【鈴鹿】年末年始の雪山2題
Posted: 2019年1月06日(日) 16:12
【日 付】2018年12月31日(月)
【山 域】鈴鹿 竜ヶ岳
【天 候】晴れ
【コース】宇賀渓---ナナツヤマの尾根620m地点(往復)
終わり良ければなんとやらと言うが、「良ければ」の話である。2018年の山納めは年末で一番天気のいい
大晦日にしたのはよかったが、要らんことしいの虫が出て、不完全燃焼の締めくくりになってしまった。
当初は例年のように滋賀県側からの御池岳で霧氷のテーブルランドを楽しむつもりだった。
しかし奥永源寺の道の駅まで来てみると予想以上に雪が多く、この状況では君ヶ畑から先には車で入れない
だろう。そうなると林道歩きだけで往復2時間半は費やしてしまう。
確実に登山口まで入れるところをと、石槫トンネルを抜けてコンビニで朝飯を食いながら鈴鹿の山並みを眺
めて行き先を考えた。ここは鎌から藤原までの鈴鹿主脈を一望できるいいコンビニだ。
紆余曲折の末に宇賀渓からの竜ヶ岳を選択。有料駐車場には意外に多くの車が止まっている。
念のため無料駐車場に車を止めた。意外だったのは、大晦日だというのに入山料徴収のおじさんがいたこと
だ。年末年始ぐらいゆっくり休んだらいいのに。
この2日間でたっぷり雪の供給があったようで、谷沿いの道は十分の積雪だ。多くの先行者のトレースで
ラッセルの必要もない。金山尾根の分岐まで来たところで気が変わった。
イージーに金山尾根から遠足尾根へ周回するつもりだったが面白くない。隣のナナツヤマの尾根を登るこ
とにする。分岐から先はノートレースだった。谷を回り込むところは雪だまりでヒザまで潜るが、だいたい
は踝からふくらはぎ程度。雪も軽いので楽だった。
五階滝で渡渉したすぐ先が尾根の取付きだ、動物の足跡が尾根へと導いてくれた。
この尾根はちょっとした岩場もあり面白いコースなのだが、だんだん雪が深くなって少々難儀するようにな
ってきた。隣の金山尾根も昔はバリハイルートで今は正式登山道に格上げされたのだが、この尾根はずっと
このままだろう。
ここで大変なことに気が付いた。ビールを忘れたのだ。なんたる失態。山納めにビール抜きとはなんとも
締まらない話である。モチベーションが「シュルシュルシュル」と音を立ててしぼんでいくのが聞こえるよ
うだ。おまけにラッセルはヒザを超え始めた。スノーシューは必要ないだろうと車に残してきたのだ。
金山尾根を上がっていればもちろんスノーシュー不要だったろう。テキトーな判断でいちびってしまったの
が失敗だった。
標高620mあたりでモチ切れしてビール抜きのランチタイムに切り替えた。辛うじて街の向こうに伊勢湾が見
える。頭上は青空。金山尾根なら今頃大展望を楽しみながら、山頂への最後の登りにかかっている頃だろう。
なんとも冴えない山納めになってしまったものだ。
【日 付】2019年1月3日(木)
【山 域】鈴鹿 綿向山
【天 候】曇り時々小雪
【コース】熊野神社8:40---10:48水無山南峰---11:19念仏ハゲのコル---12:12綿向山12:30---
12:42念仏ハゲのコル13:44---13:56林道終点---15:01熊野神社
2019年の初登り。不完全燃焼に終わった年末の分を取り返さねばならない。
とりあえず登頂第一ということで、確実に山頂に立てるであろう綿向山を選択した。
だからと言って西明寺から表参道をというわけにはいかない。人だらけの踏み固められた雪道を歩くぐらいな
らラッセルでもがく方がマシだ。まあ、それほどの積雪もないだろうと、たかをくくって熊野神社からの尾根
を登ることにした。
天気はさほど良くないとは思っていたが、歩き始めから雪が舞っている。暑いのにアウターを着なければい
けないのが鬱陶しい。
林道を少し進んだところから尾根に取り付いた。積雪は20センチほどだがすぐにスノーシューを装着。少な
い積雪でも履いた方が歩きやすいし、第一背中が軽くなるのがいいのだ。
この尾根は植生があまり魅力的とは言えないが、高度が上がるとブナ林が出てくる。そして大きな目的であ
る霧氷が林を飾り始めた。最初のうちは軽かった雪も徐々に重くなり、沈みが大きくなってきた。
神社から2時間ほどで水無山南峰に到着。誰にも会わないのはいいが、何にも見えない。天気が良ければここ
から綿向山のどっしりした姿が眺められるところだ。今日はまったくモノトーンの世界。これはこれで味があ
るというものだというのはほぼ負け惜しみである。
水無山本峰までの尾根もノートレース。雪の量も増えて、スノーシューを履いていてもヒザぐらいのラッセ
ルを強いられた。
文三ハゲの鞍部へ一旦下り、綿向山への登りに備えて一服。こんな状況で綿向の山頂に立つことに意味がある
のかとも思ったが、いやいや、今日の趣旨は山頂に立つことだと思い直す。
この稜線に出れば少しは雪が締まっているかもとの期待も裏切られた。重い雪を踏みしめて一歩一歩足を出す
しかない。足が上がっていればそのうち山頂に到着するだろう。
霧氷満開のブナ林を抜けると唐突に雪原に飛び出した。山頂の南端である。神社と塔の立つ山頂はこんな天
気にもかかわらず、多くの人で賑わっていた。表参道からのコースは広い幅で踏み固められて高速道路状態。
みなさん一様にアイゼンを履いており、ストックではなくピッケルをぶら下げている人もいる。
スノーシューを履いた当方がなにか場違いのような雰囲気である。
雨乞岳から御在所・鎌といった鈴鹿の重鎮の展望台であるこの山頂も、今日は白いベールに包まれて冷たい風
が吹き抜けるのみだ。ならば長居は無用である。
ランチは文三ハゲの鞍部まで下ってからにしよう。重い足を引きずるように登った斜面も下りは速い。
あっという間に鞍部に着いてしまった。文三ハゲ側の斜面に一段下りれば無風状態の快適なランチ場ができた。
食後は文三ハゲの大斜面に飛び込む。ジグザクを切って夏道が付けられているのだが、今は均一に雪に覆わ
れてまったくわからない。まっすぐ下れば道は関係ないと言いたいところだが、斜面には土砂の流れ止めの柵
がたびたび出てくるので油断できない。
振り返って見上げるこの雪の大斜面は、鈴鹿ではあまり見られないダイナミックな風景だと思う。晴れてい
ればもちろん素晴らしいが、ガスで霞んだ今日の景色も陰鬱な雰囲気を醸し出して違う魅力が感じられる。
ずんずん下って行くと谷の右岸側に林道終点が現われる。
元日に登った落第忍者さんのものと思われるトレースがうっすらと残っていたが、果敢に突っ込んできたクロ
カン四駆の轍がUターンしていたところまではラッセルが続いた。
熊野神社まで帰って来ると、止んでいた雪が再び舞い始めた
山日和
【山 域】鈴鹿 竜ヶ岳
【天 候】晴れ
【コース】宇賀渓---ナナツヤマの尾根620m地点(往復)
終わり良ければなんとやらと言うが、「良ければ」の話である。2018年の山納めは年末で一番天気のいい
大晦日にしたのはよかったが、要らんことしいの虫が出て、不完全燃焼の締めくくりになってしまった。
当初は例年のように滋賀県側からの御池岳で霧氷のテーブルランドを楽しむつもりだった。
しかし奥永源寺の道の駅まで来てみると予想以上に雪が多く、この状況では君ヶ畑から先には車で入れない
だろう。そうなると林道歩きだけで往復2時間半は費やしてしまう。
確実に登山口まで入れるところをと、石槫トンネルを抜けてコンビニで朝飯を食いながら鈴鹿の山並みを眺
めて行き先を考えた。ここは鎌から藤原までの鈴鹿主脈を一望できるいいコンビニだ。
紆余曲折の末に宇賀渓からの竜ヶ岳を選択。有料駐車場には意外に多くの車が止まっている。
念のため無料駐車場に車を止めた。意外だったのは、大晦日だというのに入山料徴収のおじさんがいたこと
だ。年末年始ぐらいゆっくり休んだらいいのに。
この2日間でたっぷり雪の供給があったようで、谷沿いの道は十分の積雪だ。多くの先行者のトレースで
ラッセルの必要もない。金山尾根の分岐まで来たところで気が変わった。
イージーに金山尾根から遠足尾根へ周回するつもりだったが面白くない。隣のナナツヤマの尾根を登るこ
とにする。分岐から先はノートレースだった。谷を回り込むところは雪だまりでヒザまで潜るが、だいたい
は踝からふくらはぎ程度。雪も軽いので楽だった。
五階滝で渡渉したすぐ先が尾根の取付きだ、動物の足跡が尾根へと導いてくれた。
この尾根はちょっとした岩場もあり面白いコースなのだが、だんだん雪が深くなって少々難儀するようにな
ってきた。隣の金山尾根も昔はバリハイルートで今は正式登山道に格上げされたのだが、この尾根はずっと
このままだろう。
ここで大変なことに気が付いた。ビールを忘れたのだ。なんたる失態。山納めにビール抜きとはなんとも
締まらない話である。モチベーションが「シュルシュルシュル」と音を立ててしぼんでいくのが聞こえるよ
うだ。おまけにラッセルはヒザを超え始めた。スノーシューは必要ないだろうと車に残してきたのだ。
金山尾根を上がっていればもちろんスノーシュー不要だったろう。テキトーな判断でいちびってしまったの
が失敗だった。
標高620mあたりでモチ切れしてビール抜きのランチタイムに切り替えた。辛うじて街の向こうに伊勢湾が見
える。頭上は青空。金山尾根なら今頃大展望を楽しみながら、山頂への最後の登りにかかっている頃だろう。
なんとも冴えない山納めになってしまったものだ。
【日 付】2019年1月3日(木)
【山 域】鈴鹿 綿向山
【天 候】曇り時々小雪
【コース】熊野神社8:40---10:48水無山南峰---11:19念仏ハゲのコル---12:12綿向山12:30---
12:42念仏ハゲのコル13:44---13:56林道終点---15:01熊野神社
2019年の初登り。不完全燃焼に終わった年末の分を取り返さねばならない。
とりあえず登頂第一ということで、確実に山頂に立てるであろう綿向山を選択した。
だからと言って西明寺から表参道をというわけにはいかない。人だらけの踏み固められた雪道を歩くぐらいな
らラッセルでもがく方がマシだ。まあ、それほどの積雪もないだろうと、たかをくくって熊野神社からの尾根
を登ることにした。
天気はさほど良くないとは思っていたが、歩き始めから雪が舞っている。暑いのにアウターを着なければい
けないのが鬱陶しい。
林道を少し進んだところから尾根に取り付いた。積雪は20センチほどだがすぐにスノーシューを装着。少な
い積雪でも履いた方が歩きやすいし、第一背中が軽くなるのがいいのだ。
この尾根は植生があまり魅力的とは言えないが、高度が上がるとブナ林が出てくる。そして大きな目的であ
る霧氷が林を飾り始めた。最初のうちは軽かった雪も徐々に重くなり、沈みが大きくなってきた。
神社から2時間ほどで水無山南峰に到着。誰にも会わないのはいいが、何にも見えない。天気が良ければここ
から綿向山のどっしりした姿が眺められるところだ。今日はまったくモノトーンの世界。これはこれで味があ
るというものだというのはほぼ負け惜しみである。
水無山本峰までの尾根もノートレース。雪の量も増えて、スノーシューを履いていてもヒザぐらいのラッセ
ルを強いられた。
文三ハゲの鞍部へ一旦下り、綿向山への登りに備えて一服。こんな状況で綿向の山頂に立つことに意味がある
のかとも思ったが、いやいや、今日の趣旨は山頂に立つことだと思い直す。
この稜線に出れば少しは雪が締まっているかもとの期待も裏切られた。重い雪を踏みしめて一歩一歩足を出す
しかない。足が上がっていればそのうち山頂に到着するだろう。
霧氷満開のブナ林を抜けると唐突に雪原に飛び出した。山頂の南端である。神社と塔の立つ山頂はこんな天
気にもかかわらず、多くの人で賑わっていた。表参道からのコースは広い幅で踏み固められて高速道路状態。
みなさん一様にアイゼンを履いており、ストックではなくピッケルをぶら下げている人もいる。
スノーシューを履いた当方がなにか場違いのような雰囲気である。
雨乞岳から御在所・鎌といった鈴鹿の重鎮の展望台であるこの山頂も、今日は白いベールに包まれて冷たい風
が吹き抜けるのみだ。ならば長居は無用である。
ランチは文三ハゲの鞍部まで下ってからにしよう。重い足を引きずるように登った斜面も下りは速い。
あっという間に鞍部に着いてしまった。文三ハゲ側の斜面に一段下りれば無風状態の快適なランチ場ができた。
食後は文三ハゲの大斜面に飛び込む。ジグザクを切って夏道が付けられているのだが、今は均一に雪に覆わ
れてまったくわからない。まっすぐ下れば道は関係ないと言いたいところだが、斜面には土砂の流れ止めの柵
がたびたび出てくるので油断できない。
振り返って見上げるこの雪の大斜面は、鈴鹿ではあまり見られないダイナミックな風景だと思う。晴れてい
ればもちろん素晴らしいが、ガスで霞んだ今日の景色も陰鬱な雰囲気を醸し出して違う魅力が感じられる。
ずんずん下って行くと谷の右岸側に林道終点が現われる。
元日に登った落第忍者さんのものと思われるトレースがうっすらと残っていたが、果敢に突っ込んできたクロ
カン四駆の轍がUターンしていたところまではラッセルが続いた。
熊野神社まで帰って来ると、止んでいた雪が再び舞い始めた
山日和