【大峰】岩本谷からキレット、稲村ヶ岳
Posted: 2011年8月02日(火) 00:53
【日 付】2011年7月31日(日)
【山 域】大峰 稲村ヶ岳周辺
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】岩本谷出合6:35---7:52水晶谷出合8:06---9:36キレット---9:47稲村ヶ岳
10:07---10:31クロモジ尾分岐11:34---12:53岩本谷出合
特に沢へ行きたいという気持ちも起こらなければ、汗だくになって尾根歩きをする気もない。と言って山に行かなけれ
ば体力が落ちるだけだ。
あまり暑い思いをせずにそこそこの標高へ短時間で上がれるところ。大峰の川迫川支流白倉谷のまた支流である岩本
谷はその条件にぴったりだ。西向きの谷だから、早い時間にスタートすれば、日が当たる前に稜線に抜けられるだろう。
夜半の雨で心配していた天気もなんとか持ちそうな雰囲気だ。夏休みには大賑わいのミタライ渓谷周辺も、早朝とあ
ってまだ人影はない。
白倉谷出合の定位置に駐車して、左岸の荒れ果てた林道を少し進めば自然に入渓点へ導かれる。
今日は股下以上は浸かるまいと水の中を歩き出した。水量は多からず少なからずというところか。入渓点のすぐ先で
左岸の支流から落ちるスダレ滝が美しい。
[attachment=4]P1110114_1.JPG[/attachment]
岩本谷は滝らしい滝は数えるほどしかない初級向けの谷である。しかし巨岩がごろごろと転がる風景とツルツルに磨
かれた岩盤はいかにも大峰らしい雰囲気にあふれている。両岸屹立したゴルジュがなく、伸びやかで明るいところは大
峰らしくないと言うべきか。
沢登りと捉えると些か物足りないかもしれないが、稲村ヶ岳と大日山の間のキレットにダイレクトに突き上げるのが魅力
的なルートだ。
いくつかのナメ滝や小滝を直登と巻きを交えて楽しみながら進むと、やっと滝らしい落差を持った10mほどの段々滝が
現われる。水流の中を簡単に登れば深そうな淵を抱いたゴルジュとなる。7年前の冬に雪の着いた左側の壁を登れず
敗退した場所である。右岸のバンドをへつって通過すると3m程度の小滝が連続する。
[attachment=3]P1110136_1.JPG[/attachment]
左岸から10m滝を落とす支流を見送ればすぐに水晶谷の出合に到着だ。一見本流に見える直進方向の谷が水晶谷
である。本流は急激に逆S字を描いてナメ滝を落としている。快適に登ったところでひと息入れた。
ここから先は沢歩く必要もなくなるくらい、広々とした谷筋は樹林の台地状となる。実際15年ほど前の晩秋には登山
靴で稜線まで抜けている。
ここで登山靴に履き替えるという手もあったが、涼しいのが第一なのでなるべく水流沿いに歩く。
サワグルミやトチが主体の樹林は原始の雰囲気が漂い、大峰らしい匂いの漂う場所である。
[attachment=0]P1110172_1.JPG[/attachment]
Ca1450mあたりからのルート取りがこのコースの最大のポイントだ。選択を誤れば、上部で絶望的な岩壁にぶち当た
り、退却か危なっかしいトラバースを余儀なくされる。
右に伸びる本流は地図上では稲村ヶ岳の山頂にダイレクトに上がれるように見えるが、最後はミオス尾(西尾根)の岩
壁に阻まれて身動きが取れなくなってしまう。辛うじて谷の形がある北北東へのルンゼに入れるかどうかがカギとなる
のだ。
とは言うものの、入渓者も多いのか、テープに導かれて迷う方が難しい状態なのはちょっと寂しいものがある。あたり
にはミズナラの巨木が多く、ますます原始の色が濃い。ミオス尾とクロモジ尾に挟まれたこの谷の上部はまったく人の
手が入っていないようだ。下部はイヤと言うほど伐採植林されているが。
ルンゼに入ってしまえばこっちのものである。傾斜はいよいよ急になり、見上げるのも首が痛いほどだ。左手の頭上
には大日山の西壁が圧倒的に迫り、覆い被さってくるようだ。
このあたりはカエデも多く、秋には美しい彩りを添えてくれるだろう。
肝心のルンゼはと言うと、谷芯は草ボウボウという状態で、美しいラインを見せてはくれない。それでも岩壁と岩壁の
間をキレットに一直線に伸びる谷の形は十分に魅力的だ。
ヤマアジサイとシシウドのお花畑となったルンゼは特に悪いところもなく、一箇所だけチョクストンを避けて右の岩場を
トラバース、最後は足場の悪い斜面をだましながら上がれば難なくキレットに飛び出した。
草刈りをすればもっと気持ちのいいルートになるに違いない。
[attachment=2]P1110201_1.JPG[/attachment]
登山道を右に進めばすぐに稲村ヶ岳山頂だ。今日は霞んで弥山も見えない。山上ヶ岳から大普賢あたりが望まれる
程度だが、見慣れた展望なのでどっちでもいいという感じである。
山頂の展望台は荷物を広げるには重宝する。ちょうど入れ替わりに2人パーティーが下りて行ったが、時間がまだ早い
のでそれからは貸切だった。
ランチというのも少し早過ぎる。それになぜか稲村小屋のある山上辻から先は食事も禁止になっているらしい。
展望台で太陽に焼かれてメシを食う気もないので、とりあえず下山路のクロモジ尾へと向かった。
積雪期には緊張の連続のトラバースルートとなる大日山直下の巻き道も、無雪期には気楽なものだ。
トラバース道を過ぎると一面ブナの森に変わる。山上辻からこのあたりまでは好きな場所だ。
途中3パーティーとすれ違ったが、3パーティーとも山スカを履いた女性がいたのには驚いた。驚く方が時代遅れなの
かもしれないが、「大峰で山スカ?」というのが正直なところだ。
但し、「山ガ」と呼ぶには苦しいものがあったが。
クロモジ尾の反対側の斜面でランチとする。と言ってもまだ10時半である。このまま下りれば昼までに下山できるの
だが、ここでプシューもせずに下りたら何のために山に登ったのかわからない。
先週よりは多いが、意外なほど虫も少なく、日の差さないブナ林は涼しくて極楽だ。
[attachment=1]P1110219_1.JPG[/attachment]
下りは仕事の早いクロモジ尾。前を沢装束の3人パーティー(こちらは野郎だけ)が歩いていた。モジキ谷でも登ってき
たのだろうか。
Ca1390mで尾根はふたつに分岐する。その尾根の間は見事なほどの伐採ぶりで、何もない。
15年前にはうっそうと繁った植林の中を歩いたものだったが、今はあっけらかんと開かれた空間に日差しが容赦なく照
り付ける。
Ca1130mあたりで左へ道が分岐する。ここには分岐点を示すベタ巻きのテープが満貫飾だ。2年前は左へ少し入った
ものの道が定かでなく、戻って尾根を末端まで辿ったのだった。
特に悪いところがあるわけでもなくどっちでもよかったのだが、前回あきらめた道を確認したくて左を選んだ。
お世辞にもいい道とは言えないが、伐採した木の根元近くに巻かれたテープが続いて見失うことはない。下部で古くか
らの杣道に出合うと踏み跡はしっかりしたものになったが、崩れている場所や伐木に邪魔されてスンナリとはいかなか
った。出発点の橋の袂に出られるのが魅力だったが、帰ってGPSの軌跡を比較してみたら、直線的に歩ける尾根直進
ルートと距離的には変わらなかった。
出合まで戻ると3人パーティーが帰り支度をしているところだった。
岩本谷を遡行して、最後はミオス尾から稲村ダイレクトを狙って敗退したということだった。
「モジキ谷かと思いましたよ。」と言うと、「モジキ谷も大きな滝がないからあまり面白くないねえ。」と仰る。
その面白くないモジキ谷に4回も入っている私はどう返事していいかわからなかった。
山日和
【山 域】大峰 稲村ヶ岳周辺
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】岩本谷出合6:35---7:52水晶谷出合8:06---9:36キレット---9:47稲村ヶ岳
10:07---10:31クロモジ尾分岐11:34---12:53岩本谷出合
特に沢へ行きたいという気持ちも起こらなければ、汗だくになって尾根歩きをする気もない。と言って山に行かなけれ
ば体力が落ちるだけだ。
あまり暑い思いをせずにそこそこの標高へ短時間で上がれるところ。大峰の川迫川支流白倉谷のまた支流である岩本
谷はその条件にぴったりだ。西向きの谷だから、早い時間にスタートすれば、日が当たる前に稜線に抜けられるだろう。
夜半の雨で心配していた天気もなんとか持ちそうな雰囲気だ。夏休みには大賑わいのミタライ渓谷周辺も、早朝とあ
ってまだ人影はない。
白倉谷出合の定位置に駐車して、左岸の荒れ果てた林道を少し進めば自然に入渓点へ導かれる。
今日は股下以上は浸かるまいと水の中を歩き出した。水量は多からず少なからずというところか。入渓点のすぐ先で
左岸の支流から落ちるスダレ滝が美しい。
[attachment=4]P1110114_1.JPG[/attachment]
岩本谷は滝らしい滝は数えるほどしかない初級向けの谷である。しかし巨岩がごろごろと転がる風景とツルツルに磨
かれた岩盤はいかにも大峰らしい雰囲気にあふれている。両岸屹立したゴルジュがなく、伸びやかで明るいところは大
峰らしくないと言うべきか。
沢登りと捉えると些か物足りないかもしれないが、稲村ヶ岳と大日山の間のキレットにダイレクトに突き上げるのが魅力
的なルートだ。
いくつかのナメ滝や小滝を直登と巻きを交えて楽しみながら進むと、やっと滝らしい落差を持った10mほどの段々滝が
現われる。水流の中を簡単に登れば深そうな淵を抱いたゴルジュとなる。7年前の冬に雪の着いた左側の壁を登れず
敗退した場所である。右岸のバンドをへつって通過すると3m程度の小滝が連続する。
[attachment=3]P1110136_1.JPG[/attachment]
左岸から10m滝を落とす支流を見送ればすぐに水晶谷の出合に到着だ。一見本流に見える直進方向の谷が水晶谷
である。本流は急激に逆S字を描いてナメ滝を落としている。快適に登ったところでひと息入れた。
ここから先は沢歩く必要もなくなるくらい、広々とした谷筋は樹林の台地状となる。実際15年ほど前の晩秋には登山
靴で稜線まで抜けている。
ここで登山靴に履き替えるという手もあったが、涼しいのが第一なのでなるべく水流沿いに歩く。
サワグルミやトチが主体の樹林は原始の雰囲気が漂い、大峰らしい匂いの漂う場所である。
[attachment=0]P1110172_1.JPG[/attachment]
Ca1450mあたりからのルート取りがこのコースの最大のポイントだ。選択を誤れば、上部で絶望的な岩壁にぶち当た
り、退却か危なっかしいトラバースを余儀なくされる。
右に伸びる本流は地図上では稲村ヶ岳の山頂にダイレクトに上がれるように見えるが、最後はミオス尾(西尾根)の岩
壁に阻まれて身動きが取れなくなってしまう。辛うじて谷の形がある北北東へのルンゼに入れるかどうかがカギとなる
のだ。
とは言うものの、入渓者も多いのか、テープに導かれて迷う方が難しい状態なのはちょっと寂しいものがある。あたり
にはミズナラの巨木が多く、ますます原始の色が濃い。ミオス尾とクロモジ尾に挟まれたこの谷の上部はまったく人の
手が入っていないようだ。下部はイヤと言うほど伐採植林されているが。
ルンゼに入ってしまえばこっちのものである。傾斜はいよいよ急になり、見上げるのも首が痛いほどだ。左手の頭上
には大日山の西壁が圧倒的に迫り、覆い被さってくるようだ。
このあたりはカエデも多く、秋には美しい彩りを添えてくれるだろう。
肝心のルンゼはと言うと、谷芯は草ボウボウという状態で、美しいラインを見せてはくれない。それでも岩壁と岩壁の
間をキレットに一直線に伸びる谷の形は十分に魅力的だ。
ヤマアジサイとシシウドのお花畑となったルンゼは特に悪いところもなく、一箇所だけチョクストンを避けて右の岩場を
トラバース、最後は足場の悪い斜面をだましながら上がれば難なくキレットに飛び出した。
草刈りをすればもっと気持ちのいいルートになるに違いない。
[attachment=2]P1110201_1.JPG[/attachment]
登山道を右に進めばすぐに稲村ヶ岳山頂だ。今日は霞んで弥山も見えない。山上ヶ岳から大普賢あたりが望まれる
程度だが、見慣れた展望なのでどっちでもいいという感じである。
山頂の展望台は荷物を広げるには重宝する。ちょうど入れ替わりに2人パーティーが下りて行ったが、時間がまだ早い
のでそれからは貸切だった。
ランチというのも少し早過ぎる。それになぜか稲村小屋のある山上辻から先は食事も禁止になっているらしい。
展望台で太陽に焼かれてメシを食う気もないので、とりあえず下山路のクロモジ尾へと向かった。
積雪期には緊張の連続のトラバースルートとなる大日山直下の巻き道も、無雪期には気楽なものだ。
トラバース道を過ぎると一面ブナの森に変わる。山上辻からこのあたりまでは好きな場所だ。
途中3パーティーとすれ違ったが、3パーティーとも山スカを履いた女性がいたのには驚いた。驚く方が時代遅れなの
かもしれないが、「大峰で山スカ?」というのが正直なところだ。
但し、「山ガ」と呼ぶには苦しいものがあったが。
クロモジ尾の反対側の斜面でランチとする。と言ってもまだ10時半である。このまま下りれば昼までに下山できるの
だが、ここでプシューもせずに下りたら何のために山に登ったのかわからない。
先週よりは多いが、意外なほど虫も少なく、日の差さないブナ林は涼しくて極楽だ。
[attachment=1]P1110219_1.JPG[/attachment]
下りは仕事の早いクロモジ尾。前を沢装束の3人パーティー(こちらは野郎だけ)が歩いていた。モジキ谷でも登ってき
たのだろうか。
Ca1390mで尾根はふたつに分岐する。その尾根の間は見事なほどの伐採ぶりで、何もない。
15年前にはうっそうと繁った植林の中を歩いたものだったが、今はあっけらかんと開かれた空間に日差しが容赦なく照
り付ける。
Ca1130mあたりで左へ道が分岐する。ここには分岐点を示すベタ巻きのテープが満貫飾だ。2年前は左へ少し入った
ものの道が定かでなく、戻って尾根を末端まで辿ったのだった。
特に悪いところがあるわけでもなくどっちでもよかったのだが、前回あきらめた道を確認したくて左を選んだ。
お世辞にもいい道とは言えないが、伐採した木の根元近くに巻かれたテープが続いて見失うことはない。下部で古くか
らの杣道に出合うと踏み跡はしっかりしたものになったが、崩れている場所や伐木に邪魔されてスンナリとはいかなか
った。出発点の橋の袂に出られるのが魅力だったが、帰ってGPSの軌跡を比較してみたら、直線的に歩ける尾根直進
ルートと距離的には変わらなかった。
出合まで戻ると3人パーティーが帰り支度をしているところだった。
岩本谷を遡行して、最後はミオス尾から稲村ダイレクトを狙って敗退したということだった。
「モジキ谷かと思いましたよ。」と言うと、「モジキ谷も大きな滝がないからあまり面白くないねえ。」と仰る。
その面白くないモジキ谷に4回も入っている私はどう返事していいかわからなかった。
山日和
特に沢へ行きたいという気持ちも起こらなければ、汗だくになって尾根歩きをする気もない。