【四国】剣山~三嶺縦走(17.7,16~17)
Posted: 2017年7月21日(金) 13:51
【 日 付 】2017.7.16~17
【 山 域 】 四国 剣山地
【メンバー】単独
【 天 候 】16日晴れ、 17日 霧
【 ルート 】16日 4:46見の越ー6:33剣山ー7:33次郎笈ー8:48丸石ー10:26高ノ瀬ー12:33白髪小屋ー14:54三嶺小屋
17日 5:21三嶺小屋ー6:44名頃ー9:18見の越
6月中旬以降白山を狙っていたけれどチャンスに恵まれず、箕面周辺を5kgかついで1時間半から3時間歩いて何とか体力の維持を図っていました。この連休こそ遠出をとの思いもかなわず天気予報は余り芳しくないが、四国は良さそうです。剣山には2度登り、天狗塚~牛の背へも行ったことがあり、一度は剣山から天狗塚まで縦走をしてみたいと思っていたので実行することにしました。天狗塚の登山口の西山林道登山口に車を置き、タクシーで見の越へ送ってもらい、白髪小屋で泊って天狗塚から下りる予定です。
土曜日の午後タクシー会社へ予約の電話をすると、営業は午前7時からとのこと、見の越に車をおいて縦走したらどうですか、下山時は夜遅くでも迎えに行くからとのこと。私のガラケーはソフトバンクで他社に比べ山での接続が極めて悪いのでつながるか不安ですがというと、天狗塚から半分も下りてくればソフトバンクでもつながりますよと言われ、そうすることに決めました。これが後で響くことになろうとは。
午後4時半ごろ家を出発、ノンストップで8時半ごろ見の越に到着。走りながら次第に以前の記憶が蘇ってきました。高速を下りて貞光から見の越までの国道438号は、一部で2車線に拡幅工事をしているが狭くてすれ違えないところが多く、くねくねで長く、夜はヘッドライトで対向車が解りやすいけれど帰りの昼間は対向車が解りにくいので運転が大変だろうな思いが、そしてその通りでした。
朝4時前に起きて食事を済ませ、ヘッデンがいらなくなる頃を見計らって4:48に出発。日頃日帰りで背負う負荷は6kg前後ですが今回はシュラフと二日分の食料を入れた10kgの負荷はさすがに堪えます。登山道の入り口は剣神社への道と一緒で、かなり急な階段でもう既にこの階段でずっしりときています。とにかくばてないようゆっくり歩を進めます。リフトの終点、西嶋駅の手前でテントがありましたが、こんなところにテントが張れるのですね。この先に分岐があり距離の短い刀掛の尾根道を選ぶもその入口が解らない。地図を見直してよく見ると 、左のリフトの建物と右のトイレの間を抜けて行くとその先に尾根道の入り口がありました。
天気は上々ですが水蒸気が多いようで遠くの山並みは霞んでいます。快適な尾根道を登って刀掛の松の前を通り雲海荘の横を通って頂上へつきました。 広い頂上は木道だらけでちょっと無粋です。南西の端に頂上があり、そこから次郎笈へ向かう階段が下へ続いています。すでに何人か空身で下りていっていますが往復する人で縦走する人は少ないようです。こんな暑い時期に縦走するようなもの好きは少ないでしょうね。
[attachment=7]DSC00634.jpg[/attachment]
次郎笈をトラバースする道の分岐に来ました。体力を温存するならこのトラバース道を行けばかなり楽になりますし、今回の心配の一つ水についても水場はこのトラバース道の途中にあるので少しひかれますが、ここまで来て次郎笈およびそこへの尾根道の展望を捨てるわけにはいきません。次郎笈の肩につきました。ここが縦走路の分岐で、頂上は南へ100mくらい先です。
次郎笈の肩から下りる途中で行く先を望むと遠くまで尾根が続いています。正面奥が多分三嶺で、まだまだはるか先です。まだ時間が早くて風も涼しいからいいようなものの、この先木陰のない笹の尾根を歩いて、気温が上がってきたら大変だろうな。もっと涼しい時期にした方がよかったかなあ。くじけそうになります。
トラバース道分岐に来ました。ここにザックをデポしてトラバース道を剣山の方向へ戻り水場へ行きます。200mくらい戻ればありました。今回は水の確保が重要です。地図には数か所水場の表示がありますが、レポによると解りにくかったりかなり登山道から下らなければならないようなのです。1lのぺッツトボトルを1本、500mlを2本の計2l持ってきましたがもう1l消費し、1lの水を補給しました。3lくらい持ってきた方が良かったけれど担げたかどうか。
気持のいい尾根歩きが続きますが、そろそろ気温も上がり始め炎天下ではしんどくなりそうです。広い笹尾根の鞍部に来ると標識が立っていました。スーパー林道分岐です。この標識に三嶺まで13.4kmと書いてあって愕然としました。あわよくば三嶺までもと考えていましたが、とても無理、今日は白髪小屋まで行くのがやっとだろうと覚悟を決めました。丸石は南北に延びる広い笹の尾根で、ここから東を眺めると遮るもののない大展望で、剣山、次郎笈がよく見えます。
[attachment=6]DSC00872.jpg[/attachment]
丸石から先は林の中を歩くことになり、展望はなくなりますが涼しくなり、痛し痒しです。丸石避難小屋に来ました。中は案外きれいですが水場がないので緊急避難以外は使えないでしょう。そのすぐ先に奥祖谷かずら橋分岐がありました。その先で「キツネメソウ」とでも名づけたい草がありました。暫く樹林が続いていますがあるところで開けて高ノ瀬が見えましたがかなり高く見え、ここから一旦下ってあそこまで登り返さなければならないかと思うと気分がくじけそうになります。ちょっとした岩場のようなところがありますが問題ありません。この登りで見かけた シロヤシオが紅葉し始めていました。
[attachment=5]DSC00913.jpg[/attachment]
高ノ瀬につくとトレランの人が休憩を終わりかけていて話を聞くとこれから名頃まで一気に下りるとのとこ、凄いです。少し下った後中東山への分岐のある石立山分岐へ登って行く右手に、高ノ瀬オオヤマレンゲ保護地があり、殆どの花は茶色に変色していましたが、数輪先残っていて何とか写真を撮れました。ここは防護ネットで厳重に囲われているように見えましたが、すぐ先で鹿が二匹囲いの中を警戒音を発しながら逃げて 行くのが見えました。役に立っているのでしょうか。
[attachment=4]DSC01013.jpg[/attachment]
やがて樹林帯を抜けまた笹原の展望尾根を歩きますが、時々曇ると楽ですが日が照ると暑いです。もう体力は落ちっぱなしです。つぎに広大な笹の尾根の南側の斜面をトラバースします。ところどころ生え延びた草で道が見えないところがありますが、その下は踏み固められていて迷うことはありません。やがてトラバース道が駄々広い笹原の尾根に上がると正面に三嶺がど~~んと正面に見えます。次に白骨林が見えてきます。これが白髪小屋手前の白骨林で、剣山頂上で会った地元の方が早朝のここからの三嶺の写真が一番いいよと教えていただいたところのようで、明日早朝に写真を撮りにこようかなと思いました。また林を抜けて笹原に出ると、お~やっと白髪小屋が見えてきました。
[attachment=3]DSC01149.jpg[/attachment]
今日はここに泊るつもりでしたがここで重大なことが解りました。若い女性二人と熟年男性一人の三人組が休憩の終わりかけで話を聞くと、水場を探しても見つからないので三嶺まで行くとのこと。水場はすぐ解って水の補給が楽にできるものと思っていたのに、私にはもうスポーツ飲料の粉末を溶かした飲料が500mlの7分目くらいしか残っておらず、もう真水はないのでアルファ米を食べられるようにできないのです。小屋も三嶺の方がはるかにきれいで歩行時間も2時間弱ですよと言われたので、ばてていて足も痙攣しそうですが行くしかありません。
[attachment=2]DSC01183.jpg[/attachment]
思い足を引きずりながら白髪分岐に登り三嶺方面を見ると、手前のはげ山、かやはげの他にもいくつか小ピークをアップダウンした後に三嶺への急登がはっきり見えます。こんなに疲れ果てているのにあそこを登るのかと思うと気が遠くなりそうです。まず急な坂を下りてかやはげへの急な登り返しです。きついです。その後ずっと樹林の中なので暑さ的には少しましですが、いよいよ三嶺への急登が始まりましたが、あるところでは急登ってものじゃなく岩場のロッククライミングみたいななところがあり、段差が大きくて腿に負担をかけると痙攣しそうなので、鎖をしっかりつかんで腕力で体を引き揚げるしかありません。一つ急場を抜けるとまだまだ先があり、またまた急場をしのいでやっとのことで三嶺頂上へ登りつきました。とにかく水の確保がしたいので早々に小屋へ向かいます。
[attachment=1]DSC01267.jpg[/attachment]
小屋の中には60代の御夫婦がいて水場を聞くと、ここには泊まらないし水場は知らないと、えらいことです。そこへ白人の若い男性と日本人女性の若いカップルが名頃の方から登ってきました。水場はたしか名頃登山道の途中にあったはずと思い二人に水場のことを聞くと女性は全く気付かなかったそうですが、白人男性の方はだいぶ下がったところで「水場60m」の標識を見たとのこと。疲れ果てていましたが水を確保しなければどうにもならないので60代の御夫婦が名頃へ下りる後について下って行きました。まだかまだかとかなり下りてきて先を行く男性が大きな声でここにありますよと大きな声で教えていただきホッとしました。登山道から外れて下りて行くと小さな沢に水場がありました。途中急なところをロープを頼りに下りなければならないので女性には難しいでしょう。2l汲んでなおかつ500ml二本分をがぶ飲みしてやっと一息つきました。のんびりはしていられません、これからかなりの距離を登り返さなければなりません。しかも入道雲が出てきて遠くで雷鳴がしています。いそいで登り返さなければなりません。
[attachment=0]DSC01298.jpg[/attachment]
小屋に帰りつくと白髪小屋で会った三人組が到着していました。女性の一人が特に疲れているようで、しかも新しい靴で豆ができたらしくその手入れやら、清涼感をもたらすクリームを塗ってその臭いで一杯です。水場を聞かれたのでかなり下まで下りなければならいこと、急な場所があり女性では難しいところがあると説明しました。シャツからパンツまで濡れているのでシュラフに入る前に乾かそうと外へ出て風や陽射しにあたり2~30分して小屋へ戻ると三人組はおらず水を諦めて下山したようです。翌日の結果を見ると私もこのまま下山した方が良かったのです。
今夜は山小屋で一人かと覚悟していてふと北側の窓から外を覗くと5~60m離れたところにオレンジ色のテントが張ってあり、中で人の影が夕陽で動くのが見えます。登山道の上のようであんなところへ設営してもいいのかなと思っていました。しばらくすると男性が一人水の容器を持って小屋へ入ってきて水場を聞きますので、教えてあげて登り返しがしんどいだろうなと同情しました。それからしばらくしてうとうとしていると男性と女性の二人組が小屋へ入ってきて、私に気づき、外が寒いので中で食事をしてもいいですかと効くので、断る理由もないのでどうぞと返事をしました。ところがすぐに始めることはなく、私の存在を気にして沈黙したままで時々ポツリポツリと気まずそうに話をします。どうやらさっきの水を汲みに行った男性が戻ってくるのを待っているようです。私も明日に備えて寝たいのだけれど、マットなしで板の上なのですぐ痛くなり寝返りをしたいのだけれど、余り寝返りを打つと静かな小屋の中ではこすれる音がよく響き、うるさがっていると思われても困るので寝返りもできない。こんな重苦しい状態がいつまでづくのかと思っていると、さっき水場を聞いた男性が戻ってきて早速夕食を始めましたが、バーナーの音が結構響くし食器の音、食物を出す時の袋の音、3人揃っての会話などがらんとした小屋の中では結構響いてなかなか寝付けません。それでもいつの間にか寝ついて彼らが出て行った時のことは記憶にありません。
ふと目が覚めると夜中の1時過ぎ、風がゴーゴーとなっていて霧で星が見えません。明け方にはやむだろうと期待して寝るも、3時過ぎに又眼が覚めると同じ状態です。今日はだめかなと気分が滅入ります。4時半ごろには起きて朝食を済ませ出発の準備をします。外へ出て様子を見るも同じ状態でとても天狗塚へ行く気になれません。幸い車は天狗塚の登り口には置いてないので、このまま名頃へ下りてタクシーを呼び見の越へ帰ることにしました。5:21小屋を出発し名頃分岐へ来ると少し霧が晴れそうな感じがしたので少し未練が残り、ここで5分ほど様子を見ましたが変わりがなく、やはり下りることにします。
だいぶ下りたところで水場の標識を再確認しましたが、昨日はあれだけ疲れていたのによくここまで汲みに来たものです。かなり下ってくると霧も晴れ、ダケモミの気持のいい尾根歩きです。見通しのいいところで白髪分岐が見えましたが、まだ霧がかかっています。決断はこれでよかったのです。踏み跡はしっかりついているし標識もしっかりしているので迷うことはありません。旧道の平尾谷登山口への道は通行止めで、ダケモミの丘の先まで尾根を下り、ここで左折して四つ小屋谷左岸尾根の新しい登山道を下ります。やがて林道出合につき、このすぐ下のカーブが広く、駐車場になっていました。この林道下りて行けば旧道の平尾谷登山口へ行けますが大回りでしょう。林道のカーブのひろばの先に尾根に沿う新しい道があります。この尾根沿いの道をおりて発電所が見える送電鉄塔のところまで下りてきました。大きな駐車場があります。ここで駐車場の中で手を振りながら近づいてくる若い女性がいました。全く心当たりがなかったのですが、なんとあの三人組の一人の女性だったのです。ここで車泊されたようです。
駐車場でタクシー会社へ電話しても通じません。名頃のバス停まで行って電話しても通じないので、もしかしてとコミュニティバスの時間を調べると見の越行きは10時過ぎ。もはや自分の足を使うしかありません。ここから見の越まで10kmひたすら歩きます。大宮橋から2kmにある奥祖谷かずら橋の入り口にきました。ここで自販機でのどを潤していると茶店の女性が店開きの準備を始めて話しかけてきたので事情を話すとタクシー会社へ電話してくれました。タクシーは大歩危の方へお客さんを迎えに行っているのでこちらへいつ来られるか分らないとのこと。最後の蜘蛛の糸も切れました。
諦めて見の越へ向けて歩いていると時たま車が通るので便乗させてくれる車でもいないかなと淡い期待を持ちましたが、そうは問屋がおろしません。甘い期待を捨てて歩くしかないのだと言い聞かせて歩いていると、途中で一台の車が停まって、剣山まで行くなら乗って行きませんかと親切に誘っていただきました。体は疲れているのでありがとうございますと御誘いに乗りたいのですが、口から出る言葉は、今日は天狗塚まで歩く予定だったのでトレーニングの為頑張って歩きますと心と逆のことを言うのです。相手の方はもう一度、乗って言ったらどうですかと誘ってくださったのですが意地を張ってお断りしてしまいました。あ~あ、過去にも他人の親切を素直に受けいれず意地を張って結局後悔したことが一杯あった人生だったなあ。馬鹿は死ぬまでなおらないか。
大塚製薬つるぎ山荘を過ぎた先で、国道は左へ大きく曲がって登って行くカーブに、このカーブから右へ入る山道があり、入口の標識に駐車場まで10分とかいてあります。大きくショートカットできるとはありがたいので当然山道へ入ります。ゆっくり登って行くと駐車場の自分の車から10mくらいのところに登りつきました。
やれやれ、やっと車まで帰れました。後は安全運転をして無事に家へ帰るだけです。それにしても疲れました。
【 山 域 】 四国 剣山地
【メンバー】単独
【 天 候 】16日晴れ、 17日 霧
【 ルート 】16日 4:46見の越ー6:33剣山ー7:33次郎笈ー8:48丸石ー10:26高ノ瀬ー12:33白髪小屋ー14:54三嶺小屋
17日 5:21三嶺小屋ー6:44名頃ー9:18見の越
6月中旬以降白山を狙っていたけれどチャンスに恵まれず、箕面周辺を5kgかついで1時間半から3時間歩いて何とか体力の維持を図っていました。この連休こそ遠出をとの思いもかなわず天気予報は余り芳しくないが、四国は良さそうです。剣山には2度登り、天狗塚~牛の背へも行ったことがあり、一度は剣山から天狗塚まで縦走をしてみたいと思っていたので実行することにしました。天狗塚の登山口の西山林道登山口に車を置き、タクシーで見の越へ送ってもらい、白髪小屋で泊って天狗塚から下りる予定です。
土曜日の午後タクシー会社へ予約の電話をすると、営業は午前7時からとのこと、見の越に車をおいて縦走したらどうですか、下山時は夜遅くでも迎えに行くからとのこと。私のガラケーはソフトバンクで他社に比べ山での接続が極めて悪いのでつながるか不安ですがというと、天狗塚から半分も下りてくればソフトバンクでもつながりますよと言われ、そうすることに決めました。これが後で響くことになろうとは。
午後4時半ごろ家を出発、ノンストップで8時半ごろ見の越に到着。走りながら次第に以前の記憶が蘇ってきました。高速を下りて貞光から見の越までの国道438号は、一部で2車線に拡幅工事をしているが狭くてすれ違えないところが多く、くねくねで長く、夜はヘッドライトで対向車が解りやすいけれど帰りの昼間は対向車が解りにくいので運転が大変だろうな思いが、そしてその通りでした。
朝4時前に起きて食事を済ませ、ヘッデンがいらなくなる頃を見計らって4:48に出発。日頃日帰りで背負う負荷は6kg前後ですが今回はシュラフと二日分の食料を入れた10kgの負荷はさすがに堪えます。登山道の入り口は剣神社への道と一緒で、かなり急な階段でもう既にこの階段でずっしりときています。とにかくばてないようゆっくり歩を進めます。リフトの終点、西嶋駅の手前でテントがありましたが、こんなところにテントが張れるのですね。この先に分岐があり距離の短い刀掛の尾根道を選ぶもその入口が解らない。地図を見直してよく見ると 、左のリフトの建物と右のトイレの間を抜けて行くとその先に尾根道の入り口がありました。
天気は上々ですが水蒸気が多いようで遠くの山並みは霞んでいます。快適な尾根道を登って刀掛の松の前を通り雲海荘の横を通って頂上へつきました。 広い頂上は木道だらけでちょっと無粋です。南西の端に頂上があり、そこから次郎笈へ向かう階段が下へ続いています。すでに何人か空身で下りていっていますが往復する人で縦走する人は少ないようです。こんな暑い時期に縦走するようなもの好きは少ないでしょうね。
[attachment=7]DSC00634.jpg[/attachment]
次郎笈をトラバースする道の分岐に来ました。体力を温存するならこのトラバース道を行けばかなり楽になりますし、今回の心配の一つ水についても水場はこのトラバース道の途中にあるので少しひかれますが、ここまで来て次郎笈およびそこへの尾根道の展望を捨てるわけにはいきません。次郎笈の肩につきました。ここが縦走路の分岐で、頂上は南へ100mくらい先です。
次郎笈の肩から下りる途中で行く先を望むと遠くまで尾根が続いています。正面奥が多分三嶺で、まだまだはるか先です。まだ時間が早くて風も涼しいからいいようなものの、この先木陰のない笹の尾根を歩いて、気温が上がってきたら大変だろうな。もっと涼しい時期にした方がよかったかなあ。くじけそうになります。
トラバース道分岐に来ました。ここにザックをデポしてトラバース道を剣山の方向へ戻り水場へ行きます。200mくらい戻ればありました。今回は水の確保が重要です。地図には数か所水場の表示がありますが、レポによると解りにくかったりかなり登山道から下らなければならないようなのです。1lのぺッツトボトルを1本、500mlを2本の計2l持ってきましたがもう1l消費し、1lの水を補給しました。3lくらい持ってきた方が良かったけれど担げたかどうか。
気持のいい尾根歩きが続きますが、そろそろ気温も上がり始め炎天下ではしんどくなりそうです。広い笹尾根の鞍部に来ると標識が立っていました。スーパー林道分岐です。この標識に三嶺まで13.4kmと書いてあって愕然としました。あわよくば三嶺までもと考えていましたが、とても無理、今日は白髪小屋まで行くのがやっとだろうと覚悟を決めました。丸石は南北に延びる広い笹の尾根で、ここから東を眺めると遮るもののない大展望で、剣山、次郎笈がよく見えます。
[attachment=6]DSC00872.jpg[/attachment]
丸石から先は林の中を歩くことになり、展望はなくなりますが涼しくなり、痛し痒しです。丸石避難小屋に来ました。中は案外きれいですが水場がないので緊急避難以外は使えないでしょう。そのすぐ先に奥祖谷かずら橋分岐がありました。その先で「キツネメソウ」とでも名づけたい草がありました。暫く樹林が続いていますがあるところで開けて高ノ瀬が見えましたがかなり高く見え、ここから一旦下ってあそこまで登り返さなければならないかと思うと気分がくじけそうになります。ちょっとした岩場のようなところがありますが問題ありません。この登りで見かけた シロヤシオが紅葉し始めていました。
[attachment=5]DSC00913.jpg[/attachment]
高ノ瀬につくとトレランの人が休憩を終わりかけていて話を聞くとこれから名頃まで一気に下りるとのとこ、凄いです。少し下った後中東山への分岐のある石立山分岐へ登って行く右手に、高ノ瀬オオヤマレンゲ保護地があり、殆どの花は茶色に変色していましたが、数輪先残っていて何とか写真を撮れました。ここは防護ネットで厳重に囲われているように見えましたが、すぐ先で鹿が二匹囲いの中を警戒音を発しながら逃げて 行くのが見えました。役に立っているのでしょうか。
[attachment=4]DSC01013.jpg[/attachment]
やがて樹林帯を抜けまた笹原の展望尾根を歩きますが、時々曇ると楽ですが日が照ると暑いです。もう体力は落ちっぱなしです。つぎに広大な笹の尾根の南側の斜面をトラバースします。ところどころ生え延びた草で道が見えないところがありますが、その下は踏み固められていて迷うことはありません。やがてトラバース道が駄々広い笹原の尾根に上がると正面に三嶺がど~~んと正面に見えます。次に白骨林が見えてきます。これが白髪小屋手前の白骨林で、剣山頂上で会った地元の方が早朝のここからの三嶺の写真が一番いいよと教えていただいたところのようで、明日早朝に写真を撮りにこようかなと思いました。また林を抜けて笹原に出ると、お~やっと白髪小屋が見えてきました。
[attachment=3]DSC01149.jpg[/attachment]
今日はここに泊るつもりでしたがここで重大なことが解りました。若い女性二人と熟年男性一人の三人組が休憩の終わりかけで話を聞くと、水場を探しても見つからないので三嶺まで行くとのこと。水場はすぐ解って水の補給が楽にできるものと思っていたのに、私にはもうスポーツ飲料の粉末を溶かした飲料が500mlの7分目くらいしか残っておらず、もう真水はないのでアルファ米を食べられるようにできないのです。小屋も三嶺の方がはるかにきれいで歩行時間も2時間弱ですよと言われたので、ばてていて足も痙攣しそうですが行くしかありません。
[attachment=2]DSC01183.jpg[/attachment]
思い足を引きずりながら白髪分岐に登り三嶺方面を見ると、手前のはげ山、かやはげの他にもいくつか小ピークをアップダウンした後に三嶺への急登がはっきり見えます。こんなに疲れ果てているのにあそこを登るのかと思うと気が遠くなりそうです。まず急な坂を下りてかやはげへの急な登り返しです。きついです。その後ずっと樹林の中なので暑さ的には少しましですが、いよいよ三嶺への急登が始まりましたが、あるところでは急登ってものじゃなく岩場のロッククライミングみたいななところがあり、段差が大きくて腿に負担をかけると痙攣しそうなので、鎖をしっかりつかんで腕力で体を引き揚げるしかありません。一つ急場を抜けるとまだまだ先があり、またまた急場をしのいでやっとのことで三嶺頂上へ登りつきました。とにかく水の確保がしたいので早々に小屋へ向かいます。
[attachment=1]DSC01267.jpg[/attachment]
小屋の中には60代の御夫婦がいて水場を聞くと、ここには泊まらないし水場は知らないと、えらいことです。そこへ白人の若い男性と日本人女性の若いカップルが名頃の方から登ってきました。水場はたしか名頃登山道の途中にあったはずと思い二人に水場のことを聞くと女性は全く気付かなかったそうですが、白人男性の方はだいぶ下がったところで「水場60m」の標識を見たとのこと。疲れ果てていましたが水を確保しなければどうにもならないので60代の御夫婦が名頃へ下りる後について下って行きました。まだかまだかとかなり下りてきて先を行く男性が大きな声でここにありますよと大きな声で教えていただきホッとしました。登山道から外れて下りて行くと小さな沢に水場がありました。途中急なところをロープを頼りに下りなければならないので女性には難しいでしょう。2l汲んでなおかつ500ml二本分をがぶ飲みしてやっと一息つきました。のんびりはしていられません、これからかなりの距離を登り返さなければなりません。しかも入道雲が出てきて遠くで雷鳴がしています。いそいで登り返さなければなりません。
[attachment=0]DSC01298.jpg[/attachment]
小屋に帰りつくと白髪小屋で会った三人組が到着していました。女性の一人が特に疲れているようで、しかも新しい靴で豆ができたらしくその手入れやら、清涼感をもたらすクリームを塗ってその臭いで一杯です。水場を聞かれたのでかなり下まで下りなければならいこと、急な場所があり女性では難しいところがあると説明しました。シャツからパンツまで濡れているのでシュラフに入る前に乾かそうと外へ出て風や陽射しにあたり2~30分して小屋へ戻ると三人組はおらず水を諦めて下山したようです。翌日の結果を見ると私もこのまま下山した方が良かったのです。
今夜は山小屋で一人かと覚悟していてふと北側の窓から外を覗くと5~60m離れたところにオレンジ色のテントが張ってあり、中で人の影が夕陽で動くのが見えます。登山道の上のようであんなところへ設営してもいいのかなと思っていました。しばらくすると男性が一人水の容器を持って小屋へ入ってきて水場を聞きますので、教えてあげて登り返しがしんどいだろうなと同情しました。それからしばらくしてうとうとしていると男性と女性の二人組が小屋へ入ってきて、私に気づき、外が寒いので中で食事をしてもいいですかと効くので、断る理由もないのでどうぞと返事をしました。ところがすぐに始めることはなく、私の存在を気にして沈黙したままで時々ポツリポツリと気まずそうに話をします。どうやらさっきの水を汲みに行った男性が戻ってくるのを待っているようです。私も明日に備えて寝たいのだけれど、マットなしで板の上なのですぐ痛くなり寝返りをしたいのだけれど、余り寝返りを打つと静かな小屋の中ではこすれる音がよく響き、うるさがっていると思われても困るので寝返りもできない。こんな重苦しい状態がいつまでづくのかと思っていると、さっき水場を聞いた男性が戻ってきて早速夕食を始めましたが、バーナーの音が結構響くし食器の音、食物を出す時の袋の音、3人揃っての会話などがらんとした小屋の中では結構響いてなかなか寝付けません。それでもいつの間にか寝ついて彼らが出て行った時のことは記憶にありません。
ふと目が覚めると夜中の1時過ぎ、風がゴーゴーとなっていて霧で星が見えません。明け方にはやむだろうと期待して寝るも、3時過ぎに又眼が覚めると同じ状態です。今日はだめかなと気分が滅入ります。4時半ごろには起きて朝食を済ませ出発の準備をします。外へ出て様子を見るも同じ状態でとても天狗塚へ行く気になれません。幸い車は天狗塚の登り口には置いてないので、このまま名頃へ下りてタクシーを呼び見の越へ帰ることにしました。5:21小屋を出発し名頃分岐へ来ると少し霧が晴れそうな感じがしたので少し未練が残り、ここで5分ほど様子を見ましたが変わりがなく、やはり下りることにします。
だいぶ下りたところで水場の標識を再確認しましたが、昨日はあれだけ疲れていたのによくここまで汲みに来たものです。かなり下ってくると霧も晴れ、ダケモミの気持のいい尾根歩きです。見通しのいいところで白髪分岐が見えましたが、まだ霧がかかっています。決断はこれでよかったのです。踏み跡はしっかりついているし標識もしっかりしているので迷うことはありません。旧道の平尾谷登山口への道は通行止めで、ダケモミの丘の先まで尾根を下り、ここで左折して四つ小屋谷左岸尾根の新しい登山道を下ります。やがて林道出合につき、このすぐ下のカーブが広く、駐車場になっていました。この林道下りて行けば旧道の平尾谷登山口へ行けますが大回りでしょう。林道のカーブのひろばの先に尾根に沿う新しい道があります。この尾根沿いの道をおりて発電所が見える送電鉄塔のところまで下りてきました。大きな駐車場があります。ここで駐車場の中で手を振りながら近づいてくる若い女性がいました。全く心当たりがなかったのですが、なんとあの三人組の一人の女性だったのです。ここで車泊されたようです。
駐車場でタクシー会社へ電話しても通じません。名頃のバス停まで行って電話しても通じないので、もしかしてとコミュニティバスの時間を調べると見の越行きは10時過ぎ。もはや自分の足を使うしかありません。ここから見の越まで10kmひたすら歩きます。大宮橋から2kmにある奥祖谷かずら橋の入り口にきました。ここで自販機でのどを潤していると茶店の女性が店開きの準備を始めて話しかけてきたので事情を話すとタクシー会社へ電話してくれました。タクシーは大歩危の方へお客さんを迎えに行っているのでこちらへいつ来られるか分らないとのこと。最後の蜘蛛の糸も切れました。
諦めて見の越へ向けて歩いていると時たま車が通るので便乗させてくれる車でもいないかなと淡い期待を持ちましたが、そうは問屋がおろしません。甘い期待を捨てて歩くしかないのだと言い聞かせて歩いていると、途中で一台の車が停まって、剣山まで行くなら乗って行きませんかと親切に誘っていただきました。体は疲れているのでありがとうございますと御誘いに乗りたいのですが、口から出る言葉は、今日は天狗塚まで歩く予定だったのでトレーニングの為頑張って歩きますと心と逆のことを言うのです。相手の方はもう一度、乗って言ったらどうですかと誘ってくださったのですが意地を張ってお断りしてしまいました。あ~あ、過去にも他人の親切を素直に受けいれず意地を張って結局後悔したことが一杯あった人生だったなあ。馬鹿は死ぬまでなおらないか。
大塚製薬つるぎ山荘を過ぎた先で、国道は左へ大きく曲がって登って行くカーブに、このカーブから右へ入る山道があり、入口の標識に駐車場まで10分とかいてあります。大きくショートカットできるとはありがたいので当然山道へ入ります。ゆっくり登って行くと駐車場の自分の車から10mくらいのところに登りつきました。
やれやれ、やっと車まで帰れました。後は安全運転をして無事に家へ帰るだけです。それにしても疲れました。