【湖北】賞味期限切れ寸前の上谷山
Posted: 2019年3月25日(月) 20:25
【日 付】2019年3月23日(土)
【山 域】湖北 上谷山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】針川7:30---8:30 P727---9:40 P1041手前10:10---11:25上谷山13:00---14:50三角点滝ヶ谷---16:20針川二俣
---16:50針川
遠征するなら時間と交通費を考えれば好天の約束がほしいところだが、この土日はあまり期待できそうもない。
B爺さんに刺激を受けたわけでもないが、比較的近場でまだ雪を楽しめそうだということで上谷山を選択した。
まったく雪のない針川から上谷山南西尾根に取り付いた。ここを歩くのももう4回目だ。
完全な無雪期状態だがはっきりした道が続く。寡雪のヤブ山で雪を楽しむためには雪が出るところまで楽に歩ける
道があることが必須条件である。ご多聞に漏れず、この尾根も台風による倒木の被害が目立つ。
1時間ほどで727mピークに着いた。ここまで上がればほぼ急登は終わりである。ここから先はブナ林の続く緩やか
な尾根が1041mピークまで導いてくれる。特に727mあたりのブナ林の雰囲気は素晴らしい。
天気は予報通りの曇り空だが雨の心配はないだろう。尾根上には明瞭な踏み跡があり、下生えがほとんどないの
で踏み跡がなくても十分歩ける尾根だ。B爺さんの情報では標高800mを超えると雪が繋がるということだったが、
900mを超えても雪の気配がない。1041m台地の手前でやっと雪が現われてスノーシューを装着することができた。
と言っても雪は十分締まっており、履かなくても沈むことはないのだが背中に担いでいるよりはいいだろう。
ここで「大」休止を兼ねてゆっくり休憩。さて一服しようと携帯灰皿を取り出そうとしたが無い。ザックのポケット
が開いている。どうやらさっきの休憩時に閉め忘れて落としてしまったようだ。15年間愛用してきた灰皿なので残念
だが仕方がない。タバコケースが無事だったのが不幸中の幸いだ。
2月のスノーシューではタバコケースを落としてしまい、半日以上禁煙を余儀なくされたのである。
1041mピーク先のヤブも苦労することはなく、上谷山への最後の登りにかかる。
曇り空ではあるが高曇りなので展望はそこそこ楽しむことができる。右手に横山岳と三国岳、金糞岳を眺めながら
尾根芯を辿ると前方に白いものが見えた。霧氷だ。今日は気温がかなり下がったせいだろう。まったく予期してい
なかっただけに嬉しい誤算である。
霧氷ロードを歩いて上谷山頂に立った。遮られていた視界の奥から越美国境と奥美濃の山々が姿を現わした。
三国岳から連なる稜線には夜叉ヶ丸、三周ヶ岳、美濃俣丸、笹ヶ峰、金草岳、能郷白山が続き、高丸や不動山、千
回沢山、小津権現山、天狗山、黒津山、そして頭だけ出した蕎麦粒山といったそうそうたる山々が一望だ。
目に入る山で登っていないのは不動山と千回沢山だけだろう。一度しか登っていない山はない。繰り返し何度も訪
れたわが愛すべき山々。幸いなことに風もあまりなく、たまに日差しも出てきた。
登っている時は風があるので山頂でのランチタイムは楽しめないのではと思っていたのである。
越美国境稜線を眺めながらの至福のランチタイム。1時間ほどしかスノーシューを履いて歩いていないのだが、十分
スノーシューハイクを楽しんだような感覚だ。
往路を戻るという選択肢はないので、江美国境稜線へ踏み出した。越前側の下界は晴れているようで、進行方向
は日が当たっている。この稜線は越美国境より雪が少ないこともあり楽しく歩くというわけにはいかない。
この稜線歩きを楽しむためにはヤブを覆い尽くすだけの積雪量が必要である。
雪面から頭を出した潅木のヤブは些か鬱陶しく、2手・3手先を読んで進路を探りながらの前進でペースが上がら
ない。右手の越前側からは植林が入っていることもあり、坦々と行程を消化するセクションとなった。
ただ進むにつれ青空が広がり始め、振り返ると上谷山頂も陽光を浴びて白く輝いていた。もう少し早く晴れてくれ
ればなあと思うも詮無いことである。
三角点「滝ヶ谷」先の鉄塔尾根分岐まで来た。思ったより時間がかかっている。あわよくば下谷山まで足を延ば
して大音波経由で渡渉無しで下山できるかもと思っていたが、ここから見る下谷山は遠く、とんでもない話だった。
何度も歩いている鉄塔尾根を下る。右手のブナ林に入るあたりで雪が切れた。巡視路は初めて来た時に比べると
登山道レベルの明瞭さになっている。このまま巡視路を下ってもいいのだが、予定通り針川二俣へダイレクトに下
りる尾根を選ぶ。無味乾燥な巡視路よりいいブナ林があるこちらの方が楽しみが多いのだ。
但し尾根の下部は踏み跡も怪しい中の急降下。しかもかなりヤブっぽくなる。
最近はこういう場面で躊躇なくチェーンスパイクを履くようになった。滑るのを恐れて腰が引けるよりはるかに
安心して歩けるのだ。これも堕落と言えば堕落なのかもしれないが、衰えをカバーするために道具を利用するのは
リスク回避のためには重要なことである。
最後は間違えて針川の右俣側に出てしまったが大差はない。どこに下りても最低2回の渡渉が必要なのだ。
チェーンスパイクは渡渉にも威力を発揮する。川底のぬめった岩でも滑ることなく安定した渡渉が可能だ。ただ流
れが速く、水量もヒザ程度まであるので、Wストックでバランスを取りながらすり足で進む必要がある。
靴の中は水浸しだが、後は廃林道をのんびり歩くだけだ。
ずぼらして外したチェーンスパイクをスノーシューに挟んで歩いていたら、いつの間にか無くなっているのに気
付いて探しに戻るというお粗末もあったが余裕のある時間に針川へ帰り着いた。
賞味期限切れ寸前、なんとか間に合った雪の上谷山だった。
山日和
【山 域】湖北 上谷山周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】針川7:30---8:30 P727---9:40 P1041手前10:10---11:25上谷山13:00---14:50三角点滝ヶ谷---16:20針川二俣
---16:50針川
遠征するなら時間と交通費を考えれば好天の約束がほしいところだが、この土日はあまり期待できそうもない。
B爺さんに刺激を受けたわけでもないが、比較的近場でまだ雪を楽しめそうだということで上谷山を選択した。
まったく雪のない針川から上谷山南西尾根に取り付いた。ここを歩くのももう4回目だ。
完全な無雪期状態だがはっきりした道が続く。寡雪のヤブ山で雪を楽しむためには雪が出るところまで楽に歩ける
道があることが必須条件である。ご多聞に漏れず、この尾根も台風による倒木の被害が目立つ。
1時間ほどで727mピークに着いた。ここまで上がればほぼ急登は終わりである。ここから先はブナ林の続く緩やか
な尾根が1041mピークまで導いてくれる。特に727mあたりのブナ林の雰囲気は素晴らしい。
天気は予報通りの曇り空だが雨の心配はないだろう。尾根上には明瞭な踏み跡があり、下生えがほとんどないの
で踏み跡がなくても十分歩ける尾根だ。B爺さんの情報では標高800mを超えると雪が繋がるということだったが、
900mを超えても雪の気配がない。1041m台地の手前でやっと雪が現われてスノーシューを装着することができた。
と言っても雪は十分締まっており、履かなくても沈むことはないのだが背中に担いでいるよりはいいだろう。
ここで「大」休止を兼ねてゆっくり休憩。さて一服しようと携帯灰皿を取り出そうとしたが無い。ザックのポケット
が開いている。どうやらさっきの休憩時に閉め忘れて落としてしまったようだ。15年間愛用してきた灰皿なので残念
だが仕方がない。タバコケースが無事だったのが不幸中の幸いだ。
2月のスノーシューではタバコケースを落としてしまい、半日以上禁煙を余儀なくされたのである。
1041mピーク先のヤブも苦労することはなく、上谷山への最後の登りにかかる。
曇り空ではあるが高曇りなので展望はそこそこ楽しむことができる。右手に横山岳と三国岳、金糞岳を眺めながら
尾根芯を辿ると前方に白いものが見えた。霧氷だ。今日は気温がかなり下がったせいだろう。まったく予期してい
なかっただけに嬉しい誤算である。
霧氷ロードを歩いて上谷山頂に立った。遮られていた視界の奥から越美国境と奥美濃の山々が姿を現わした。
三国岳から連なる稜線には夜叉ヶ丸、三周ヶ岳、美濃俣丸、笹ヶ峰、金草岳、能郷白山が続き、高丸や不動山、千
回沢山、小津権現山、天狗山、黒津山、そして頭だけ出した蕎麦粒山といったそうそうたる山々が一望だ。
目に入る山で登っていないのは不動山と千回沢山だけだろう。一度しか登っていない山はない。繰り返し何度も訪
れたわが愛すべき山々。幸いなことに風もあまりなく、たまに日差しも出てきた。
登っている時は風があるので山頂でのランチタイムは楽しめないのではと思っていたのである。
越美国境稜線を眺めながらの至福のランチタイム。1時間ほどしかスノーシューを履いて歩いていないのだが、十分
スノーシューハイクを楽しんだような感覚だ。
往路を戻るという選択肢はないので、江美国境稜線へ踏み出した。越前側の下界は晴れているようで、進行方向
は日が当たっている。この稜線は越美国境より雪が少ないこともあり楽しく歩くというわけにはいかない。
この稜線歩きを楽しむためにはヤブを覆い尽くすだけの積雪量が必要である。
雪面から頭を出した潅木のヤブは些か鬱陶しく、2手・3手先を読んで進路を探りながらの前進でペースが上がら
ない。右手の越前側からは植林が入っていることもあり、坦々と行程を消化するセクションとなった。
ただ進むにつれ青空が広がり始め、振り返ると上谷山頂も陽光を浴びて白く輝いていた。もう少し早く晴れてくれ
ればなあと思うも詮無いことである。
三角点「滝ヶ谷」先の鉄塔尾根分岐まで来た。思ったより時間がかかっている。あわよくば下谷山まで足を延ば
して大音波経由で渡渉無しで下山できるかもと思っていたが、ここから見る下谷山は遠く、とんでもない話だった。
何度も歩いている鉄塔尾根を下る。右手のブナ林に入るあたりで雪が切れた。巡視路は初めて来た時に比べると
登山道レベルの明瞭さになっている。このまま巡視路を下ってもいいのだが、予定通り針川二俣へダイレクトに下
りる尾根を選ぶ。無味乾燥な巡視路よりいいブナ林があるこちらの方が楽しみが多いのだ。
但し尾根の下部は踏み跡も怪しい中の急降下。しかもかなりヤブっぽくなる。
最近はこういう場面で躊躇なくチェーンスパイクを履くようになった。滑るのを恐れて腰が引けるよりはるかに
安心して歩けるのだ。これも堕落と言えば堕落なのかもしれないが、衰えをカバーするために道具を利用するのは
リスク回避のためには重要なことである。
最後は間違えて針川の右俣側に出てしまったが大差はない。どこに下りても最低2回の渡渉が必要なのだ。
チェーンスパイクは渡渉にも威力を発揮する。川底のぬめった岩でも滑ることなく安定した渡渉が可能だ。ただ流
れが速く、水量もヒザ程度まであるので、Wストックでバランスを取りながらすり足で進む必要がある。
靴の中は水浸しだが、後は廃林道をのんびり歩くだけだ。
ずぼらして外したチェーンスパイクをスノーシューに挟んで歩いていたら、いつの間にか無くなっているのに気
付いて探しに戻るというお粗末もあったが余裕のある時間に針川へ帰り着いた。
賞味期限切れ寸前、なんとか間に合った雪の上谷山だった。
山日和