【白山北方稜線】 ああ、大笠山は遥かなり。 4/22

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越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

【白山北方稜線】 ああ、大笠山は遥かなり。 4/22

投稿記事 by 越前 »

今年の残雪は豊富だけど・・・GWまでも待つとちょっと不安なお泊り大周回の計画がここ何年も前からあった。

白山加賀禅定道から見る、仲良く並んだ大笠・笈ヶ岳(おいづる)はとても絵になると思う。
中宮から大ふくべ山を経て小屋もある大笠山へ、笈ヶ岳・ブナオ山経由で下山というきれいな大周回構想。

今年の四月こそはと、たまにしかない土曜日が休みの諸般のタイミングを計っていたが、なんとかギリギリ間に合ったよ
うだ。
が、我が家の山の神にあっさりと覆されてしまった。
今度の土日どっちかあけといてね~。
ぐっ、ぐ、ぐぐぅ~・・・。
どーする、GWまで待つか? いや、今が・・・今が、ベストなんだ~ !!!
一度決めてしまった心のベクトルは如何ともしがたい。

結局土曜一日だけで、急登だが距離の短いジライ谷から笈ヶ岳、あとは大笠山まで行けるところまでを、となった・・・。


【日 付 】  2017年4月22日(土)
【 山 域 】 白山
【メンバー】単独
【 天 候 】 曇りがちの晴れ一時小雪
【 ルート 】ゲート(5:11)- (5:53)野猿センター- (8:58)主稜線- (9:39)冬瓜山- (11:20)県境稜線- (11:56)笈ヶ岳-
(13:02)P1741- (14:07)笈ヶ岳- (15:02)シリタカ下降点-(16:04)ジライ谷下降点- (19:09)ゲート
緑/チャリ 一部青/登りで赤ピストン<br />黄色/そのうち周回してやるゾ ルート
緑/チャリ 一部青/登りで赤ピストン
黄色/そのうち周回してやるゾ ルート

2007年に、尾根道なので距離はある「ブナオ山ルート」で笈ヶ岳へ登ったことはあるが、まだ大笠山は未踏だ。

月明かりとヘッデンで早めの出発とも思ったが、「登山道のない山」で初めてのルートには無理があるし、睡眠時間も必要
ということで五時ころにゲートへ到着。
ゲート前にはすでに何台もの車。テントも一張り。
途中のコンビニでほとんど用意はすませてあるので、車からチャリを引っ張り出してすぐ出発。

とっかかりの遊歩道の入り口が良く分からなかったのだが、登山者が何人か登っていくのが見えた。ラッキー♪
一台だけ自転車も止まっている横に自分のも止めて、最終の出発準備。
遊歩道終端には使われていない野猿センターなる施設。近頃だと野猿ってそこらの田んぼでも珍しくもないしな~。

建物横の雪渓を渡って谷へ行こうとすると、小さくはない雪渓だが流れの上は大きくえぐれている。上から見た分にはまったく
分からないので暗かったらヤバいことになってただろう。
渡渉して足跡を追うと、谷の中央へ向かっていた。すぐに虎ロープも出てきたので諦めることはないが、暗かったら取り付き時
点で随分と難儀した事だろう。

虎ロープは伊達ではなかった。
な、なんちゅう急登!! どんなにこの道を整備しても「登山道」へと昇格することは絶対ないだろうというくらいの悪路、全
く帰りが思いやられるほどだ。
ただカタクリはまだ閉じたままだが、一面のイワウチワが道の両側を華やかに彩るのは見事と言うしかない。

六人ほどのパーティに追いつき道を譲ってもらった。自転車に乗ってきた先行者ひとりが先にいるとのこと。
なんか道らしくない斜面に取り付いてしまい強引に突破すると、すぐ横に「道」。(^^ゞ
全く雪の無かった尾根道に雪も出てくるようになった。振り返る山も雪に覆われてきた。

急坂を登り切ると見事なブナも出現するようになり、分厚い雪面歩きとなった。
しばらく歩いてこの先にも雪が繋がっていそうなのでアイゼンを着けた。ちなみに今日はワカンもスノーシューも持って無い。
まだ靴のままの先行者は時々雪面が切れると横のヤブ尾根へと逃げるが、私は一旦下降も含めてできるだけ雪面を利用するタイ
プだ。アイゼンを着けてからの先行者とも、素直な雪の尾根歩きで無いトレースが合わさることは半分ほどだった。
ブナには青空! でも今日は・・・。
ブナには青空! でも今日は・・・。
ジライ谷には思ったより時間をかけてしまい三時間を要した。結局チャリと遊歩道の時間を足せば前回のブナオ山からの時間と
同じくらいだ。明るくなるのを待ってまで短いルートにした意味が・・・。
それにしても、10年前の自分に負けてるのはショック、年ってコトだよね。

負けたと言えば先行者の姿が一向に見えてこない。
トレースは迷うことなく冬瓜(かもうり)山頂を目指していた。ああ、これでナイフリッジ一番乗りが消えてしまったか。
冬瓜名物「恐怖の三角木馬」は、成長過程に問題があったらしく岩のリッジを大きく外した形で出来上がっており、ちっとも
恐怖でなかった。(もちろん内心では、よ、良かった~)
コレなら大丈夫
コレなら大丈夫
代わりの雪山大展望も素晴らしいものだが、白山はアタマが雲の中、向かう笈ヶ岳も同様だが大笠山は全身を見せてくれてい
た。
一応天気は「晴れ」なのだろうが、雲も多く日差しが陰り何度もゴーグルを付けたり外したり。
時間とともに雪面も緩んできたが、歩行に支障は特にない。

冬瓜から一旦下降、シリタカ山への登りで大きなブナの陰で風を避けて大休止。
雲が少し邪魔だが、白山方向が一望だ。
白山大展望・・・
白山大展望・・・
シリタカ山を越えれば、あとはイヤになるくらい下っての笈ヶ岳だ。
雲に隠れた山頂部以外は全部見通せるのに、どこにも先行者の姿は見えない。

もしかして大笠狙いの単独者なんてハナシじゃないだろうな?・・・いや、可能性はあるかも。
それだけの健脚者なら、今(10:30頃)笈山頂でこれから大笠へとピストンしても計算上は明るい時間に間に合う。
ただヤバい箇所がどれくらいあるかだが。
今回私はまさにその下見のつもりなのだが、トレースがある場所の下見ってなんでかヤな感じがするな~。
御開帳
御開帳
鞍部手前での笈ヶ岳山頂御開帳に喜んだが、県境稜線(白山北方稜線)までの登り返しにはまいった。
先行者のトレースは露出した茂みの下端へと向かっていたが、私はその上の茂みの隙間へと向かった。ピークの岩峰に張り付
く枯れた草が気になったのだ。そばに寄ってみると確かに三の峰横、打波谷の頭の「黒坊稜」に生えている「もしゃもしゃ草」
にそっくりだ。

茂みの隙間を進むと茂みはそのまま尾根となってて上へと強制させられ遠回りだ。トレースは谷をトラバースして仕事が早い。
と、岩峰横の県境稜線へたどり着く寸前、山頂からの下山者を発見した。
トレランという感じではない、しっかりとした足取りで近づいてくる男性は思ったよりも若い。
しばらく話して別れる。

そ~か、大笠方向にはトレースが無いってコトだね~ ♪
再び上昇したテンションで頑張り、なんとかお昼前には笈ヶ岳山頂へ。
振り返ると県境稜線到達寸前の二・三人の姿が見えた。

再びここに戻っての下山開始を14:00として、丁度一時間進んで一時間で戻ってくる計算でそのまま山頂はスルー、急斜面を降り
かけるとほんの少しだが霧氷が見られた。
階段を意識したステップでも下りは速い。ヤブっぽい鞍部を抜けて対面の登りに取り付くと、思ったより傾斜がきつい。日当たり
具合でか雪面も緩いので、枝の突き出している雪面を選んでモンキークライムでクリア。

ピークからは、笈の山頂の人影が見えないか気にしながら (^^ゞ 手早く向こう斜面へと進んだ。
雪面のつながりが上からでは分かりにくく、ヤブに右往左往しながらルートを探った。
下の方では雪はつながっていたが傾斜が強く、雪庇のある稜線方向へは慎重なトラバース。
次のピーク(P1741)を眺めると攻略が難しそうだ。座り込んで上や下からのルートを検討するが考えてもダメだ。

稜線の雪庇は崩壊が始まっており、物凄いことになっていた。
雪の亀裂やヤブを縫って近づくと、物凄く見えた笹薮も細く華奢で手強さは感じられないし、急斜面の全層崩落も近くではさほど
の迫力は無い。結局考えたほどの困難はナシでピークに立つことが出来た。

P1741からの大笠山は美しかった。
周りの山々からも際立って白く扇を広げたようなその姿は、まるで北アのカールを見ているようだ。
おそらく難易度から言えば笈からここまでが上であろう。距離的には二倍だが時間さえかければ大笠へはたやすいはずだ。つくづ
くその時間が無いのが悔しい限りだ。
手が届きそうなのに・・・遠い。
手が届きそうなのに・・・遠い。
さて、なんか細かい雪も降ってきたし帰る時間だ。笈ヶ岳へ戻ろう。
トレースのある帰路は何も考えなくとも早い。
途中、登り返しの前にエネルギー補給休憩してもほぼ予定時間だった。

笈ヶ岳へ戻ったらあとは下り一辺倒。シリタカ・冬瓜も巻く。
下るに従い登頂断念者の引き返しトレースも合わさって、「道」はどんどん大きくなっていった。
冬瓜平はだだっ広いので、「道」からよほど離れていたなら分からないがどうも今日はテントはないようだ。
振り返ると笈ヶ岳の上には青空が少し。

ジライ谷の下降点で大休止。ここから尾根ルートのブナオ山方向にトレースはない。
細かい雪がパラパラと降ってきたがすぐやみその後断続的に降ってきたが、明るくなって上空の雲がなくなると日差しが多くな
ってきた。

雪のあるうちは、登り以上に回り道をしてでも雪面を繋いで下っていった。
雪が無くなるとやはりスピードは落ちる。慎重に下っていくしかなかった。
イワウチワやしぼみかけカタクリにはげまされるが、結局は誰にも追いつかずに遊歩道を終えたのは日没を10分過ぎてからだ
った。

暗闇迫る車道をチャリで飛ばした。
しばらくでトボトボ歩く四人パーティに追いたが、残念ながら登頂は果たせなかったようだ。
車を出すころにはヘッデンがじわじわとゲートに向かってきた。





冬瓜平(かもうりだいら) 険しい冬瓜山の巻きルート。ブナ林のテン泊適地として利用される。
[attachment=1]s-P4227910.jpg[/attachment]
冬瓜平の怪①・・・画角が変で横穴っぽく写ってるけど、直径も深さも三mほどの斜穴が平らな雪面にホント唐突に出現。
もし視界が極端に悪かったらと考えると・・・ぞっ、ゾゾ~。
冬瓜平の怪②・・・今日のコースの闇下は絶対ヤバいぞと焦りながら冬瓜平を四時前に通過中、最終下山者の私の後ろか
ら鈴の音が・・・。振り返ると女性らしき一人が道を向かってくる?まさか大笠からか?余裕もないので歩きだすが、しばらく
追ってきた鈴の音とともにその姿も消えてしまった。さっき後方の大笠を撮ったときにはいなかったし、テン泊者なのだろうと
納得・・・が、車へ帰着してから驚いた。チャリで追い抜いた四人パーティのワンボックス以外に車はない・・・ぞっ、ゾゾゾ
ゾ~。(^^ゞ      どなたかこの件に関しての情報をお持ちでしたら是非に・・。





久しぶりのやぶこぎレポアップとなります。
お世話になった越美終了後はなんとなく気の抜けた感じで、山行にも身が入らず危うく「山」をフェードアウトしそうになって
「コレではイカン」と再び気合いを入れ直してる最中に、野伏でわしたかさんに「見つかり」ました。(^^ゞ
もともと遅筆が原因でレポが遠ざかるという面がありましたので、今回のように「条件が揃った」ときなんかにぼちぼちとでも
レポアップさせてもらおうかなと思ってますので、今後ともどうか宜しくお願いいたします。
添付ファイル
一体だれがこんな落とし穴を・・・。
一体だれがこんな落とし穴を・・・。
越前
落第忍者
記事: 1229
登録日時: 2011年2月20日(日) 15:31
お住まい: 三重県伊賀市
連絡する:

Re: 【白山北方稜線】 ああ、大笠山は遥かなり。 4/22

投稿記事 by 落第忍者 »

越前さん、こんばんは。

私が山歩きを始めてから1年半の頃、雪山の何たるかも判っていないのに連れて行って貰った笈ヶ岳。
とは言っても、小笈ヶ岳から眺めた山頂への登り返しに心が折れて、一人だけそこで待機することに・・・
また力が付いたら再訪すればいいと考えながら、未だに果たせていません。
もう何年も大きな山に行っていないので無理だろうと思っています。

越前さんの大周回構想を聞くにつけ、とても同年代の方とは思えませんね。
でも、越前さんのことですから何時かきっと再挑戦されるんでしょうね。
残雪の状況や天候にも左右されるでしょうから、チャンスは少ないかもしれませんが。

ジライ谷の左岸尾根は、良くあんなところに道を付けたと思える程の急登ですよね。
四肢を駆使して登りましたが、疲れた脚での下山は緊張の連続だったのを覚えています。
楽しみにしていたカタクリ、キクザキイチゲ、イワウチワも元気が無い時間に通過で残念でした。
私たちも帰路は冬瓜平経由でしたが、ハマりまくって疲れに拍車をかけるのには参りました。

冬瓜名物の「恐怖の三角木馬」は、こんな形になることもあるんですね。
私は雪が無くても怖かったですけどね。
雪の無いナイフリッジ
雪の無いナイフリッジ
私はもう行くことも無いと思いますので、越前さんのレポで楽しませて貰えればと思っています。
17780_B.jpg
落第忍者
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

Re: 【白山北方稜線】 ああ、大笠山は遥かなり。 4/22

投稿記事 by 越前 »

落忍さん、今晩は。

初笈ヶ岳が、なんとソコまで行っての待機でしたか。勿体ないお化けがでますよ~。
ちょっと残りの標高差と距離を、歩いた分でパーセンテージを出してみたら衝撃的な数字が出そうですね。(笑)

多分私のことを凄いとか言っていただく、ご自身との「差」はほんの少しなんじゃないかと思います。
あと少しだけの「欲」を、ど~やったら埋められるのかと工夫したり単純に頑張ってみたり・・・。
要はせっかくここまでやったんだから、ご破算にするのは「勿体ない」から・・・無理してでもうちょっとだけ。
そんな気持ちの持ちようというか。
あと、「無理だろう」なんて否定的なコトバはなるべく言わない・書かないで、心にだけ仕舞っておかないと「現実」
に追い越されてしまうのではないかとも思います。
なんというか、要は物事をもっともっとポジティブに捉えてくださいな、ということかな?

なんか要領を得ない言葉で申し訳ありません。(^^ゞ

再挑戦は来年以降になるかと思います。
その時には二周遅れの腐りかけレポとなっても、なんとかアップします。
少なくとも待っている(ハズの)落忍さんの為にも。 :oops:
越前
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