【湖北】奥深きブナの山 神又峰
Posted: 2017年2月06日(月) 20:48
【日 付】2017年2月4日(土)
【山 域】湖北 神又峰(かんのまたみね)1050.2m
【天 候】晴れ
【コース】金居原6:35---7:30土倉谷二俣---10:15県境JP10:25---11:20神又峰12:45---13:30県境JP---14:30二俣---15:30駐車地
空が明るくなるのを待ってザックを担いだ。金居原の国道脇のわずかな除雪スペースにはもう1台、東尾根から横山岳へ向かうという
2人連れがいた。今日はkitayama-walkさん達も横山岳を目指しているらしい。山仲間が横山岳に登っているのでよろしく言っておい
てくれとメッセージを託して旧国道へ向かう。
旧国道の雪はあまり締まっておらず、先行きが懸念された。表面のパリパリを踏み抜くと、グーっと沈み込むあまりうれしくないモ
ナカ状の雪質だ。ずっとこれが続くようだと持たないだろう。
出郷橋から土倉谷の林道へ入ると雪が締まってひと安心だ。もうすっかり見慣れた要塞のような土倉鉱山の選鉱場跡を見て奥へ進んで
いく。
土倉谷二俣から尾根に取り付くのは3年連続である。最初は猫ヶ洞から土蔵岳への周回、去年は横山岳へ回るつもりがあまりの寡雪に
ヤブ漕ぎを強いられて心身共に疲労困憊。今年はシンプルに神又峰に狙いを定めた。
雪の状態が良ければ横山岳への周回も視野に入れていたが、とても無理だろう。今日は時間の制約もある。
取付きからの急登は予想外に締まった雪で苦労せずに済んだ。スノーシューのヒールリフターを効かせて快調にステップを刻んで行
ける。
傾斜が緩んでからのヤセ尾根部分もヤブを覆うに十分な積雪。両手で軽くかき分ける部分があるものの、問題なく歩くことができた。
昨年はここで心が折れてしまったのである。
800mを超えたところから始まるブナ林は素晴らしい。このブナ林は湖北の山の中でベスト10には入るだろう。
ブナ林の良さは木の太さや密度ももちろん評価の対象になるのだが、私が一番重視しているのはその佇まいだ。ただのっぺりとしたと
ころに林立しているだけではダメで、微妙な地形の起伏に心惹かれるものがある。
初めて来たときにはこのあたりから雪が締まり始めたのだが、今日は逆。沈みが大きくなって想定外のプチラッセルとなった。
横山岳への稜線直下の苦しいラッセルをこなして横山岳に続く尾根に飛び出すと、江美国境稜線のジャンクションピークは目の前だ。
このジャンクションピーク付近も見事なブナ林が広がっている。ランチ場としても申し分のない場所なのだが、いつも時間が中途半
端なのが惜しい。やぶオフを開催したくなるくらい素敵なブナ林なのだ。
今日も少し休憩しただけで神又峰への国境稜線に足を踏み入れた。この稜線の出だしは一見しただけでは国境の尾根にはとても見え
ない。JPから伸びる広い尾根は神又谷に落ちる支尾根で、浅い谷を挟んでそのまま谷に落ちて行きそうな細い尾根が国境稜線なのだ。
昨年はそれを見間違えて支尾根を進んでしまった。この支尾根の先もブナ林が続くいいところで、それはそれで満足できたのだが。
国境稜線も途切れることなくブナ林が続いた。意外に大きなアップダウンがあり、帰路の登り返しが思いやられる。
相変わらずのラッセルが続いて足は重いが、これ以上ない晴天にモチベーションは最高だ。振り返って自分だけのトレースが刻まれた
雪面を眺めるのはこの上ない喜びである。
ウサギも喜んで駆け回っているようで、縦横無尽に足跡が交錯している。右側の神又谷源流は複雑に入り組んで稜線に食い込んでおり、
谷を埋める雪が描くなだらかなカーブに映る真っ直ぐ伸びたブナの木の影が美しい。
何度目かのアップダウンの末、3度目の神又峰の山頂に立った。
最初は完全な無雪期のヤブ、2回目は季節こそ厳冬期だったが極端に雪が少なくヤブが出ている上にどんよりした空模様。とても魅力的
な山頂とは思えなかった。
今日は必要にして十分な積雪がある。立ち木が多いのでスッキリした眺望とはいかないが、高丸、烏帽子、能郷白山、烏帽子といった
奥美濃の重鎮が並び、反対側には横山、妙理、大黒、安蔵、さらには野坂の山も見える。
これまでは印象が薄く、メシにするにもあまり向いていないと思っていただけに望外の喜びだ。
単に江美国境稜線を繋ぐ意味でここへ来たのだが、文句無しのランチ場である。風を除けて雪庇の下に陣取ればポカポカと暖かい。
高丸・烏帽子を正面に贅沢なランチタイムを楽しむ。誰が来るはずもなく、風の渉る音とストーブの燃焼音だけが静寂を破る。
御在所や竜で人のトレースを踏んでお茶を濁しているのとは次元の違う満足感だ。
結構体力を消耗したので、今日は珍しくそのまま往路を戻ろう。
延々と続くブナ林をもう一度愛でながら土倉谷への尾根に踏み込んだ。ところがその往路が曲者だった。
よく締まっていた雪は気温の上昇のせいかグサグサに腐っていた。スノーシューのフレームの跡がわずかに残っているようなところが
ヒザまで沈んだりするので始末が悪い。潜るわ滑るわで七転八倒しながらなんとか二俣に着地。まったく疲れる下山だった。
林道は往路同様よく締まっていたので救われたが、旧国道へ出てからがまたひと苦労。
ヘロヘロになってしまい、国道までのわずかな道のりがやたら長く感じられた。
山日和
【山 域】湖北 神又峰(かんのまたみね)1050.2m
【天 候】晴れ
【コース】金居原6:35---7:30土倉谷二俣---10:15県境JP10:25---11:20神又峰12:45---13:30県境JP---14:30二俣---15:30駐車地
空が明るくなるのを待ってザックを担いだ。金居原の国道脇のわずかな除雪スペースにはもう1台、東尾根から横山岳へ向かうという
2人連れがいた。今日はkitayama-walkさん達も横山岳を目指しているらしい。山仲間が横山岳に登っているのでよろしく言っておい
てくれとメッセージを託して旧国道へ向かう。
旧国道の雪はあまり締まっておらず、先行きが懸念された。表面のパリパリを踏み抜くと、グーっと沈み込むあまりうれしくないモ
ナカ状の雪質だ。ずっとこれが続くようだと持たないだろう。
出郷橋から土倉谷の林道へ入ると雪が締まってひと安心だ。もうすっかり見慣れた要塞のような土倉鉱山の選鉱場跡を見て奥へ進んで
いく。
土倉谷二俣から尾根に取り付くのは3年連続である。最初は猫ヶ洞から土蔵岳への周回、去年は横山岳へ回るつもりがあまりの寡雪に
ヤブ漕ぎを強いられて心身共に疲労困憊。今年はシンプルに神又峰に狙いを定めた。
雪の状態が良ければ横山岳への周回も視野に入れていたが、とても無理だろう。今日は時間の制約もある。
取付きからの急登は予想外に締まった雪で苦労せずに済んだ。スノーシューのヒールリフターを効かせて快調にステップを刻んで行
ける。
傾斜が緩んでからのヤセ尾根部分もヤブを覆うに十分な積雪。両手で軽くかき分ける部分があるものの、問題なく歩くことができた。
昨年はここで心が折れてしまったのである。
800mを超えたところから始まるブナ林は素晴らしい。このブナ林は湖北の山の中でベスト10には入るだろう。
ブナ林の良さは木の太さや密度ももちろん評価の対象になるのだが、私が一番重視しているのはその佇まいだ。ただのっぺりとしたと
ころに林立しているだけではダメで、微妙な地形の起伏に心惹かれるものがある。
初めて来たときにはこのあたりから雪が締まり始めたのだが、今日は逆。沈みが大きくなって想定外のプチラッセルとなった。
横山岳への稜線直下の苦しいラッセルをこなして横山岳に続く尾根に飛び出すと、江美国境稜線のジャンクションピークは目の前だ。
このジャンクションピーク付近も見事なブナ林が広がっている。ランチ場としても申し分のない場所なのだが、いつも時間が中途半
端なのが惜しい。やぶオフを開催したくなるくらい素敵なブナ林なのだ。
今日も少し休憩しただけで神又峰への国境稜線に足を踏み入れた。この稜線の出だしは一見しただけでは国境の尾根にはとても見え
ない。JPから伸びる広い尾根は神又谷に落ちる支尾根で、浅い谷を挟んでそのまま谷に落ちて行きそうな細い尾根が国境稜線なのだ。
昨年はそれを見間違えて支尾根を進んでしまった。この支尾根の先もブナ林が続くいいところで、それはそれで満足できたのだが。
国境稜線も途切れることなくブナ林が続いた。意外に大きなアップダウンがあり、帰路の登り返しが思いやられる。
相変わらずのラッセルが続いて足は重いが、これ以上ない晴天にモチベーションは最高だ。振り返って自分だけのトレースが刻まれた
雪面を眺めるのはこの上ない喜びである。
ウサギも喜んで駆け回っているようで、縦横無尽に足跡が交錯している。右側の神又谷源流は複雑に入り組んで稜線に食い込んでおり、
谷を埋める雪が描くなだらかなカーブに映る真っ直ぐ伸びたブナの木の影が美しい。
何度目かのアップダウンの末、3度目の神又峰の山頂に立った。
最初は完全な無雪期のヤブ、2回目は季節こそ厳冬期だったが極端に雪が少なくヤブが出ている上にどんよりした空模様。とても魅力的
な山頂とは思えなかった。
今日は必要にして十分な積雪がある。立ち木が多いのでスッキリした眺望とはいかないが、高丸、烏帽子、能郷白山、烏帽子といった
奥美濃の重鎮が並び、反対側には横山、妙理、大黒、安蔵、さらには野坂の山も見える。
これまでは印象が薄く、メシにするにもあまり向いていないと思っていただけに望外の喜びだ。
単に江美国境稜線を繋ぐ意味でここへ来たのだが、文句無しのランチ場である。風を除けて雪庇の下に陣取ればポカポカと暖かい。
高丸・烏帽子を正面に贅沢なランチタイムを楽しむ。誰が来るはずもなく、風の渉る音とストーブの燃焼音だけが静寂を破る。
御在所や竜で人のトレースを踏んでお茶を濁しているのとは次元の違う満足感だ。
結構体力を消耗したので、今日は珍しくそのまま往路を戻ろう。
延々と続くブナ林をもう一度愛でながら土倉谷への尾根に踏み込んだ。ところがその往路が曲者だった。
よく締まっていた雪は気温の上昇のせいかグサグサに腐っていた。スノーシューのフレームの跡がわずかに残っているようなところが
ヒザまで沈んだりするので始末が悪い。潜るわ滑るわで七転八倒しながらなんとか二俣に着地。まったく疲れる下山だった。
林道は往路同様よく締まっていたので救われたが、旧国道へ出てからがまたひと苦労。
ヘロヘロになってしまい、国道までのわずかな道のりがやたら長く感じられた。
山日和