤブっぽさもないので楽しいところで
ある。
この谷は上流に進むにつれ、激しく支流を分けている。進むべき谷を間違えるとドツボ(激ヤブ地獄)にはまってしまうの
で、慎重にルートを選択しなければいけない。目指すはブンゲン山頂西側の鞍部である。
矢谷の源流部は傾斜が緩く、息の切れる詰めがないのが助かる。簡易舗装したような谷筋を進むと意外にヤブも薄い
ようで、ひょっとしたらこのまま山頂に立てるのではと思ってしまった。
しかしさすがにそうはいかないのがブンゲンだ。最初左へ寄り過ぎたと思い、右の県境稜線側へ軌道修正。
これがあまりいい選択ではなかったようだ。いやらしい潅木のヤブが行く手を阻む。周りはぼんやりとした起伏のない地
形で現在位置が掴みにくい。
左手で声が聞こえた。どうやらスキー場からの登山道が近いようだ。声のする方へガサガサとヤブを漕いで行く。
声が近くなったところで「ピーッ」とホイッスルが大きく鳴った。どうやらクマと間違われたようだ。安心させるためにこちら
も日本語でコールを掛ける。
ヤブの向こうにぽっかり開いた空間に、びっくりしたような4人の顔が並んでいた。
「鉄砲持ってたら撃ち殺してたで。」と言われて苦笑する。
ここまで来ればブンゲンは目の前だ。登山道とは名ばかりの踏み跡を5分足らずでブンゲン山頂に立った。
3人パーティーがお食事中で休む場所もないので、素通りして北のピークへ向かった。まったく日陰のない場所だが、雲
が多いので少しはマシだ。店を広げてまずは冷えたビールを煽る。
ブナの木陰でランチの予定(山頂直下にそういう場所があるだろうと思っていたのだ)がえらい違いである。
それでも炎天下で昼寝までして、さあ、下りはどうするか。品又峠経由は論外、先ほどの登山道を戻れば一番イージー
だがイージー過ぎる。やはりここは大長谷を下るべきだろう。なんと言っても涼しいし。
ブンゲンとのコルからヤブに突っ込み、3分ほどで源流に出た。水もすぐに流れ出したので、いざという時には稜線直下
の水場として使えるだろう。
階段状の源流帯を調子よく下って行くと7mほどの滝に阻まれた。左岸の岩場からクライムダウンを試みるも、最後がハ
ング気味で嫌らしい。ここは安全を期して懸垂で切り抜ける。下から見れば登りなら流れの左を簡単に登れそうな滝だっ
たが、下りはやはり難しい。
もう1本、5m程の滝でも右から懸垂でクリア。後はさしたる見どころもなく淡々と下る。
のならよかったが、やはり甘くはなかった。こちらも流れに覆い被さるヤブをくぐったりかわしたり、いい加減嫌気がさして
きた。
[attachment=0]P1100927_1.JPG[/attachment]
ようやく辿り着いた934m南の二俣では、右から合する谷に西日に煌めく美しい滝がかかっていた。
そこから少しで送水管が現われ、道が付けられていた。どうやら登山道もここで谷筋へ下りてきているようだ。もう谷芯も
いいだろうと道を使わせていただく。
やっぱり道は早く、すぐに登山口かなと思っていると左下の流れに滝らしきものが見えた。
「もうええやろ」という気持ちは「確かめなあかん」という気持ちに勝てず、植林が出てきた斜面を駈け下りる。
上から想像したほどではなかったが、それでもなかなかの斜瀑だった。確かめたいという気持ちが大事なのだ。
もう道に戻る気にもならず、すっかり平流となった大長谷を下って行く。右上にコンクリートの壁みたいなものが見えた。
「あそこへ上がるか」と壁の脇から登り着くと、そこは昨晩一夜を過ごしたスキー場の駐車場だった。
これならここへ止めとけばよかった。
ヤブ沢周遊も時間が立つと、鬱陶しい思い出を忘れてしまうから面白い。写真を見ながら書いていると、当然のことなが
ら写真はいいところでしか撮らないので余計にいい場面だけが増幅されてしまう。
このレポと写真を見て行く気になった人は注意が必要である。
山日和
ヒマつぶしに書かずに終わりかけたレポを1本。
【日 時】2011年7月10日(日)
【山 域】滋賀県北部 ブンゲン周辺
【天 候】晴れ
【コース】駐車地6:59---7:29入渓点(上の矢谷橋)---9:14二俣---11:50ブンゲン13:05
---14:48二俣---15:47駐車地
ニュースでは一昨日梅雨明けしたことを報じていた。例年からすれば信じられないほど早い梅雨明けだ。
奥伊吹スキー場の駐車場も早朝からカンカン照りだ。県道を少し戻ったところで駐車、さらに県道を下って矢谷を目指す。
姉川上流域に位置する矢谷はほとんど紹介されていない谷である。ネットで検索してもわずかに1本。それも隣の起し
又谷遡行の下りに使ったという記録だ。「百山百渓」の記述ではまあまあの沢らしい。当たるも八卦、当たらぬも八卦だ。
矢谷橋から林道に入り、しばらく登って行くと再び橋が掛かっていた。欄干をみるとこちらも矢谷橋と書かれている。
ややこしい話だ。厳密に言うと下の橋は瀬戸山谷を渡って矢谷へ向かう橋。この橋は矢谷を渡る橋である。
ともあれ、橋の右岸から入渓。あたりは植林一色で雰囲気も何もあったものではないが、谷そのものはそれほど悪くは
ない。
小滝を越えて行くと、長さ10mばかりのナメ滝が出迎えた。その後もしばらくナメが続き、予想外にいい感じだ。なかなか
いいんじゃないの。3m~5mの小滝が次々と現われて楽しませてくれる。
[attachment=4]P1100829_1.JPG[/attachment][attachment=3]P1100845_1.JPG[/attachment]
これは「当たり」かと思っていたが、やはり湖北の沢はそう甘くはなかった。次第にヤブが流れに被るようになり、真っ直
ぐ立って歩けない場面が増えてきた。しかも蜘蛛の巣のオマケ付き。油断すると顔にベッタリと蜘蛛の巣が張り付いて気
持ち悪いことこの上ない。沢登りで何が一番嫌かと聞かれたら、この顔面蜘蛛の巣攻撃だと答えることは間違いない。
このままの状態で終わったらどうしようと心配していたら、しばらくの我慢で渓相は持ち直してきた。5mナメ滝、5m幅広
滝、8m斜瀑と楽しく登ると、Ca800mの二俣に到着した。本流は直角に右折する右俣だ。出合から長さ30mばかりのナメ
滝がかかっているのが見える。
右に取ってナメ滝を登り始める。上部は完全な1枚岩のスラブ滝。滑るように流れ落ちる水流が美しい。
右側をフリクションで登れば、ここからが本当の核心部の始まりだった。
[attachment=2]P1100861_1.JPG[/attachment]
[attachment=1]P1100869_1.JPG[/attachment]
苔に覆われた3m滝、全長30mに及ぶ溝状の瀑流と続き、その上の15m滝は手が出ず左岸の渋い巻きでかわす。
その上にも小滝が続いて飽きさせない。当然ながら林相も自然林に変わっており、ヤブっぽさもないので楽しいところで
ある。
この谷は上流に進むにつれ、激しく支流を分けている。進むべき谷を間違えるとドツボ(激ヤブ地獄)にはまってしまうの
で、慎重にルートを選択しなければいけない。目指すはブンゲン山頂西側の鞍部である。
矢谷の源流部は傾斜が緩く、息の切れる詰めがないのが助かる。簡易舗装したような谷筋を進むと意外にヤブも薄い
ようで、ひょっとしたらこのまま山頂に立てるのではと思ってしまった。
しかしさすがにそうはいかないのがブンゲンだ。最初左へ寄り過ぎたと思い、右の県境稜線側へ軌道修正。
これがあまりいい選択ではなかったようだ。いやらしい潅木のヤブが行く手を阻む。周りはぼんやりとした起伏のない地
形で現在位置が掴みにくい。
左手で声が聞こえた。どうやらスキー場からの登山道が近いようだ。声のする方へガサガサとヤブを漕いで行く。
声が近くなったところで「ピーッ」とホイッスルが大きく鳴った。どうやらクマと間違われたようだ。安心させるためにこちら
も日本語でコールを掛ける。
ヤブの向こうにぽっかり開いた空間に、びっくりしたような4人の顔が並んでいた。
「鉄砲持ってたら撃ち殺してたで。」と言われて苦笑する。
ここまで来ればブンゲンは目の前だ。登山道とは名ばかりの踏み跡を5分足らずでブンゲン山頂に立った。
3人パーティーがお食事中で休む場所もないので、素通りして北のピークへ向かった。まったく日陰のない場所だが、雲
が多いので少しはマシだ。店を広げてまずは冷えたビールを煽る。
ブナの木陰でランチの予定(山頂直下にそういう場所があるだろうと思っていたのだ)がえらい違いである。
それでも炎天下で昼寝までして、さあ、下りはどうするか。品又峠経由は論外、先ほどの登山道を戻れば一番イージー
だがイージー過ぎる。やはりここは大長谷を下るべきだろう。なんと言っても涼しいし。
ブンゲンとのコルからヤブに突っ込み、3分ほどで源流に出た。水もすぐに流れ出したので、いざという時には稜線直下
の水場として使えるだろう。
階段状の源流帯を調子よく下って行くと7mほどの滝に阻まれた。左岸の岩場からクライムダウンを試みるも、最後がハ
ング気味で嫌らしい。ここは安全を期して懸垂で切り抜ける。下から見れば登りなら流れの左を簡単に登れそうな滝だっ
たが、下りはやはり難しい。
もう1本、5m程の滝でも右から懸垂でクリア。後はさしたる見どころもなく淡々と下る。
のならよかったが、やはり甘くはなかった。こちらも流れに覆い被さるヤブをくぐったりかわしたり、いい加減嫌気がさして
きた。
[attachment=0]P1100927_1.JPG[/attachment]
ようやく辿り着いた934m南の二俣では、右から合する谷に西日に煌めく美しい滝がかかっていた。
そこから少しで送水管が現われ、道が付けられていた。どうやら登山道もここで谷筋へ下りてきているようだ。もう谷芯も
いいだろうと道を使わせていただく。
やっぱり道は早く、すぐに登山口かなと思っていると左下の流れに滝らしきものが見えた。
「もうええやろ」という気持ちは「確かめなあかん」という気持ちに勝てず、植林が出てきた斜面を駈け下りる。
上から想像したほどではなかったが、それでもなかなかの斜瀑だった。確かめたいという気持ちが大事なのだ。
もう道に戻る気にもならず、すっかり平流となった大長谷を下って行く。右上にコンクリートの壁みたいなものが見えた。
「あそこへ上がるか」と壁の脇から登り着くと、そこは昨晩一夜を過ごしたスキー場の駐車場だった。
これならここへ止めとけばよかった。
ヤブ沢周遊も時間が立つと、鬱陶しい思い出を忘れてしまうから面白い。写真を見ながら書いていると、当然のことなが
ら写真はいいところでしか撮らないので余計にいい場面だけが増幅されてしまう。
このレポと写真を見て行く気になった人は注意が必要である。
山日和
今回のは特に戦う相手ちゃいまっせ~ 遠征して逃げるしかないっしょ。