熊野】 令和の沢初めでナメと大滝を愛でる 丸尾山南面の谷から赤倉谷再び
Posted: 2019年5月04日(土) 19:29
【 日 付 】2019年5月2日(祝)
【 山 域 】熊野
【メンバー】えっちゃん、AW、シュークリーム
【 天 候 】快晴
【 ルート 】赤倉谷出会い駐車地 8:34 --- 8:56丸尾山南面谷出会い --- 9:28 ナメ滝 9:41 --- 左俣 --- 10:41 丸尾山 --- 11:37 赤倉谷三ノ滝落ち口 12:55 --- 13:13 二ノ滝落ち口 --- 13:53 一ノ滝 --- 14:10 駐車地
集合時間より30分早い朝7時30分に熊野の花の窟神社道の駅に着くとえっちゃんとAWさんはもう着いていた。前夜泊していたという。AWさんはえっちゃんと同じ山岳会に所属しており、平日休みなのでえっちゃんと一緒に沢登りをしているらしい。私とは初コラボである。時間があるので、花の窟神社にお参りしていく。巨大な岩がご神体の日本最古の神社で、世界遺産になっている。
「ブラタモリ」で2週続けて熊野を紹介していたが、海中で固まったマグマが地上に隆起してできた流紋岩であるという。南紀に多い大岩やナメ、スラブ滝はすべてこの流紋岩によってできているのだろう。南紀には第三紀中新世に巨大なカルデラ火山があったそうで、私が好きな湯の峰温泉や川湯温泉などいい温泉があるのもこのような地質的な歴史によるものだと知ると納得できる。
1台に乗り合わせて山越えし、赤倉集落に到着。赤倉谷出会いの空き地に車を止め、一の水林道をゆるゆる登っていく。20分ほどで入渓地に到着。左岸に杣道があるので、杣道を辿って堰堤を越え、入渓する。最初はゴーロであるが、岩にびっしりと苔が付いているのがいかにも南紀の沢らしい。
30分ほど歩くと最初の2段ナメ滝である。南向きの谷なので明るい。2段滝の中段で休憩。ここはまだこのコースの序盤なのだが、二人とも渓相の美しさが気に入ったようだ。 この中段には左右両方向からナメ滝が流れ込んでいる。これまでは右俣へ入っていたのだが、今回は左俣に入ることにする。左俣は以前下りに使ったことがある。これ以降は稜線近くまで延々とナメが続くのだ。右俣に比べ、左俣はやや傾斜がきつく、ときどきナメというよりはナメ滝に近い傾斜も出てくる。そういうところでは左右どちらかに逃げて巻き登る。 えっちゃんとAWさんは延々と続くナメを見て歓声を上げている。ナメが多い南紀の谷と言えどもこれだけ長くナメが続く谷はめったにないだろう。上に稜線が見えるころになってようやくナメが終わる。
詰め上がるとすぐそこが丸尾山の頂上だった。丸尾山は頂上の東側が伐採されて尾鷲方向の山々が見えているが、どの山なのかよくわからない。丸尾山からは北側の小ピークを左折し、鞍部で右側の赤倉谷の支谷におりる。この支谷を歩くのは初めてである。このあたりは植林地で何の期待もしていなかったのだが、意外にナメが現れて喜ばせてくれる。おそらく、この山全体が巨大な1枚岩でできていて、表層土のすぐ下が硬い岩盤になっているのだろう。 下っていくとナメが舗装道路のように滑らかになり、気持ちがいい。AWさんが、「ナメを歩いていると何も言わなくても自然に顔がほころんでくる」というが、確かにその通りだろう。なめ歩きの楽しさは経験した人でないとわからない。 赤倉谷三ノ滝落ち口のすぐ上流で本谷に出会う。この場所は3方向からナメが流れ込んでいる面白い場所だ。南向きに開けた谷なので明るく、日当たりがいいので、植林地から出てくるとハッとするくらいきれいだ。えっちゃんやAWさんにも気に入ってもらえたみたい。
私のおすすめの三ノ滝落ち口で昼食休憩。単独だと、いつもここで昼食後に昼寝する場所だ。AWさんに食後のコーヒー、えっちゃんに柏餅をいただく。ごちそうさんでした。お昼寝中にえっちゃんは上流のナメをチェックしに行ってきたようだ。どっち方向もナメは途中で途切れていたそうな。一応私も以前チェック済みですが。 休憩後、滝を愛でながら下山することにする。三ノ滝と二ノ滝はいずれも左岸を巻き降りる。滝の両側は一枚岩でとても降りられないが、少し左にふると踏み跡があって歩いて降りることができる。二つの滝とも一枚岩でできたスラブ滝である。どちらの滝も前日、前々日の雨で増水した水が陽を浴びながら落ちてくる様は、いつにもまして美しい。同行の二人が感に堪えないような声を上げると、何度もこの滝を見ている私も見直すような気になる。その都度休憩しながら滝を愛でるまったり沢行である。 最後の一の滝はいつもスルーしてきたのだが、今回は寄っていくことにする。水量が多いせいもあって、三ノ滝、二ノ滝とは異なる迫力があり、見直すようないい滝だった。 一の滝から少し降りると駐車地である。ナメと大滝がコンパクトに詰まったおすすめの沢行である。まだ時間も早いので、前回行った山の神にお参りし、そのあと近くにある景勝地「大丹倉」を見学に行く。「大丹倉」は流紋岩でできた巨大な一枚岩であった。第三紀中新世の火山活動で、海中で固まったマグマが地表に現れたものだという。
花の窟神社に始まり、丸尾山南面のナメから赤倉谷の一枚岩のスラブ滝、さらに大丹倉まで、熊野の谷の成因に思いをはせる1日であった。