【湖北】予想外の霧氷 下谷山から音波へ
Posted: 2018年2月27日(火) 21:26
【日 付】2018年2月25日(日)
【山 域】湖北 江越国境
【天 候】曇り一時晴れ
【コース】中河内7:35---8:20大音波谷出合---10:00三角点大音波---11:45下谷山13:15---14:25音波---
15:15三角点栃ノ木---16:10国道---16:50中河内
長浜市の余呉町中河内は滋賀県随一の豪雪地帯だ。もう春の声が聞こえてきた現在でも2mを超える積雪がある。
冬にここを訪れるのは久しぶりだ。車を止めた横にも3m以上の雪の壁があった。菅並への県道は当然冬期通行止
めである。集落のはずれでスノーシューを履いて歩き出す。
県道に積もった雪も2mはあるだろうか。いつのものか古い足跡がうっすらと残っていた。
場所を選んで歩けばまったく沈まないし、沈んでも10センチほどなので苦労することはない。予想通りの歩きや
すい雪質だ。
先週のスノー衆で尻セードをした時に強打した尻の痛みが尾を引いている。それに加えて喉と鼻の調子も悪く、
絶好調にはほど遠い状態。しかし病は山で治せである。
1時間弱の県道歩きで大音波谷の出合に到着。ここから急峻な斜面に取り付いた。雪面はしっかりクラストして
おり、スノーシューのフレームの型が付く程度。ヒールリフターを立ててもふくらはぎが悲鳴を上げるような急
傾斜だ。少し雪が緩んでいればジグを切って登れるのだが、これだけ堅いと足首が変にねじれてしまって却って
苦労する。
ひたすら我慢してようやく尾根の形が現れるところまで来た。空はどんよりしているが、雪が降ってくることは
ないだろう。少しでも晴れ間が覗けば御の字だ。
ナラ主体の雑木の尾根は三角点大音波に近づくにつれブナの森へと変わっていった。大音波で針川からの主尾
根と合流。ここからはずっとブナ街道である。無雪期には何度か歩いている尾根だが、本格的な積雪期に訪れる
のは初めてだ。今年ぐらい積もっていればヤブはすべて雪の下。真っ白い雪面からブナだけがスックと立ち上が
っている。ブナ自体に変わりはないのだが、下生えがないとスッキリしてずいぶん印象が違うものだ。
右上に無木立の白いドームが見えている。あそこが本日の第一目的地の下谷山だ。
標高971m。三角点もない江越国境稜線の一突起に過ぎないのだが、この季節には立派に見える。
国境稜線手前でいったん灌木帯になって、ここまでの好印象が薄れるのだが、これはこれから始まる濃密なブナ
林への序曲である。国境稜線との合流点はとにかく複雑な地形をしている。浅い谷があっちからこっちから入り組
んで、どれが本当の稜線なのか判然としない。
とりあえず下谷山へ登るためには一旦下って高い方を目指せば良い。
山頂直下のブナ林は素晴らしいのひと言である。ここまでのブナは若い木が多く、スッキリしてるものの風格は
感じられなかった。このブナ林は巨木と呼べる木が林立しており、ただまっすぐ伸びて大きくなったのではなく、
年輪を感じさせる表情豊かなブナが次々と現れる。そして予想もしていなかった霧氷が木々を飾っているのだから
たまらない。それに加えて日差しまで出てきた。登り切った山頂には凄い展望が待っていた。
無雪期には風采の上がらない山頂なのだが、今日の下谷山は第一級の雪山だ。
高曇りで遠くの山は霞がちではあるものの、国境稜線上の上谷山から三周ヶ岳、笹ヶ峰まで白い稜線が繋がってい
る。南には横山岳、安蔵山、妙理山、大黒山から西には敦賀半島の山まで、無雪期のもっさりした展望とは違う、
心躍るようなパノラマが展開している。
山頂西端の灌木帯を風除けとして雪面に腰を降ろした。降られなければいいと思って来た山で、陽光を浴びなが
らこれほどの展望と霧氷を楽しめるとは、よほど日頃の行いがいいのだろうか
。念のためにサングラスを持ってきて正解だった。
以前はこのあたりは携帯の圏外だった記憶があるが、基地局が増えたのか電波がよく通じるようになっていた。
食後、栃ノ木峠へ向けて国境稜線へ踏み出した。山頂直下の国境稜線は知っていなければ絶対に稜線だとは思
えない形をしている。福井県側の谷と滋賀県側の谷が対向するようにぶつかる源頭部の、まるで谷底の土手のよ
うなところが国境稜線。地形図からは読み取ることが不可能な、摩訶不思議な地形である。
ここから872.6mの音波までもずっとブナ林が続く。しかし若い木が多いのでどこまで行っても同じような風景
に見えて、やや食傷気味だ。
音波山頂も無木立の白いドームなのだが、北側のブナ林で展望が遮られている。南側180度は開けており、足元
から落ちる大音波谷の向こうから歩いてきたのだと思うと感慨深い。
ここから先もブナ林はあるものの、鉄塔があるので丸坊主の部分もあり、営業をやめたベルク余呉スキー場の
荒涼とした跡地を見ながら歩くことになる。そして営業中の余呉高原スキー場の音楽が流れてきたりして、誰も
いないのに静かな山を楽しむことができないのが欠点だ。
当初の予定ではベルク余呉のゲレンデ跡を突っ切って中河内へダイレクトに下りるつもりだったが少々疲れて
きた。国道歩きは面白くないが、何も考えずに足を出していれば前進できる方を選ぼう。
ということで、余呉高原スキー場の第2駐車場に着地。最後は今ひとつ冴えなかったが、山は登ってみなけりゃわ
からないという典型のような一日だった。
山日和
【山 域】湖北 江越国境
【天 候】曇り一時晴れ
【コース】中河内7:35---8:20大音波谷出合---10:00三角点大音波---11:45下谷山13:15---14:25音波---
15:15三角点栃ノ木---16:10国道---16:50中河内
長浜市の余呉町中河内は滋賀県随一の豪雪地帯だ。もう春の声が聞こえてきた現在でも2mを超える積雪がある。
冬にここを訪れるのは久しぶりだ。車を止めた横にも3m以上の雪の壁があった。菅並への県道は当然冬期通行止
めである。集落のはずれでスノーシューを履いて歩き出す。
県道に積もった雪も2mはあるだろうか。いつのものか古い足跡がうっすらと残っていた。
場所を選んで歩けばまったく沈まないし、沈んでも10センチほどなので苦労することはない。予想通りの歩きや
すい雪質だ。
先週のスノー衆で尻セードをした時に強打した尻の痛みが尾を引いている。それに加えて喉と鼻の調子も悪く、
絶好調にはほど遠い状態。しかし病は山で治せである。
1時間弱の県道歩きで大音波谷の出合に到着。ここから急峻な斜面に取り付いた。雪面はしっかりクラストして
おり、スノーシューのフレームの型が付く程度。ヒールリフターを立ててもふくらはぎが悲鳴を上げるような急
傾斜だ。少し雪が緩んでいればジグを切って登れるのだが、これだけ堅いと足首が変にねじれてしまって却って
苦労する。
ひたすら我慢してようやく尾根の形が現れるところまで来た。空はどんよりしているが、雪が降ってくることは
ないだろう。少しでも晴れ間が覗けば御の字だ。
ナラ主体の雑木の尾根は三角点大音波に近づくにつれブナの森へと変わっていった。大音波で針川からの主尾
根と合流。ここからはずっとブナ街道である。無雪期には何度か歩いている尾根だが、本格的な積雪期に訪れる
のは初めてだ。今年ぐらい積もっていればヤブはすべて雪の下。真っ白い雪面からブナだけがスックと立ち上が
っている。ブナ自体に変わりはないのだが、下生えがないとスッキリしてずいぶん印象が違うものだ。
右上に無木立の白いドームが見えている。あそこが本日の第一目的地の下谷山だ。
標高971m。三角点もない江越国境稜線の一突起に過ぎないのだが、この季節には立派に見える。
国境稜線手前でいったん灌木帯になって、ここまでの好印象が薄れるのだが、これはこれから始まる濃密なブナ
林への序曲である。国境稜線との合流点はとにかく複雑な地形をしている。浅い谷があっちからこっちから入り組
んで、どれが本当の稜線なのか判然としない。
とりあえず下谷山へ登るためには一旦下って高い方を目指せば良い。
山頂直下のブナ林は素晴らしいのひと言である。ここまでのブナは若い木が多く、スッキリしてるものの風格は
感じられなかった。このブナ林は巨木と呼べる木が林立しており、ただまっすぐ伸びて大きくなったのではなく、
年輪を感じさせる表情豊かなブナが次々と現れる。そして予想もしていなかった霧氷が木々を飾っているのだから
たまらない。それに加えて日差しまで出てきた。登り切った山頂には凄い展望が待っていた。
無雪期には風采の上がらない山頂なのだが、今日の下谷山は第一級の雪山だ。
高曇りで遠くの山は霞がちではあるものの、国境稜線上の上谷山から三周ヶ岳、笹ヶ峰まで白い稜線が繋がってい
る。南には横山岳、安蔵山、妙理山、大黒山から西には敦賀半島の山まで、無雪期のもっさりした展望とは違う、
心躍るようなパノラマが展開している。
山頂西端の灌木帯を風除けとして雪面に腰を降ろした。降られなければいいと思って来た山で、陽光を浴びなが
らこれほどの展望と霧氷を楽しめるとは、よほど日頃の行いがいいのだろうか
。念のためにサングラスを持ってきて正解だった。
以前はこのあたりは携帯の圏外だった記憶があるが、基地局が増えたのか電波がよく通じるようになっていた。
食後、栃ノ木峠へ向けて国境稜線へ踏み出した。山頂直下の国境稜線は知っていなければ絶対に稜線だとは思
えない形をしている。福井県側の谷と滋賀県側の谷が対向するようにぶつかる源頭部の、まるで谷底の土手のよ
うなところが国境稜線。地形図からは読み取ることが不可能な、摩訶不思議な地形である。
ここから872.6mの音波までもずっとブナ林が続く。しかし若い木が多いのでどこまで行っても同じような風景
に見えて、やや食傷気味だ。
音波山頂も無木立の白いドームなのだが、北側のブナ林で展望が遮られている。南側180度は開けており、足元
から落ちる大音波谷の向こうから歩いてきたのだと思うと感慨深い。
ここから先もブナ林はあるものの、鉄塔があるので丸坊主の部分もあり、営業をやめたベルク余呉スキー場の
荒涼とした跡地を見ながら歩くことになる。そして営業中の余呉高原スキー場の音楽が流れてきたりして、誰も
いないのに静かな山を楽しむことができないのが欠点だ。
当初の予定ではベルク余呉のゲレンデ跡を突っ切って中河内へダイレクトに下りるつもりだったが少々疲れて
きた。国道歩きは面白くないが、何も考えずに足を出していれば前進できる方を選ぼう。
ということで、余呉高原スキー場の第2駐車場に着地。最後は今ひとつ冴えなかったが、山は登ってみなけりゃわ
からないという典型のような一日だった。
山日和