【鈴鹿】御在所本谷を彷徨う:大黒岩目前でまさかの敗退
Posted: 2014年3月11日(火) 06:22
鈴鹿の雪ももう御仕舞いかと思っていた週末,また雪が降った.今年最後の雪遊びのつもりで御在所の本谷を登り,籐内沢で尻セードして遊んでこようかと出かけた.気楽な雪山歩きのつもりが,歩きなれた山域という心のおごりのせいで,あわや滑落死という窮地に追い込まれるとは.やっぱり山をナメテはいけないと思い知らされた山行となった.
【 日 付 】2014年3月8日(土)
【 山 域 】鈴鹿・御在所岳
【メンバー】単独
【 天 候 】くもり時々雪
【 ルート 】湯の山温泉奥駐車場 7:55 --- 8:35 不動滝 ---大黒岩手前(撤退) --- 12:10 一ノ谷新道 --- 12:55 頂上広場(昼食) 13:55 --- 一ノ谷新道 --- 15:05 駐車場 湯ノ山温泉を越えて車道を登っていくと1台の車がスタックして動けなくなっている.幸いすぐ後ろにいた車の人たちが押し上げてくれたが,今度は斜面に停めた私の車がスリップして動けない.仕方ないので,少し下って改めて登り直した. 駐車場の雪は2,3センチ程度.思ったよりも少ない.御在所山の家を過ぎて本谷に入ると,左岸ルート方面にトレースがあった.前回の経験で右岸ルートの方が歩きやすい事がわかっているので,トレースのない右岸ルートへ進む.すぐに左岸を歩く男性グループの声が後ろになり,右岸ルートの方がずっと早い事がわかる.しばらく歩くと不動滝だ.左岸ルートを歩くグループはまだ到着していない. いつものように右岸を巻く.本来なら不動滝を過ぎてすぐに沢に戻るのだが,右岸側に歩きやすそうなルートが続いているので,どんなかなと思いそのまま右岸を進む事にする.しばらく歩いて,不動滝を過ぎたところにあるはずの大岩に気づかずに進んでいる事に気がついた.どうも,コーモリ谷の方に入ってしまったようだ.本来は大岩で右折しないといけないんだけど.
まあ,本谷は何度も歩いているので,たまにはコーモリ谷を歩くのもいいか.以前も同様にコーモリ谷に迷い込んだ時に一の谷新道に出たので,今度も一の谷新道から上がろうか.これが,心のおごりの第一歩だった.
コーモリ谷の右岸を歩いていると左岸側の岩に赤丸の印があり,黄色テープもある事に気づく.「ふーん,こんなところにルートがあるのか」.このルートどこに続いているんだろうと思って近づくと,黄テは斜面を登り始めている.「テープがあるという事はどこかへ出るはずだよね」.テープにしたがって行けるところまで行ってみよう.
ルートは大黒岩への直登ルートをたどっているようだ.「へえ,こんなところに大黒岩への直登ルートがあるのか」.斜面は次第に立ってきて,そのうちテープも見えなくなった.大岩の間に生えているマツやツツジの木をつかみ,アイゼンの前爪を使って登っていく.ふと気がつくと右側のアイゼンが外れている.「こんな時にアイゼンが外れるなんて」.アイゼンをつけ直してふと登ってきたルートを見ると下るのが怖いほどの斜度になっている.
「もう大黒岩のすぐ近くに来ているはずだから,行ってみよう.下るよりは安全かも」.そのまま登り続ける.もうほとんどクライミングの領域だ.「こんなところでクライミングをするとは思わなかった」.すぐ上には大黒岩が見えている.あそこまで行けば大丈夫だ.
大黒岩の直前,あと数mまで来ると,大黒岩との間に切り立ったキレットがある.ここはロープでもないと通過できない.もちろん,こんな事になるとは想定していなかったので,今日はロープなど登攀具の準備はしていない.このまま進めば滑落死は間違いない.頭の中に「チェックメイト」あるいは「詰み」という言葉が響いてくる.
多少危険でも降りるしかない.おそるおそる降り始める.驚いた事に降り始めてしばらくすると下から登ってくる男性グループの声が聞こえてきた.頭の中にクエスチョンマークが三つほど点滅し始める.可能性⑴:私のトーレースにつられて迷い込んできた;可能性⑵:元々このルートをくる予定だった.このグループは男性3人組で全員ヘルメット装着,山を歩きなれた感じの人たちだった.翻って私の格好は,いつもの三つ編みお下げ付きの変態帽子に買ったばかりのヒップそり装着だ.どう見ても山をなめきったお気楽おじさんが間違ってこんなところに入り込んだとしか見えない(実際そうなんだけど).
可能性⑴は頭から消去してそのまますれ違う.一応,上の方はロープがないと行けないので,引き返してきましたと断ったが,男性グループははいはいと聞き流して登っていった.まあ,お気楽おじさんに言われても実感ないよね.
なんとか安全圏まで降りてほっとしていると,上からさっきのグループが引き返してくる声が聞こえてくる.やっぱり,私のトレースに引かれて迷い込んだのか.まあ,何事もなくてよかった. GPSを確認するとすぐ近くに一の谷新道が上がってきている.谷を一つトラバースすると行けるはずなんだけど,斜面が立っていてトラバースが難しい.仕方ないので小尾根を上がっていく.そのうち登山道と交差するだろう.この小尾根も御在所らしく大岩が多く,その都度岩を巻いて登っていく.そのうち巻けない大岩に出たので,仕方なくトラバースする事にする.登山道はもう20mほどの所まで来ているのだ.
つかめる立ち木もないところで,スリップすると谷の下の方まで持っていかれるので,こわごわトラバースする.幸い,下が土だったのでピッケルがよく効いてくれて思ったよりも簡単に登山道に出る事ができた.時刻はもう12時を過ぎている.4時間ほども本谷を彷徨った事になる.日頃山登りでは使わない上半身の筋肉も使って,精神的にもかなり消耗しているのがわかる.
頂上広場に出て,御在所自然学校のストーブで濡れたものを乾かす.1時間ほども休憩して,いつもお世話になっているので,出がけに「ありがとうございました」と係の人に声を掛けると,逆に笑顔で「ありがとうございました.また来てくださいね」と言われた.無料で利用させてもらっておまけにこんな温かい言葉をかけてもらえるなんて.こんな事なら毎回ご挨拶くらいはするべきだったなと思った. 今日の山歩きはもう満喫した気分なので,籐内沢での尻セードはやめにして,一の谷新道をそのまま下る事にする.このルートは仕事の速い道なのだ.案の定,1時間ちょっとで御在所山の家に降り立った.
山での最近の危険と言えば,昨年暮れに樫山から初めての道を懸垂で下った事だろうが,その時はロープも持っていて,それほど危険を感じなかった.今回は全くのフリーでクライミングまがいの事をするはめになり,今から考えても一歩間違えれば滑落死していてもおかしくない状況だった.これは歩きなれている山域という慢心から生じた事で,反省点の多い山行になった.今後はこのような事にならないよう,山では常に謙虚に行動するように心がけたい.
ところで,私が大黒岩に誘導されたあの黄色テープと赤丸マークのルートはどこに通じているのでしょう.知っている人がいたら教えてくださいな.
【 日 付 】2014年3月8日(土)
【 山 域 】鈴鹿・御在所岳
【メンバー】単独
【 天 候 】くもり時々雪
【 ルート 】湯の山温泉奥駐車場 7:55 --- 8:35 不動滝 ---大黒岩手前(撤退) --- 12:10 一ノ谷新道 --- 12:55 頂上広場(昼食) 13:55 --- 一ノ谷新道 --- 15:05 駐車場 湯ノ山温泉を越えて車道を登っていくと1台の車がスタックして動けなくなっている.幸いすぐ後ろにいた車の人たちが押し上げてくれたが,今度は斜面に停めた私の車がスリップして動けない.仕方ないので,少し下って改めて登り直した. 駐車場の雪は2,3センチ程度.思ったよりも少ない.御在所山の家を過ぎて本谷に入ると,左岸ルート方面にトレースがあった.前回の経験で右岸ルートの方が歩きやすい事がわかっているので,トレースのない右岸ルートへ進む.すぐに左岸を歩く男性グループの声が後ろになり,右岸ルートの方がずっと早い事がわかる.しばらく歩くと不動滝だ.左岸ルートを歩くグループはまだ到着していない. いつものように右岸を巻く.本来なら不動滝を過ぎてすぐに沢に戻るのだが,右岸側に歩きやすそうなルートが続いているので,どんなかなと思いそのまま右岸を進む事にする.しばらく歩いて,不動滝を過ぎたところにあるはずの大岩に気づかずに進んでいる事に気がついた.どうも,コーモリ谷の方に入ってしまったようだ.本来は大岩で右折しないといけないんだけど.
まあ,本谷は何度も歩いているので,たまにはコーモリ谷を歩くのもいいか.以前も同様にコーモリ谷に迷い込んだ時に一の谷新道に出たので,今度も一の谷新道から上がろうか.これが,心のおごりの第一歩だった.
コーモリ谷の右岸を歩いていると左岸側の岩に赤丸の印があり,黄色テープもある事に気づく.「ふーん,こんなところにルートがあるのか」.このルートどこに続いているんだろうと思って近づくと,黄テは斜面を登り始めている.「テープがあるという事はどこかへ出るはずだよね」.テープにしたがって行けるところまで行ってみよう.
ルートは大黒岩への直登ルートをたどっているようだ.「へえ,こんなところに大黒岩への直登ルートがあるのか」.斜面は次第に立ってきて,そのうちテープも見えなくなった.大岩の間に生えているマツやツツジの木をつかみ,アイゼンの前爪を使って登っていく.ふと気がつくと右側のアイゼンが外れている.「こんな時にアイゼンが外れるなんて」.アイゼンをつけ直してふと登ってきたルートを見ると下るのが怖いほどの斜度になっている.
「もう大黒岩のすぐ近くに来ているはずだから,行ってみよう.下るよりは安全かも」.そのまま登り続ける.もうほとんどクライミングの領域だ.「こんなところでクライミングをするとは思わなかった」.すぐ上には大黒岩が見えている.あそこまで行けば大丈夫だ.
大黒岩の直前,あと数mまで来ると,大黒岩との間に切り立ったキレットがある.ここはロープでもないと通過できない.もちろん,こんな事になるとは想定していなかったので,今日はロープなど登攀具の準備はしていない.このまま進めば滑落死は間違いない.頭の中に「チェックメイト」あるいは「詰み」という言葉が響いてくる.
多少危険でも降りるしかない.おそるおそる降り始める.驚いた事に降り始めてしばらくすると下から登ってくる男性グループの声が聞こえてきた.頭の中にクエスチョンマークが三つほど点滅し始める.可能性⑴:私のトーレースにつられて迷い込んできた;可能性⑵:元々このルートをくる予定だった.このグループは男性3人組で全員ヘルメット装着,山を歩きなれた感じの人たちだった.翻って私の格好は,いつもの三つ編みお下げ付きの変態帽子に買ったばかりのヒップそり装着だ.どう見ても山をなめきったお気楽おじさんが間違ってこんなところに入り込んだとしか見えない(実際そうなんだけど).
可能性⑴は頭から消去してそのまますれ違う.一応,上の方はロープがないと行けないので,引き返してきましたと断ったが,男性グループははいはいと聞き流して登っていった.まあ,お気楽おじさんに言われても実感ないよね.
なんとか安全圏まで降りてほっとしていると,上からさっきのグループが引き返してくる声が聞こえてくる.やっぱり,私のトレースに引かれて迷い込んだのか.まあ,何事もなくてよかった. GPSを確認するとすぐ近くに一の谷新道が上がってきている.谷を一つトラバースすると行けるはずなんだけど,斜面が立っていてトラバースが難しい.仕方ないので小尾根を上がっていく.そのうち登山道と交差するだろう.この小尾根も御在所らしく大岩が多く,その都度岩を巻いて登っていく.そのうち巻けない大岩に出たので,仕方なくトラバースする事にする.登山道はもう20mほどの所まで来ているのだ.
つかめる立ち木もないところで,スリップすると谷の下の方まで持っていかれるので,こわごわトラバースする.幸い,下が土だったのでピッケルがよく効いてくれて思ったよりも簡単に登山道に出る事ができた.時刻はもう12時を過ぎている.4時間ほども本谷を彷徨った事になる.日頃山登りでは使わない上半身の筋肉も使って,精神的にもかなり消耗しているのがわかる.
頂上広場に出て,御在所自然学校のストーブで濡れたものを乾かす.1時間ほども休憩して,いつもお世話になっているので,出がけに「ありがとうございました」と係の人に声を掛けると,逆に笑顔で「ありがとうございました.また来てくださいね」と言われた.無料で利用させてもらっておまけにこんな温かい言葉をかけてもらえるなんて.こんな事なら毎回ご挨拶くらいはするべきだったなと思った. 今日の山歩きはもう満喫した気分なので,籐内沢での尻セードはやめにして,一の谷新道をそのまま下る事にする.このルートは仕事の速い道なのだ.案の定,1時間ちょっとで御在所山の家に降り立った.
山での最近の危険と言えば,昨年暮れに樫山から初めての道を懸垂で下った事だろうが,その時はロープも持っていて,それほど危険を感じなかった.今回は全くのフリーでクライミングまがいの事をするはめになり,今から考えても一歩間違えれば滑落死していてもおかしくない状況だった.これは歩きなれている山域という慢心から生じた事で,反省点の多い山行になった.今後はこのような事にならないよう,山では常に謙虚に行動するように心がけたい.
ところで,私が大黒岩に誘導されたあの黄色テープと赤丸マークのルートはどこに通じているのでしょう.知っている人がいたら教えてくださいな.
しかし危ない事してますね~、慣れた所とはいえ油断大敵です。