【江城国境】イチゴ谷山~909m峰~江城国境尾根縦走(訂正)
Posted: 2019年4月30日(火) 22:12
【 日 付 】2019年4月27日(土曜日)
【 山 域 】江城国境
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】曇りのち晴れ
【 ルート 】平良谷林道入口9:15~10:42イチゴ谷山~11:09p909~11:49p845~12:32p685~13:20床鍋橋
イチゴ谷山というと春の美味しいフルーツを想像するが、この山の西側の谷、市後谷に由来する。針畑川の側からは平良谷の奥にある山ということで、平良谷奥と呼称されてきた。地味な山ではあるが、針畑川を挟んで対岸の正座峰や北の百里ヶ岳から見ると存在感のある山が目に入る。この市後谷山には久多側からと平良側からも登ったことがあるが、山頂の北東側のヤセ尾根にシャクナゲの樹林があったことを思い出し、石楠花の様子を見にいくことを思い立つ。以前、訪れたのは厳冬期だったので、新緑か紅葉の時期に訪れたいと思っていたのだった。
だが、何といってもこの山の魅力は南側の909m峰に至るまでの山毛欅の大樹が連続する江城国境尾根(※江丹国境尾根の訂正)である。この909m峰の魅力はこのサイトではすっかりお馴染みの草川啓三氏の本でも紹介されている通りである。ところで江城国境尾根という名称はあまり聞き慣れないかもしれないが、高島トレイルの三国岳から南東に向かうこの尾根は南の久多川に切れ落ちるまで続いている。高島市営バスを利用して、尾根の南に至るまで縦走する計画を立てる。
※江丹国境尾根は高島トレイルの三国峠(若狭、丹波、近江)~三国岳(丹波、山城、近江)までの短い区間であり、三国岳より南が江城国境尾根となる(5/7追記)
R367を北上すると大原のあたりで早速にも雨が降り始める。花折峠を越えると電光掲示板の温度は4℃を示す。まるで冬の気温である。梅の木から久多へと向かう県道に入ると、いつしか雨もあがったようだ。久多川沿いの新緑が美しい。
針畑川沿いの道に入ると、下山予定の床鍋橋のバス停近くの広地に車を停める。車を停めると丁度、生杉行きの高島市営バスが到来し、市後谷山の登山口となる平良谷の林道の入口まで運んでもらう。ちなみに床鍋橋を渡った針畑川の対岸のフィッシング・センターには広大な駐車場があるが、ここに停めるとすぐにも受付から人が出てきて、駐車禁止と追い出されることになる。
針畑川にかかる橋を渡って平良谷林道にはいると100m程歩いたところで左手に分岐する林道へと入る。一昨年の台風の後で林道は倒木が集中して、大変な状態であったが、倒木はすっかり整理されている。この林道のお蔭で尾根の末端まで一気に登ることが出来る。
林道終点から尾根に入ると植林は終わり、樅の樹林となる。そして林床にはイワカガミの群落がお出迎えである。気がつくと尾根上の薄い踏み跡の周囲はイワカガミで埋め尽くされている。まだ咲いている花は少ないが、あと一週間もするとほとんどの花株が花を開くことだろう。600mのあたりまでイワカガミが続くことになる。
標高600mを過ぎたあたりからはところどころにユズリハの藪が現われる。ユズリハの藪よりも尾根上の倒木を避けて通過する方が鬱陶しい。前回、登った時にはこれ程の倒木に苦心した覚えはないので、おそらく昨年の台風による被害だろう。
山頂が近づくと尾根はヤセ尾根となり、記憶にあった通り石楠花が出現する。わずかに咲いている花もあるが、大部分は赤紫色の蕾を膨らませた状態だ。
石楠花の下では花盛りのイワウチワが花盛りである。ヤセ尾根の切れ目からは南側の展望が開け、武奈ヶ岳を望む。ヤセ尾根を通過すると山頂はすぐである。
市後谷山の山頂は高島トレイルの道標が新たに設けられている。山頂は樹林に囲まれた狭い広場であり、すぐに尾根を南に下る。尾根は山毛欅の新緑が始まったばかりのようだ。尾根上にはタムシバの花も多くみかけるが、満開の白い花をつけた樹も目立つ。オオカメノキのようだ。
一つ南のピークca890mは台杉の巨樹が目印である。ここで高島トレイルの新たな緑色の道標に導かれて尾根をほぼ直角に右手に曲がると、左手の染ヶ谷のなだらかな源頭に山毛欅の巨樹が現われる。ここからは909m峰のピークまで山毛欅の大樹が連続する。湖北や江若国境では当たり前のように見られるような山毛欅の樹々ではあるが、この山域ではあまり類を見ない。
909m峰のピークに辿り着くと一気に白倉三山、武奈ヶ岳から蓬莱山に至るまでの比良の山々の展望が視界に飛び込む。南側のピークの右手には峰床山も見える。以前、訪れた際は白い緞帳を下ろしたかのようなガスの中であったので、ここから正面に眺める武奈ヶ岳の素晴らしさに改めて感心する。折しも風が強くなり、霰が降ってきた。
尾根を南に下がると南側の桑谷山、西側にはフカンド山からコウンド山への稜線を望む。すぐに霰は止み、南に向かって勢いよく上空を流れてゆく雲の切れ目から青い空が覗く。865m峰の手前の送電線鉄塔からは再び東西に好展望が広がる。新緑の斜面にあたる光の筋も南へと急速に通り過ぎてゆく様は目を飽きさせない。
865m峰のピークからは久多の方向に南西に下ってゆく尾根にも薄い踏み跡がついているようだ。南東に向かう尾根を下ると、新緑の緑が豊かになってゆく。尾根が大きく東に向きを変えると最後のピーク685m峰に辿り着く。山頂の周囲は山毛欅の新緑が目に鮮やかだ。
標高600mのあたりからは北山分水嶺クラブの地図では尾根を東に下る道が記されているのだが、踏み跡とテープは北に延びる尾根へと続いている。この尾根の方がはるかに緩やかなので、踏み跡を辿ってみることにした。尾根をまっすぐに下るとfairy trailの標識が尾根の左手の斜面を指している。斜面をジグザグに下る作業道を下り、林道に降り立った。
久多川に沿った道を戻ると、深い谷間に光が当たりはじめ、新緑が色鮮やかに輝きはじめた。冬の回想は瞬く間に過ぎ去っていったようだ。
【 山 域 】江城国境
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】曇りのち晴れ
【 ルート 】平良谷林道入口9:15~10:42イチゴ谷山~11:09p909~11:49p845~12:32p685~13:20床鍋橋
イチゴ谷山というと春の美味しいフルーツを想像するが、この山の西側の谷、市後谷に由来する。針畑川の側からは平良谷の奥にある山ということで、平良谷奥と呼称されてきた。地味な山ではあるが、針畑川を挟んで対岸の正座峰や北の百里ヶ岳から見ると存在感のある山が目に入る。この市後谷山には久多側からと平良側からも登ったことがあるが、山頂の北東側のヤセ尾根にシャクナゲの樹林があったことを思い出し、石楠花の様子を見にいくことを思い立つ。以前、訪れたのは厳冬期だったので、新緑か紅葉の時期に訪れたいと思っていたのだった。
だが、何といってもこの山の魅力は南側の909m峰に至るまでの山毛欅の大樹が連続する江城国境尾根(※江丹国境尾根の訂正)である。この909m峰の魅力はこのサイトではすっかりお馴染みの草川啓三氏の本でも紹介されている通りである。ところで江城国境尾根という名称はあまり聞き慣れないかもしれないが、高島トレイルの三国岳から南東に向かうこの尾根は南の久多川に切れ落ちるまで続いている。高島市営バスを利用して、尾根の南に至るまで縦走する計画を立てる。
※江丹国境尾根は高島トレイルの三国峠(若狭、丹波、近江)~三国岳(丹波、山城、近江)までの短い区間であり、三国岳より南が江城国境尾根となる(5/7追記)
R367を北上すると大原のあたりで早速にも雨が降り始める。花折峠を越えると電光掲示板の温度は4℃を示す。まるで冬の気温である。梅の木から久多へと向かう県道に入ると、いつしか雨もあがったようだ。久多川沿いの新緑が美しい。
針畑川沿いの道に入ると、下山予定の床鍋橋のバス停近くの広地に車を停める。車を停めると丁度、生杉行きの高島市営バスが到来し、市後谷山の登山口となる平良谷の林道の入口まで運んでもらう。ちなみに床鍋橋を渡った針畑川の対岸のフィッシング・センターには広大な駐車場があるが、ここに停めるとすぐにも受付から人が出てきて、駐車禁止と追い出されることになる。
針畑川にかかる橋を渡って平良谷林道にはいると100m程歩いたところで左手に分岐する林道へと入る。一昨年の台風の後で林道は倒木が集中して、大変な状態であったが、倒木はすっかり整理されている。この林道のお蔭で尾根の末端まで一気に登ることが出来る。
林道終点から尾根に入ると植林は終わり、樅の樹林となる。そして林床にはイワカガミの群落がお出迎えである。気がつくと尾根上の薄い踏み跡の周囲はイワカガミで埋め尽くされている。まだ咲いている花は少ないが、あと一週間もするとほとんどの花株が花を開くことだろう。600mのあたりまでイワカガミが続くことになる。
標高600mを過ぎたあたりからはところどころにユズリハの藪が現われる。ユズリハの藪よりも尾根上の倒木を避けて通過する方が鬱陶しい。前回、登った時にはこれ程の倒木に苦心した覚えはないので、おそらく昨年の台風による被害だろう。
山頂が近づくと尾根はヤセ尾根となり、記憶にあった通り石楠花が出現する。わずかに咲いている花もあるが、大部分は赤紫色の蕾を膨らませた状態だ。
石楠花の下では花盛りのイワウチワが花盛りである。ヤセ尾根の切れ目からは南側の展望が開け、武奈ヶ岳を望む。ヤセ尾根を通過すると山頂はすぐである。
市後谷山の山頂は高島トレイルの道標が新たに設けられている。山頂は樹林に囲まれた狭い広場であり、すぐに尾根を南に下る。尾根は山毛欅の新緑が始まったばかりのようだ。尾根上にはタムシバの花も多くみかけるが、満開の白い花をつけた樹も目立つ。オオカメノキのようだ。
一つ南のピークca890mは台杉の巨樹が目印である。ここで高島トレイルの新たな緑色の道標に導かれて尾根をほぼ直角に右手に曲がると、左手の染ヶ谷のなだらかな源頭に山毛欅の巨樹が現われる。ここからは909m峰のピークまで山毛欅の大樹が連続する。湖北や江若国境では当たり前のように見られるような山毛欅の樹々ではあるが、この山域ではあまり類を見ない。
909m峰のピークに辿り着くと一気に白倉三山、武奈ヶ岳から蓬莱山に至るまでの比良の山々の展望が視界に飛び込む。南側のピークの右手には峰床山も見える。以前、訪れた際は白い緞帳を下ろしたかのようなガスの中であったので、ここから正面に眺める武奈ヶ岳の素晴らしさに改めて感心する。折しも風が強くなり、霰が降ってきた。
尾根を南に下がると南側の桑谷山、西側にはフカンド山からコウンド山への稜線を望む。すぐに霰は止み、南に向かって勢いよく上空を流れてゆく雲の切れ目から青い空が覗く。865m峰の手前の送電線鉄塔からは再び東西に好展望が広がる。新緑の斜面にあたる光の筋も南へと急速に通り過ぎてゆく様は目を飽きさせない。
865m峰のピークからは久多の方向に南西に下ってゆく尾根にも薄い踏み跡がついているようだ。南東に向かう尾根を下ると、新緑の緑が豊かになってゆく。尾根が大きく東に向きを変えると最後のピーク685m峰に辿り着く。山頂の周囲は山毛欅の新緑が目に鮮やかだ。
標高600mのあたりからは北山分水嶺クラブの地図では尾根を東に下る道が記されているのだが、踏み跡とテープは北に延びる尾根へと続いている。この尾根の方がはるかに緩やかなので、踏み跡を辿ってみることにした。尾根をまっすぐに下るとfairy trailの標識が尾根の左手の斜面を指している。斜面をジグザグに下る作業道を下り、林道に降り立った。
久多川に沿った道を戻ると、深い谷間に光が当たりはじめ、新緑が色鮮やかに輝きはじめた。冬の回想は瞬く間に過ぎ去っていったようだ。