[野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

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sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

[野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by sato »

[日付]    2019年1月29日(火)
[山域]    野坂山地
[メンバー]  sato
[天候]    雪のち曇り一時晴れ
[ルート]   駄口~インディアン平原~駄口

 雨戸を開け外を覘くとどんより湿った空気が頬に触れた。青灰色の空を見上げる。雪は止んだ。よし出かけよう。
昨晩アルバイト先から「明日は休み」のメールを受け取った。明日はどうしようかな、起きてから考えようと眠りについたのだ。

 北小松の地図を眺めながら朝ごはんを食べていると、つるりとした雪の平原が頭に浮かんできた。
「そうだ、岩籠山に行こう。」駄口の地図を取りに立ち上がる。

 明るくなってから家を出る。マキノに入ると雪になる。側道に積もった雪を見て、駐車場に入れるかなと心配になる。着いてみると12,3cmの積雪。
胸をなでおろすが奥まで進む勇気が出ず一番手前にでんと駐車する。

 昨晩からの積雪で踏み跡は見当たらない。よかった。まっさらな雪の風景に出合える。わくわくした気分で歩き始める。尾根に乗るまでの登山道の
位置を忘れてしまったので、適当に植林の斜面を登っていく。すぐに乗れるだろうと思ったが、やぶっぽくなってきて、いばらの棘が服に引っかかる。
あぁ失敗した。近道と直登したがる自分に苦笑する。

 尾根に出るとすっきりとした雪道が現れた。てくてくと足が進む。積もりたての雪は柔らかで次第にふくらはぎまで潜るようになるが、足裏の雪の感触
が心地よく677mピークまでツボ足で歩く。

 さぁブナの林が始まる。スノーシューを履き出発する。
鹿やウサギもまだ通っていない雪の斜面が目の前に広がる。小雪舞うしんと静まり返った世界。すらりとしたブナの木が無表情で立ち並ぶ。ドキリとし
て立ち止まる。あまりの静けさに足音をたてるのをためらう。ぐるりとブナを見渡す。無表情のブナ・・・沈黙の世界に吸い込まれそうになる。我に返り
斜面を勢いよく駆け降りる。ブナを見る。くすりと笑ったような気がした。あぁよかった。愉快な気分に戻る。
「今日はブナと戯れよう」
まっすぐに山頂に向かうのをやめ、右に行ったり左に行ったり、かっこいいブナ、素敵なブナを探しながらゆらゆらブナの林を彷徨う。

 斜面の上に岩が見えた。インディアン平原の入り口だ。岩を目指し灌木の間を直登する。
ぽんと台地に出たと同時に、「あっ」と息を飲む。白く滑らかな雪原、霧氷で飾られた木々、凛とそびえ立つ岩。期待を超えた美しい世界の展開に暫し
夢うつつになる。吸い寄せられるように銀色の木々の先、尖った岩が立つ山頂南のピークへと向かう。

 岩の傍らに立つ。ふいにこの山を初めて訪れた日の光景が甦る。暑い夏の最中、あの日もここに立ち、ぼんやり景色を眺めていた。あれからどれだ
けの年月が経ったのだろう。何年か後、また同じ場所に立ち同じことを思うのだろうな、こんな風にぐるぐる同じことを繰り返しながら年を取っていくのだ
ろうな。一人感慨にふける。曇天の情景はこころの奥深くに呼びかける。

 お腹が空いてきた。お昼ご飯にしよう。岩籠山の山頂はまた今度とつぶやき、斜面を駆け降りる。
風を避け岩影に縮こまり、パンをかじりチャイを飲みながら冬の野坂山地の山並みを幾度となく目で追う。青空が広がってきた。ぱっと明るくなった風景
を眺めていると、登り始めに浮かんだ周回コースを歩くのが面倒になる。帰りもブナの林で遊ぼう。重い腰を上げ白銀の平原にさよならをする。

 足の向くまま、ブナの木々の間をすり抜け708mと677mの鞍部に戻る。
白く冷たい斜面には、ジグザグとわたしの足跡が刻まれ雑音を感じる。無表情だったブナたちは、つんと澄ました顔で立っている。あれはいったい何だっ
たのだろう・・・可笑しくなる。雪道を辿り下っていくと登山口に着いた。急がば回れということなのね。うんうんと頷く。

 新雪の積もった小さな里山を足の向くまま、気の向くままに歩く愉しさ、山の秘密の表情に出合う嬉しさを満喫し、にんまりしながら帰路に就く。
添付ファイル
DSC_0442.JPG
DSC_0440.JPG
アバター
山日和
記事: 3573
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by 山日和 »

Satoさん、こんにちは。やぶこぎへようこそです。
初投稿おめでとうございます。

 北小松の地図を眺めながら朝ごはんを食べていると、つるりとした雪の平原が頭に浮かんできた。
「そうだ、岩籠山に行こう。」駄口の地図を取りに立ち上がる。

さすがの私も地図を見ながらごはんを食べたことはありません。 :lol:

 胸をなでおろすが奥まで進む勇気が出ず一番手前にでんと駐車する。

ドライブインしのはらの駐車場ですよね。平日なら一台も止まってないでしょう。
ど真ん中に止めても平気ですよ。 :mrgreen:

 尾根に乗るまでの登山道の位置を忘れてしまったので、適当に植林の斜面を登っていく。

ドライブイン側の駐車場の横に大きな看板がありますが、目に入りませんでしたか。

 さぁブナの林が始まる。スノーシューを履き出発する。
鹿やウサギもまだ通っていない雪の斜面が目の前に広がる。小雪舞うしんと静まり返った世界。すらりとしたブナの木が無表情で立ち並ぶ。ドキリとして立ち止まる。あまりの静けさに足音をたてるのをためらう。ぐるりとブナを見渡す。無表情のブナ・・・沈黙の世界に吸い込まれそうになる。我に返り斜面を勢いよく駆け降りる。ブナを見る。くすりと笑ったような気がした。あぁよかった。愉快な気分に戻る。
「今日はブナと戯れよう」
まっすぐに山頂に向かうのをやめ、右に行ったり左に行ったり、かっこいいブナ、素敵なブナを探しながらゆらゆらブナの林を彷徨う。

ここからがこのコースの白眉ですね。口無谷右俣源頭とインディアン平原手前のブナ林が特に
見事です。しかし笑ってるブナや怒ってるブナがあったら怖いですね。 :lol:
いいブナを見つけるたびに右往左往するのはブナフェチの習い性ですね。

 斜面の上に岩が見えた。インディアン平原の入り口だ。岩を目指し灌木の間を直登する。
ぽんと台地に出たと同時に、「あっ」と息を飲む。白く滑らかな雪原、霧氷で飾られた木々、凛とそびえ立つ岩。期待を超えた美しい世界の展開に暫し夢うつつになる。吸い寄せられるように銀色の木々の先、尖った岩が立つ山頂南のピークへと向かう。

まったく踏み跡のないこの雪原に立つとこころが解き放たれるような感覚になるでしょう。
いわゆる南峰のピークは山頂よりいいと思います。
P1100193_1.JPG
 岩の傍らに立つ。ふいにこの山を初めて訪れた日の光景が甦る。暑い夏の最中、あの日もここに立ち、ぼんやり景色を眺めていた。あれからどれだけの年月が経ったのだろう。何年か後、また同じ場所に立ち同じことを思うのだろうな、こんな風にぐるぐる同じことを繰り返しながら年を取っていくのだろうな。一人感慨にふける。曇天の情景はこころの奥深くに呼びかける。

スカッと晴れていると目に入る景色だけに心を奪われて、内面の想像力の動きが少なくなるのかもしれませんね。

 風を避け岩影に縮こまり、パンをかじりチャイを飲みながら冬の野坂山地の山並みを幾度となく目で追う。青空が広がってきた。ぱっと明るくなった風景を眺めていると、登り始めに浮かんだ周回コースを歩くのが面倒になる。帰りもブナの林で遊ぼう。重い腰を上げ白銀の平原にさよならをする。

雪山では暖かい食事はしないんですか?私がこの状況なら最低1時間半コースです。 :mrgreen:

 白く冷たい斜面には、ジグザグとわたしの足跡が刻まれ雑音を感じる。無表情だったブナたちは、つんと澄ました顔で立っている。あれはいったい何だったのだろう・・・可笑しくなる。雪道を辿り下っていくと登山口に着いた。急がば回れということなのね。うんうんと頷く。

帰りでは違った顔で迎えてくれましたか。ちょっとした光線の具合と自分のこころの動きによって違って見えるんでしょうね。

 新雪の積もった小さな里山を足の向くまま、気の向くままに歩く愉しさ、山の秘密の表情に出合う嬉しさを満喫し、にんまりしながら帰路に就く。

いい一日でしたね。 :D

                 山日和
SHIGEKI
記事: 1028
登録日時: 2011年7月25日(月) 18:30

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by SHIGEKI »

satoさん こんばんは。

初めまして。

[日付]    2019年1月29日(火)
[山域]    野坂山地
[メンバー]  sato
[天候]    雪のち曇り一時晴れ
[ルート]   駄口~インディアン平原~駄口
 雨戸を開け外を覘くとどんより湿った空気が頬に触れた。青灰色の空を見上げる。雪は止んだ。よし出かけよう。
昨晩アルバイト先から「明日は休み」のメールを受け取った。明日はどうしようかな、起きてから考えようと眠りについたのだ。

 北小松の地図を眺めながら朝ごはんを食べていると、つるりとした雪の平原が頭に浮かんできた。
「そうだ、岩籠山に行こう。」駄口の地図を取りに立ち上がる。

1月29日は新雪だったんですね。

不肖S、実は2月5日に同じく歩いています。

repしてませんが・・・・

20190205-P2055022.jpg
[/color]
適当に植林の斜面を登っていく。すぐに乗れるだろうと思ったが、やぶっぽくなってきて、いばらの棘が服に引っかかる。
あぁ失敗した。近道と直登したがる自分に苦笑する。

そうそう :D

何年も山を歩いて、何回も痛い目のあっても そうしてしまいますね。



 尾根に出るとすっきりとした雪道が現れた。てくてくと足が進む。積もりたての雪は柔らかで次第にふくらはぎまで潜るようになるが、足裏の雪の感触
が心地よく677mピークまでツボ足で歩く。

不肖Sの時は、ちょうど500m 左折するコバ地から締まった雪でスノーシューはきました。


 ブナを見る。くすりと笑ったような気がした。あぁよかった。愉快な気分に戻る。
「今日はブナと戯れよう」
まっすぐに山頂に向かうのをやめ、右に行ったり左に行ったり、かっこいいブナ、素敵なブナを探しながらゆらゆらブナの林を彷徨う。

たった一人、同じようなことをしてました。

いい山毛欅の森、源頭の優しい曲線でした。

夢うつつになる。吸い寄せられるように銀色の木々の先、尖った岩が立つ山頂南のピークへと向かう。
20190205-P2055097.jpg
ですよね。たぶん同じ場所で2時間まったり、してたら、2人のパーティーが素通りして本峰へと向かいました。


 岩の傍らに立つ。ふいにこの山を初めて訪れた日の光景が甦る。暑い夏の最中、あの日もここに立ち、ぼんやり景色を眺めていた。あれからどれだ
けの年月が経ったのだろう。何年か後、また同じ場所に立ち同じことを思うのだろうな、こんな風にぐるぐる同じことを繰り返しながら年を取っていくのだ
ろうな。一人感慨にふける。曇天の情景はこころの奥深くに呼びかける。

お~ 10数年前の夏、口無谷から遡って以来でした。何か、私のrepを書いてくれたような・・・不思議な気分です。

          では また どこか 静寂の里山で

              SHIGEKI





 
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by sato »

山日和様

こんばんは。
御挨拶なしに投稿してしまい失礼いたしました。
こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。

岩籠山は実に様々な表情を持った素敵な山だなぁと感じます。
新雪のインディアン平原は素晴らしいですね。
何時までも眺めていたい気分でしたが、冷えてきて1時間が限界でした。
冷え性で今も両足にしもやけが出来ています。

雪の季節は小さな山ならではの愉しみがたくさんありますね。
いい時間を過ごせてよかったなぁと思う山歩きを続けていきたいなぁと思います。

sato
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by sato »

SHIGEKI様

初めまして。satoと申します。
昨年、ダイラでのオフ会に参加させていただきました。
山という共通の愉しみを持つ、異なる環境で様々な思いを抱え日々を送っているメンバーの方々が、秋の一日集合し
語り合う輝く一日なのだなぁと、みなさまを見ていて胸にじんときました。
初めての場でボォッとしている間に終わってしまいました。みなさまとまたお話しできたらと思いました。
ご縁が出来、うれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします


すぐ後、SHIGEKI様も岩籠山を歩かれたのですね。
SHIGEKI様と同じようなことを私も感じたのだと知りうれしいです。
私の初めての岩籠山は市橋からの登山道でした。谷沿いに野イチゴが生っていて、つまみながら歩いた記憶が残っています。
口無谷は美しく遡って楽しい谷ですね。岩に手を置くとふにゃっとして、カエルを触っていたというくらいカエルがたくさんいました。

どこかの山でばったりお会いする日を楽しみに、山に出かけます。

sato
シュークリーム
記事: 2060
登録日時: 2012年2月26日(日) 17:35
お住まい: 三重県津市

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by シュークリーム »

satoさん、はじめまして。シュークリームと言います。
やぶこぎネットへの初投稿おめでとうございます。これからもどんどんレポあげてくださいね。楽しみにしています。
昨年のオフ会に参加されたと書かれていたんで、誰かなと思っていましたが、山日和さんに教えていただいてわかりました。satoさんが行かれる山はおそらくやぶメンが興味を持ちそうな山ですので、参考にさせていただきます。

私は最近出不精になって三重県以外の山に行くことはスノー衆以外にはあまりなくなりましたが、今年からは時間もできそうなので県外の山へも出かけたいと思っています。

yamanekoさんにも書きましたが、オフ会、スノー衆以外に、台高好きの連中が集まって春の山菜闇鍋、秋のきのこ闇鍋もやっていますんで、気が向いたら参加してみてください。こっちの方は鍋を囲んで山中で一晩明かします。

山レポへのレスじゃなくてごめんなさいね。
またどこかのやぶメン向きの山で・・・
                         @シュークリーム@
sato
記事: 417
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: [野坂山地] 新雪の里山に遊ぶ 岩籠山

投稿記事 by sato »

シュークリーム様

こんばんは。
私のレポをお読みいただきましてありがとうございます。
シュークリームさまのお名前は印象に残っております。(お顔は忘れてしまいました、すみません・・・)
何故「しゅーくりーむさん」なのだろう?と思いました。何故と思われるようにお付けになったのかなぁと思ったりもしました。

私は一人では近くの山を半日プラプラすることがほとんどです。
台高は全くと言っていいくらい知りません。歩けば歩くほど魅了されていくのだろうなぁと感じます。
山菜やきのこの鍋パーティー?楽しそうですね。
春のオフ会にはまた参加させていただきたいです。
お話しできる日を楽しみにしております。その時、ハンドルネームの由来も是非お教えくださいませ。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

sato

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