【但馬】佐津川左俣から三川山
Posted: 2018年9月06日(木) 20:31
【日 付】2018年9月2日(日)
【山 域】但馬 三川山887.8m
【天 候】晴れ
【コース】三川蔵王権現社8:03---8:12二俣入渓点---9:30 8m滝---11:18ランチ場13:00---13:22三川山13:42---
14:44二俣---14:53駐車地
兵庫県の山に登るのはいつ以来だろう。よくよく考えてみると、2002年の八木川右俣の布引谷以来だ。
先入観が強過ぎるのだろうと思うが、どうも植林のイメージがあって足が向かないのである。それに中国道の渋滞
に嫌気が差していたこともある。
今回登る佐津川左俣は10年以上前に山仲間が遡行レポを書いていて、こんないい谷があるのかと気になっていた
谷である。前夜のパナスタのガンバ初勝利(私が今年観戦した中での)を受けて、何の脈絡もないがこれは行かねば
なるまいと思い立った。思わしくなかった天気予報も好転している。
初めて走る道はワクワクするものだ。ずいぶん便利になったもので、大阪から豊岡の手前まで高速が繋がって、
1時間半ほどで行くことができる。そこから下道を1時間足らずで三川蔵王権現社のある香美町の佐津川沿いの道の
終点へ。国道の分岐から反対側に走ればすぐに日本海の香住海岸だ。ここは大昔、ボーイスカウトでキャンプに来
た記憶がある。
三川山はシャクナゲで有名らしく、花の時期には結構賑わうようだが人影はまったくない。
堰堤を越えて河原に下りると二俣になっており、その中間尾根に登山道が付けられている。
出合は水もチョロチョロで谷幅も狭く、ホントに遡行する値打ちがある谷なのか疑ってしまうような様相だ。
しかし少し進むと出合付近の様子がウソのように、ゆったりとした谷幅とそれなりの水量に変わった。
小滝とナメ滝が連続する美しい谷だが、とにかく林相が良い。標高はまだ300mほどしかないのだが、左俣に入っ
てからまったく植林がなく、トチを主体とした落葉広葉樹に覆われている。これは予想以上の渓相だ。
レポで見ていた難関の8m滝が現われた。左岸は高い壁で、滝は直登不可能。右岸の泥の詰まったガリーがルー
トになりそうだがズルズルでホールドも乏しそうだ。さらに左手のルンゼを上がって様子を探るが、落ち口方向
へトラバースできるポイントがなかなか見つからない。かなり追い上げられてやっとトラバース開始。谷に復帰
したところはゴルジュのど真ん中。8m滝に続く二つの小滝の上だった。正面には2段10mほどの滝が立ちはだか
り、これも直登できない。下段を左から、上段を右の微妙なトラバースラインを巻いて滝上に出ると、続いて真
ん中にトチの大木が立つ2条の滝と対面した。何か変だと思ってじっくり眺めると、そのトチの根が滝つぼまで
伸びているではないか。こういう木と滝のコンビネーションは見たことがない。
巻き上がると、滝の上にはここまでとはまったく違う風景が広がっていた。大きく開けた谷にはトチの大木が
立ち並び、まさに癒しの空間が広がっていた。この谷にはトチが多く、入渓してからずっとトチを見ていたのだ
が、ここのトチの森は別格だった。
その一本の水平に伸びたトチから水が落ちていた。木を伝って流れているのかと思ったが、驚いたことにトチ
の折れた枝から水が噴き出している。上に回ってみると、そのトチの根が浮き上がったところが取水口になって
いた。ここからトチの木の中に水路ができたようである。こんなのも初めてお目にかかった。
長いこと山をやっていても、見たことのないものがまだまだある。
もう滝も終わりかと思ったところで、この谷最大の滝が現われた。スラブを滑るように落ちる2条20mの滝だ。
ここは左から簡単に巻き上がる。落ち口に来て驚いた。ここで二俣になっており、しかも2条の流れはそれぞれ
違う谷の滝だったのである。
ここまで来るとランチ場をどこにするかが最大の関心事となる。山頂はランチには不適と思われる。
しばらく進んだところらお誂え向きの場所があった。サワグルミの林の中、結構落ち着けるところだ。着替えて
サッパリしたところでのんびりランチタイムを楽しんだ。
源流部は勾配のない湿地帯のような谷となった。稜線から植林が降りてきているので林相はまったく話になら
ない。すぐ上に見える林道へ上がってそのまま三川山頂へ。山頂にはNHKの中継所があり、三角点も杉林の中。
この山頂を目的として登ることなど考えられない。北側が開けて香住海岸の海が見えるのが唯一の救いだ。
下山路はシャクナゲコースと呼ばれる登山道を行く。植林だらけの山頂部から少し下ると見事なブナ林が広が
って頬が緩んだ。なかなかの巨木もあり、期待していなかっただけに喜びもひとしおだ。
そしてさらに下るとその名の通り、シャクナゲのトンネルが続く。林床にはイワカガミも多く、開花期にはさぞ
美しいことだろう。
この道は全体的に急坂が続くので仕事は速く、1時間余りで朝の二俣に下り着いた。
車を止めた三川蔵王権現に戻っても相変わらず人影はなかった。
山日和
【山 域】但馬 三川山887.8m
【天 候】晴れ
【コース】三川蔵王権現社8:03---8:12二俣入渓点---9:30 8m滝---11:18ランチ場13:00---13:22三川山13:42---
14:44二俣---14:53駐車地
兵庫県の山に登るのはいつ以来だろう。よくよく考えてみると、2002年の八木川右俣の布引谷以来だ。
先入観が強過ぎるのだろうと思うが、どうも植林のイメージがあって足が向かないのである。それに中国道の渋滞
に嫌気が差していたこともある。
今回登る佐津川左俣は10年以上前に山仲間が遡行レポを書いていて、こんないい谷があるのかと気になっていた
谷である。前夜のパナスタのガンバ初勝利(私が今年観戦した中での)を受けて、何の脈絡もないがこれは行かねば
なるまいと思い立った。思わしくなかった天気予報も好転している。
初めて走る道はワクワクするものだ。ずいぶん便利になったもので、大阪から豊岡の手前まで高速が繋がって、
1時間半ほどで行くことができる。そこから下道を1時間足らずで三川蔵王権現社のある香美町の佐津川沿いの道の
終点へ。国道の分岐から反対側に走ればすぐに日本海の香住海岸だ。ここは大昔、ボーイスカウトでキャンプに来
た記憶がある。
三川山はシャクナゲで有名らしく、花の時期には結構賑わうようだが人影はまったくない。
堰堤を越えて河原に下りると二俣になっており、その中間尾根に登山道が付けられている。
出合は水もチョロチョロで谷幅も狭く、ホントに遡行する値打ちがある谷なのか疑ってしまうような様相だ。
しかし少し進むと出合付近の様子がウソのように、ゆったりとした谷幅とそれなりの水量に変わった。
小滝とナメ滝が連続する美しい谷だが、とにかく林相が良い。標高はまだ300mほどしかないのだが、左俣に入っ
てからまったく植林がなく、トチを主体とした落葉広葉樹に覆われている。これは予想以上の渓相だ。
レポで見ていた難関の8m滝が現われた。左岸は高い壁で、滝は直登不可能。右岸の泥の詰まったガリーがルー
トになりそうだがズルズルでホールドも乏しそうだ。さらに左手のルンゼを上がって様子を探るが、落ち口方向
へトラバースできるポイントがなかなか見つからない。かなり追い上げられてやっとトラバース開始。谷に復帰
したところはゴルジュのど真ん中。8m滝に続く二つの小滝の上だった。正面には2段10mほどの滝が立ちはだか
り、これも直登できない。下段を左から、上段を右の微妙なトラバースラインを巻いて滝上に出ると、続いて真
ん中にトチの大木が立つ2条の滝と対面した。何か変だと思ってじっくり眺めると、そのトチの根が滝つぼまで
伸びているではないか。こういう木と滝のコンビネーションは見たことがない。
巻き上がると、滝の上にはここまでとはまったく違う風景が広がっていた。大きく開けた谷にはトチの大木が
立ち並び、まさに癒しの空間が広がっていた。この谷にはトチが多く、入渓してからずっとトチを見ていたのだ
が、ここのトチの森は別格だった。
その一本の水平に伸びたトチから水が落ちていた。木を伝って流れているのかと思ったが、驚いたことにトチ
の折れた枝から水が噴き出している。上に回ってみると、そのトチの根が浮き上がったところが取水口になって
いた。ここからトチの木の中に水路ができたようである。こんなのも初めてお目にかかった。
長いこと山をやっていても、見たことのないものがまだまだある。
もう滝も終わりかと思ったところで、この谷最大の滝が現われた。スラブを滑るように落ちる2条20mの滝だ。
ここは左から簡単に巻き上がる。落ち口に来て驚いた。ここで二俣になっており、しかも2条の流れはそれぞれ
違う谷の滝だったのである。
ここまで来るとランチ場をどこにするかが最大の関心事となる。山頂はランチには不適と思われる。
しばらく進んだところらお誂え向きの場所があった。サワグルミの林の中、結構落ち着けるところだ。着替えて
サッパリしたところでのんびりランチタイムを楽しんだ。
源流部は勾配のない湿地帯のような谷となった。稜線から植林が降りてきているので林相はまったく話になら
ない。すぐ上に見える林道へ上がってそのまま三川山頂へ。山頂にはNHKの中継所があり、三角点も杉林の中。
この山頂を目的として登ることなど考えられない。北側が開けて香住海岸の海が見えるのが唯一の救いだ。
下山路はシャクナゲコースと呼ばれる登山道を行く。植林だらけの山頂部から少し下ると見事なブナ林が広が
って頬が緩んだ。なかなかの巨木もあり、期待していなかっただけに喜びもひとしおだ。
そしてさらに下るとその名の通り、シャクナゲのトンネルが続く。林床にはイワカガミも多く、開花期にはさぞ
美しいことだろう。
この道は全体的に急坂が続くので仕事は速く、1時間余りで朝の二俣に下り着いた。
車を止めた三川蔵王権現に戻っても相変わらず人影はなかった。
山日和