【台高】メガネよさらば 木屋谷川本谷から国見山
Posted: 2011年8月18日(木) 21:41
【日 付】2011年8月16日(火)
【山 域】台高北部 国見山周辺
【天 候】晴れのち曇り一時雨
【コース】万才橋7:35---8:18ワサビ谷---9:10奥山谷---10:59馬駈辻---11:23国見山12:49---13:27鉄砲谷
---14:03奥山谷---14:41万才橋
木屋谷川。台高北部では最も手軽に楽しめる沢だ。本谷、国見山直登沢、鉄砲谷、奧山谷、口ワサビ谷と、どの本
支流を選んでも困難なくそれなりに遊ばせてくれる。
その中で本谷は、10数年前に一度行ったきりで記憶も薄らいでいる。盆休み最終日は我が家から渋滞の心配のない
この方面の沢でクールダウンしよう。
木屋谷川沿いの千秋林道は、未舗装部に入るとまるで嫌がらせのように大きなギャップが連続していた。ノーマルの
車では腹打ち必至だろう。
いつものように万才橋の左岸側から少し踏み跡を辿って、大木と大岩が目立つ河原に来ればそこが入渓点だ。
倒木を乗り越えようと踏み出した足元の木が外れて、顔面から河原に落ちて行く。すんでのところで踏みとどまったが、
メガネが顔に食い込んで、レンズが片方落ちてしまった。
水の中でレンズを探すほど困難なことはない。昨日、そろそろメガネを買い換えようと家で話していたのが悪かったのか。
幸いメガネなしで歩けないほど目が悪くないので、さほど不自由はしない。しかし幸先の悪いスタートである。
この木屋谷川は「川」と名が付くだけあって、谷の広がりはそこそこのスケールを持っている。下部は植林が目立つも
のの、スッキリとした流れはそれを気にさせないところがいい。
岩質もぬめりはほとんどなく、褐色の濡れたスラブ状の岩でもフリクションは抜群に利くのがうれしい。
ナメ滝と小滝を交えながらも、ほとんど平流と言える流れを淡々と進むと、3条に分かれた5mの滝が現われる。大抵
は中央突破だが、今日は軟弱に右から越えた。雨が降っていない割にはそこそこの水量がある。
そこから次々と美しいナメ滝が続いた。滑らかな岩を噛んで迸る流れに足を浸して、一歩一歩確かめるように上流へ足
を運ぶのは無上の喜びだ。
最近は厳しい滝の登攀からは心が離れてしまった。滝を登ること自体よりも、渓谷の造形の妙を楽しむ気持ちの方が
強くなったのだ。若い頃は30mクラスの滝があるかどうかが沢を選ぶ基準だったような時もあったが、今では気軽に登
れる10m内外の滝が多くある方が楽しい。もちろん滑るように流れ落ちるナメ滝も大好物である。
ワサビ谷手前の河原で一服。ここは必ず一本立てるレストポイントだ。頭上は大きく開けて気持ち良く休める場所であ
る。少し先には左からワサビ谷が本谷と並行して流れ込んでいるのが見える。ワサビ谷は巾3mほどのゴルジュとなっ
て合流し、すぐに90度左折して20mの大滝を落としている。
本谷の2m滝は、クジラの背のような右手の大岩に登ってかわす。3mクラスの滝が連続するが、いずれも大きく深い
釜や淵を伴う。水泳回避派の当方はあっさり巻きながらの前進である。
谷は突然円形のホールのような空間で行き止まりとなった。大滝の登場である。
大滝と言っても10mばかりの滝だが、2条に分かれて落ちるその美しい姿と、取り囲む高い岩壁とが形作る風景は、キ
リッと引き締まった気持ちにさせてくれる。
[attachment=4]P1110464_1_1.JPG[/attachment]
ここは通常トラロープの張られた右岸から巻くようだが、山日和御用達のルートは右岸のガレを上がって滝壺の方へ張
り出した小尾根状を回り込み、滝身の直近のルンゼ上部のガレへ出て、落ち口にトラバースするというものだ。
ここは何回通過しただろう。小尾根を回り込む最初の一歩が少し勇気の要るところだが、後はどうということもなく最短
コースで落ち口へ出ることができる。
大滝の上には5mの斜瀑が続き、その間の河原もまた私の大好きな場所のひとつである。
ここでザックを降ろし、右岸の巻き道を見に行った。いつも見ることがなかった右岸側からの大滝の横顔を拝ませて頂く。
反対から眺める大滝もなかなかいい。
[attachment=3]P1110471_1.JPG[/attachment]
奧山谷手前のゴルジュが本谷前半の最後のポイントだ。最狭部では1mばかりに両岸が迫るゴルジュの突き当りに
は3mのチョックストン滝が行く手を阻む。
いつものように右から取り付くが、何か違うような気がした。岩壁の間に挟まった頭大の石を両手で掴んで強引に体を
引き上げる。そこから反転して左の滝頭へ抜けるには背中のザックが邪魔だ。手を伸ばしてザックを先に落ち口の岩
の上に置く。転げ落ちたら取りに行くこともできない。続いて自分を置きに行くが、ホールドが安定しているので不安は
ない。滝壺の方へ体を投げ出すような姿勢を強いられるので少しむず痒い。
それにしてもこれまでもっと簡単に登ってたような気がしたのだが・・・
[attachment=2]P1110482_1.JPG[/attachment]
枯れ木1本だけとなった橋の残骸が架かる奧山谷が左から合する。右の本谷は深い釜の2m滝。腹まで浸かって左
からへつり、滝の上に上がればS字状の美しいナメ。ここもお気に入りのポイントだ。
ここからしばらくは平流となり変化に乏しいが、その代わり両岸の樹林が実に美しい。
8m滝を気持ちよく登れば鉄砲谷の出合となる。奥には4段20mほどの連瀑が覗いてる。
この滝も快適に直登できて楽しいところだ。ただ、鉄砲谷はこの滝だけで終わってしまうのが少し惜しい。
やや流倒木が目立ち始めた。流木が滝身にもたれかかる7m斜瀑、倒木の橋を渡って進むナメ滝等、流倒木がらみ
の滝が続く。
[attachment=1]P1110519_1.JPG[/attachment]
国見山直登沢の出合はあまり食指の動く雰囲気ではない。その奥に連瀑帯と30m大滝があるとは思えない渓相で
ある。
記憶もほとんど遥か彼方の本谷を進む。厳密に言えば数年前の冬、北の馬駈場からこのあたりへ下りて来て、対岸の
斜面を国見の方へ登ったことがあるので、ピンポイントの記憶はある。
このあたりまで来ると、流れそのものの変化はほとんどない。美しい樹林の中に細く穏やかな流れがあるだけだ。
出発時には青かった空も中盤から曇り空に変わり、今ではブナ林をガスが包むようになってしまった。
しかしそれも一興。今日は展望を楽しみに来たわけではない。涼しくて却って好都合である。それに霧はブナによく似
合うのだ。
谷のツメらしい急登もなく、いつの間にか水が切れ谷の形を失うと馬駈辻の登山道が目の前にあった。
木屋谷川本谷の最大の美点はツメの楽なことかもしれない。
手っ取り早く下山するなら北回りだが、ここはせめて国見山の頂上でも踏んで行こう。
右手の奈良県側は植林がちなのでいただけないが、左だけ向いていれば素敵なブナ林を楽しめる。
ガスのおかげでヒートアップすることなく山頂に到達。誰もいない。日陰のない山頂の広場も今日は日差しに苛まれ
ることもない。イスにするのにおあつらえ向きの岩が点在しているのでランチには持ってこいである。
もちろん晴れていれば南東ピークのブナ林へ逃げ込むことは言うまでもない。
そのうち降るだろうと思っていた雨がポツポツと来始めた。それを潮に店仕舞いとする。
下山は水無山の北東尾根か。南東ピークからボンサイ平へ下りて鉄砲谷をまたいで北東尾根に乗り直すというのもい
いだろう。
歩いていると雨が強くなってきた。これなら水無山へ一直線だと思っていたら、どうも様子がおかしい。
ブナ林が広がっているはずの左側に杉林がある。そうこうしているうちに標識が現れた。進行方向に赤ゾレ山の表示が
ある。こんなところにわざわざ違う標識を持って来るとは、イタズラにもほどがあると思っていたら広々とした草原に出た。
これは馬駈場ではないか。
南東に進んでいると思っていたら真逆にさっき来た道を戻っていたのだ。考えられない失態である。
しょんぼりしながら国見山へ再び登り返す。山頂から水無山~明神平へはどう考えても迷いようのないハッキリした道が
伸びている。道だけを意識していれば間違うはずもないのだが、登山道を外して歩くのがあたり前になっているが故の
大きな勘違いだった。
雨もほとんど止んだので、南東ピークからボンサイ平への尾根に入った。この斜面のブナ林は実に素晴らしい。
霧の中から浮かび上がるブナ達の姿が幻想的な世界を醸し出す。
[attachment=0]P1110577_1.JPG[/attachment]
ボンサイ平から鉄砲谷左岸尾根に入り、途中で谷をまたいで右隣の尾根に乗り換えた。確かこの尾根に御神木があ
ったはずだ。
国見山頂までまったく気にならなかった虫が雲霞の如く飛び回り始めた。止まると余計に襲撃を受けるので休むのも
ままならない。鉄砲谷の源流部も実にいい雰囲気を持っているのだが、じっくり眺めることもできなかった。
水無山北東尾根へトラバースしながら乗ろうと思ったが、結局最後は直上。これまた素晴らしい樹林の北東尾根も久し
振りだ。この一帯はブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、トチに加えてカエデも多いので、秋に来れば華やかな光景に出会える
だろう。
ノンストップでワサビ谷まで来ると、やっと虫の攻撃も収まった。冷たい流れで顔を洗う。ああ、気持ちいい。
通い慣れた山道を飛ばして万才橋に着く頃には再び日差しが戻っていた。
山日和
【山 域】台高北部 国見山周辺
【天 候】晴れのち曇り一時雨
【コース】万才橋7:35---8:18ワサビ谷---9:10奥山谷---10:59馬駈辻---11:23国見山12:49---13:27鉄砲谷
---14:03奥山谷---14:41万才橋
木屋谷川。台高北部では最も手軽に楽しめる沢だ。本谷、国見山直登沢、鉄砲谷、奧山谷、口ワサビ谷と、どの本
支流を選んでも困難なくそれなりに遊ばせてくれる。
その中で本谷は、10数年前に一度行ったきりで記憶も薄らいでいる。盆休み最終日は我が家から渋滞の心配のない
この方面の沢でクールダウンしよう。
木屋谷川沿いの千秋林道は、未舗装部に入るとまるで嫌がらせのように大きなギャップが連続していた。ノーマルの
車では腹打ち必至だろう。
いつものように万才橋の左岸側から少し踏み跡を辿って、大木と大岩が目立つ河原に来ればそこが入渓点だ。
倒木を乗り越えようと踏み出した足元の木が外れて、顔面から河原に落ちて行く。すんでのところで踏みとどまったが、
メガネが顔に食い込んで、レンズが片方落ちてしまった。
水の中でレンズを探すほど困難なことはない。昨日、そろそろメガネを買い換えようと家で話していたのが悪かったのか。
幸いメガネなしで歩けないほど目が悪くないので、さほど不自由はしない。しかし幸先の悪いスタートである。
この木屋谷川は「川」と名が付くだけあって、谷の広がりはそこそこのスケールを持っている。下部は植林が目立つも
のの、スッキリとした流れはそれを気にさせないところがいい。
岩質もぬめりはほとんどなく、褐色の濡れたスラブ状の岩でもフリクションは抜群に利くのがうれしい。
ナメ滝と小滝を交えながらも、ほとんど平流と言える流れを淡々と進むと、3条に分かれた5mの滝が現われる。大抵
は中央突破だが、今日は軟弱に右から越えた。雨が降っていない割にはそこそこの水量がある。
そこから次々と美しいナメ滝が続いた。滑らかな岩を噛んで迸る流れに足を浸して、一歩一歩確かめるように上流へ足
を運ぶのは無上の喜びだ。
最近は厳しい滝の登攀からは心が離れてしまった。滝を登ること自体よりも、渓谷の造形の妙を楽しむ気持ちの方が
強くなったのだ。若い頃は30mクラスの滝があるかどうかが沢を選ぶ基準だったような時もあったが、今では気軽に登
れる10m内外の滝が多くある方が楽しい。もちろん滑るように流れ落ちるナメ滝も大好物である。
ワサビ谷手前の河原で一服。ここは必ず一本立てるレストポイントだ。頭上は大きく開けて気持ち良く休める場所であ
る。少し先には左からワサビ谷が本谷と並行して流れ込んでいるのが見える。ワサビ谷は巾3mほどのゴルジュとなっ
て合流し、すぐに90度左折して20mの大滝を落としている。
本谷の2m滝は、クジラの背のような右手の大岩に登ってかわす。3mクラスの滝が連続するが、いずれも大きく深い
釜や淵を伴う。水泳回避派の当方はあっさり巻きながらの前進である。
谷は突然円形のホールのような空間で行き止まりとなった。大滝の登場である。
大滝と言っても10mばかりの滝だが、2条に分かれて落ちるその美しい姿と、取り囲む高い岩壁とが形作る風景は、キ
リッと引き締まった気持ちにさせてくれる。
[attachment=4]P1110464_1_1.JPG[/attachment]
ここは通常トラロープの張られた右岸から巻くようだが、山日和御用達のルートは右岸のガレを上がって滝壺の方へ張
り出した小尾根状を回り込み、滝身の直近のルンゼ上部のガレへ出て、落ち口にトラバースするというものだ。
ここは何回通過しただろう。小尾根を回り込む最初の一歩が少し勇気の要るところだが、後はどうということもなく最短
コースで落ち口へ出ることができる。
大滝の上には5mの斜瀑が続き、その間の河原もまた私の大好きな場所のひとつである。
ここでザックを降ろし、右岸の巻き道を見に行った。いつも見ることがなかった右岸側からの大滝の横顔を拝ませて頂く。
反対から眺める大滝もなかなかいい。
[attachment=3]P1110471_1.JPG[/attachment]
奧山谷手前のゴルジュが本谷前半の最後のポイントだ。最狭部では1mばかりに両岸が迫るゴルジュの突き当りに
は3mのチョックストン滝が行く手を阻む。
いつものように右から取り付くが、何か違うような気がした。岩壁の間に挟まった頭大の石を両手で掴んで強引に体を
引き上げる。そこから反転して左の滝頭へ抜けるには背中のザックが邪魔だ。手を伸ばしてザックを先に落ち口の岩
の上に置く。転げ落ちたら取りに行くこともできない。続いて自分を置きに行くが、ホールドが安定しているので不安は
ない。滝壺の方へ体を投げ出すような姿勢を強いられるので少しむず痒い。
それにしてもこれまでもっと簡単に登ってたような気がしたのだが・・・
[attachment=2]P1110482_1.JPG[/attachment]
枯れ木1本だけとなった橋の残骸が架かる奧山谷が左から合する。右の本谷は深い釜の2m滝。腹まで浸かって左
からへつり、滝の上に上がればS字状の美しいナメ。ここもお気に入りのポイントだ。
ここからしばらくは平流となり変化に乏しいが、その代わり両岸の樹林が実に美しい。
8m滝を気持ちよく登れば鉄砲谷の出合となる。奥には4段20mほどの連瀑が覗いてる。
この滝も快適に直登できて楽しいところだ。ただ、鉄砲谷はこの滝だけで終わってしまうのが少し惜しい。
やや流倒木が目立ち始めた。流木が滝身にもたれかかる7m斜瀑、倒木の橋を渡って進むナメ滝等、流倒木がらみ
の滝が続く。
[attachment=1]P1110519_1.JPG[/attachment]
国見山直登沢の出合はあまり食指の動く雰囲気ではない。その奥に連瀑帯と30m大滝があるとは思えない渓相で
ある。
記憶もほとんど遥か彼方の本谷を進む。厳密に言えば数年前の冬、北の馬駈場からこのあたりへ下りて来て、対岸の
斜面を国見の方へ登ったことがあるので、ピンポイントの記憶はある。
このあたりまで来ると、流れそのものの変化はほとんどない。美しい樹林の中に細く穏やかな流れがあるだけだ。
出発時には青かった空も中盤から曇り空に変わり、今ではブナ林をガスが包むようになってしまった。
しかしそれも一興。今日は展望を楽しみに来たわけではない。涼しくて却って好都合である。それに霧はブナによく似
合うのだ。
谷のツメらしい急登もなく、いつの間にか水が切れ谷の形を失うと馬駈辻の登山道が目の前にあった。
木屋谷川本谷の最大の美点はツメの楽なことかもしれない。
手っ取り早く下山するなら北回りだが、ここはせめて国見山の頂上でも踏んで行こう。
右手の奈良県側は植林がちなのでいただけないが、左だけ向いていれば素敵なブナ林を楽しめる。
ガスのおかげでヒートアップすることなく山頂に到達。誰もいない。日陰のない山頂の広場も今日は日差しに苛まれ
ることもない。イスにするのにおあつらえ向きの岩が点在しているのでランチには持ってこいである。
もちろん晴れていれば南東ピークのブナ林へ逃げ込むことは言うまでもない。
そのうち降るだろうと思っていた雨がポツポツと来始めた。それを潮に店仕舞いとする。
下山は水無山の北東尾根か。南東ピークからボンサイ平へ下りて鉄砲谷をまたいで北東尾根に乗り直すというのもい
いだろう。
歩いていると雨が強くなってきた。これなら水無山へ一直線だと思っていたら、どうも様子がおかしい。
ブナ林が広がっているはずの左側に杉林がある。そうこうしているうちに標識が現れた。進行方向に赤ゾレ山の表示が
ある。こんなところにわざわざ違う標識を持って来るとは、イタズラにもほどがあると思っていたら広々とした草原に出た。
これは馬駈場ではないか。
南東に進んでいると思っていたら真逆にさっき来た道を戻っていたのだ。考えられない失態である。
しょんぼりしながら国見山へ再び登り返す。山頂から水無山~明神平へはどう考えても迷いようのないハッキリした道が
伸びている。道だけを意識していれば間違うはずもないのだが、登山道を外して歩くのがあたり前になっているが故の
大きな勘違いだった。
雨もほとんど止んだので、南東ピークからボンサイ平への尾根に入った。この斜面のブナ林は実に素晴らしい。
霧の中から浮かび上がるブナ達の姿が幻想的な世界を醸し出す。
[attachment=0]P1110577_1.JPG[/attachment]
ボンサイ平から鉄砲谷左岸尾根に入り、途中で谷をまたいで右隣の尾根に乗り換えた。確かこの尾根に御神木があ
ったはずだ。
国見山頂までまったく気にならなかった虫が雲霞の如く飛び回り始めた。止まると余計に襲撃を受けるので休むのも
ままならない。鉄砲谷の源流部も実にいい雰囲気を持っているのだが、じっくり眺めることもできなかった。
水無山北東尾根へトラバースしながら乗ろうと思ったが、結局最後は直上。これまた素晴らしい樹林の北東尾根も久し
振りだ。この一帯はブナ、ミズナラ、ヒメシャラ、トチに加えてカエデも多いので、秋に来れば華やかな光景に出会える
だろう。
ノンストップでワサビ谷まで来ると、やっと虫の攻撃も収まった。冷たい流れで顔を洗う。ああ、気持ちいい。
通い慣れた山道を飛ばして万才橋に着く頃には再び日差しが戻っていた。
山日和
倒木を乗り越えようと踏み出した足元の木が外れて、顔面から河原に落ちて行く。すんでのところで踏みとどまったが、