【中欧】ドナウ川展望の山歩きーハンガリーよさらばー
Posted: 2015年2月24日(火) 21:40
いよいよ日本帰国までのカウントダウンが始まった.ハンガリーでの最終週,全てが今回で最後の出来事になるだろう.山歩きもその一つ.今回がハンガリーでの最後の山歩きになる.最後だからかどうなのか,ブダペスト北方50kmのドナウベント(スロバキア国境を東に流れてきたドナウ川が南へと向きを変える屈曲点)まで,ブダペストから線で繋がることになる.べつに意識してそうしてきたわけではないのだが,奥地へ奥地へと歩いてきた結果そうなったのである.今回は出発点をドナウベントの小さな村Domosとし,今までとは逆に南に向かって周回コースを辿ることにした.
【 山 域 】ヴィシェグラード山地(ドナウベント)
【メンバー】単独
【 天 候 】曇り時々晴れ,風強い
【 ルート 】 アパート 5:50 --- (トラム・地下鉄) --- 6:25ウシュベスト・ヴァロシュカブ・バスターミナル 6:35 --- (バス) --- 8:00 デメシュDomos 8:15 --- 10:50 ドボゴーケ Dobogo-ko 11:25 --- 13:30 P639 13:50 --- 15:30 デメシュDomos 16:15 --- (バス) --- 17:10 センテンドレ 17:18 --- (ヘーヴ) --- 18:00 アパート
Domosはドナウベントの小さな村.隣町ヴィシェグラードはハンガリーの古都としてガイドブックにも紹介される観光地であるが,Domosまで足を延ばす観光客はいない.ブダペストからバスで1時間半.もはやブダペスト郊外とは言えない.少しずつ足を伸ばしてきたとはいえ,こんなところまで山歩きに来ることになろうとは思っていなかった. 今日が最後の山歩きということで緊張したせいか,いつもよりずっと早く目が覚めてしまった.登山口のDomosには朝8時着.今日は11度まで気温が上がるはずなのだが,冷たい風が吹いて寒い.バス停近くのスーパーで昼食用のパンと飲み物を買い,歩き始める.
ハンガリーの山はどこでも人の匂いが強いが,ここら辺まで来ると自然の匂いもしてきて感じがいい.よく手入れされているのか,下草もなく(冬だからかもしれないが)美しい森が広がっている.ブダペストのあたりはナラ類が優先樹種であるが,この辺りはオウシュウブナの優先林になっている.日本の山で見られるような大木はないが,それでも結構な大きさのブナがたくさんあって目を楽しませてくれる.トレッキングコースも林道と併用している部分以外は感じ良く歩くことができる .
Dobogo-koに近くなると山歩きの人と出会うようになる.ハンガリーでは空身で散歩しているような感じの老夫婦に出会うことがあるのだが,こんな雪のある山を空身の老夫婦だけで歩いて大丈夫なのかと心配になる.ハンガリーの人はこういうところを歩き慣れているのだろうか.
先週の最奥地Dobogo-koに到着.先週食べたスープが美味しかったので,今度もスープを食べようと思ってきたのだ.スープの札を見ると’Marha’と書いた札がある.’Marha’というのはハンガリー語で牛肉という意味なので,これは牛肉が入ったスープに違いない.2週続けて魚のスープでは芸がないので,今回はこれにしよう.ホテル内の喫茶店に行き,勢い込んで’Marha’のスープをくださいというと,12時からですとあっさりいなされてしまった.まだ11時なのでここで待っているわけにもいかない.残念だが今回はスープはあきらめよう. 気を取り直して後半戦に突入.後半は標高700mから一挙に450mまで下り,その後また639mまで登り返すルートだ.大型機械で泥田のようになった林道を一挙に下っていく.まだ土が凍っているのが救いだ.これが融けると最悪なコンディションになるだろう.450mまで下り,次に570mまで登っていく.570m地点から639mまではほとんど平坦なハイキングコースだ.天気予報通りお昼頃になると気温が上がってきて気持ちがいい.
このころから人に多く会うようになる.若者たちのグループ,中高年のグループ.日本と同じでハンガリーでも山歩きが盛んなようだ.このコースは眼下にドナウベントを眺めながら歩くコース.人が多いのもうなずける.P639には10数人のグループがドナウ川を眺めながら写真を撮ったりしている.私も一緒に写真を撮る.ここへ来るのも最初で最後になるだろう.ハンガリーには海を眺められる山はないが,ドナウ川を眺められる山はある. 10数人グループが下山を始める.女性や子供が混じっているのですぐに追いつくと思い,少し時間を空けて下山することにした.降りていくと先ほどのグループが地面に腹ばいになって写真を撮っている.なんだろうと見ると陽だまりに小さな可憐な白い花が咲いているのだった.名前はわからないけど,春一番に咲く花なのだろう.ハンガリーも春がもうすぐそこに来ているのだ. 少し行くと岩場になる.展望の良い人気コースなのだろう.渋滞しているのでどうしたのかと思ったら,岩場の斜面に雪がついて女性や子供達が降りられなくなっている.雪さえなければなんということもない斜面なのだが,登山者に踏まれてツルツルになっているのだ.滑落すると,死なないまでも木にあたって肋骨の1,2本は折れるかもしれない. 冬靴ではないので,自分も慎重に下っていく.なんとか全員無事に降りることができた.同じグループではないが,一緒に難所を切り抜けたということでなんとなく連帯感が生まれ,しばらく一緒に下山する.結局,このグループとは帰りのバスも一緒だった.
ハンガリーでの最後の山歩き.ハンガリーでは珍しい岩場も出てきて,これまででは一番山を歩いた気分になれた1日だった.短い期間だったけれど,山がないと思っていたハンガリーで思いがけず山歩きができて楽しい時間を過ごすことができた.ハンガリーの山達,ありがとう.
【 日 付 】2015年2月21日(土)【 山 域 】ヴィシェグラード山地(ドナウベント)
【メンバー】単独
【 天 候 】曇り時々晴れ,風強い
【 ルート 】 アパート 5:50 --- (トラム・地下鉄) --- 6:25ウシュベスト・ヴァロシュカブ・バスターミナル 6:35 --- (バス) --- 8:00 デメシュDomos 8:15 --- 10:50 ドボゴーケ Dobogo-ko 11:25 --- 13:30 P639 13:50 --- 15:30 デメシュDomos 16:15 --- (バス) --- 17:10 センテンドレ 17:18 --- (ヘーヴ) --- 18:00 アパート
Domosはドナウベントの小さな村.隣町ヴィシェグラードはハンガリーの古都としてガイドブックにも紹介される観光地であるが,Domosまで足を延ばす観光客はいない.ブダペストからバスで1時間半.もはやブダペスト郊外とは言えない.少しずつ足を伸ばしてきたとはいえ,こんなところまで山歩きに来ることになろうとは思っていなかった. 今日が最後の山歩きということで緊張したせいか,いつもよりずっと早く目が覚めてしまった.登山口のDomosには朝8時着.今日は11度まで気温が上がるはずなのだが,冷たい風が吹いて寒い.バス停近くのスーパーで昼食用のパンと飲み物を買い,歩き始める.
ハンガリーの山はどこでも人の匂いが強いが,ここら辺まで来ると自然の匂いもしてきて感じがいい.よく手入れされているのか,下草もなく(冬だからかもしれないが)美しい森が広がっている.ブダペストのあたりはナラ類が優先樹種であるが,この辺りはオウシュウブナの優先林になっている.日本の山で見られるような大木はないが,それでも結構な大きさのブナがたくさんあって目を楽しませてくれる.トレッキングコースも林道と併用している部分以外は感じ良く歩くことができる .
Dobogo-koに近くなると山歩きの人と出会うようになる.ハンガリーでは空身で散歩しているような感じの老夫婦に出会うことがあるのだが,こんな雪のある山を空身の老夫婦だけで歩いて大丈夫なのかと心配になる.ハンガリーの人はこういうところを歩き慣れているのだろうか.
先週の最奥地Dobogo-koに到着.先週食べたスープが美味しかったので,今度もスープを食べようと思ってきたのだ.スープの札を見ると’Marha’と書いた札がある.’Marha’というのはハンガリー語で牛肉という意味なので,これは牛肉が入ったスープに違いない.2週続けて魚のスープでは芸がないので,今回はこれにしよう.ホテル内の喫茶店に行き,勢い込んで’Marha’のスープをくださいというと,12時からですとあっさりいなされてしまった.まだ11時なのでここで待っているわけにもいかない.残念だが今回はスープはあきらめよう. 気を取り直して後半戦に突入.後半は標高700mから一挙に450mまで下り,その後また639mまで登り返すルートだ.大型機械で泥田のようになった林道を一挙に下っていく.まだ土が凍っているのが救いだ.これが融けると最悪なコンディションになるだろう.450mまで下り,次に570mまで登っていく.570m地点から639mまではほとんど平坦なハイキングコースだ.天気予報通りお昼頃になると気温が上がってきて気持ちがいい.
このころから人に多く会うようになる.若者たちのグループ,中高年のグループ.日本と同じでハンガリーでも山歩きが盛んなようだ.このコースは眼下にドナウベントを眺めながら歩くコース.人が多いのもうなずける.P639には10数人のグループがドナウ川を眺めながら写真を撮ったりしている.私も一緒に写真を撮る.ここへ来るのも最初で最後になるだろう.ハンガリーには海を眺められる山はないが,ドナウ川を眺められる山はある. 10数人グループが下山を始める.女性や子供が混じっているのですぐに追いつくと思い,少し時間を空けて下山することにした.降りていくと先ほどのグループが地面に腹ばいになって写真を撮っている.なんだろうと見ると陽だまりに小さな可憐な白い花が咲いているのだった.名前はわからないけど,春一番に咲く花なのだろう.ハンガリーも春がもうすぐそこに来ているのだ. 少し行くと岩場になる.展望の良い人気コースなのだろう.渋滞しているのでどうしたのかと思ったら,岩場の斜面に雪がついて女性や子供達が降りられなくなっている.雪さえなければなんということもない斜面なのだが,登山者に踏まれてツルツルになっているのだ.滑落すると,死なないまでも木にあたって肋骨の1,2本は折れるかもしれない. 冬靴ではないので,自分も慎重に下っていく.なんとか全員無事に降りることができた.同じグループではないが,一緒に難所を切り抜けたということでなんとなく連帯感が生まれ,しばらく一緒に下山する.結局,このグループとは帰りのバスも一緒だった.
ハンガリーでの最後の山歩き.ハンガリーでは珍しい岩場も出てきて,これまででは一番山を歩いた気分になれた1日だった.短い期間だったけれど,山がないと思っていたハンガリーで思いがけず山歩きができて楽しい時間を過ごすことができた.ハンガリーの山達,ありがとう.