【飯豊山地】石転び沢から飯豊連峰縦走
Posted: 2011年7月18日(月) 18:25
【 日 付 】2011年7月14日(木)~17(日)
【 山 域 】 越後山脈北部、飯豊山塊
【メンバー】あろん
【 天 候 】ガスのち晴れ
【 ルート 】
7/14(木)
セントレア18:10>>ANA>>19:10新潟空港
新潟空港20:10==バス==20:35新潟
新潟グリーンホテル泊
7/15(金)
新潟6:08++6:46新発田6:49++7:12坂町7:17++7:55小国8:00==8:57飯豊山荘9:00—9:25温身平—11:25梶川出合—12:42石転びの出合—17:00梅花皮小屋 泊
7/16(土)
梅花皮小屋5:53—7:00烏帽子岳—8:10御手洗池—10:03御西小屋10:37—12:15飯豊山12:28—12:52本山小屋—13:42姥権現—14:13草履塚—14:40切合小屋—15:03種蒔山—16:16三国小屋 泊
7/17(日)
三国小屋5:00—5:56地蔵山分岐—6:34横峰小屋跡—8:24御沢小屋跡—8:35川入キャンプ場9:00—9:30川入バス停10:30==11:15山都12:38++新津14:38++15:00新潟15:30=バス=15:55新潟空港16:35>>17:40セントレア
交通宿泊費
セントレア~新潟空港 ANA 13050円
新潟空港~新潟 バス 400円
新潟グリーンホテル 素泊 3100円
新潟~小国 JR 1450円
小国~飯豊山荘 小国町営バス 700円
梅花皮小屋 素泊 1500円
三国小屋 素泊 2000円
川入~山都 会津バス 930円
山都~新潟 JR 1620円
新潟~新潟空港 バス 400円
新潟空港~セントレア ANA 13050円
合計 38200円
数年来計画倒れになっていた飯豊を縦走した。この飯豊連峰は地形図で見ると実に面白いことがわかる。県境が幅1mほどで7kmほど続いているらしいのだ。ぱっと見ると新潟県と山形県の県境にある山のように見えるのだが三国岳から御西岳間の縦走路は福島県が食い込むように続いている。「福島県民のおらが山」の無理を通したようなことになっていて面白い。
さて、なんといっても飯豊連峰を縦走するにはアクセスが重要なポイントになってくる。タクシーを使えば高額の出費になるし、マイカーでのピストンではつまらないし、周回にしてもせっかく行くのだからもうちょっと頑張ってみたいという気がしてきた。
最寄の駅から登山口へと下山口からのバスのアクセスも7月の中旬から8月の中旬までの1ヶ月間の期間運行しかない。十勝岳の天候不良の失敗のように以前のスカイマークを利用した格安チケットでは天候を見ながらの計画は立てられないので、年に2回の伝家の宝刀ANAの株主優待券を使うことにした。
突然の計画は仕事と天気の兼ね合いで、アクセスは短時間でとなればもう飛行機しかないのだ。数日前からの天気予報は連休前が良いようなので、14日(木)の午後ギリギリまで仕事をして、中部空港からプロペラ機の新潟空港便に飛び乗った。新潟での宿泊は楽天トラベルで予約した駅前の格安ビジネスホテルだ。
翌朝、新潟発の列車は通学の生徒を乗せて走り、坂町で乗り換えた列車は完璧なローカル線で、途中には携帯も圏外になってしまうほどだ。
小国の駅舎では、あらあら熊の剥製がお出迎えだ。ここから小国町営バスで期間限定の飯豊山荘行きのバスに揺られる。このバスも最終バス停に着くころにはやっぱりいつもどおりの貸切になってしまった。
1日2便のバスは8:55に飯豊山荘に着く。スタートとしては遅いが仕方が無い。明るいうちに梅花皮(かいらぎ)小屋へたどり着ければと思いながら、立派なブナの生えている林道をトボトボ歩く。今回は搭乗手続きでザックの重量を測ったら11kgだった。水を1Lとパンを2食分持っているから12kgを超えたぐらいか。ピッケルと12本アイゼンが重い。食料はアルファ米などの乾燥食品にした。
暑い!とにかく暑い!汗が滝のように流れてくる。幸い水場は多いので補給を重ねて梶川出合までの夏道で2L近く飲んだのではないだろうか。バテ気味で歩くうちになぜか先行する登山者に追いついた。この人も汗がすごいことになっている。右から流れてくる沢の場所で早い昼食とした。あまりの暑さに、この時点で小屋が満員の場合に用意してきたツエルトでここでビバークしてやろうかと思うほどだった。大休止の後、それでも気合を入れなおして歩けば、梅花皮沢の右岸の高いところを行く夏道は川床に近くなるころ、梶川出合となる。ついに川を埋める雪渓が現れた。
石転び沢出合の手前でアイゼンを装着する。このあたりの傾斜はたいしたことは無いがここから小屋まで雪渓が続くのだからと早めに履いた。上を見上げればはるかガスのかなたまで雪渓が続いている。なんか天気がいまいちだなぁ・・・。先ほど追いついた先行者はランチの間にゴマ粒のように前に見える。
さあ、いよいよ憧れていた石転び沢へ突入だ。その名の通り人間の頭ぐらいの石がところどころ転がっている。いったい、いつからこの石はここに転がっているんだろう?落石を気にしながらマイペースでザクザク登っていく。ヒザの調子もまあまあだ。 ガスが吹き下がってくると生暖かいような、冷たいような層を持っている風が吹いてくる。視界も10mほどになったり、上部の尾根まで見渡せたりめまぐるしく変わる。気が付けばすっかり汗は引いていた。
なんだか寒くなってきたぞ、そうだ手袋をしよう。半袖シャツに手袋といったおかしないでたちになってしまった。
右岸から流れ込む沢で水の補給。えぐれた雪渓を回りこんで、かなり上部から慎重にたどり着く。踏み抜いたら大怪我だ。
がんばって登るとまるでご褒美のように青空が広がってきた。尾根へはもう雪渓が途切れて中ノ島になっているのがわかる。
16時、やっと雪渓が切れた。島には花がいっぱい咲いている。ザックをおろしてアイゼンを外し、しばし休憩して登ってきた石転び沢の雪渓を感慨深く見下ろす。
小沢も脇に流れているので一杯水でも飲もうかと立ち上がった瞬間、思いもよらぬアクシデントに見舞われた。
ドーン!ドーン!と音がするので振り返るとザックが転がっているのである。止まってくれ!との願いもむなしく小沢の下部の雪渓のえぐれた下へと吸い込まれるように落ちていってしまったのだ。 もう手元にあるのは500ccの空のペットボトルしかない。幸いというか滝状になった小沢を吸い込む雪渓の下部で止まっている。落差は15mぐらいあるだろうか。お金もシュラフも食料もピッケルもアイゼンもすべて15m下で水をジャージャーかぶっているのが見える。
草つきの部分にしっかり置いたつもりなのだが、なんという失態。これも単独行の怖さだ。
梅花皮小屋までもう一時間もかからないだろう。急傾斜の雪渓もなくなっているのでザイルを借りてくれば何とかなるだろうと思ったが、とりあえず滑りそうな土を避けて流れの岩からクライムダウンしてみることにした。ホールドやスタンスを何度も確かめながら慎重に降りる。無理をすればアウトだ。幸い思ったより岩も外れることなくしっかりしたものだった。
やっとの思いでザックにたどり着いた。上を見上げれば3mほどのクサビ状にひさしをもった雪渓の真下だ。水を吸ってしまった重いザックを担いで登り返す。こんなところで怖いシャワークライミングをするなんて、しかも登山靴で。
なんとか無事に復帰できた。今思い出すだけでもぞっとする。前週の竜ヶ岳蛇谷の沢登りのウォーミングアップの賜物で体が動いてくれたのかもしれない。りゅうさんとふ~さんに感謝しなきゃいけません。
こんな経験は初めてで深く反省です。ザックはちゃんと安定させて置いてから離れること。当たり前の事なんだけどなぁ。今回のザック滑落という大失敗の出来事でした。
小屋直下の最後の急斜面も草つきを登れて、結局ピッケルはボッカになった。それでも最後は20mほど雪渓をキックステップで上がりほうほうの体で梅花皮小屋にたどり着いた。
歩き始めてアクシデントや休憩を含めて8時間かかって石転び沢を登りきった。
小屋の管理人のおじさんは人の良さそうなおじさんで、早速小屋利用者記入票に名前など書き込む。1500円だ。「今日は空いているから好きなところで寝な」と言われる。
1階は2人、2階は8人ほど、1階の隅を選んで寝床とした。隣の人は東北弁を遠慮がちに話す秋田の男性だ。同年代ぐらいかな。この人と翌日の本山小屋まで抜きつ抜かれつ仲良く歩くこととなる。
担ぎ上げたビール500ccでほろ酔い気分で外に出ると、どんどん天候が良くなってきて、稜線の北俣岳、梅花皮岳はもちろん、はるか遠くの朝日岳の間から月山まで見えるようになってきた。小屋の裏手には飯豊連峰最高峰の大日岳が威風堂々と風格を見せている。まさしく飯豊はいいでぇ。
小屋が空いていたこともあって、熟睡できたようだ。天気といえば強風にガス。昨日見えていた山々はおろか、20m先が見えない。小屋のおじさんの情報によれば晴れ時々曇りところにより雨だそうだ。なんかよくわからない天気情報だが、午後から回復するという期待をこめて歩きだす。
梅花皮岳の斜面に取り付くと花がどんどん咲いている。ハクサンコザクラってなんて可愛いんだろう。ニッコウキスゲが一面に満開だ。景色が見えない代わりに花がすばらしく多いので実に楽しい。そういえば同宿していたおじさんが、飯豊はこの時期、花が素晴らしいよって言っていたっけ。
登山道にはまだまだところどころ雪渓が覆いかぶさっている。すれ違う若い登山者はひっくり返ったようで泥だらけだ。
御西小屋の管理人とすれちがった。登山道の整備をしているようで長靴にピッケルと鎌といったいでたちで、御西小屋と書いたヘルメットをかぶっている。
「この先の雪渓は危険で、過去に滑落死しているので赤旗に沿って上部を巻いていくように、お花畑よりも命が大事だから」と指示される。タイミングよく会えたものだ。先行した秋田の人はトラバースにかかり、アイゼンを装着したと聞いた。ガスで高度感がないので幸いしているのだろう。僕はといえば当然のごとく上部を巻いた。御西岳から北はまだまだ雪が多い。
天狗岳を過ぎるころから天候が急に回復してきた。なんという変わりようだろう、太陽がガンガンに輝いてきた。御西小屋に着くと緑と残雪の輝く素晴らしい稜線一体が遠方まで見渡せるようになってきた。秋田の人と一緒に水場の上で休憩。ぼくとつながら好男性である。おいしい水をがぶ飲みだ。チングルマがきれいだ。大日岳の勇姿に今回登る計画をしていなかったことが心残りとなる。次回のお楽しみにとっておこう。 飯豊山から本山小屋までが見えてきた。思うに飯豊は小屋が見えてからたどり着くまでに時間がかかる。アップダウンの連続だ。
日差しが暑くなってくる。半袖の腕が赤くなってきた。まさにカンカン照りというやつだ。 飯豊山頂には6人、飯豊連峰の景色を堪能しながら御西小屋の水場で作っておいた冷水アルファ米の五目御飯でランチとした。アキアカネがうじゃうじゃ飛んでいる。御在所で見た数の倍はいるだろうか。秋田の人に写真を撮ってもらって彼とはここで別れることとなる。彼は本山小屋に泊まり、明日は大クラ尾根で天狗平へ戻るという。エアリア点線のコースだ。尾根を見れば岩峰を乗せた急峻なコースなのがわかる。
飯豊山を越えると急に登山者の数が増えてきた。今までの静けさは一体なんだったんだろう。縦走する人はあんまりいないのかもしれない。本山小屋の管理人に情報を聞くと切合小屋には団体さんが宿泊予定だという。老若男女わんさかすれ違う。どうも喜多方市の飯豊山開きのイベントがあり「飯豊の集い」とかいう団体50名ほどが切合小屋に連泊するらしい。そうとは思われない一般登山者も50名はすれ違った。
草履塚の急登を越えると切合小屋が見えてきた。すでに小屋の周りにはテントが張られている。切合小屋を追われるようにあふれた人が本山小屋への御前坂の急登をあえぎながら登ってくる。「本山小屋はまだですか?」と数人に同じ事を聞かれる。中には「あと何キロですか?」とも聞かれた。答えにくい質問である。
切合小屋に着くとすでに到着した団体さんで水場に列が出来ている。御西小屋以北とはえらい違いだ。なまぬるい水を補給して早々に過ぎるが、またもや「小屋はまだですか?」の同じ質問に閉口気味だ。15時を過ぎるころにやっと登山道にも静けさが戻ってきた。それでも最後にあった5人パーティーにとどめを刺される。「この先雪残ってますか?」「水ですか?」「いえ、食べたいんです。」「あぶないよ」とだけ言ってそそくさとすれ違った。
尾根に乗っかる三国小屋が見えた。しかし歩いても歩いても届かない。まだまだパラパラと登ってくる。今夜の切合小屋を想像すると気の毒になってくる。
遠景から三国小屋までのピークを数えると3つあった。バテ気味でピークを3つ越してもまだ先に3つぐらいピークが見える。小屋からこちらを見ている人がいる。すいているといいな。
やっと小屋直下の最後の鞍部を越えてヒイヒイ言いながら小屋に着いた。受付を済ませて寝床を指示される。今夜の宿泊者は30人ぐらいだろうか。一人当たりの縄張りは寝返りを二回ぐらい打てるくらいの広さだ。よかった~~。
隣の人は地元郡山の二人組で山慣れたコンビだ。毎年数回飯豊に上るそうで、いろいろ教えてもらう。ヤマケイ分県別「福島県」を見せてもらいながら飯豊のよさを聞かせてもらった。おまけにイカの燻製まで一袋いただいた。
「短い秋の飯豊が素晴らしいらしい」ので機会があれば是非訪れたい気分になった。「ただし混むよ!」と言った言葉は気になるが。
この日はもう日没前に寝てしまった。
朝は皆さん早く、4時にはゴソゴソ始まった。寝てはいられないのでシュラフから抜け出すと、外は明るく上天気だ。夕べもらったイカの燻製を一袋食べたのが腹にもたれて、朝食を作る気にもならず、パッキングしなおして下山開始だ。
小屋の管理人に「気をつけて下りな」という言葉に送られて出発する。下山して行くのは僕だけのようだ。
剣が峰という岩尾根を下り始めるとヒザの調子が芳しくない、間接が引っかかるようでそのときにピリピリシクシクと痛み出す。何度も曲げたり延ばしたりしながらだましだまし歩く。ふと、僕のヒザは一体いつまでもつのかなぁなんて思えてきた。
やっとの思いで岩尾根を降りきるころにはヒザの調子もよくなったようで、何度も何度も振り返っては三国小屋を眺める。
峰秀水という豊富な水場でうまい水を飲む。さあ、ここからは下り一辺倒だ。
その名の通りの長坂の尾根を下り、ブナの巨木に感心しつつ、彫られた多くの落書きに心を痛めながらどんどん下れば林道に出て、入山者の車でいっぱいの川入の御沢キャンプ場にたどり着いた。エアリアのコースタイムはかなり余裕のあるタイムだと思う。
やっぱり「飯豊はいいでぇ」と思った。これも天候に恵まれたのが一番の要因だ。花も多く素晴らしい山だ。特に御西~梅花皮間がよかったなぁ。ただし反省すべきもあった。また生きているうちに行けるだろうか。行きたいなぁ。 車の数とは考えられないぐらいの閑散としたキャンプ場のトイレにバケツがあったので、こっそりパンツイッチョウになってザブンザブンと水を浴びる。誰も見ていないと思ったらトイレに来たおばちゃんにしっかり見られた。でもこれで安心して公共交通機関に乗れるよ。
つう
【 山 域 】 越後山脈北部、飯豊山塊
【メンバー】あろん
【 天 候 】ガスのち晴れ
【 ルート 】
7/14(木)
セントレア18:10>>ANA>>19:10新潟空港
新潟空港20:10==バス==20:35新潟
新潟グリーンホテル泊
7/15(金)
新潟6:08++6:46新発田6:49++7:12坂町7:17++7:55小国8:00==8:57飯豊山荘9:00—9:25温身平—11:25梶川出合—12:42石転びの出合—17:00梅花皮小屋 泊
7/16(土)
梅花皮小屋5:53—7:00烏帽子岳—8:10御手洗池—10:03御西小屋10:37—12:15飯豊山12:28—12:52本山小屋—13:42姥権現—14:13草履塚—14:40切合小屋—15:03種蒔山—16:16三国小屋 泊
7/17(日)
三国小屋5:00—5:56地蔵山分岐—6:34横峰小屋跡—8:24御沢小屋跡—8:35川入キャンプ場9:00—9:30川入バス停10:30==11:15山都12:38++新津14:38++15:00新潟15:30=バス=15:55新潟空港16:35>>17:40セントレア
交通宿泊費
セントレア~新潟空港 ANA 13050円
新潟空港~新潟 バス 400円
新潟グリーンホテル 素泊 3100円
新潟~小国 JR 1450円
小国~飯豊山荘 小国町営バス 700円
梅花皮小屋 素泊 1500円
三国小屋 素泊 2000円
川入~山都 会津バス 930円
山都~新潟 JR 1620円
新潟~新潟空港 バス 400円
新潟空港~セントレア ANA 13050円
合計 38200円
数年来計画倒れになっていた飯豊を縦走した。この飯豊連峰は地形図で見ると実に面白いことがわかる。県境が幅1mほどで7kmほど続いているらしいのだ。ぱっと見ると新潟県と山形県の県境にある山のように見えるのだが三国岳から御西岳間の縦走路は福島県が食い込むように続いている。「福島県民のおらが山」の無理を通したようなことになっていて面白い。
さて、なんといっても飯豊連峰を縦走するにはアクセスが重要なポイントになってくる。タクシーを使えば高額の出費になるし、マイカーでのピストンではつまらないし、周回にしてもせっかく行くのだからもうちょっと頑張ってみたいという気がしてきた。
最寄の駅から登山口へと下山口からのバスのアクセスも7月の中旬から8月の中旬までの1ヶ月間の期間運行しかない。十勝岳の天候不良の失敗のように以前のスカイマークを利用した格安チケットでは天候を見ながらの計画は立てられないので、年に2回の伝家の宝刀ANAの株主優待券を使うことにした。
突然の計画は仕事と天気の兼ね合いで、アクセスは短時間でとなればもう飛行機しかないのだ。数日前からの天気予報は連休前が良いようなので、14日(木)の午後ギリギリまで仕事をして、中部空港からプロペラ機の新潟空港便に飛び乗った。新潟での宿泊は楽天トラベルで予約した駅前の格安ビジネスホテルだ。
翌朝、新潟発の列車は通学の生徒を乗せて走り、坂町で乗り換えた列車は完璧なローカル線で、途中には携帯も圏外になってしまうほどだ。
小国の駅舎では、あらあら熊の剥製がお出迎えだ。ここから小国町営バスで期間限定の飯豊山荘行きのバスに揺られる。このバスも最終バス停に着くころにはやっぱりいつもどおりの貸切になってしまった。
1日2便のバスは8:55に飯豊山荘に着く。スタートとしては遅いが仕方が無い。明るいうちに梅花皮(かいらぎ)小屋へたどり着ければと思いながら、立派なブナの生えている林道をトボトボ歩く。今回は搭乗手続きでザックの重量を測ったら11kgだった。水を1Lとパンを2食分持っているから12kgを超えたぐらいか。ピッケルと12本アイゼンが重い。食料はアルファ米などの乾燥食品にした。
暑い!とにかく暑い!汗が滝のように流れてくる。幸い水場は多いので補給を重ねて梶川出合までの夏道で2L近く飲んだのではないだろうか。バテ気味で歩くうちになぜか先行する登山者に追いついた。この人も汗がすごいことになっている。右から流れてくる沢の場所で早い昼食とした。あまりの暑さに、この時点で小屋が満員の場合に用意してきたツエルトでここでビバークしてやろうかと思うほどだった。大休止の後、それでも気合を入れなおして歩けば、梅花皮沢の右岸の高いところを行く夏道は川床に近くなるころ、梶川出合となる。ついに川を埋める雪渓が現れた。
石転び沢出合の手前でアイゼンを装着する。このあたりの傾斜はたいしたことは無いがここから小屋まで雪渓が続くのだからと早めに履いた。上を見上げればはるかガスのかなたまで雪渓が続いている。なんか天気がいまいちだなぁ・・・。先ほど追いついた先行者はランチの間にゴマ粒のように前に見える。
さあ、いよいよ憧れていた石転び沢へ突入だ。その名の通り人間の頭ぐらいの石がところどころ転がっている。いったい、いつからこの石はここに転がっているんだろう?落石を気にしながらマイペースでザクザク登っていく。ヒザの調子もまあまあだ。 ガスが吹き下がってくると生暖かいような、冷たいような層を持っている風が吹いてくる。視界も10mほどになったり、上部の尾根まで見渡せたりめまぐるしく変わる。気が付けばすっかり汗は引いていた。
なんだか寒くなってきたぞ、そうだ手袋をしよう。半袖シャツに手袋といったおかしないでたちになってしまった。
右岸から流れ込む沢で水の補給。えぐれた雪渓を回りこんで、かなり上部から慎重にたどり着く。踏み抜いたら大怪我だ。
がんばって登るとまるでご褒美のように青空が広がってきた。尾根へはもう雪渓が途切れて中ノ島になっているのがわかる。
16時、やっと雪渓が切れた。島には花がいっぱい咲いている。ザックをおろしてアイゼンを外し、しばし休憩して登ってきた石転び沢の雪渓を感慨深く見下ろす。
小沢も脇に流れているので一杯水でも飲もうかと立ち上がった瞬間、思いもよらぬアクシデントに見舞われた。
ドーン!ドーン!と音がするので振り返るとザックが転がっているのである。止まってくれ!との願いもむなしく小沢の下部の雪渓のえぐれた下へと吸い込まれるように落ちていってしまったのだ。 もう手元にあるのは500ccの空のペットボトルしかない。幸いというか滝状になった小沢を吸い込む雪渓の下部で止まっている。落差は15mぐらいあるだろうか。お金もシュラフも食料もピッケルもアイゼンもすべて15m下で水をジャージャーかぶっているのが見える。
草つきの部分にしっかり置いたつもりなのだが、なんという失態。これも単独行の怖さだ。
梅花皮小屋までもう一時間もかからないだろう。急傾斜の雪渓もなくなっているのでザイルを借りてくれば何とかなるだろうと思ったが、とりあえず滑りそうな土を避けて流れの岩からクライムダウンしてみることにした。ホールドやスタンスを何度も確かめながら慎重に降りる。無理をすればアウトだ。幸い思ったより岩も外れることなくしっかりしたものだった。
やっとの思いでザックにたどり着いた。上を見上げれば3mほどのクサビ状にひさしをもった雪渓の真下だ。水を吸ってしまった重いザックを担いで登り返す。こんなところで怖いシャワークライミングをするなんて、しかも登山靴で。
なんとか無事に復帰できた。今思い出すだけでもぞっとする。前週の竜ヶ岳蛇谷の沢登りのウォーミングアップの賜物で体が動いてくれたのかもしれない。りゅうさんとふ~さんに感謝しなきゃいけません。
こんな経験は初めてで深く反省です。ザックはちゃんと安定させて置いてから離れること。当たり前の事なんだけどなぁ。今回のザック滑落という大失敗の出来事でした。
小屋直下の最後の急斜面も草つきを登れて、結局ピッケルはボッカになった。それでも最後は20mほど雪渓をキックステップで上がりほうほうの体で梅花皮小屋にたどり着いた。
歩き始めてアクシデントや休憩を含めて8時間かかって石転び沢を登りきった。
小屋の管理人のおじさんは人の良さそうなおじさんで、早速小屋利用者記入票に名前など書き込む。1500円だ。「今日は空いているから好きなところで寝な」と言われる。
1階は2人、2階は8人ほど、1階の隅を選んで寝床とした。隣の人は東北弁を遠慮がちに話す秋田の男性だ。同年代ぐらいかな。この人と翌日の本山小屋まで抜きつ抜かれつ仲良く歩くこととなる。
担ぎ上げたビール500ccでほろ酔い気分で外に出ると、どんどん天候が良くなってきて、稜線の北俣岳、梅花皮岳はもちろん、はるか遠くの朝日岳の間から月山まで見えるようになってきた。小屋の裏手には飯豊連峰最高峰の大日岳が威風堂々と風格を見せている。まさしく飯豊はいいでぇ。
小屋が空いていたこともあって、熟睡できたようだ。天気といえば強風にガス。昨日見えていた山々はおろか、20m先が見えない。小屋のおじさんの情報によれば晴れ時々曇りところにより雨だそうだ。なんかよくわからない天気情報だが、午後から回復するという期待をこめて歩きだす。
梅花皮岳の斜面に取り付くと花がどんどん咲いている。ハクサンコザクラってなんて可愛いんだろう。ニッコウキスゲが一面に満開だ。景色が見えない代わりに花がすばらしく多いので実に楽しい。そういえば同宿していたおじさんが、飯豊はこの時期、花が素晴らしいよって言っていたっけ。
登山道にはまだまだところどころ雪渓が覆いかぶさっている。すれ違う若い登山者はひっくり返ったようで泥だらけだ。
御西小屋の管理人とすれちがった。登山道の整備をしているようで長靴にピッケルと鎌といったいでたちで、御西小屋と書いたヘルメットをかぶっている。
「この先の雪渓は危険で、過去に滑落死しているので赤旗に沿って上部を巻いていくように、お花畑よりも命が大事だから」と指示される。タイミングよく会えたものだ。先行した秋田の人はトラバースにかかり、アイゼンを装着したと聞いた。ガスで高度感がないので幸いしているのだろう。僕はといえば当然のごとく上部を巻いた。御西岳から北はまだまだ雪が多い。
天狗岳を過ぎるころから天候が急に回復してきた。なんという変わりようだろう、太陽がガンガンに輝いてきた。御西小屋に着くと緑と残雪の輝く素晴らしい稜線一体が遠方まで見渡せるようになってきた。秋田の人と一緒に水場の上で休憩。ぼくとつながら好男性である。おいしい水をがぶ飲みだ。チングルマがきれいだ。大日岳の勇姿に今回登る計画をしていなかったことが心残りとなる。次回のお楽しみにとっておこう。 飯豊山から本山小屋までが見えてきた。思うに飯豊は小屋が見えてからたどり着くまでに時間がかかる。アップダウンの連続だ。
日差しが暑くなってくる。半袖の腕が赤くなってきた。まさにカンカン照りというやつだ。 飯豊山頂には6人、飯豊連峰の景色を堪能しながら御西小屋の水場で作っておいた冷水アルファ米の五目御飯でランチとした。アキアカネがうじゃうじゃ飛んでいる。御在所で見た数の倍はいるだろうか。秋田の人に写真を撮ってもらって彼とはここで別れることとなる。彼は本山小屋に泊まり、明日は大クラ尾根で天狗平へ戻るという。エアリア点線のコースだ。尾根を見れば岩峰を乗せた急峻なコースなのがわかる。
飯豊山を越えると急に登山者の数が増えてきた。今までの静けさは一体なんだったんだろう。縦走する人はあんまりいないのかもしれない。本山小屋の管理人に情報を聞くと切合小屋には団体さんが宿泊予定だという。老若男女わんさかすれ違う。どうも喜多方市の飯豊山開きのイベントがあり「飯豊の集い」とかいう団体50名ほどが切合小屋に連泊するらしい。そうとは思われない一般登山者も50名はすれ違った。
草履塚の急登を越えると切合小屋が見えてきた。すでに小屋の周りにはテントが張られている。切合小屋を追われるようにあふれた人が本山小屋への御前坂の急登をあえぎながら登ってくる。「本山小屋はまだですか?」と数人に同じ事を聞かれる。中には「あと何キロですか?」とも聞かれた。答えにくい質問である。
切合小屋に着くとすでに到着した団体さんで水場に列が出来ている。御西小屋以北とはえらい違いだ。なまぬるい水を補給して早々に過ぎるが、またもや「小屋はまだですか?」の同じ質問に閉口気味だ。15時を過ぎるころにやっと登山道にも静けさが戻ってきた。それでも最後にあった5人パーティーにとどめを刺される。「この先雪残ってますか?」「水ですか?」「いえ、食べたいんです。」「あぶないよ」とだけ言ってそそくさとすれ違った。
尾根に乗っかる三国小屋が見えた。しかし歩いても歩いても届かない。まだまだパラパラと登ってくる。今夜の切合小屋を想像すると気の毒になってくる。
遠景から三国小屋までのピークを数えると3つあった。バテ気味でピークを3つ越してもまだ先に3つぐらいピークが見える。小屋からこちらを見ている人がいる。すいているといいな。
やっと小屋直下の最後の鞍部を越えてヒイヒイ言いながら小屋に着いた。受付を済ませて寝床を指示される。今夜の宿泊者は30人ぐらいだろうか。一人当たりの縄張りは寝返りを二回ぐらい打てるくらいの広さだ。よかった~~。
隣の人は地元郡山の二人組で山慣れたコンビだ。毎年数回飯豊に上るそうで、いろいろ教えてもらう。ヤマケイ分県別「福島県」を見せてもらいながら飯豊のよさを聞かせてもらった。おまけにイカの燻製まで一袋いただいた。
「短い秋の飯豊が素晴らしいらしい」ので機会があれば是非訪れたい気分になった。「ただし混むよ!」と言った言葉は気になるが。
この日はもう日没前に寝てしまった。
朝は皆さん早く、4時にはゴソゴソ始まった。寝てはいられないのでシュラフから抜け出すと、外は明るく上天気だ。夕べもらったイカの燻製を一袋食べたのが腹にもたれて、朝食を作る気にもならず、パッキングしなおして下山開始だ。
小屋の管理人に「気をつけて下りな」という言葉に送られて出発する。下山して行くのは僕だけのようだ。
剣が峰という岩尾根を下り始めるとヒザの調子が芳しくない、間接が引っかかるようでそのときにピリピリシクシクと痛み出す。何度も曲げたり延ばしたりしながらだましだまし歩く。ふと、僕のヒザは一体いつまでもつのかなぁなんて思えてきた。
やっとの思いで岩尾根を降りきるころにはヒザの調子もよくなったようで、何度も何度も振り返っては三国小屋を眺める。
峰秀水という豊富な水場でうまい水を飲む。さあ、ここからは下り一辺倒だ。
その名の通りの長坂の尾根を下り、ブナの巨木に感心しつつ、彫られた多くの落書きに心を痛めながらどんどん下れば林道に出て、入山者の車でいっぱいの川入の御沢キャンプ場にたどり着いた。エアリアのコースタイムはかなり余裕のあるタイムだと思う。
やっぱり「飯豊はいいでぇ」と思った。これも天候に恵まれたのが一番の要因だ。花も多く素晴らしい山だ。特に御西~梅花皮間がよかったなぁ。ただし反省すべきもあった。また生きているうちに行けるだろうか。行きたいなぁ。 車の数とは考えられないぐらいの閑散としたキャンプ場のトイレにバケツがあったので、こっそりパンツイッチョウになってザブンザブンと水を浴びる。誰も見ていないと思ったらトイレに来たおばちゃんにしっかり見られた。でもこれで安心して公共交通機関に乗れるよ。
つう
交通宿泊費