【鈴鹿】まさかのノートレース 長石谷
Posted: 2017年2月28日(火) 09:02
鈴鹿・鎌ヶ岳
2017.2.26(SUN)晴れ 同行者H
旧料金所P(7:42)=長石谷=犬星大滝=岳峠=鎌ヶ岳(11:40)=三ツ口谷=P(15:11)
どうも冬の犬星大滝を見たことがないような気がするので見物に出かけることにした。料金所跡の大駐車場は除雪した雪が山と積まれ、スペースの半分くらいしか使えない。周囲の人たちは皆御在所に行くようだ。我々は長石谷に向かう。渡渉点の橋は落ちていた。豪雨で落ちたままなのか再建してまた流れたのか、あまり来ないので覚えていない。石に氷が巻いているので慎重に渡る。
御在所岳が圧倒的に人気だとはいえ、2月も後半で一般登山道だから長石谷もトレースはあると思ってアイゼンだけ持ってきた。やはりトレースはあった。しかしガチガチの形が付いていて歩きにくい。でも外すと時々抜けるのでおとなしく辿ることにする。もはや大雪の直後とは雪質が全く違う。谷に入る前に堰堤の巻きがあるので落差があるところでは緊張を強いられる。長石尾根との分岐にはどちらもトレースがあった。
谷に入ると当然渡渉が何度かあって厄介だ。無雪期では何でもないようなところで気を遣う。河原で石の間を踏み抜くとタマを打つまで落ちるし、なかなか大変だ。しばらく進むと何とトレースがなくなってしまった。「早すぎるやろ!」と口に出る。右岸は進めそうもなく、左岸の急斜面を高巻せねばならない。早くも背中に汗をかいているので一息入れてアイゼンを装着する。
しばらくV字斜面のトラバースと渡渉が続く。トラバースはアイゼンがなければ不可能だ。あーあ、谷コースなんか来るんじゃなかったと心の中でぼやきながら登る。相棒も踏み抜きに手を焼いているようだ。犬星の大滝まで2時間近くも掛かってしまった。滝は期待していたほど両側のツララがなく、あまり見栄えはしない。いつもこうなのかどうかは分からないが、冬の庵座の滝のほうが立派だ。
犬星の先はしばらく台地状で起伏も緩やか。しかも雪はガチガチで無雪期より楽なくらいだ。しかし「いつまでも続くと思うな楽な道」の格言?どおり、また難儀な行程が始まる。つまり下流域と同じ苦労だ。休憩を挟みながら辛抱が続く。やがて伏流地帯に入ったか谷底まで雪で埋まる。トラバとオサラバ、しかも固い雪面である。嬉し涙が滝のように流れる。しかし今度は谷コースの常である終盤の急傾斜に苦しめられる。私はヘロヘロになって、相棒に先に行ってくれと告げる。酸欠の金魚のごとく喘ぎながら谷を詰めていく。ふと後ろを見ると下界の大展望。登ってきた斜面と一緒に眺めると高度感がある。疲れると稜線は登る分だけ逃げていく。だからちっとも着かない。日が高くなってちょっと雪が緩んできた。影の部分の固い所を選んで登る。最後の高低差50m程の詰めで今度は相棒がバテてきた。私は普通の急斜面は苦手だが、四つん這いになるほど急になると俄然元気が出てくる。4本足だった頃のDNAが濃いのだろうか。ぶっちぎって岳峠へ出た。岳峠は雪庇に覆われて、道標は足元に首を出している。しかし絶景だなあ。キララ越しに伊勢湾まで見通せる。
御池で急登の抑圧から解放されてテーブルランドにパッと出た瞬間などもそうだが、晴れた冬山のカタルシスは麻薬的なものがある。雨乞、綿向は枝越しであるが、これは上へ行けば見られる。鎌の南斜面は雪が付かず、岩がむき出しで、登路となるルンゼだけ雪が詰まっている。岳峠から少し登った辺りが撮影ポイントである。山頂まで行くと高すぎて鎌尾根の起伏が分かりにくい。
山頂まで写真タイムもあるにしろ4時間も掛かってしまった。頂上も雪庇が盛り上がり、神社の屋根が足より下になっている。ここまま参拝するのは神様に失礼かもしれない。誰もいなかったが、そのうちチラチラ人が現れる。何処から来たのかな。普段は山頂で昼食はしないが今日は風も殆どないし、あまり人もいないので絶景をおかずに昼食とする。相当ハラ減っていたし。
ゆっくり体を休めてから下山にかかる。ピストンは避けたいので三ツ口あたりにしよう。山頂から巻道を使わず北へ直接降りる。岩陰はガチガチに凍っていてスリルあり過ぎ。このあと雪のあるところ無いところ交互に出てくるが、まだアイゼンは外せない。ガレから降りるのは雪庇が邪魔なので、もっと先のピークから尻セードを交え、尾根伝いに行く。やがて登山道と合流、トレースがあった。二人連れのようである。長石尾根と最接近する所で乗り換えようかとも思ったが、三ツ口は記憶がないほど久しぶりなのでそのまま下りたい。相棒には往路と同じ苦労をさせることになる。高巻きでは一ヶ所絶対落ちられない所があり、しかも足元が悪い。ササをつかんで慎重に乗り切る。午後になって雪が緩み、トレースがあるとはいえ踏み抜きが多くなった。三ツ口大滝の巻きで踏み抜いて足を突っ込んだまま谷側にひっくり返ってしまった。とんだ醜態だ。このような事態ではヘタをすると足を骨折する。そういえば大滝の写真を撮るのを忘れた。
720mほどまで下りてくると小滝の上に氷が盛り上がっている。どうも不自然だと思ったらホースがあって水を引いて人工的に作ったようだ。更に雪洞と滑り台まである。どこかのグループが大掛かりな遊びで一夜を過ごしたようだ。やがて堰堤が見えてきた。今日は疲れた。(翌日脛の側面が筋肉痛になった)
ハリマオ
2017.2.26(SUN)晴れ 同行者H
旧料金所P(7:42)=長石谷=犬星大滝=岳峠=鎌ヶ岳(11:40)=三ツ口谷=P(15:11)
どうも冬の犬星大滝を見たことがないような気がするので見物に出かけることにした。料金所跡の大駐車場は除雪した雪が山と積まれ、スペースの半分くらいしか使えない。周囲の人たちは皆御在所に行くようだ。我々は長石谷に向かう。渡渉点の橋は落ちていた。豪雨で落ちたままなのか再建してまた流れたのか、あまり来ないので覚えていない。石に氷が巻いているので慎重に渡る。
御在所岳が圧倒的に人気だとはいえ、2月も後半で一般登山道だから長石谷もトレースはあると思ってアイゼンだけ持ってきた。やはりトレースはあった。しかしガチガチの形が付いていて歩きにくい。でも外すと時々抜けるのでおとなしく辿ることにする。もはや大雪の直後とは雪質が全く違う。谷に入る前に堰堤の巻きがあるので落差があるところでは緊張を強いられる。長石尾根との分岐にはどちらもトレースがあった。
谷に入ると当然渡渉が何度かあって厄介だ。無雪期では何でもないようなところで気を遣う。河原で石の間を踏み抜くとタマを打つまで落ちるし、なかなか大変だ。しばらく進むと何とトレースがなくなってしまった。「早すぎるやろ!」と口に出る。右岸は進めそうもなく、左岸の急斜面を高巻せねばならない。早くも背中に汗をかいているので一息入れてアイゼンを装着する。
しばらくV字斜面のトラバースと渡渉が続く。トラバースはアイゼンがなければ不可能だ。あーあ、谷コースなんか来るんじゃなかったと心の中でぼやきながら登る。相棒も踏み抜きに手を焼いているようだ。犬星の大滝まで2時間近くも掛かってしまった。滝は期待していたほど両側のツララがなく、あまり見栄えはしない。いつもこうなのかどうかは分からないが、冬の庵座の滝のほうが立派だ。
犬星の先はしばらく台地状で起伏も緩やか。しかも雪はガチガチで無雪期より楽なくらいだ。しかし「いつまでも続くと思うな楽な道」の格言?どおり、また難儀な行程が始まる。つまり下流域と同じ苦労だ。休憩を挟みながら辛抱が続く。やがて伏流地帯に入ったか谷底まで雪で埋まる。トラバとオサラバ、しかも固い雪面である。嬉し涙が滝のように流れる。しかし今度は谷コースの常である終盤の急傾斜に苦しめられる。私はヘロヘロになって、相棒に先に行ってくれと告げる。酸欠の金魚のごとく喘ぎながら谷を詰めていく。ふと後ろを見ると下界の大展望。登ってきた斜面と一緒に眺めると高度感がある。疲れると稜線は登る分だけ逃げていく。だからちっとも着かない。日が高くなってちょっと雪が緩んできた。影の部分の固い所を選んで登る。最後の高低差50m程の詰めで今度は相棒がバテてきた。私は普通の急斜面は苦手だが、四つん這いになるほど急になると俄然元気が出てくる。4本足だった頃のDNAが濃いのだろうか。ぶっちぎって岳峠へ出た。岳峠は雪庇に覆われて、道標は足元に首を出している。しかし絶景だなあ。キララ越しに伊勢湾まで見通せる。
御池で急登の抑圧から解放されてテーブルランドにパッと出た瞬間などもそうだが、晴れた冬山のカタルシスは麻薬的なものがある。雨乞、綿向は枝越しであるが、これは上へ行けば見られる。鎌の南斜面は雪が付かず、岩がむき出しで、登路となるルンゼだけ雪が詰まっている。岳峠から少し登った辺りが撮影ポイントである。山頂まで行くと高すぎて鎌尾根の起伏が分かりにくい。
山頂まで写真タイムもあるにしろ4時間も掛かってしまった。頂上も雪庇が盛り上がり、神社の屋根が足より下になっている。ここまま参拝するのは神様に失礼かもしれない。誰もいなかったが、そのうちチラチラ人が現れる。何処から来たのかな。普段は山頂で昼食はしないが今日は風も殆どないし、あまり人もいないので絶景をおかずに昼食とする。相当ハラ減っていたし。
ゆっくり体を休めてから下山にかかる。ピストンは避けたいので三ツ口あたりにしよう。山頂から巻道を使わず北へ直接降りる。岩陰はガチガチに凍っていてスリルあり過ぎ。このあと雪のあるところ無いところ交互に出てくるが、まだアイゼンは外せない。ガレから降りるのは雪庇が邪魔なので、もっと先のピークから尻セードを交え、尾根伝いに行く。やがて登山道と合流、トレースがあった。二人連れのようである。長石尾根と最接近する所で乗り換えようかとも思ったが、三ツ口は記憶がないほど久しぶりなのでそのまま下りたい。相棒には往路と同じ苦労をさせることになる。高巻きでは一ヶ所絶対落ちられない所があり、しかも足元が悪い。ササをつかんで慎重に乗り切る。午後になって雪が緩み、トレースがあるとはいえ踏み抜きが多くなった。三ツ口大滝の巻きで踏み抜いて足を突っ込んだまま谷側にひっくり返ってしまった。とんだ醜態だ。このような事態ではヘタをすると足を骨折する。そういえば大滝の写真を撮るのを忘れた。
720mほどまで下りてくると小滝の上に氷が盛り上がっている。どうも不自然だと思ったらホースがあって水を引いて人工的に作ったようだ。更に雪洞と滑り台まである。どこかのグループが大掛かりな遊びで一夜を過ごしたようだ。やがて堰堤が見えてきた。今日は疲れた。(翌日脛の側面が筋肉痛になった)
ハリマオ