【奥越】赤樽山から徳平山へ 静かな雪山を歩く
Posted: 2018年3月12日(月) 22:49
【日 付】2018年3月10日(土)
【山 域】奥越 九頭竜川源流域
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】国道158号P 7:18---9:28赤樽山9:47---11:33 P1184m---11:50徳平山13:55---15:19九頭竜川渡渉点---16:00駐車地
赤樽山と徳平(とくべら)山。福井県の最東端に位置する、地図に名前のない山である。
国道158号の油坂トンネルを抜けて九頭竜湖の東端へ。林道へは九頭竜川を渡る橋があるのだが、雪の
壁が続いてどこに道があるのかわからない。GPSで位置を確認して、ちょうどうまい具合に1台分除雪
されたスペースに駐車した。
1m以上の雪に覆われた林道を少し歩いて尾根に取り付く。尾根の取付きは急で木立ちが少なく、し
かも末端は滝がかかる谷に吸い込まれているので少々気持ちが悪い。
しかし傾斜が緩むとゆったりとした疎林の尾根になった。雪は最高に締まっており、スノーシューが雪
面に食い込む「ザクッ」という音が心地良い。こういう斜面をヒールリフターを効かせて歩く場面が個
人的には最高に楽しいと思う。長く尾を引いていた尻の痛みも感じない。これなら心置きなく歩行に専
念できそうだ。
951m標高点を過ぎると広大な疎林の雪原が展開した。思わず頬が緩む。天気予報に反して曇り空だが、
もう少しすれば青空が広がり始めるだろう。右側に植林が見えるが、左を向いて歩こう。
赤樽山頂直下で南に方向を変える。ここで見事な眺めが広がった。眼下に見える九頭竜湖と、屏風のよ
うに続く九頭竜川対岸の山並み。そしてうれしいことに霧氷が木々を飾り始めた。今日は霧氷が付く条
件が揃っているはずだったが、ここまでその気配すらなかった。頭上には青空が広がり始め、役者が揃
ったというところか。 ほどなく1143.3mの赤樽山に到着。特に期待もしていなかったのだが、いい方に裏切られた。
目の前越美国境稜線の滝波山、美濃平家、平家岳のトリオがずらりと勢ぞろい。この方向から至近距離
で眺めたことのない景色は実に新鮮だ。今日の選択の正しさにひとり悦に入る。
霧氷は満開、ここで先を急ぐ理由は何もない。
雪稜が魅力的だったので西側のピークまで歩いてみると、不思議なことに赤樽山の標識があった。
三角点より高い場所が山頂というのはよくあるケースだが、ここは高いわけではない。これはどういう
ことだろう。
ここから1184m標高点を目指して小ピークが連続する尾根を辿る。細かいアップダウンが続くが大し
たことはなく、快適な雪尾根歩きだ。ブナの純林はないが、概ね満足できる林相である。
小ピークには必ずと言っていいほど大きなヒノキが鎮座してアクセントを付けていた。
1184mピークにもヒノキがあった。ここから徳平山へ続く尾根はブナ林が続く。特に1184m直下の尾
根の広がりはなかなかいい。今日のコースには随所にこういうゆったりとした台地があって心が和む。
遠目で見たよりも距離があるように感じたが、いよいよ徳平山への最後の登り。長い間思いながらも実
行に移せなかった山頂が目の前にある。
1193.1mの山頂からの展望は素晴らしく、御嶽を始めとして中央アルプス、南アルプス、北アルプス、
そして白山と石徹白の山、高鷲の山。目の前には今日どちらにしようかと迷っていた野田ヶ大和(のだが
たわ)がどっしりと構えている。
少し風があるのでここに腰を降ろすわけにはいかない。東側にできた3mほどもある雪堤の下で店を広げ
よう。ここでも御嶽が正面に見えるので十分である。
今日は気温は上がっていないはずだが、照りつける太陽のおかげで風さえなければポカポカと暖かい。
ホントにいい時にいい山へ来たものだ。下山は早いので時間を気にする必要がなく、気が付けば2時間も
まったりとしてしまった。
徳平山から次の1111mピークまでも実にいい雪尾根が続く。ブナも申し分ない。これほど植林を見ず
に歩けるとは想像もしなかった。
1111mピークから左の尾根を取れば朝の取付き地点へ下りることができる。しかしあえて遠回りの右
を選択した。この尾根上にミズナラの大木があるのを知っていたからだ。
ブナの尾根を緩く下って行くと、尾根のど真ん中に周りを圧倒する大木が立っていた。これか。
幹回りは5mを超えるだろうか。実に見事なミズナラである。これを見られただけでも満足、後は気持ち
よく下山しよう。
何事もなく平和な尾根が続き、末端になってやっと植林の急斜面が出てきたが、これは織り込み済み。
橋を渡ればすぐに国道・・・のはずだった。少し左に振り過ぎたので際どいトラバースで右に回り込ん
で行ったが、あるはずの橋がない。GPSで位置を確認するが、もう橋が描かれている場所まで来ている。
地形図では等高線のない河原のはずが、急な崖が川に落ち込み河原と呼べるものはない。
仕方がない。覚悟を決めて一番流れの緩そうなところでスノーシューを履いたまま渡渉した。
靴の中に水があふれる感覚は久しぶりだ。最上流とは言え、ここはあの九頭竜川の本流なのである。
しかし今日一日の充実した山行からすれば、これもご愛敬というものだ。スノー衆ではアトラクション
を用意できなかった分、ひとりで楽しんだようなものである。
対岸の林道へ出た後、少し上流へ歩いてみると橋があった。地図上の位置より100mばかりずれている
ようだ。
国道を30分ばかり歩いて駐車地へ戻る。1111mピークからの尾根を見ると、末端はかなり急であまり
面白くなさそうだった。アトラクションも含めて正しい選択をしたということにしておこう。
山日和
【山 域】奥越 九頭竜川源流域
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】国道158号P 7:18---9:28赤樽山9:47---11:33 P1184m---11:50徳平山13:55---15:19九頭竜川渡渉点---16:00駐車地
赤樽山と徳平(とくべら)山。福井県の最東端に位置する、地図に名前のない山である。
国道158号の油坂トンネルを抜けて九頭竜湖の東端へ。林道へは九頭竜川を渡る橋があるのだが、雪の
壁が続いてどこに道があるのかわからない。GPSで位置を確認して、ちょうどうまい具合に1台分除雪
されたスペースに駐車した。
1m以上の雪に覆われた林道を少し歩いて尾根に取り付く。尾根の取付きは急で木立ちが少なく、し
かも末端は滝がかかる谷に吸い込まれているので少々気持ちが悪い。
しかし傾斜が緩むとゆったりとした疎林の尾根になった。雪は最高に締まっており、スノーシューが雪
面に食い込む「ザクッ」という音が心地良い。こういう斜面をヒールリフターを効かせて歩く場面が個
人的には最高に楽しいと思う。長く尾を引いていた尻の痛みも感じない。これなら心置きなく歩行に専
念できそうだ。
951m標高点を過ぎると広大な疎林の雪原が展開した。思わず頬が緩む。天気予報に反して曇り空だが、
もう少しすれば青空が広がり始めるだろう。右側に植林が見えるが、左を向いて歩こう。
赤樽山頂直下で南に方向を変える。ここで見事な眺めが広がった。眼下に見える九頭竜湖と、屏風のよ
うに続く九頭竜川対岸の山並み。そしてうれしいことに霧氷が木々を飾り始めた。今日は霧氷が付く条
件が揃っているはずだったが、ここまでその気配すらなかった。頭上には青空が広がり始め、役者が揃
ったというところか。 ほどなく1143.3mの赤樽山に到着。特に期待もしていなかったのだが、いい方に裏切られた。
目の前越美国境稜線の滝波山、美濃平家、平家岳のトリオがずらりと勢ぞろい。この方向から至近距離
で眺めたことのない景色は実に新鮮だ。今日の選択の正しさにひとり悦に入る。
霧氷は満開、ここで先を急ぐ理由は何もない。
雪稜が魅力的だったので西側のピークまで歩いてみると、不思議なことに赤樽山の標識があった。
三角点より高い場所が山頂というのはよくあるケースだが、ここは高いわけではない。これはどういう
ことだろう。
ここから1184m標高点を目指して小ピークが連続する尾根を辿る。細かいアップダウンが続くが大し
たことはなく、快適な雪尾根歩きだ。ブナの純林はないが、概ね満足できる林相である。
小ピークには必ずと言っていいほど大きなヒノキが鎮座してアクセントを付けていた。
1184mピークにもヒノキがあった。ここから徳平山へ続く尾根はブナ林が続く。特に1184m直下の尾
根の広がりはなかなかいい。今日のコースには随所にこういうゆったりとした台地があって心が和む。
遠目で見たよりも距離があるように感じたが、いよいよ徳平山への最後の登り。長い間思いながらも実
行に移せなかった山頂が目の前にある。
1193.1mの山頂からの展望は素晴らしく、御嶽を始めとして中央アルプス、南アルプス、北アルプス、
そして白山と石徹白の山、高鷲の山。目の前には今日どちらにしようかと迷っていた野田ヶ大和(のだが
たわ)がどっしりと構えている。
少し風があるのでここに腰を降ろすわけにはいかない。東側にできた3mほどもある雪堤の下で店を広げ
よう。ここでも御嶽が正面に見えるので十分である。
今日は気温は上がっていないはずだが、照りつける太陽のおかげで風さえなければポカポカと暖かい。
ホントにいい時にいい山へ来たものだ。下山は早いので時間を気にする必要がなく、気が付けば2時間も
まったりとしてしまった。
徳平山から次の1111mピークまでも実にいい雪尾根が続く。ブナも申し分ない。これほど植林を見ず
に歩けるとは想像もしなかった。
1111mピークから左の尾根を取れば朝の取付き地点へ下りることができる。しかしあえて遠回りの右
を選択した。この尾根上にミズナラの大木があるのを知っていたからだ。
ブナの尾根を緩く下って行くと、尾根のど真ん中に周りを圧倒する大木が立っていた。これか。
幹回りは5mを超えるだろうか。実に見事なミズナラである。これを見られただけでも満足、後は気持ち
よく下山しよう。
何事もなく平和な尾根が続き、末端になってやっと植林の急斜面が出てきたが、これは織り込み済み。
橋を渡ればすぐに国道・・・のはずだった。少し左に振り過ぎたので際どいトラバースで右に回り込ん
で行ったが、あるはずの橋がない。GPSで位置を確認するが、もう橋が描かれている場所まで来ている。
地形図では等高線のない河原のはずが、急な崖が川に落ち込み河原と呼べるものはない。
仕方がない。覚悟を決めて一番流れの緩そうなところでスノーシューを履いたまま渡渉した。
靴の中に水があふれる感覚は久しぶりだ。最上流とは言え、ここはあの九頭竜川の本流なのである。
しかし今日一日の充実した山行からすれば、これもご愛敬というものだ。スノー衆ではアトラクション
を用意できなかった分、ひとりで楽しんだようなものである。
対岸の林道へ出た後、少し上流へ歩いてみると橋があった。地図上の位置より100mばかりずれている
ようだ。
国道を30分ばかり歩いて駐車地へ戻る。1111mピークからの尾根を見ると、末端はかなり急であまり
面白くなさそうだった。アトラクションも含めて正しい選択をしたということにしておこう。
山日和