【若狭】癒しの谷からブナの森へ 松永川大滝川から駒ヶ岳
Posted: 2018年6月19日(火) 23:50
【日 付】2018年6月17日(日)
【山 域】若狭 駒ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】落合橋8:07---8:45入渓点---9:42二俣---11:19駒ヶ岳12:37---14:15桜谷山15:00---16:01林道--16:13-駐車地
期待をしなければ裏切られることもない。どこを探しても記録が見当たらないということは、沢においては面白
くないことを意味すると言っても間違いではないだろう。しかし若狭駒ヶ岳(滋賀県側からは朽木駒ヶ岳)にダイレ
クトに突き上げる松永川左俣(大滝川と言うらしい)はずっと前から興味を持っていた谷である。
駒ヶ岳近辺に広がる素晴らしいブナ林から想像するに、谷中は何もなくても滋味あふれる豊穣の森の中を遡行でき
れば言うことはない。
東小浜のマクドで朝マックしてから池河内へ向かう。
松永川へ入るのは久しぶりだ。ゆうべはずいぶん冷えたが、林道に日が当たり出すと気温はぐんぐん上昇して汗ば
んできた。
林道終点から荒れた河原を進む。周りはまだ植林だがこれは織り込み済。どのタイミングで自然林に変わるだろ
うか。
谷はあくまで穏やかで、ちょっとした落差がアクセントを添える程度。それよりカツラやトチの大木が目を惹く。
滝がなければ大木でカバーだ。
以前歩いた右俣にも滝と呼べるようなものはなかった。しかしこの谷には「大滝川」という名前が付けられている。
理由もなくそんな名前で呼ばれるとも思えない。
そう思いながら歩いていると、目の前に予期せぬ滝が現われた。これが大滝川の由来だろうか。
大滝と呼ぶにはちょっと控えめな高さ15m程度の斜瀑だが、なかなか美しい。予想外の展開に頬が緩む。
直登は難しいので右から巻き上がった。
地図上で三俣に見えた場所は二俣だったが、これがまた雰囲気抜群の場所だった。
右の支流からは8mほどの斜瀑、左の本流には落ち口に大カツラを配した幅広の滝がかかっている。
さっきの滝とこの二俣を見られただけでも来た甲斐があったというものだ。
その後もそれなりに楽しめる滝と大木のコンビネーションで飽きることはなかった。途中で伐採跡と思われる
雑草の繁茂したセクションがあったが、概ね落ち着いた樹林の下の遡行を楽しめる。
傾斜がゆるんだ源頭部の雰囲気もいい。見事なブナ林の中を稜線へというわけにはいかなかったが、ヤブ無しの
ツメを県境稜線に上がれば駒ヶ岳山頂は目の前である。
地元の先客が一人だけいたが、彼が下山して行くともう誰も来ない静かな山頂だった。
思いのほか風があり、暑そうに思える日なたに陣取るのがちょうどいい気候だ。
ランチなら北側のブナ林と思っていたが、日陰に入ると寒いぐらいだった。
日本海と太平洋の分水嶺になっている県境稜線を西に向かう。この尾根にはブナの大木が多く、何度歩いても
楽しいところだ。夏の低山は暑くてたまらないのが難点だが、この尾根はずっと木陰を歩くことができて、少し
風があれば暑さ知らずで快適だ。
北側にはところどころ日本海方面の展望が開けた。ずいぶんとんがったピークが見えるなと思ったら、日本海に
浮かぶ島だった。
どこから下山するか決めかねたまま桜谷山まで来た。いっそ小栗まで進んでから下りるか。
そう思っていたところに目に入ったのが黄色いテープである。北東に伸びる尾根に向かって付けられたテープに
は、「池河内へ」という文字があった。それも手書きではなくちゃんと印字されている。
元々興味のあった尾根だが、その細さに少し躊躇していた。尾根の幅が狭いということはヤブがきついと逃げ場
がないということだ。しかし登山道を示すような立派なテープに背中を押されて、この尾根を下ってみることに
した。その前にブナの木陰で昼寝だ。時間はまだ早い。
40分ほど昼寝して北東尾根に踏み出すと、なんと素晴らしい尾根ではないか。
初めて百里ヶ岳から駒ヶ岳を目指した時、間違えてこの尾根を下りかけたのを思い出した。
ヤブ無しの疎林を尾根が続くがヤセた部分はどうだろう。果たして、この山域に多いユズリハのヤブが行く手
を阻んだ・・・ように見えたが、ヤブに入ってみると一条の切り分けが続き、完全に道と言える状態だった。
これは踏み跡と言うより人為的に切り拓かれた道だ。ユズリハジャングルを抜けるとまたゆったりした尾根にな
り、今度は小栗の北西尾根にあるような奇怪なケヤキの大木が林立していた。岩を抱いたアガリコのケヤキは、
私が怪獣の木と名付けた件の木の弟分のようである。
最後は勘違いして尾根をひとつ外してしまい余計な苦労をしたものの、終始快適な登山道と呼べるコースだっ
たのはうれしい誤算だ。これなら再訪して登りに使うのも十分ありだ。
登り下りとも満足な一日となったが、最後を締めくくる温泉がボイラー交換のために休業というのは悲しい誤算
だった。
山日和
【山 域】若狭 駒ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】落合橋8:07---8:45入渓点---9:42二俣---11:19駒ヶ岳12:37---14:15桜谷山15:00---16:01林道--16:13-駐車地
期待をしなければ裏切られることもない。どこを探しても記録が見当たらないということは、沢においては面白
くないことを意味すると言っても間違いではないだろう。しかし若狭駒ヶ岳(滋賀県側からは朽木駒ヶ岳)にダイレ
クトに突き上げる松永川左俣(大滝川と言うらしい)はずっと前から興味を持っていた谷である。
駒ヶ岳近辺に広がる素晴らしいブナ林から想像するに、谷中は何もなくても滋味あふれる豊穣の森の中を遡行でき
れば言うことはない。
東小浜のマクドで朝マックしてから池河内へ向かう。
松永川へ入るのは久しぶりだ。ゆうべはずいぶん冷えたが、林道に日が当たり出すと気温はぐんぐん上昇して汗ば
んできた。
林道終点から荒れた河原を進む。周りはまだ植林だがこれは織り込み済。どのタイミングで自然林に変わるだろ
うか。
谷はあくまで穏やかで、ちょっとした落差がアクセントを添える程度。それよりカツラやトチの大木が目を惹く。
滝がなければ大木でカバーだ。
以前歩いた右俣にも滝と呼べるようなものはなかった。しかしこの谷には「大滝川」という名前が付けられている。
理由もなくそんな名前で呼ばれるとも思えない。
そう思いながら歩いていると、目の前に予期せぬ滝が現われた。これが大滝川の由来だろうか。
大滝と呼ぶにはちょっと控えめな高さ15m程度の斜瀑だが、なかなか美しい。予想外の展開に頬が緩む。
直登は難しいので右から巻き上がった。
地図上で三俣に見えた場所は二俣だったが、これがまた雰囲気抜群の場所だった。
右の支流からは8mほどの斜瀑、左の本流には落ち口に大カツラを配した幅広の滝がかかっている。
さっきの滝とこの二俣を見られただけでも来た甲斐があったというものだ。
その後もそれなりに楽しめる滝と大木のコンビネーションで飽きることはなかった。途中で伐採跡と思われる
雑草の繁茂したセクションがあったが、概ね落ち着いた樹林の下の遡行を楽しめる。
傾斜がゆるんだ源頭部の雰囲気もいい。見事なブナ林の中を稜線へというわけにはいかなかったが、ヤブ無しの
ツメを県境稜線に上がれば駒ヶ岳山頂は目の前である。
地元の先客が一人だけいたが、彼が下山して行くともう誰も来ない静かな山頂だった。
思いのほか風があり、暑そうに思える日なたに陣取るのがちょうどいい気候だ。
ランチなら北側のブナ林と思っていたが、日陰に入ると寒いぐらいだった。
日本海と太平洋の分水嶺になっている県境稜線を西に向かう。この尾根にはブナの大木が多く、何度歩いても
楽しいところだ。夏の低山は暑くてたまらないのが難点だが、この尾根はずっと木陰を歩くことができて、少し
風があれば暑さ知らずで快適だ。
北側にはところどころ日本海方面の展望が開けた。ずいぶんとんがったピークが見えるなと思ったら、日本海に
浮かぶ島だった。
どこから下山するか決めかねたまま桜谷山まで来た。いっそ小栗まで進んでから下りるか。
そう思っていたところに目に入ったのが黄色いテープである。北東に伸びる尾根に向かって付けられたテープに
は、「池河内へ」という文字があった。それも手書きではなくちゃんと印字されている。
元々興味のあった尾根だが、その細さに少し躊躇していた。尾根の幅が狭いということはヤブがきついと逃げ場
がないということだ。しかし登山道を示すような立派なテープに背中を押されて、この尾根を下ってみることに
した。その前にブナの木陰で昼寝だ。時間はまだ早い。
40分ほど昼寝して北東尾根に踏み出すと、なんと素晴らしい尾根ではないか。
初めて百里ヶ岳から駒ヶ岳を目指した時、間違えてこの尾根を下りかけたのを思い出した。
ヤブ無しの疎林を尾根が続くがヤセた部分はどうだろう。果たして、この山域に多いユズリハのヤブが行く手
を阻んだ・・・ように見えたが、ヤブに入ってみると一条の切り分けが続き、完全に道と言える状態だった。
これは踏み跡と言うより人為的に切り拓かれた道だ。ユズリハジャングルを抜けるとまたゆったりした尾根にな
り、今度は小栗の北西尾根にあるような奇怪なケヤキの大木が林立していた。岩を抱いたアガリコのケヤキは、
私が怪獣の木と名付けた件の木の弟分のようである。
最後は勘違いして尾根をひとつ外してしまい余計な苦労をしたものの、終始快適な登山道と呼べるコースだっ
たのはうれしい誤算だ。これなら再訪して登りに使うのも十分ありだ。
登り下りとも満足な一日となったが、最後を締めくくる温泉がボイラー交換のために休業というのは悲しい誤算
だった。
山日和