【野坂】湯の花谷の頭
Posted: 2017年6月11日(日) 14:27
【日 付】 2017/6/9(金)
【山域山名】 野坂山地/ 湯の花谷の頭 841m (福井県美浜町)
【地形図】(1/25000)駄口
【メンバー】 単独
【天 候】 晴れ
【ルート】 駐車地6:35---上の送電線鉄塔7:25---猿鹿(727m標高点)8:30/8:35
---湯の花谷の頭(841m標高点)9:40---荒地(ca800m)9:55/11:25---湯の花谷の頭11:35
---県境稜線縦走路11:40---粟柄越12:10---折戸谷林道13:40---駐車地13:45
福井県美浜町某所、林道の車泊地にて。
クルマを止めて、寝る前に一杯やろうと準備していると、
何だかわからないが、車外で「カッ、カッ」という音がしたあと、
車のどこかに何かがコンと当たって、ちょっと車が揺れた感じがした。
こんな夜に何だ? 血迷ったシカが体当たりでも喰らわしてきたか?
クルマは林道が少し幅広くなった部分の谷側の路肩に止めている。
懐中電灯を持って車外に出た。
クルマのまわりを見てみるが、シカが倒れているわけでもなく、別に異常はない。
車のボディにも傷や異常は見当たらない。
「あの音は何やったんかなあ?」と思いながら何気なくクルマのドア横の路面を照らすと、
舗装路の上に、何かの真新しい擦過痕がある。
あれ?
そして道路中央にも擦過痕がもうひとつ。
ん?
擦過痕を結んだ延長線は? と、地面に手をついてクルマの下をのぞき込んてみると……
ええー?
そこには角がとがったラグビーボールくらいの大きな石が鎮座していた!
この場所に駐車するのは今回が初めてだが、
山ではどこでも、駐車地周囲の状況はしっかり確認しているつもりだ。
ここも、山側は草付きの緩斜面だったので、落石の懸念はないと判断していたのだが。
改めて斜面を見上げても、見える範囲では緩い草付きが広がっているだけだし、
道にも落石の痕跡や岩くずも全くないし、石が落ちてくるような気は全くしない場所。
でも、昼間見たらまた違うのかなあ。
そんなところへ、あっと驚くような大きい落石。
そのへんから落ちてくるようなところはないように思うし、
これは、相当上のほうから落ちてきたのだろうか。
しかし、草付きや路面への擦過で石のスピードが落ち、石が路面にバウンドする周期が、
車体に当たらずうまくクルマの下へ潜り込むタイミングだった幸運もあって、ボディは無傷。
石が最後のバウンドでクルマの底にトンと当たっただけで終わり、ということらしい。
もしクルマを山側の路肩に止めていたら、天井に穴が開くか、窓ガラスが割れるか。
とにかくタダでは済まなかっただろう。
ゾッとしますなあ。
油断大敵、あな恐ろしや。
当然のことながら、ここでは寝られないので、急いで他の場所に移動する。
なんだかんだで、やっと寝る前の一杯にありつけました。
飲んでる最中じゃなくてよかった。
ここまででけっこう書いたから、山の話しはもういいかな……なーんてね。
でも、やっぱりそうはいかんやろな。
お待たせしました。
今日も長くなりまっせ。
[attachment=7]s-R0028114.jpg[/attachment]
また「アサー」だもんね。
折戸谷林道、赤坂山登山口のちょっと手前の谷、「湯の花谷」の橋のたもとにクルマを止めた。
今日はここから湯の花谷の左岸尾根を登り、湯の花谷の頭(841m標高点)を目指す。
地形図では、最初に送電線2本が走っていて、727m標高点のある尾根だ。
ここは雰囲気がよくて、ワシのお気に入りの尾根なのです。
スタート地点から尾根上の送電鉄塔までは、関電の巡視路を利用する。
最初はいきなり急登の斜面に巡視路がジグザグに切られているが、
年々、斜面の崩落が進み、
巡視路のプラ階段は流れてきた土砂と落石にほぼ埋まって、斜面と一体化してしまい、
そこに踏み跡が続いているだけなので、歩きにくい。
もしグズグズの砂ザレに足を滑らせると、
そのまま谷底まで滑り落ちてしまうので気を抜けない。
そんな、ちょっとアブナイ巡視路も下側の送電鉄塔までで、
そこから上は傾斜も緩み、普通の巡視路になる。
上の鉄塔を過ぎると、いよいよ目的の尾根に乗るのだが、
尾根の左端に比較的はっきりとした踏み跡を見つけたので、少し追ってみた。
すると、その踏み跡は尾根芯をそれて、尾根の左腹をやや下り気味にトラバースしながら、
だんだん谷の中へ入って行く。
その先には、谷の中に次の送電鉄塔が見えていたので、
巡視路標識は見当たらなかったが、巡視路の続きなのかもしれない。
このまま進むと、目的の尾根はどんどん高度を上げて離れてしまうので、
踏み跡の追跡を中止し、山腹をしばし直登して尾根芯に復帰した。
巨樹も散見される尾根芯に戻って、ちょっと残念に思ったことがある。
今までこの尾根に何度か来ているが、いつも下生えもなくスッキリとした広い尾根だったところが、
あたり一面、バイケイソウの群落になっていたのだ。
花の咲く時期ならそれもいいだろうが、今やすべてが枯れかけていて、
だらしなく倒れた茎や、虫食いのような穴の開いた葉っぱがダランとなって、
腐りかけた黄緑色~黄色~茶色のまだら模様で、実に汚らしい眺めになっている。
思えば、今までここに来たのはいつも10月~11月の秋~晩秋の頃ばかり。
その時期がこの尾根のベストなのかもしれない。
初夏に来たのは今回が初めてだが、こんなふうになっているとは思わなかったね。
[attachment=6]s-R0028086.jpg[/attachment]
そんな群落をよけながら登っていくと、
斜面から斜め下向きに生えた幹が、ゆるい弧を描いて立ち上がっている太いブナの木があった。
いつもここで休んでいく。
その弧になった部分に寝そべると、
まるで、森の中に吊るしたハンモックに寝ているような気分になる。
目を閉じると、木の葉のさやさやと揺れる音、小鳥の囀り、馥郁とした森の香りが全身を包む。
目を開くと、キラキラと木の葉を透す緑の光の先に、まぶしいほどに青々と広がる空。
尾根の傾斜が緩んでくると、727m標高点、通称「猿鹿(さるしか)」に着いた。
雰囲気のよい平が広がっている。
ここに来ると、いつも猿の群れと鹿の群れが動き回り、結構賑わっていたので、
ワシが勝手にここを「猿鹿」と呼んでいるだけだが、はたして今日は誰もいない。
[attachment=5]s-R0028107.jpg[/attachment]
ここからは植生が変わって、目障りな枯れたバイケイソウも無くなり、
下生えのないスッキリとしたブナの森の下りとなった。
やはり、これがこの尾根の持ち味かなと思う。
気分が良くなって思わずお腹をたたくと、ポンといい音がした。
前回の小栗よりいい音だ。
腹鼓の腕前がちょっと上達したのかもしれない。
今日のリズムは、「ポンポポポンポポポン、ポンポポポンポポポン。」の変則五拍子で決まりっと。
[attachment=4]s-R0028125.jpg[/attachment]
すぐ先で、左手の細い尾根を渡ると、
しっとりと落ち着いた風情の鞍部を通り、再びブナの森の登りとなった。
ただ、まとわりつくハエが少々うるさいけど。
駆け抜けるシカを目で追いながら、
ゆっくりと登っていくと、やがて前方の木々の後ろに青い空が見え始め、
841m標高点ピーク、湯の花谷の頭に着いた。
高みに出ると、眼前に高島トレイルの通る県境稜線、そしてその向こうに琵琶湖の景色が広がる。
[attachment=3]s-R0028129.jpg[/attachment]
今日は、ここでひとつのミッションを予定していた。
ここから割谷を挟んで南西方向、隣の尾根に859m標高点「割谷の頭」があるが、
そこからこちらを側を見たら、
ところどころに岩が転がっている無木立の広い裸地が見えるので、
いつも、「あそこはどんなところかな、一度行ってみたいな。」と思っていた。
今日はその荒地に行ってみる。
[attachment=2]s-R0027132.jpg[/attachment]
南西に延びる尾根を降りて行くと、またシカが数頭駆け抜けていく。
さらに進み、荒地の縁を仕切る植木のような灌木帯を抜けると、その荒地に着いた。
一面、足元は赤茶色の土と細かい石で、ちょっとフワフワした感じ。
そのあちこちに、表面が平らで角ばった岩が散らばっている。
[attachment=1]s-R0028144.jpg[/attachment]
なんでここだけこうなっているのかわからないが、裸地だけに展望抜群。
森の潤いには欠けるが、ありのままの自然がある。
頭上に広がる青い空には、刷毛で刷いたような雲が幾筋も流れて。
眼下に挟む割谷の向こうには、正面に割谷の頭、右手に石庭嶽。
その奥には、頂上の反射板が良い目印となる大御影山、
ノロ尾の高、そしてノロ尾が徐々に高度を落とす。
右奥に大日、大きい山体を現す雲谷山、そしてその山稜の果てに美浜の海。
左は寒風からの県境稜線縦走路。
琵琶湖の空を背景にして、高島トレイルを行く人がくっきりと浮き彫りのように見える。
最奥の霞の中、黒灰色に蟠踞する伊吹山。
地味な山々の連なりだが、どれも見慣れた風景。
何かを考えているようで、何も考えていない。
目に映る景色に、全身、ただ浸っているだけ。
時間(とき)がゆるゆると流れて行く。
[attachment=0]s-R0028153.jpg[/attachment]
帰路は粟柄越から登山道を下りる。
赤坂山の下、水平道あたりの風情は絶品。
最近、okuさんも山日和さんも書いていたが、
豊かな森を抜けて行く、なかなかのいい道だなあと再認識。
468mあたりまで下りてくると、
右手からドンガラドンガラ、グオーンと重機の音が聞こえる。
木立を透かして見てみると、
どうやら、ウツロ谷右岸の山腹に上がって行く林道を作っているみたい。
もうすぐ登山口だ。
洞吹(どうすい)
【山域山名】 野坂山地/ 湯の花谷の頭 841m (福井県美浜町)
【地形図】(1/25000)駄口
【メンバー】 単独
【天 候】 晴れ
【ルート】 駐車地6:35---上の送電線鉄塔7:25---猿鹿(727m標高点)8:30/8:35
---湯の花谷の頭(841m標高点)9:40---荒地(ca800m)9:55/11:25---湯の花谷の頭11:35
---県境稜線縦走路11:40---粟柄越12:10---折戸谷林道13:40---駐車地13:45
福井県美浜町某所、林道の車泊地にて。
クルマを止めて、寝る前に一杯やろうと準備していると、
何だかわからないが、車外で「カッ、カッ」という音がしたあと、
車のどこかに何かがコンと当たって、ちょっと車が揺れた感じがした。
こんな夜に何だ? 血迷ったシカが体当たりでも喰らわしてきたか?
クルマは林道が少し幅広くなった部分の谷側の路肩に止めている。
懐中電灯を持って車外に出た。
クルマのまわりを見てみるが、シカが倒れているわけでもなく、別に異常はない。
車のボディにも傷や異常は見当たらない。
「あの音は何やったんかなあ?」と思いながら何気なくクルマのドア横の路面を照らすと、
舗装路の上に、何かの真新しい擦過痕がある。
あれ?
そして道路中央にも擦過痕がもうひとつ。
ん?
擦過痕を結んだ延長線は? と、地面に手をついてクルマの下をのぞき込んてみると……
ええー?
そこには角がとがったラグビーボールくらいの大きな石が鎮座していた!
この場所に駐車するのは今回が初めてだが、
山ではどこでも、駐車地周囲の状況はしっかり確認しているつもりだ。
ここも、山側は草付きの緩斜面だったので、落石の懸念はないと判断していたのだが。
改めて斜面を見上げても、見える範囲では緩い草付きが広がっているだけだし、
道にも落石の痕跡や岩くずも全くないし、石が落ちてくるような気は全くしない場所。
でも、昼間見たらまた違うのかなあ。
そんなところへ、あっと驚くような大きい落石。
そのへんから落ちてくるようなところはないように思うし、
これは、相当上のほうから落ちてきたのだろうか。
しかし、草付きや路面への擦過で石のスピードが落ち、石が路面にバウンドする周期が、
車体に当たらずうまくクルマの下へ潜り込むタイミングだった幸運もあって、ボディは無傷。
石が最後のバウンドでクルマの底にトンと当たっただけで終わり、ということらしい。
もしクルマを山側の路肩に止めていたら、天井に穴が開くか、窓ガラスが割れるか。
とにかくタダでは済まなかっただろう。
ゾッとしますなあ。
油断大敵、あな恐ろしや。
当然のことながら、ここでは寝られないので、急いで他の場所に移動する。
なんだかんだで、やっと寝る前の一杯にありつけました。
飲んでる最中じゃなくてよかった。
ここまででけっこう書いたから、山の話しはもういいかな……なーんてね。
でも、やっぱりそうはいかんやろな。
お待たせしました。
今日も長くなりまっせ。
[attachment=7]s-R0028114.jpg[/attachment]
また「アサー」だもんね。
折戸谷林道、赤坂山登山口のちょっと手前の谷、「湯の花谷」の橋のたもとにクルマを止めた。
今日はここから湯の花谷の左岸尾根を登り、湯の花谷の頭(841m標高点)を目指す。
地形図では、最初に送電線2本が走っていて、727m標高点のある尾根だ。
ここは雰囲気がよくて、ワシのお気に入りの尾根なのです。
スタート地点から尾根上の送電鉄塔までは、関電の巡視路を利用する。
最初はいきなり急登の斜面に巡視路がジグザグに切られているが、
年々、斜面の崩落が進み、
巡視路のプラ階段は流れてきた土砂と落石にほぼ埋まって、斜面と一体化してしまい、
そこに踏み跡が続いているだけなので、歩きにくい。
もしグズグズの砂ザレに足を滑らせると、
そのまま谷底まで滑り落ちてしまうので気を抜けない。
そんな、ちょっとアブナイ巡視路も下側の送電鉄塔までで、
そこから上は傾斜も緩み、普通の巡視路になる。
上の鉄塔を過ぎると、いよいよ目的の尾根に乗るのだが、
尾根の左端に比較的はっきりとした踏み跡を見つけたので、少し追ってみた。
すると、その踏み跡は尾根芯をそれて、尾根の左腹をやや下り気味にトラバースしながら、
だんだん谷の中へ入って行く。
その先には、谷の中に次の送電鉄塔が見えていたので、
巡視路標識は見当たらなかったが、巡視路の続きなのかもしれない。
このまま進むと、目的の尾根はどんどん高度を上げて離れてしまうので、
踏み跡の追跡を中止し、山腹をしばし直登して尾根芯に復帰した。
巨樹も散見される尾根芯に戻って、ちょっと残念に思ったことがある。
今までこの尾根に何度か来ているが、いつも下生えもなくスッキリとした広い尾根だったところが、
あたり一面、バイケイソウの群落になっていたのだ。
花の咲く時期ならそれもいいだろうが、今やすべてが枯れかけていて、
だらしなく倒れた茎や、虫食いのような穴の開いた葉っぱがダランとなって、
腐りかけた黄緑色~黄色~茶色のまだら模様で、実に汚らしい眺めになっている。
思えば、今までここに来たのはいつも10月~11月の秋~晩秋の頃ばかり。
その時期がこの尾根のベストなのかもしれない。
初夏に来たのは今回が初めてだが、こんなふうになっているとは思わなかったね。
[attachment=6]s-R0028086.jpg[/attachment]
そんな群落をよけながら登っていくと、
斜面から斜め下向きに生えた幹が、ゆるい弧を描いて立ち上がっている太いブナの木があった。
いつもここで休んでいく。
その弧になった部分に寝そべると、
まるで、森の中に吊るしたハンモックに寝ているような気分になる。
目を閉じると、木の葉のさやさやと揺れる音、小鳥の囀り、馥郁とした森の香りが全身を包む。
目を開くと、キラキラと木の葉を透す緑の光の先に、まぶしいほどに青々と広がる空。
尾根の傾斜が緩んでくると、727m標高点、通称「猿鹿(さるしか)」に着いた。
雰囲気のよい平が広がっている。
ここに来ると、いつも猿の群れと鹿の群れが動き回り、結構賑わっていたので、
ワシが勝手にここを「猿鹿」と呼んでいるだけだが、はたして今日は誰もいない。
[attachment=5]s-R0028107.jpg[/attachment]
ここからは植生が変わって、目障りな枯れたバイケイソウも無くなり、
下生えのないスッキリとしたブナの森の下りとなった。
やはり、これがこの尾根の持ち味かなと思う。
気分が良くなって思わずお腹をたたくと、ポンといい音がした。
前回の小栗よりいい音だ。
腹鼓の腕前がちょっと上達したのかもしれない。
今日のリズムは、「ポンポポポンポポポン、ポンポポポンポポポン。」の変則五拍子で決まりっと。
[attachment=4]s-R0028125.jpg[/attachment]
すぐ先で、左手の細い尾根を渡ると、
しっとりと落ち着いた風情の鞍部を通り、再びブナの森の登りとなった。
ただ、まとわりつくハエが少々うるさいけど。
駆け抜けるシカを目で追いながら、
ゆっくりと登っていくと、やがて前方の木々の後ろに青い空が見え始め、
841m標高点ピーク、湯の花谷の頭に着いた。
高みに出ると、眼前に高島トレイルの通る県境稜線、そしてその向こうに琵琶湖の景色が広がる。
[attachment=3]s-R0028129.jpg[/attachment]
今日は、ここでひとつのミッションを予定していた。
ここから割谷を挟んで南西方向、隣の尾根に859m標高点「割谷の頭」があるが、
そこからこちらを側を見たら、
ところどころに岩が転がっている無木立の広い裸地が見えるので、
いつも、「あそこはどんなところかな、一度行ってみたいな。」と思っていた。
今日はその荒地に行ってみる。
[attachment=2]s-R0027132.jpg[/attachment]
南西に延びる尾根を降りて行くと、またシカが数頭駆け抜けていく。
さらに進み、荒地の縁を仕切る植木のような灌木帯を抜けると、その荒地に着いた。
一面、足元は赤茶色の土と細かい石で、ちょっとフワフワした感じ。
そのあちこちに、表面が平らで角ばった岩が散らばっている。
[attachment=1]s-R0028144.jpg[/attachment]
なんでここだけこうなっているのかわからないが、裸地だけに展望抜群。
森の潤いには欠けるが、ありのままの自然がある。
頭上に広がる青い空には、刷毛で刷いたような雲が幾筋も流れて。
眼下に挟む割谷の向こうには、正面に割谷の頭、右手に石庭嶽。
その奥には、頂上の反射板が良い目印となる大御影山、
ノロ尾の高、そしてノロ尾が徐々に高度を落とす。
右奥に大日、大きい山体を現す雲谷山、そしてその山稜の果てに美浜の海。
左は寒風からの県境稜線縦走路。
琵琶湖の空を背景にして、高島トレイルを行く人がくっきりと浮き彫りのように見える。
最奥の霞の中、黒灰色に蟠踞する伊吹山。
地味な山々の連なりだが、どれも見慣れた風景。
何かを考えているようで、何も考えていない。
目に映る景色に、全身、ただ浸っているだけ。
時間(とき)がゆるゆると流れて行く。
[attachment=0]s-R0028153.jpg[/attachment]
帰路は粟柄越から登山道を下りる。
赤坂山の下、水平道あたりの風情は絶品。
最近、okuさんも山日和さんも書いていたが、
豊かな森を抜けて行く、なかなかのいい道だなあと再認識。
468mあたりまで下りてくると、
右手からドンガラドンガラ、グオーンと重機の音が聞こえる。
木立を透かして見てみると、
どうやら、ウツロ谷右岸の山腹に上がって行く林道を作っているみたい。
もうすぐ登山口だ。
洞吹(どうすい)