【飛騨】三角点「釜ヶ谷」 知られざるブナ林に酔う
Posted: 2019年4月09日(火) 21:18
【日 付】2019年4月6日(土)
【山 域】飛騨 庄川右岸域
【天 候】快晴
【コース】田口谷出合7:20---9:05 1175m標高点---10:45 P1578m11:00---11:40三角点「釜ヶ谷」13:20---
14:00 P1478m 14:15---16:00田口谷出合
以前、庄川右岸の野々俣谷左岸尾根を歩いた時、南に続く尾根が気になっていた。遠目にもブナ林が続いて
いるのが見えたからだ。その尾根が御母衣湖に落ちる手前の最後のピークが1548mの三角点「釜ヶ谷」である。
庄川の左岸には白山を始め三方崩山や日照岳などのビッグネームが並んでいるが、左岸は猿ヶ馬場山より南は
まったく無名の山々が連なっている。しかし山の良さは名前の有る無しには関係ないことはこれまでの経験で
実証済みである。
前夜、荘川インターを降りて平瀬へ向かおうとしたら、国道156号に合流したところでストップさせられて
しまった。なんと夜間通行止めである。5時には通行できるようになるというので荘川の道の駅へ戻って車中泊
とした。早く寝られる分早起きをすれば、睡眠時間の帳尻は合うのだ。
登山口(と言っても目印は何もない)は平瀬温泉の手前を右折して庄川を渡ったところにある。
仰ぎ見る庄川左岸の山々は頂稜部に雪を抱いてアルペンチックな景観を見せているが、こちらの山はもっさり
した雑木林と植林が広がるのみである。
取付きは軽いヤブ漕ぎで始まったがすぐに植林帯に入った。意外に手入れされた杉林だ。
想定内ではあるが雪はカケラもない。どのあたりから雪が出てくるのだろう。ただ比較的明瞭な踏み跡がある
ので雪が無くとも歩くのに不自由することはない。ただ背中に担いだスノーシューが歩荷の道具になる恐れが
頭にチラついた。
標高1000mを超えたところでやっと雪が現われた。10センチも積もっていないがスノーシューを装着する。
担いでいるよりはよっぽどいい。
雪が消えてヤブが露出するところもあったが、委細構わずスノーシューで歩く。新品のスノーシューならため
らわれるところだ。この辺はミズナラの巨木が目に付く。
1200mあたりから雪が繋がったと同時に林相が変わった。待望のブナ林である。ここから稜線に出るまで見
事なブナ林が続く。特にCa1400mあたりの傾斜が緩む地点が特に素晴らしい。ブナフェチなら悶絶必至の滋味
あふれるブナ林だ。天気は最高。文字通り雲ひとつない快晴である。嫌が上にも登高欲が掻き立てられるが、
足元は最近降った新雪が意外に重く、10センチ程度の沈みでも足に響いてきた。
予定時間をオーバーして稜線の1578mピークに立った時には予定の周回ルートを辿る気がまったく失せてい
た。とりあえず目的地の釜ヶ谷へ向かおう。
釜ヶ谷への稜線上にもずっとブナ林が続く。目星を付けていた通りの展開にひとりほくそ笑んだ。
西側には樹林越しに三方崩、奥三方、白山、別山、リアル日照岳(三角点峰)、日照岳といった名だたる山々が
キラ星のごとく連なっている。
一旦下って少し登り返せば1548mの三角点釜ヶ谷。南面が大きく開け、眼下に御母衣湖のグリーンの湖面が
どこまでも延びている。ここから見る日照岳は実に立派で、見栄えと言う点では最高点である三角点日照岳を
凌駕している。来てよかったと思える素晴らしい山頂だ。
少し西風があるので南斜面に腰を降ろせば、初夏のような日差しがポカポカと暖かいのを通り越して暑いぐら
いだ。今日は先週の轍は踏むまいと家からビールをザックの底に忍ばせてきたので万全である。
花粉症とアレルギー咳に加えて寝不足で体調はいいとは言えないのだが、毎回そう感じているということは体
調不良はすでにデフォルトなのかもしれない。
十二分にまったりと過ごして往路を1578mピークへ戻る。東側には御嶽、乗鞍から北ア南部の山々を望むこ
とができた。近いところで真っ白なラインを引いているのは森茂峠から栗ヶ岳への尾根だろう。
どこの山もそれなりの標高から上(だいたい1200mぐらいだろうか)には十分な積雪があるのだが、そこへ至る
道程が問題となる。今日のように踏み跡があれば楽勝だが、もうGW頃のような登山になってしまうのは致し方
ないところか。
本当はここから北へ稜線を辿って1705mピークからCa1760mピークを経て、野々俣谷左岸尾根を下るつもり
で白弓スキー場にチャリをデポしてきたのだが、夢のまた夢となってしまった。
また今度があるのかどうかわからないが、また今度ということにしておこう。
もう少しで登山口というところで、登りで田口谷の方から上がって来ていた明瞭な道が気になり、その道を
辿ってみた。緩やかに折り返しながら谷の方へ下って行く道は、やがて導水ホースが現れ集落の水源になって
いるような風情を見せた。これはそのまま谷の入口へ導いてくれると思ったがそうはいかない。
結局踏み跡の消えた谷を下って朝見た堰堤の上に立った。これなら往路をそのまま下った方が早かったがこれ
もまた一興というものだろう。
田口谷の手前で見た線香花火のような可憐なオウレンが本日唯一の花の収穫だった。
山日和
【山 域】飛騨 庄川右岸域
【天 候】快晴
【コース】田口谷出合7:20---9:05 1175m標高点---10:45 P1578m11:00---11:40三角点「釜ヶ谷」13:20---
14:00 P1478m 14:15---16:00田口谷出合
以前、庄川右岸の野々俣谷左岸尾根を歩いた時、南に続く尾根が気になっていた。遠目にもブナ林が続いて
いるのが見えたからだ。その尾根が御母衣湖に落ちる手前の最後のピークが1548mの三角点「釜ヶ谷」である。
庄川の左岸には白山を始め三方崩山や日照岳などのビッグネームが並んでいるが、左岸は猿ヶ馬場山より南は
まったく無名の山々が連なっている。しかし山の良さは名前の有る無しには関係ないことはこれまでの経験で
実証済みである。
前夜、荘川インターを降りて平瀬へ向かおうとしたら、国道156号に合流したところでストップさせられて
しまった。なんと夜間通行止めである。5時には通行できるようになるというので荘川の道の駅へ戻って車中泊
とした。早く寝られる分早起きをすれば、睡眠時間の帳尻は合うのだ。
登山口(と言っても目印は何もない)は平瀬温泉の手前を右折して庄川を渡ったところにある。
仰ぎ見る庄川左岸の山々は頂稜部に雪を抱いてアルペンチックな景観を見せているが、こちらの山はもっさり
した雑木林と植林が広がるのみである。
取付きは軽いヤブ漕ぎで始まったがすぐに植林帯に入った。意外に手入れされた杉林だ。
想定内ではあるが雪はカケラもない。どのあたりから雪が出てくるのだろう。ただ比較的明瞭な踏み跡がある
ので雪が無くとも歩くのに不自由することはない。ただ背中に担いだスノーシューが歩荷の道具になる恐れが
頭にチラついた。
標高1000mを超えたところでやっと雪が現われた。10センチも積もっていないがスノーシューを装着する。
担いでいるよりはよっぽどいい。
雪が消えてヤブが露出するところもあったが、委細構わずスノーシューで歩く。新品のスノーシューならため
らわれるところだ。この辺はミズナラの巨木が目に付く。
1200mあたりから雪が繋がったと同時に林相が変わった。待望のブナ林である。ここから稜線に出るまで見
事なブナ林が続く。特にCa1400mあたりの傾斜が緩む地点が特に素晴らしい。ブナフェチなら悶絶必至の滋味
あふれるブナ林だ。天気は最高。文字通り雲ひとつない快晴である。嫌が上にも登高欲が掻き立てられるが、
足元は最近降った新雪が意外に重く、10センチ程度の沈みでも足に響いてきた。
予定時間をオーバーして稜線の1578mピークに立った時には予定の周回ルートを辿る気がまったく失せてい
た。とりあえず目的地の釜ヶ谷へ向かおう。
釜ヶ谷への稜線上にもずっとブナ林が続く。目星を付けていた通りの展開にひとりほくそ笑んだ。
西側には樹林越しに三方崩、奥三方、白山、別山、リアル日照岳(三角点峰)、日照岳といった名だたる山々が
キラ星のごとく連なっている。
一旦下って少し登り返せば1548mの三角点釜ヶ谷。南面が大きく開け、眼下に御母衣湖のグリーンの湖面が
どこまでも延びている。ここから見る日照岳は実に立派で、見栄えと言う点では最高点である三角点日照岳を
凌駕している。来てよかったと思える素晴らしい山頂だ。
少し西風があるので南斜面に腰を降ろせば、初夏のような日差しがポカポカと暖かいのを通り越して暑いぐら
いだ。今日は先週の轍は踏むまいと家からビールをザックの底に忍ばせてきたので万全である。
花粉症とアレルギー咳に加えて寝不足で体調はいいとは言えないのだが、毎回そう感じているということは体
調不良はすでにデフォルトなのかもしれない。
十二分にまったりと過ごして往路を1578mピークへ戻る。東側には御嶽、乗鞍から北ア南部の山々を望むこ
とができた。近いところで真っ白なラインを引いているのは森茂峠から栗ヶ岳への尾根だろう。
どこの山もそれなりの標高から上(だいたい1200mぐらいだろうか)には十分な積雪があるのだが、そこへ至る
道程が問題となる。今日のように踏み跡があれば楽勝だが、もうGW頃のような登山になってしまうのは致し方
ないところか。
本当はここから北へ稜線を辿って1705mピークからCa1760mピークを経て、野々俣谷左岸尾根を下るつもり
で白弓スキー場にチャリをデポしてきたのだが、夢のまた夢となってしまった。
また今度があるのかどうかわからないが、また今度ということにしておこう。
もう少しで登山口というところで、登りで田口谷の方から上がって来ていた明瞭な道が気になり、その道を
辿ってみた。緩やかに折り返しながら谷の方へ下って行く道は、やがて導水ホースが現れ集落の水源になって
いるような風情を見せた。これはそのまま谷の入口へ導いてくれると思ったがそうはいかない。
結局踏み跡の消えた谷を下って朝見た堰堤の上に立った。これなら往路をそのまま下った方が早かったがこれ
もまた一興というものだろう。
田口谷の手前で見た線香花火のような可憐なオウレンが本日唯一の花の収穫だった。
山日和