【比良】釣瓶岳北西尾根から人影のない武奈ヶ岳へ
Posted: 2018年2月06日(火) 23:52
【日 付】2018年2月4日(日)
【山 域】比良山地 武奈ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】細川休憩所8:03---8:20尾根取付き---11:18釣瓶岳---11:30 P1040m 1300---13:43武奈ヶ岳14:08---
15:18細川休憩所
3週連続の比良通いである。と言っても特別比良に執着しているわけではない。スノー衆の舞台に選んだり下山
後の予定があるため遠出ができなかったりで、たまたま続いただけなのだ。
しかし家から1時間余りで登山口まで着くことができ、それなりに楽しめる貴重な山でもある。
細川の休憩所に駐車して栃生の集落外れから国道を離れて、ギリギリ車が通れるだけ除雪された道を上がる。
最終の民家で飼い犬に吠えられながら山道に入る。杉林の中に尾根が下りてきていた。ここが釣瓶岳北西尾根の取
付きである。この近辺では先週の大雪からかなり積雪が減っている。そこそこ締まっていることを期待していたが、
雪はいわゆる「モナカ雪」で、表面はパリパリだが表皮を破るとモッチリという有難くない雪質である。
おまけに事前の予想通りの完璧な植林帯が続き、お世辞にも面白いとは言えない。それでも手入れされた林の中は
暗くないのが救いで、標高を上げるにつれ沈み量も少なくなってきた。
太い溝のようなトレースがあったので登山者がいるのかと思ったら、トレースの底には蹄の跡。シカの群れがラッ
セルしたようだ。ところどころに大パーティーが休憩したような雪面の荒れがあったが、これはシカ達が転げ回っ
た跡だろうか。
稜線が近付いたところでやっと植林から脱出。潅木帯に入ると同時に見事な眺望が広がり始めた。
久しぶりに見る真っ青な空が心を浮き立たせる。
間もなく稜線に到着と言う頃、突然前方を歩く人影が見えた。一体どこから現われたのか。この尾根には自分が歩
いてきた以外に登るルートはない。釣瓶岳山頂で訊いてみようと思っていたが、休むことなく武奈へ向かったよう
で話すことはできなかった。まったくキツネにつままれたような話だ。
それはさておき、武奈ヶ岳から蛇谷ヶ峰へと続く稜線からは北琵琶湖と鈴鹿北部、伊吹山から奥美濃、湖西の
山々まで一望できる。山と湖の眺めだけではなく、湖西の平野部や鹿ヶ瀬あたりの雪で真っ白な田畑の姿も美しい。
ただ、それまでは自分の前になかったトレースがあるのだけが残念だ。
少し風があるのでランチ場の確保が問題だ。もとより武奈の山頂まで行ってランチタイムという気はさらさら
なかったので、良さげな場所を物色しながら歩く。山頂直下のブナの大木はいいランチ場で、荒谷遡行の時にも
使った場所だ。釣瓶岳山頂も悪くはないが、杉の根方でランチというのは自分らしくない。この山頂は北面と西
面はブナ林で眺望にも恵まれているが、東面と南面は杉の大木が覆い被さるように林立しているのである。
次のCa1040mピークの雪庇下にお誂え向きの場所があった。風もなく、全身に日を浴びてポカポカと暖かい。
目の前には八池谷へ落ちる長尾と呼ばれる長閑な尾根が伸びている。見上げる武奈ヶ岳山頂には人影がひっきり
なしに見えていた。最高の天気に恵まれた今日は凄い賑わいを見せていることだろう。
武奈ヶ岳方面から縦走して来る登山者も多く、雪面にはトレースが入り乱れている。
尾根の東側にできた雪庇のうねりを愛でながら、重い足を一歩ずつ動かしていくと40分ほどで登りは終わった。
細川尾根の分岐まで来れば山頂は目の前である。
辿り着いた武奈ヶ岳山頂からは登山者の姿はすっかり消えていた。時刻は2時。皆さんもう下山されたようで、
比良随一の人気の山頂は静けさに包まれていた。こういう山は思いっ切り早い時間か遅い時間に限るのだ。
ここからの眺めは文字通り360度遮るものがない。この大パノラマを独り占めできるとはなんたる贅沢だろう。
メインルートの南西稜はスッキリとした雪尾根が伸び、コヤマノ岳のブナ林の向こうには蓬莱山。そこから稜線
を目で辿れば釈迦ヶ岳からヤケ山、リトル比良へ続いている。そしてその奥に広大な琵琶湖が圧倒的な質感で横
たわっている。ずっと眺めていたいような風景だ。
人が多いと落ち着かない山頂だが、誰もいない武奈ヶ岳は素晴らしい山である。
下山に取った細川尾根は、貫井谷や八幡谷の遡行の折に最速下山コースとして使っていた尾根で、それ以上で
も以下でもないという認識だった。しかし改めて歩いてみると、雪山のルートとして悪くはない。少なくとも登
った釣瓶岳北西尾根よりははるかにいいだろう。植林が標高450m程度までしか入っておらず、雑木林とブナ少々、
ヒノキもあって上部は潅木帯という感じである。
この尾根にもしっかりトレースが付いており、途中で6人ほどのパーティーを追い抜いた。
さすがに山頂から細川集落まで標高差950mを一気に下る尾根だけあって仕事は早い。1時間余りで下山してしま
った。お土産に焼鯖寿司でも買って家路を急ごう。
山日和
【山 域】比良山地 武奈ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】細川休憩所8:03---8:20尾根取付き---11:18釣瓶岳---11:30 P1040m 1300---13:43武奈ヶ岳14:08---
15:18細川休憩所
3週連続の比良通いである。と言っても特別比良に執着しているわけではない。スノー衆の舞台に選んだり下山
後の予定があるため遠出ができなかったりで、たまたま続いただけなのだ。
しかし家から1時間余りで登山口まで着くことができ、それなりに楽しめる貴重な山でもある。
細川の休憩所に駐車して栃生の集落外れから国道を離れて、ギリギリ車が通れるだけ除雪された道を上がる。
最終の民家で飼い犬に吠えられながら山道に入る。杉林の中に尾根が下りてきていた。ここが釣瓶岳北西尾根の取
付きである。この近辺では先週の大雪からかなり積雪が減っている。そこそこ締まっていることを期待していたが、
雪はいわゆる「モナカ雪」で、表面はパリパリだが表皮を破るとモッチリという有難くない雪質である。
おまけに事前の予想通りの完璧な植林帯が続き、お世辞にも面白いとは言えない。それでも手入れされた林の中は
暗くないのが救いで、標高を上げるにつれ沈み量も少なくなってきた。
太い溝のようなトレースがあったので登山者がいるのかと思ったら、トレースの底には蹄の跡。シカの群れがラッ
セルしたようだ。ところどころに大パーティーが休憩したような雪面の荒れがあったが、これはシカ達が転げ回っ
た跡だろうか。
稜線が近付いたところでやっと植林から脱出。潅木帯に入ると同時に見事な眺望が広がり始めた。
久しぶりに見る真っ青な空が心を浮き立たせる。
間もなく稜線に到着と言う頃、突然前方を歩く人影が見えた。一体どこから現われたのか。この尾根には自分が歩
いてきた以外に登るルートはない。釣瓶岳山頂で訊いてみようと思っていたが、休むことなく武奈へ向かったよう
で話すことはできなかった。まったくキツネにつままれたような話だ。
それはさておき、武奈ヶ岳から蛇谷ヶ峰へと続く稜線からは北琵琶湖と鈴鹿北部、伊吹山から奥美濃、湖西の
山々まで一望できる。山と湖の眺めだけではなく、湖西の平野部や鹿ヶ瀬あたりの雪で真っ白な田畑の姿も美しい。
ただ、それまでは自分の前になかったトレースがあるのだけが残念だ。
少し風があるのでランチ場の確保が問題だ。もとより武奈の山頂まで行ってランチタイムという気はさらさら
なかったので、良さげな場所を物色しながら歩く。山頂直下のブナの大木はいいランチ場で、荒谷遡行の時にも
使った場所だ。釣瓶岳山頂も悪くはないが、杉の根方でランチというのは自分らしくない。この山頂は北面と西
面はブナ林で眺望にも恵まれているが、東面と南面は杉の大木が覆い被さるように林立しているのである。
次のCa1040mピークの雪庇下にお誂え向きの場所があった。風もなく、全身に日を浴びてポカポカと暖かい。
目の前には八池谷へ落ちる長尾と呼ばれる長閑な尾根が伸びている。見上げる武奈ヶ岳山頂には人影がひっきり
なしに見えていた。最高の天気に恵まれた今日は凄い賑わいを見せていることだろう。
武奈ヶ岳方面から縦走して来る登山者も多く、雪面にはトレースが入り乱れている。
尾根の東側にできた雪庇のうねりを愛でながら、重い足を一歩ずつ動かしていくと40分ほどで登りは終わった。
細川尾根の分岐まで来れば山頂は目の前である。
辿り着いた武奈ヶ岳山頂からは登山者の姿はすっかり消えていた。時刻は2時。皆さんもう下山されたようで、
比良随一の人気の山頂は静けさに包まれていた。こういう山は思いっ切り早い時間か遅い時間に限るのだ。
ここからの眺めは文字通り360度遮るものがない。この大パノラマを独り占めできるとはなんたる贅沢だろう。
メインルートの南西稜はスッキリとした雪尾根が伸び、コヤマノ岳のブナ林の向こうには蓬莱山。そこから稜線
を目で辿れば釈迦ヶ岳からヤケ山、リトル比良へ続いている。そしてその奥に広大な琵琶湖が圧倒的な質感で横
たわっている。ずっと眺めていたいような風景だ。
人が多いと落ち着かない山頂だが、誰もいない武奈ヶ岳は素晴らしい山である。
下山に取った細川尾根は、貫井谷や八幡谷の遡行の折に最速下山コースとして使っていた尾根で、それ以上で
も以下でもないという認識だった。しかし改めて歩いてみると、雪山のルートとして悪くはない。少なくとも登
った釣瓶岳北西尾根よりははるかにいいだろう。植林が標高450m程度までしか入っておらず、雑木林とブナ少々、
ヒノキもあって上部は潅木帯という感じである。
この尾根にもしっかりトレースが付いており、途中で6人ほどのパーティーを追い抜いた。
さすがに山頂から細川集落まで標高差950mを一気に下る尾根だけあって仕事は早い。1時間余りで下山してしま
った。お土産に焼鯖寿司でも買って家路を急ごう。
山日和