【江若国境】桜満開の上根来から百里ヶ岳へ
Posted: 2019年4月16日(火) 23:12
【日 付】2019年4月13日(土)
【山 域】江若国境 百里ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】上根来8:22---10:09 P820m10:27---10:54おにゅう峠---11:13根来坂峠---12:16百里ヶ岳14:00----
14:40木地山峠14:55---15:15桜谷山---15:50尾根分岐---16:32上根来
以前、小栗から百里ヶ岳へ周回した時に下山に使った尾根から見た隣の尾根が魅力的だった。
「隣の芝生は青い」とは良く言う言葉だが、隣の尾根の実態はどうたろうか。唯一の懸念は尾根の末端が遠敷
(おにゅう)川に落ちており、車道ははるか高みを走っていることだ。とにかく行ってみるしかないだろう。
遠敷川最上流の集落である上根来(ねごり)はひっそりと静まりかえっていた。それもそのはず、何軒か残って
いる民家はもう無住になって久しい。それでも荒れ果てた感がないのは元の住人が年に何回か手入れに帰ってき
ており、上根来プロジェクトというNPOがそれを支えているようだ。
真新しい案内看板や整備された休憩所もある。人が去って朽ちて行く集落をみるのは悲しいものだが、こうやっ
て生かしていく道もあるのだなと思う。
上根来の集落はかなり高いところにある。さて、どこから川に下りるか。
案ずるより産むが易しで、駐車地の先に農地跡のような広場があり、見事な枝振りのサクラが今を盛りと咲き誇
っていた。これは幸先のいいスタートである。家で調べてみると、この農地跡は棚田の跡のようだった。
ここから少し下れば簡単に川床に着地。懸案の渡渉も水量少なく、3~4歩走って渡れば靴に浸水することもなか
った。
尾根の末端は植林だがはっきりした踏み跡がある。その植林もすぐに切れて、その後は稜線まで自然林が続い
た。この尾根の最大の美点は下生えがまったくないことである。なんの障害もなく気持ちよく歩いて行ける尾根
は、600mを超えて傾斜が緩むと予想以上の展開を見せた。ゆったりと広がる尾根は心地良い感覚で雑木の並ぶ
疎林の台地状となった。まるで小栗の山頂をタテに数百メートル引き延ばしたよう場所が延々と続くのである。
隣の芝生は確かに青かった。この近隣の尾根の中でもベストと言えるだろう。
ただ一つだけ物足りないものがあるとすれば、700mを超えるまでブナが現われないことだろうか。そこまでの
疎林はナラ系の雑木林が主体で、これも小栗と似ているところだ。
700mを超えて尾根が細くなるあたりからブナ林に変わる。取付きから小浜市とおおい町の境である820mピー
クまで、まったくの極楽尾根だった。自分の見立てが間違っていなかったことにひとりほくそ笑む。
ここから少し東進すれば車道の通る江若国境のおにゅう峠だ。福井県側に遠敷川、滋賀県側に小入(おにゅう)
谷という字が違えど同じ読み方の谷の源頭に位置する峠である。どちらも立てるためにひらがな表記にしたのだ
ろうか。峠には数人のサイクリストと単独のライダー、車も1台止まっていた。
福井県側はまだ雪が残って通れないようだ。
もうひとつの峠である根来坂峠に向かう。ここは数ある鯖街道の中でも一番最短距離で小浜と京都を結ぶ峠で
ある。この峠のシンボルであるブナの古木は、4年前に来た時にはすでに枯れて哀れな姿を見せていたが、今日
は峠の往来を見守ってきたお地蔵さんの祠まで完全に倒壊していたのには驚いた。早く元の姿に戻してあげてほ
しいものだ。
百里ヶ岳の山頂にはところどころ雪が残っていた。ビールを冷やすには持ってこいである。
先週に続いて抜けるような青空の下で至福のランチタイムを楽しむ。不思議なことにこれほど天気のいい土曜日
にひとりの登山者も見かけない。まあ、静かなことはいいことだ。
ビールを飲んでひっくり返っていると、何やらしゃべりながら登山者が上がってきた。パーティーかと思ったら、
無線機を相手にしゃべっているようだ。それを機に店仕舞いして木地山峠へ向かう。
峠からそのまま上根来へ下りてしまおうかとも思ったが、もうひとつのミッションがあるので桜谷山へ登り返
す。桜谷山から見る比良山系にはまだ白いものが残っていたが、後で聞くと前日に少し降ったようだ。
桜谷山から小栗への稜線は安定のブナ林。幾度も通っているので新鮮な発見はないが安心して歩くことができ
る。ここで小栗方面から2人連れが現われて驚いた。3時半を過ぎたこの時間に桜谷山へ向かって登っているとは
どういうタイムスケジュールなのだろう。
もうひとつのミッションは小栗の手前から上根来へ伸びる尾根を辿ることだった。しかしこちらは大して面白
くない平凡な尾根だった。分岐点には「上根来」を差す立派な標識があるが倒れてしまっていた。
道はそれなりに整備され、要所にはさきほどと同じ立派な標識がある。これは上根来プロジェクトの一環として
の事業のようだ。難なく上根来最上部の民家跡に下り立つと満開のミツマタが迎えてくれた。
山日和
【山 域】江若国境 百里ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】上根来8:22---10:09 P820m10:27---10:54おにゅう峠---11:13根来坂峠---12:16百里ヶ岳14:00----
14:40木地山峠14:55---15:15桜谷山---15:50尾根分岐---16:32上根来
以前、小栗から百里ヶ岳へ周回した時に下山に使った尾根から見た隣の尾根が魅力的だった。
「隣の芝生は青い」とは良く言う言葉だが、隣の尾根の実態はどうたろうか。唯一の懸念は尾根の末端が遠敷
(おにゅう)川に落ちており、車道ははるか高みを走っていることだ。とにかく行ってみるしかないだろう。
遠敷川最上流の集落である上根来(ねごり)はひっそりと静まりかえっていた。それもそのはず、何軒か残って
いる民家はもう無住になって久しい。それでも荒れ果てた感がないのは元の住人が年に何回か手入れに帰ってき
ており、上根来プロジェクトというNPOがそれを支えているようだ。
真新しい案内看板や整備された休憩所もある。人が去って朽ちて行く集落をみるのは悲しいものだが、こうやっ
て生かしていく道もあるのだなと思う。
上根来の集落はかなり高いところにある。さて、どこから川に下りるか。
案ずるより産むが易しで、駐車地の先に農地跡のような広場があり、見事な枝振りのサクラが今を盛りと咲き誇
っていた。これは幸先のいいスタートである。家で調べてみると、この農地跡は棚田の跡のようだった。
ここから少し下れば簡単に川床に着地。懸案の渡渉も水量少なく、3~4歩走って渡れば靴に浸水することもなか
った。
尾根の末端は植林だがはっきりした踏み跡がある。その植林もすぐに切れて、その後は稜線まで自然林が続い
た。この尾根の最大の美点は下生えがまったくないことである。なんの障害もなく気持ちよく歩いて行ける尾根
は、600mを超えて傾斜が緩むと予想以上の展開を見せた。ゆったりと広がる尾根は心地良い感覚で雑木の並ぶ
疎林の台地状となった。まるで小栗の山頂をタテに数百メートル引き延ばしたよう場所が延々と続くのである。
隣の芝生は確かに青かった。この近隣の尾根の中でもベストと言えるだろう。
ただ一つだけ物足りないものがあるとすれば、700mを超えるまでブナが現われないことだろうか。そこまでの
疎林はナラ系の雑木林が主体で、これも小栗と似ているところだ。
700mを超えて尾根が細くなるあたりからブナ林に変わる。取付きから小浜市とおおい町の境である820mピー
クまで、まったくの極楽尾根だった。自分の見立てが間違っていなかったことにひとりほくそ笑む。
ここから少し東進すれば車道の通る江若国境のおにゅう峠だ。福井県側に遠敷川、滋賀県側に小入(おにゅう)
谷という字が違えど同じ読み方の谷の源頭に位置する峠である。どちらも立てるためにひらがな表記にしたのだ
ろうか。峠には数人のサイクリストと単独のライダー、車も1台止まっていた。
福井県側はまだ雪が残って通れないようだ。
もうひとつの峠である根来坂峠に向かう。ここは数ある鯖街道の中でも一番最短距離で小浜と京都を結ぶ峠で
ある。この峠のシンボルであるブナの古木は、4年前に来た時にはすでに枯れて哀れな姿を見せていたが、今日
は峠の往来を見守ってきたお地蔵さんの祠まで完全に倒壊していたのには驚いた。早く元の姿に戻してあげてほ
しいものだ。
百里ヶ岳の山頂にはところどころ雪が残っていた。ビールを冷やすには持ってこいである。
先週に続いて抜けるような青空の下で至福のランチタイムを楽しむ。不思議なことにこれほど天気のいい土曜日
にひとりの登山者も見かけない。まあ、静かなことはいいことだ。
ビールを飲んでひっくり返っていると、何やらしゃべりながら登山者が上がってきた。パーティーかと思ったら、
無線機を相手にしゃべっているようだ。それを機に店仕舞いして木地山峠へ向かう。
峠からそのまま上根来へ下りてしまおうかとも思ったが、もうひとつのミッションがあるので桜谷山へ登り返
す。桜谷山から見る比良山系にはまだ白いものが残っていたが、後で聞くと前日に少し降ったようだ。
桜谷山から小栗への稜線は安定のブナ林。幾度も通っているので新鮮な発見はないが安心して歩くことができ
る。ここで小栗方面から2人連れが現われて驚いた。3時半を過ぎたこの時間に桜谷山へ向かって登っているとは
どういうタイムスケジュールなのだろう。
もうひとつのミッションは小栗の手前から上根来へ伸びる尾根を辿ることだった。しかしこちらは大して面白
くない平凡な尾根だった。分岐点には「上根来」を差す立派な標識があるが倒れてしまっていた。
道はそれなりに整備され、要所にはさきほどと同じ立派な標識がある。これは上根来プロジェクトの一環として
の事業のようだ。難なく上根来最上部の民家跡に下り立つと満開のミツマタが迎えてくれた。
山日和