【湖北】名も無きブナ林 ヤブ漕ぎ雪山行
Posted: 2016年2月09日(火) 15:15
【日 付】2016年2月7日(日)
【山 域】湖北 横山岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】金居原7:25---8:30土倉谷出合8:45---12:00Ca1000mピーク---12:30ランチ場ピーク13:35---14:45Ca940mピーク---
15:50林道着地点---16:40金居原
世の中思い通りには行かないものだ。先週に続いて文句の付けようのない快晴。目指したのは湖北、岐阜県との県境にほど近い
山である。本当ならタイトルに有名な山の名前があるはずだったが、力尽きて断念してしまった。
去年とは打って変わってまったく雪の無い金居原の集落から歩き出す。去年は雪の壁ができていた旧国道の入口からスノーシュー
を履いたのだが、今年は道路上の雪もまばら、その分ペースも上がる。土倉谷の林道に入っても少し雪が積もっている程度だ。
四駆マニアらしいクルマの轍とツボ足のトレースがあったが登山者ではなさそうである。案の定、足跡は途中で消えて、タイヤの跡も
Uターンしていた。スノーシューを履いてもよかったが、ところどころ完全に地面が露出しているのでツボ足のまま歩く。
[attachment=8]P2070023_1.JPG[/attachment][attachment=7]P2070042_1.JPG[/attachment]
小一時間で尾根取付き点の奥土倉谷出合に到着した。去年も使ったこのルートだが、今年はあまりにも条件が違い過ぎた。
昨年はさしてヤブを漕いだ印象がなかったのだが、それは単に雪の下に埋もれていただけ。今は悪意すら感じさせるヤブが行く手を
阻んでいる。まさかこの時期の雪山で2週続けてヤブ漕ぎをさせられるとは。しかも地形図を見れば明白な急傾斜の尾根である。
足よりも手の方が活躍するようなヤブ尾根に身も心も消耗してしまった。足元は結構潜り始めたが、スノーシューを履くとヤブに絡め
とられてしまいそうなのでツボ足のままだ。雪だけはビシビシに締まっていると予想していたのにそれも叶わずボソボソである。
振替えると金糞岳が白い。あっちにすればよかったかなと後悔の念が頭をよぎった。
[attachment=6]P2070046_1.JPG[/attachment]
それでも標高800mあたりまで頑張れば苦労も報われるに違いない。去年も最初は緩んでいた雪質がそのあたりで劇的に変化した
からだ。我慢に我慢を重ねて800mオーバーの台地に出ると、そこには見事なブナ林が待っていた。雪の量も急に増えて下生えを覆い、
一面の雪原状になった。こうこなくちゃいけない。
雪質にはさほど変化はなく、多少締まっている程度でプチラッセルが続いた。それでもスノーシューを履いて足だけで歩けるのはあり
がたい。
[attachment=5]P2070088_1.JPG[/attachment][attachment=0]P2070089_1.JPG[/attachment]
やっとの思いで横山岳と猫ヶ洞を結ぶ主稜線に到達。取付きから標高差600mばかりを3時間以上もかかってしまった。
もう当初の目論見を実行しようという気力もない。肝心の横山岳への尾根はあまりスッキリしているようには見えず、遠い。やっぱり雪
が少な過ぎる。とりあえずは昨年すっかり気に入った、県境尾根ジャンクションのCa1000mピークへ向かおう。もう昼だ。
ここはランチには申し分の無い場所だが少し風が通るので、もうひとつの目的地であった県境上のピーク、神又峰(かんまたみね、地
図に名前はない)の方へ少し行ってみよう。雪は相変わらず締まっておらず、ふくらはぎ程度のラッセルだ。
素晴らしいブナ林が続き、特に左側から緩やかに上がる谷の源頭部は美しい。ブナ林に囲まれた次の小ピークでランチタイムとする。
正面には猫ヶ洞の隣に蕎麦粒山の鋭鋒が顔を見せている。
[attachment=4]P2070094_1.JPG[/attachment]
Ca1000mピークへ戻り、トラバース気味に元来た尾根に乗ったはずがトレースがない。おかしいと思いつつ、もうひとつ隣の尾根にト
ラバース。あったあった。しかしさっきの尾根はなんだ。
(家に帰ってカシミールの軌跡を見て愕然。県境稜線のつもりで歩いていた尾根は神又谷への支尾根だった。地図をちゃんと見ていれ
ば間違うはずがないのだが、あまりにいいブナ林に誘われてしまったのである。植林に蹂躙されているはずのリッカ谷源頭がやけにい
い森だと思っていたら、実は神又谷の源頭部だったというお粗末。)
登りの尾根を下りたくないので、少し足を延ばしてCa940mピークから南東に伸びる尾根を選ぶ。この尾根は隣から見ても良さげなブ
ナ林が続いているように見えたのだ。隣の芝生は青いということわざ通り、往々にしてハズレのケースがあるのだが。
横山岳へと続くこの尾根は北面のリッカ谷から植林が入っており、林道が尾根上まで上がって来ている。ただでさえヤブが埋まり切っ
ていないので、あまり面白いとは言い難い尾根である。
ただ北側を見ると、神又峰の横に左千方が頭出し、その奥には上谷山の真っ白な姿を望むことができた。こういう展望が得られるだけ
でもマシと言うべきか。
突然だだっ広い雪原が現われた。雰囲気的には池のようだが、こんなところに池があるのだろうか。こういう謎もないと退屈してしまう。
[attachment=1]P2070130_1.JPG[/attachment][attachment=3]P2070133_1.JPG[/attachment]
Ca940mピーク付近はまたブナ林が戻って来た。横山岳は逆光の中にシルエットとして浮かんでいる。この雪とヤブの状態だと1時間
ぐらいではとても行けないだろう。また来ることがあるだろうか。
[attachment=2]P2070141_1.JPG[/attachment]
ピークからの下り出しはまさに読み通り。細い若木ばかりながら、Ca1000mピーク付近に勝るとも劣らない美しいブナ林が展開してひ
とり悦に入る。
しかし好事魔多し。750m付近からややヤブが出始め、やがて植林帯に突入。それでも登りの尾根ほどの歩きにくさはないので助かる。
その尾根も末端付近でははっきりした形すら無くなってしまった。尾根芯より左側は手の付けられない激ヤブ、尾根の右側は放置植林
なので杣道の残骸ぐらいありそうなものだが、中途半端な雪に隠されてわからない。
強烈な急斜面を得意技でズリズリと下りて行くと、やっと道型らしきものに出合った。最後はストックを放り投げてなんとか林道にラン
ディング成功である。
帰りもまたこの道を歩くとは思わなかった。車まであと1時間の辛抱だ。
山日和
【山 域】湖北 横山岳周辺
【天 候】晴れ
【コース】金居原7:25---8:30土倉谷出合8:45---12:00Ca1000mピーク---12:30ランチ場ピーク13:35---14:45Ca940mピーク---
15:50林道着地点---16:40金居原
世の中思い通りには行かないものだ。先週に続いて文句の付けようのない快晴。目指したのは湖北、岐阜県との県境にほど近い
山である。本当ならタイトルに有名な山の名前があるはずだったが、力尽きて断念してしまった。
去年とは打って変わってまったく雪の無い金居原の集落から歩き出す。去年は雪の壁ができていた旧国道の入口からスノーシュー
を履いたのだが、今年は道路上の雪もまばら、その分ペースも上がる。土倉谷の林道に入っても少し雪が積もっている程度だ。
四駆マニアらしいクルマの轍とツボ足のトレースがあったが登山者ではなさそうである。案の定、足跡は途中で消えて、タイヤの跡も
Uターンしていた。スノーシューを履いてもよかったが、ところどころ完全に地面が露出しているのでツボ足のまま歩く。
[attachment=8]P2070023_1.JPG[/attachment][attachment=7]P2070042_1.JPG[/attachment]
小一時間で尾根取付き点の奥土倉谷出合に到着した。去年も使ったこのルートだが、今年はあまりにも条件が違い過ぎた。
昨年はさしてヤブを漕いだ印象がなかったのだが、それは単に雪の下に埋もれていただけ。今は悪意すら感じさせるヤブが行く手を
阻んでいる。まさかこの時期の雪山で2週続けてヤブ漕ぎをさせられるとは。しかも地形図を見れば明白な急傾斜の尾根である。
足よりも手の方が活躍するようなヤブ尾根に身も心も消耗してしまった。足元は結構潜り始めたが、スノーシューを履くとヤブに絡め
とられてしまいそうなのでツボ足のままだ。雪だけはビシビシに締まっていると予想していたのにそれも叶わずボソボソである。
振替えると金糞岳が白い。あっちにすればよかったかなと後悔の念が頭をよぎった。
[attachment=6]P2070046_1.JPG[/attachment]
それでも標高800mあたりまで頑張れば苦労も報われるに違いない。去年も最初は緩んでいた雪質がそのあたりで劇的に変化した
からだ。我慢に我慢を重ねて800mオーバーの台地に出ると、そこには見事なブナ林が待っていた。雪の量も急に増えて下生えを覆い、
一面の雪原状になった。こうこなくちゃいけない。
雪質にはさほど変化はなく、多少締まっている程度でプチラッセルが続いた。それでもスノーシューを履いて足だけで歩けるのはあり
がたい。
[attachment=5]P2070088_1.JPG[/attachment][attachment=0]P2070089_1.JPG[/attachment]
やっとの思いで横山岳と猫ヶ洞を結ぶ主稜線に到達。取付きから標高差600mばかりを3時間以上もかかってしまった。
もう当初の目論見を実行しようという気力もない。肝心の横山岳への尾根はあまりスッキリしているようには見えず、遠い。やっぱり雪
が少な過ぎる。とりあえずは昨年すっかり気に入った、県境尾根ジャンクションのCa1000mピークへ向かおう。もう昼だ。
ここはランチには申し分の無い場所だが少し風が通るので、もうひとつの目的地であった県境上のピーク、神又峰(かんまたみね、地
図に名前はない)の方へ少し行ってみよう。雪は相変わらず締まっておらず、ふくらはぎ程度のラッセルだ。
素晴らしいブナ林が続き、特に左側から緩やかに上がる谷の源頭部は美しい。ブナ林に囲まれた次の小ピークでランチタイムとする。
正面には猫ヶ洞の隣に蕎麦粒山の鋭鋒が顔を見せている。
[attachment=4]P2070094_1.JPG[/attachment]
Ca1000mピークへ戻り、トラバース気味に元来た尾根に乗ったはずがトレースがない。おかしいと思いつつ、もうひとつ隣の尾根にト
ラバース。あったあった。しかしさっきの尾根はなんだ。
(家に帰ってカシミールの軌跡を見て愕然。県境稜線のつもりで歩いていた尾根は神又谷への支尾根だった。地図をちゃんと見ていれ
ば間違うはずがないのだが、あまりにいいブナ林に誘われてしまったのである。植林に蹂躙されているはずのリッカ谷源頭がやけにい
い森だと思っていたら、実は神又谷の源頭部だったというお粗末。)
登りの尾根を下りたくないので、少し足を延ばしてCa940mピークから南東に伸びる尾根を選ぶ。この尾根は隣から見ても良さげなブ
ナ林が続いているように見えたのだ。隣の芝生は青いということわざ通り、往々にしてハズレのケースがあるのだが。
横山岳へと続くこの尾根は北面のリッカ谷から植林が入っており、林道が尾根上まで上がって来ている。ただでさえヤブが埋まり切っ
ていないので、あまり面白いとは言い難い尾根である。
ただ北側を見ると、神又峰の横に左千方が頭出し、その奥には上谷山の真っ白な姿を望むことができた。こういう展望が得られるだけ
でもマシと言うべきか。
突然だだっ広い雪原が現われた。雰囲気的には池のようだが、こんなところに池があるのだろうか。こういう謎もないと退屈してしまう。
[attachment=1]P2070130_1.JPG[/attachment][attachment=3]P2070133_1.JPG[/attachment]
Ca940mピーク付近はまたブナ林が戻って来た。横山岳は逆光の中にシルエットとして浮かんでいる。この雪とヤブの状態だと1時間
ぐらいではとても行けないだろう。また来ることがあるだろうか。
[attachment=2]P2070141_1.JPG[/attachment]
ピークからの下り出しはまさに読み通り。細い若木ばかりながら、Ca1000mピーク付近に勝るとも劣らない美しいブナ林が展開してひ
とり悦に入る。
しかし好事魔多し。750m付近からややヤブが出始め、やがて植林帯に突入。それでも登りの尾根ほどの歩きにくさはないので助かる。
その尾根も末端付近でははっきりした形すら無くなってしまった。尾根芯より左側は手の付けられない激ヤブ、尾根の右側は放置植林
なので杣道の残骸ぐらいありそうなものだが、中途半端な雪に隠されてわからない。
強烈な急斜面を得意技でズリズリと下りて行くと、やっと道型らしきものに出合った。最後はストックを放り投げてなんとか林道にラン
ディング成功である。
帰りもまたこの道を歩くとは思わなかった。車まであと1時間の辛抱だ。
山日和