【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

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山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

【日 付】2011年5月21日(土)
【山 域】北アルプス 笠ヶ岳周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】新穂高5:30---6:23穴毛谷第1堰堤---8:21穴毛大滝---8:50大滝上9:10---12:06稜線12:19---
     12:34 P2737m 14:05---14:21七ノ沢下降点---15:04大滝上15:19---16:09第1堰堤---16:50新穂高

 新穂高の広い無料駐車場には、20台足らずの車がひっそりと止まっているだけだった。
大型連休と夏山シーズンの端境期、山はしばらく静寂の時を迎えているのだろう。
蒲田川に掛かる橋からは、まだ真っ白な稜線が遥かな高さに見えた。
 左俣林道を行く。2回目ともなれば、迷うことなく穴毛谷への林道へ導かれた。しかし例の穴毛谷の説明看板
がないのはどうしたことか。あの飛騨森林管理局の芸術作品はどこかからクレームが付いて撤去されてしまっ
たのだろうか。
 何を勘違いしたのか、第3堰堤の下で右岸へ渡渉してしまったが、結果的には正解だった。
前回の渡渉点の第1堰堤下を見ると水量が多く、少し苦労しそうな感じだったからだ。
安全な渡渉にはダブルストックが必需品である。流れに入るにせよ、石飛びで渡るにせよ安定感が違う。石飛
びの場合は特にそうだ。

 今年は雪が多いと思っていたら、なぜか第1堰堤の上には雪がなく、谷の真ん中を勢い良く水が流れている。
昨年は堰堤の上から雪が繋がり、自由自在に歩けたというのに。おかげで右岸のややこしいトラバースを強い
られてしまった。
 ここを記録しておこうとシャッターを押すと、「記録容量がほとんどありません」の表示が。
まだ10枚ほどしか写していないのになぜだ。裏ブタを開けるとそこにはメモリーカードが入っていなかった。ここ
まで内蔵メモリーに記録していたのである。
出鼻を挫かれてしまったが、良く考えれば携帯電話がある。なんせシャープ製のアクオス携帯は1200万画素も
あるのだ。十分過ぎるスペックである。ズームがないのが玉にキズだが無いよりははるかにマシだ。

 四ノ沢出合に着いた。圧倒的なデブリである。ここから見上げる笠の稜線は白く煙っている。
今日も天気はあまり期待できないのか。ど真ん中に立つピナクルが圧倒的だ。
 穴毛谷の象徴、御神体とも言える岩壁ももう感激は薄い。それより去年に比べて凄まじいばかりのデブリが
目立つ。雪が少なく思えたのは出だしの300mほどだけだった。
四ノ沢出合も五ノ沢出合も、支流からと本流からのデブリが衝突したようにうず高く盛り上がり、谷の真ん中に
雪の山を作っていた。雪崩が落ち着く前にこの谷へ入るのはリスクが高いとしみじみ思う。

 穴毛大滝もデブリに邪魔をされてなかなか視界に入らなかった。
滝と対面してみると、去年より小さくなっている・・・のではなくて、積雪量が多いので露出している部分が少な
いのだ。落差40mと言われるこの滝は、昨年は20mぐらいの滝だったが今年は10m余りしか無いように見えた。
恐くて近寄れなかった滝身へもかなり近付くことができた。

[attachment=4]DVC00100_1.JPG[/attachment]
 その代わり滝の右側のザイテンタールと呼ばれるルンゼには落石がゴロゴロ、下部では崩落した土で雪面も
茶色になっていた。斜面にはいつ落ちてきてもおかしくない状態で大きな石がいくつも引っ掛かっている。
落石の直撃コースを避けて、五ノ沢出合で装着したアイゼンを効かせて急斜面を登る。対岸の岩壁上部にもと
んでもない雪塊や落ちかけの岩が落下のタイミングを計っているようだ。
帰りの時のために雪渓上の落石の位置を記録しておいた。

 大滝上の本流へのトラバース地点を間違えて少し苦労してしまった。記憶はあてにならないものである。
小尾根を乗っ越すともなく、ほとんど高低差のない本谷へ復帰した。ここはひと息入れるには絶好のポイントだ。
本日の目的である六ノ沢が正面に見え、笠への稜線に突き上げている、はずだが上部は雲の中。もうひとつ
モチベーションが上がらない。
何も見えないなら笠まで行っても意味ないなと、やめる言い訳を考えている自分がいる。

 六ノ沢へ取り付くには本流を少し下らなければならない。その本流は穴毛大滝の落ち口に向かって急激に落
ち込んでいる。正直、気持ちの悪い下りである。下の方に少し穏やかな水流が見えているのがわずかな救いだ。
雪渓の端を伝って六ノ沢出合に着いた時にはホッとした。が、のんびりしてはいられない。
ここから標高差700mの急峻な雪渓登りが待っているのだ。

[attachment=3]DVC00091_1.JPG[/attachment]
 足が重い。どれぐらい上がったかと振り向いて見下ろしても、さっきからいくらも高度を稼いでいない。
焼岳から西穂、奥穂への稜線が徐々に見える体積を増やし、その奥に霞沢も頭を出している。
休むにしても適当な場所はなかなかなく、岩が露出したところへ近付けば例外なくシュルンドが口を開けている。
それでも猫の額ほどの休憩場所を探しながら、少しずつ体を持ち上げて行った。
右手にピッケル、左手には極端に短くセットしたストックというスタイルで、3点確保しながら進む。雪が緩み気味
なのがいいのか悪いのか。足元はアイゼンを置いただけでは決まらず、滑らないためには2~3回ステップを切る
必要がある。これがジワジワと体力を消耗させていく。
 雪渓のど真ん中にクレバスができている箇所もいくつかあり、下だけ見て歩いているとクレバスにぶち当たって
しまう。常に顔を上げて、落石にも目配りしながら歩かないといけない。雪の上の落石は音もなく降ってくるのだ。

 もうやめて下りようかとふと見上げたら、雪庇の奥に青空が光っていた。これは登って来いということか。
モチベーションメーターは一気に振り切れた。

[attachment=2]DVC00086_1.JPG[/attachment]
とにかく一歩、また一歩。強烈な傾斜となった六ノ沢源頭部にステップを刻む。このまま直上すれば雪庇に阻ま
れて稜線に出られないので、左に斜上しながら雪庇の切れ目を目指す。
 稜線が頭の高さまで来た。よっこらしょと体を持ち上げて稜線に立つ。双六谷の向うから黒部五郎や薬師が出
迎えてくれた。槍・穂高の稜線の展望は言わずもがなである。

 予定よりずいぶん時間がかかってしまった。しかしまだ笠に行けない時間ではない。標高差も150mほど残す
ばかりで距離もそう大したことはない。
が、笠に向かう体力が残っていなかった。正確には「気力が」かもしれないが。
笠の山頂に立っても劇的に景色が変わるわけでもなし、穴毛の谷底ではまったく期待もしていなかった青空が
頭上に広がっている。ここで十分だ。

 抜戸岩を過ぎて東の2737mピークまで移動して店を広げる。登りの途中から半袖Tシャツ1枚で十分だったが、
まるで夏のようなカンカン照りで半袖でも暑いぐらいだ。寝不足のせいかあまり気分が良くない。
草の上に寝っ転がって目を瞑る。防水が利かなくなって中までずぶ濡れの靴を脱ぐとさっぱりした。
 このGARMONTの登山靴には面白い注意書きが付いている。
「These boots will take you farther than you think.」この文章が「warning」として書いてあるのだ。
「使用上の注意」ではなく「警告」なのである。さすがイタリア人、シャレが利いている。しかしなかなか思うより
遠くに連れて行ってくれないのは自分の力の無さのせいか。

[attachment=1]RIMG0019_1.JPG[/attachment]
 笠をあきらめたら時間は余裕たっぷりだ。下りは3時間も見れば十分だろう。眼下には六ノ沢右俣の緩斜面が
魅力的な広がりを見せる。滑り降りたい衝動に駆られるが、グッと我慢して2753mピークの手前まで尾根を進ん
だ。ここから七ノ沢へ下りようというプランだ。
 七ノ沢源頭は六ノ沢と大差ない斜度を持っている。アイゼンがビシッと利かず、安易に足を置くとズルズル滑り
出してしまう。腰を落として慎重にステップを刻むが、足を滑らして転倒してしまった。
ゆっくりと滑り出す。雪面の薄い雪の層に乗った形で雪ごと滑って行くが、いつでも止まれそうなスピードで恐さ
はなかった。足でブレーキをかけて立ち上がり、横に避けると幅1m、長さ50m、厚さ5センチ程度の雪の層はま
るで生き物のようにゆっくりと斜面を滑り落ちて行った。

[attachment=0]RIMG0024_1.JPG[/attachment]
 両側を露岩に挟まれたところに来た。おそらく無雪期は滝場なのだろう。横一文字にクレバスが開いている。
どうしたものかと岩の上から偵察すると、クレバスの中をS字状に雪が繋がっていた。これを利用して踏み抜か
ないように慎重に通過。クレバスの対岸に這い上がった。やれやれだ。
 ここから先は見た目にも斜度が緩んで安全地帯に入った。こうなれば滑るしかない。尻セードグッズを出して
豪快に滑る。本谷の出合まで問題なく滑ることができた。

 本谷と七ノ沢の出合から大滝上の休み場は目と鼻の先だ。本谷からは真新しいアイゼンの跡が下りて来て
いた。
休み場からザイテンタールを眺めると、落石の配置が明らかに朝とは違っている。新たな落石があったようだ。
これだから春先の谷は油断できない。
 慎重に見極めて大滝下まで下り、アイゼンを外した。ここからはハイパースライディング走法にバトンタッチで
ある。
スケーティングしながら下れば見る見る間に堰堤が近付いてくる。しかしここでミスジャッジを犯してしまった。
右岸のトラバース地点を過ぎてそのまま左岸を下りてしまったのだ。
どこかで渡れるだろうという甘い読みもあった。だが無傷で渡れそうな場所は見つからなかった。
仕方がない。覚悟を決めて水の中に入る。ヒザまでと高をくくっていたら股の下まで浸かってしまった。やらなく
てもいいアトラクションを必ずやってしまうのは性なのか。冷たい雪融け水も、上がってしまえばジワーッと温か
さが戻ってきて気持ちがいい。それにしても5月の北アルプスでパンツまで濡らすとは思わなかった。

 登りで見落としたのかと思った例の看板はやはりなかった。穴毛の女神様もすこし寂しい思いをしているかも
しれない。

                              山日和
添付ファイル
七ノ沢源頭部
七ノ沢源頭部
さらば笠ヶ岳
さらば笠ヶ岳
青空に変わった!!
青空に変わった!!
六ノ沢出合から大滝上部を見下ろす
六ノ沢出合から大滝上部を見下ろす
低くなった?穴毛大滝
低くなった?穴毛大滝
biwaco
記事: 1423
登録日時: 2011年2月22日(火) 16:56
お住まい: 滋賀県近江八幡市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by biwaco »

導師サマ、観音様に逢いに毛穴の奥まで突入でしたか!
えっ?毛穴と違う、穴毛やって…?
あなはずかし~(●^o^●)

この前、入口を覗いてきたばかりですがな。 歩けなかった分、このレポで我慢しときますね。
新穂高の広い無料駐車場には、20台足らずの車がひっそりと止まっているだけだった。
大型連休と夏山シーズンの端境期、山はしばらく静寂の時を迎えているのだろう。
そりゃこんな時刻からブンブンいわしてたらハタ迷惑。(-_-;)
 左俣林道を行く。2回目ともなれば、迷うことなく穴毛谷への林道へ導かれた。しかし例の穴毛谷の説明看板
がないのはどうしたことか。あの飛騨森林管理局の芸術作品はどこかからクレームが付いて撤去されてしまっ
たのだろうか。
そうなんです! 我々も「名物の公設看板がない!なんで?」と大騒ぎだったのです。
やはり高山市に昇格したせいでは…?なんて話してました。
ワタクシ的には未拝見でしたので、ぜひ拝ませていただきたかったんですが。
 何を勘違いしたのか、第3堰堤の下で右岸へ渡渉してしまったが、結果的には正解だった。
前回の渡渉点の第1堰堤下を見ると水量が多く、少し苦労しそうな感じだったからだ。
安全な渡渉にはダブルストックが必需品である。流れに入るにせよ、石飛びで渡るにせよ安定感が違う。石飛
びの場合は特にそうだ。
くそー! この渡渉がポイントだったのだ。(-_-;)
今度は上陸用舟艇でも持っていこう!
 ここを記録しておこうとシャッターを押すと、「記録容量がほとんどありません」の表示が。
まだ10枚ほどしか写していないのになぜだ。裏ブタを開けるとそこにはメモリーカードが入っていなかった。ここ
まで内蔵メモリーに記録していたのである。
なにやってるんですか(><) 最近多いんでは? biwa爺の域に近づいて来たとか?
出鼻を挫かれてしまったが、良く考えれば携帯電話がある。なんせシャープ製のアクオス携帯は1200万画素も
あるのだ。十分過ぎるスペックである。ズームがないのが玉にキズだが無いよりははるかにマシだ。
まあ、ケータイ画像恐るべし~!ではありますね。
 穴毛大滝もデブリに邪魔をされてなかなか視界に入らなかった。
滝と対面してみると、去年より小さくなっている・・・のではなくて、積雪量が多いので露出している部分が少な
いのだ。落差40mと言われるこの滝は、昨年は20mぐらいの滝だったが今年は10m余りしか無いように見えた。
恐くて近寄れなかった滝身へもかなり近付くことができた。
滝の画像、これで行ってきたみたいなもんや!
だけど…御神体は? スルーしたらいけません。
 六ノ沢へ取り付くには本流を少し下らなければならない。その本流は穴毛大滝の落ち口に向かって急激に落
ち込んでいる。正直、気持ちの悪い下りである。下の方に少し穏やかな水流が見えているのがわずかな救いだ。
雪渓の端を伝って六ノ沢出合に着いた時にはホッとした。が、のんびりしてはいられない。
ここから標高差700mの急峻な雪渓登りが待っているのだ。
なんか、ヤバイところみたい。爺の行く所じゃないかも?
 足が重い。どれぐらい上がったかと振り向いて見下ろしても、さっきからいくらも高度を稼いでいない。
焼岳から西穂、奥穂への稜線が徐々に見える体積を増やし、その奥に霞沢も頭を出している。
休むにしても適当な場所はなかなかなく、岩が露出したところへ近付けば例外なくシュルンドが口を開けている。
それでも猫の額ほどの休憩場所を探しながら、少しずつ体を持ち上げて行った。
右手にピッケル、左手には極端に短くセットしたストックというスタイルで、3点確保しながら進む。雪が緩み気味
なのがいいのか悪いのか。足元はアイゼンを置いただけでは決まらず、滑らないためには2~3回ステップを切る
必要がある。これがジワジワと体力を消耗させていく。
 雪渓のど真ん中にクレバスができている箇所もいくつかあり、下だけ見て歩いているとクレバスにぶち当たって
しまう。常に顔を上げて、落石にも目配りしながら歩かないといけない。雪の上の落石は音もなく降ってくるのだ。
やっぱり、ヤバイところみたい。行かなんで良かった!(@_@;)
 もうやめて下りようかとふと見上げたら、雪庇の奥に青空が光っていた。これは登って来いということか。
モチベーションメーターは一気に振り切れた。
なんやねん!変わり身の早いこと。
 抜戸岩を過ぎて東の2737mピークまで移動して店を広げる。登りの途中から半袖Tシャツ1枚で十分だったが、
まるで夏のようなカンカン照りで半袖でも暑いぐらいだ。寝不足のせいかあまり気分が良くない。
草の上に寝っ転がって目を瞑る。防水が利かなくなって中までずぶ濡れの靴を脱ぐとさっぱりした。
やっと開店ですか。いつかいつかと待ってました。で、メニューは?
 このGARMONTの登山靴には面白い注意書きが付いている。
イタリア人のシャレはいいから、今日のメニューは?
 七ノ沢源頭は六ノ沢と大差ない斜度を持っている。アイゼンがビシッと利かず、安易に足を置くとズルズル滑り
出してしまう。腰を落として慎重にステップを刻むが、足を滑らして転倒してしまった。
ゆっくりと滑り出す。雪面の薄い雪の層に乗った形で雪ごと滑って行くが、いつでも止まれそうなスピードで恐さ
はなかった。足でブレーキをかけて立ち上がり、横に避けると幅1m、長さ50m、厚さ5センチ程度の雪の層はま
るで生き物のようにゆっくりと斜面を滑り落ちて行った。
ヤバいなあ…。一緒に滑り落ちたら土左衛門や!
 ここから先は見た目にも斜度が緩んで安全地帯に入った。こうなれば滑るしかない。尻セードグッズを出して
豪快に滑る。本谷の出合まで問題なく滑ることができた。
雪渓スライダーを満喫!
 慎重に見極めて大滝下まで下り、アイゼンを外した。ここからはハイパースライディング走法にバトンタッチで
ある。
スケーティングしながら下れば見る見る間に堰堤が近付いてくる。しかしここでミスジャッジを犯してしまった。
右岸のトラバース地点を過ぎてそのまま左岸を下りてしまったのだ。
なんでも調子に乗るとどっかで失敗しますね。
 登りで見落としたのかと思った例の看板はやはりなかった。穴毛の女神様もすこし寂しい思いをしているかも
しれない。
誰ですか?看板外したのは…(-_-;)

                    ~biwaco
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通風山
管理人
記事: 942
登録日時: 2011年2月11日(金) 08:12
お住まい: 愛知県常滑市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 通風山 »

山日和さん、こんばんは。
今年も穴毛に呼ばれたようですね。
読んでてハラハラしてました。
気力も体力も充実しているようですが、あやかりたいもんです。
穴毛谷は見るだけでまだ入った事は無いのですが、病み付きになってしまうところみたいですね。
無雪期に見るとえらい険しい砂防ダムだらけの谷という印象があるのですが、みなさんこぞって目指すようですね。
ところで前夜は無料駐車場泊だったんですか?
モデレータログ見てまして、金曜あたりからログが残ってなかったので、こりゃでかいとこ行ってるな。って思ってましたら「穴毛」でしたか。 :lol:
白山行って、笠へ行って、さて来週はどちらへ?
来週のレポが楽しみです。 :D

つう
通風山
たんぽぽ
記事: 708
登録日時: 2011年2月20日(日) 11:54

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by たんぽぽ »

山日和さん、こんばんは。

 新穂高の広い無料駐車場には、20台足らずの車がひっそりと止まっているだけだった。
大型連休と夏山シーズンの端境期、山はしばらく静寂の時を迎えているのだろう。

シーズン外せば蒲田川流域は静かないいところです。

しかし例の穴毛谷の説明看板がないのはどうしたことか。
あの飛騨森林管理局の芸術作品はどこかからクレームが付いて撤去されてしまったのだろうか。

この事件にはたんぽぽツアー一行も驚いてました。

前回の渡渉点の第1堰堤下を見ると水量が多く、少し苦労しそうな感じだったからだ。
安全な渡渉にはダブルストックが必需品である。流れに入るにせよ、石飛びで渡るにせよ安定感が違う。石飛
びの場合は特にそうだ。

穴毛はオトコだけで入らにゃあいかんですね。
先日はきれいな姫を二人もお連れしたんで、女神さまのご機嫌損ねてここでザブンですわ。

 ここを記録しておこうとシャッターを押すと、「記録容量がほとんどありません」の表示が。
脳ミソかと思ったらデジカメのことね、ほっ・・・

四ノ沢出合も五ノ沢出合も、支流からと本流からのデブリが衝突したようにうず高く盛り上がり、谷の真ん中に
雪の山を作っていた。雪崩が落ち着く前にこの谷へ入るのはリスクが高いとしみじみ思う。

導師さまと言えどもまだまだ俗世に未練が多いようですね。

小尾根を乗っ越すともなく、ほとんど高低差のない本谷へ復帰した。ここはひと息入れるには絶好のポイントだ。
ここはいいとこです、もうひと月足らずで高山植物も花開くかな。

本日の目的である六ノ沢が正面に見え、笠への稜線に突き上げている、はずだが上部は雲の中。もうひとつ
モチベーションが上がらない。

ガスってるのに六ノ沢に入るんですか、こわっ~。

雪渓の端を伝って六ノ沢出合に着いた時にはホッとした。が、のんびりしてはいられない。
ここから標高差700mの急峻な雪渓登りが待っているのだ。

700m・・・気絶しそうですわ。

足元はアイゼンを置いただけでは決まらず、滑らないためには2~3回ステップを切る
必要がある。これがジワジワと体力を消耗させていく。

これは体力消耗します、ワテ嫌いデス。

 もうやめて下りようかとふと見上げたら、雪庇の奥に青空が光っていた。これは登って来いということか。
モチベーションメーターは一気に振り切れた。

人のことは言えんけど、山日和さんもメーターが上下によく振れますねぇ。

 稜線が頭の高さまで来た。よっこらしょと体を持ち上げて稜線に立つ。双六谷の向うから黒部五郎や薬師が出
迎えてくれた。槍・穂高の稜線の展望は言わずもがなである。

へぇ~、北ア中南部は天気よかったんだあ。

 抜戸岩を過ぎて東の2737mピークまで移動して店を広げる。登りの途中から半袖Tシャツ1枚で十分だったが、
まるで夏のようなカンカン照りで半袖でも暑いぐらいだ。

カンカン照りが羨ましい・・・

 このGARMONTの登山靴には面白い注意書きが付いている。
「These boots will take you farther than you think.」この文章が「warning」として書いてあるのだ。
「使用上の注意」ではなく「警告」なのである。さすがイタリア人、シャレが利いている。

ぽぽんたブーツも板利庵なもんで覗き込んだけど・・・クサイだけやった。

眼下には六ノ沢右俣の緩斜面が魅力的な広がりを見せる。滑り降りたい衝動に駆られるが、グッと我慢して2753mピークの手前まで尾根を進んだ。
尻精度屋の山さんがよ~我慢できましたね。

 ここから先は見た目にも斜度が緩んで安全地帯に入った。こうなれば滑るしかない。尻セードグッズを出して
豪快に滑る。本谷の出合まで問題なく滑ることができた。

よっ!尻瀬戸屋!

 慎重に見極めて大滝下まで下り、アイゼンを外した。ここからはハイパースライディング走法にバトンタッチで
ある。

よ~わからんけど、ミズスマシのようにスイスイと行くってこってすな。

どこかで渡れるだろうという甘い読みもあった。だが無傷で渡れそうな場所は見つからなかった。
仕方がない。覚悟を決めて水の中に入る。ヒザまでと高をくくっていたら股の下まで浸かってしまった。

晴天つづきだったのに水量多いですね。

冷たい雪融け水も、上がってしまえばジワーッと温かさが戻ってきて気持ちがいい。
オムツを当ててもらう前に快感を覚えてしまいましたね。

 登りで見落としたのかと思った例の看板はやはりなかった。穴毛の女神様もすこし寂しい思いをしているかも
しれない。

飛騨名物がまたひとつ消えてしまいました、淋しいもんですわ。
六ノ沢とハクサンイチゲ
六ノ沢とハクサンイチゲ
最後に編集したユーザー たんぽぽ [ 2011年5月25日(水) 10:17 ], 累計 1 回
たんぽぽ
記事: 708
登録日時: 2011年2月20日(日) 11:54

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by たんぽぽ »

導師さま、スンマヘン。

爺ちゃまが見たことない!ってダダこねてるんで、出前にまいりました。

そうなんです! 我々も「名物の公設看板がない!なんで?」と大騒ぎだったのです。
やはり高山市に昇格したせいでは…?なんて話してました。
ワタクシ的には未拝見でしたので、ぜひ拝ませていただきたかったんですが。

ハイハイ、お待ちどうさま。
飛騨名物といえば高山祭りに左俣林道看板でした・・・
飛騨名物といえば高山祭りに左俣林道看板でした・・・
えっ!マル秘マークが邪魔やって?
これぐらい入れておかんとつうさんに削除されるかもしれんでねぇ。

ヤブ板にはエロ爺とかエロ〇〇がおりますが、某営林署にもエロ役人が多かったんやろうね。
アバター
山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

biwacoさん、どうもです。

導師サマ、観音様に逢いに毛穴の奥まで突入でしたか!
えっ?毛穴と違う、穴毛やって…?
あなはずかし~(●^o^●)


毛穴には皮脂がびっしり・・・じゃなくて穴毛には雪がびっしりでした。(^^♪

そうなんです! 我々も「名物の公設看板がない!なんで?」と大騒ぎだったのです。
やはり高山市に昇格したせいでは…?なんて話してました。
ワタクシ的には未拝見でしたので、ぜひ拝ませていただきたかったんですが。


いやいや、去年はありましたから、市町村合併のせいではありません。
しかし、いつ名物になったんやろ?

くそー! この渡渉がポイントだったのだ。(-_-;)
今度は上陸用舟艇でも持っていこう!


なんかクロオじゃなくて苦労されたようですね。
舟よりもハシゴの方がいいですよ。

なにやってるんですか(><) 最近多いんでは? biwa爺の域に近づいて来たとか?

命にかかわる物を忘れないだけマシですわ。

まあ、ケータイ画像恐るべし~!ではありますね。

ホント、最近のケイタイときたら・・・・
ほとんど使わん機能だらけ。(^^ゞ

滝の画像、これで行ってきたみたいなもんや!
だけど…御神体は? スルーしたらいけません。


去年もアップしましたが・・・それではご期待に応えて。
「穴毛には~それは~それは○ワイな~、女神さまが~いるんやで~♪」

[attachment=1]RIMG0057_1.JPG[/attachment]
[attachment=0]DVC00124_1.JPG[/attachment]

なんか、ヤバイところみたい。爺の行く所じゃないかも?

やっぱり、ヤバイところみたい。行かなんで良かった!(@_@;)


雪も滑りますが、筆もよく滑ります。(^_^;)

なんやねん!変わり身の早いこと。

良くも悪くもすぐに日和るのが持ち味です。

やっと開店ですか。いつかいつかと待ってました。で、メニューは?

イタリア人のシャレはいいから、今日のメニューは?


イタリアンのフルコース、じゃなくてカップヌードルだけでした。

ヤバいなあ…。一緒に滑り落ちたら土左衛門や!

土左衛門は水の中、雪の中では土右衛門?

なんでも調子に乗るとどっかで失敗しますね。

半分わかってながら行っちゃったんですけどね。

誰ですか?看板外したのは…(-_-;)

高山市教委かなあ?愛知県教委なら放置ですね。(^^ゞ

                 山日和 
                   
添付ファイル
今年の女神さま
今年の女神さま
去年の女神さま
去年の女神さま
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山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

通さん、どうもです。

今年も穴毛に呼ばれたようですね。
読んでてハラハラしてました。
気力も体力も充実しているようですが、あやかりたいもんです。


ハラハラさせるのも芸のうちです。(^^ゞ
体力が気力についていかないのが現実ですわ。

穴毛谷は見るだけでまだ入った事は無いのですが、病み付きになってしまうところみたいですね。

どうなんでしょう?8割方はスキーヤーなのでは?

[attachment=0]DVC00104_1.JPG[/attachment]

ところで前夜は無料駐車場泊だったんですか?
モデレータログ見てまして、金曜あたりからログが残ってなかったので、こりゃでかいとこ行ってるな。


その通りです。しかしアプローチが遠いと寝不足になっていけませんね。帰りはフラフラでした。

って思ってましたら「穴毛」でしたか。 :lol:
白山行って、笠へ行って、さて来週はどちらへ?
来週のレポが楽しみです。 :D


今週は雨だ~(>_<)

                     山日和
添付ファイル
穴毛大滝とザイテンタール
穴毛大滝とザイテンタール
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山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

たんぽぽさん、どうもです。

シーズン外せば蒲田川流域は静かないいところです。

そうですよね。夏休み前までは静かなのかな?

この事件にはたんぽぽツアー一行も驚いてました。

事件は現場で起きている。左俣林道封鎖せよ!!

穴毛はオトコだけで入らにゃあいかんですね。
先日はきれいな姫を二人もお連れしたんで、女神さまのご機嫌損ねてここでザブンですわ。


なるほど。女性連れで柳ヶ瀬をうろつくようなもんですか?

脳ミソかと思ったらデジカメのことね、ほっ・・・

似たようなもんかも・・・

導師さまと言えどもまだまだ俗世に未練が多いようですね。

まだまだやり残したことだらけです。生臭坊主なもんで・・・

ここはいいとこです、もうひと月足らずで高山植物も花開くかな。

こういう時期も良さそうですね。でも雪の状態はどうなんでしょ。

ガスってるのに六ノ沢に入るんですか、こわっ~。

上の方が見えないから恐くないですよ。理由が違うって?

700m・・・気絶しそうですわ。

歩いてても気絶しそうでした。

[attachment=1]DVC00064_1_1.JPG[/attachment]

これは体力消耗します、ワテ嫌いデス。

私もキライ。

人のことは言えんけど、山日和さんもメーターが上下によく振れますねぇ。

お互い構造が単純なんでしょう。(^^ゞ

へぇ~、北ア中南部は天気よかったんだあ。

北の方は悪かったんですねえ。残念でした。

[attachment=0]RIMG0020_1.JPG[/attachment]

カンカン照りが羨ましい・・・

暑過ぎて気分が悪くなりました。(^_^;)

ぽぽんたブーツも板利庵なもんで覗き込んだけど・・・クサイだけやった。

チョイクサ親父でしたね。

尻精度屋の山さんがよ~我慢できましたね。

よっ!尻瀬戸屋!


こう見えても尻の精度は高いですよ。(意味不明)
おひねりちょうだーい。

よ~わからんけど、ミズスマシのようにスイスイと行くってこってすな。

そうそう。あまりスイスイ行ってると、穴毛観音をミズにスマシてしまいます。

晴天つづきだったのに水量多いですね。

あれだけ水の供給源が積もってたら当然でしょう。

オムツを当ててもらう前に快感を覚えてしまいましたね。

これは沢登りと同じ感覚でした。

飛騨名物がまたひとつ消えてしまいました、淋しいもんですわ。

やっぱり名物だったのね。
昔は観光パンフにも載ってたのかなあ?

                     山日和
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穂高連峰も一望
穂高連峰も一望
六ノ沢源頭部
六ノ沢源頭部
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山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

たんぽぽさん、どうもです。

導師さま、スンマヘン。

爺ちゃまが見たことない!ってダダこねてるんで、出前にまいりました。


ご苦労さまです。

えっ!マル秘マークが邪魔やって?
これぐらい入れておかんとつうさんに削除されるかもしれんでねぇ。


これではbiwacoさんの欲求不満も募るばかり。
思い切ってノーカット版を掲載しましょう。
れっきとした公共物だったんだから大丈夫でしょ。(^^ゞ
作った本人は大真面目だったと思いますよ。(ホンマか?)

                   山日和

[attachment=0]RIMG0215_1.JPG[/attachment]
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ウワサの看板
ウワサの看板
とっちゃん
記事: 325
登録日時: 2011年2月20日(日) 21:02

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by とっちゃん »

山日和さん、こんばんは。
【日 付】2011年5月21日(土)
【山 域】北アルプス 笠ヶ岳周辺
【天 候】曇りのち晴れ
【コース】新穂高5:30---6:23穴毛谷第1堰堤---8:21穴毛大滝---8:50大滝上9:10---12:06稜線12:19---
     12:34 P2737m 14:05---14:21七ノ沢下降点---15:04大滝上15:19---16:09第1堰堤---16:50新穂高

あらあら~。ぽぽんたツアーの翌週に、同じ穴毛に出没だったの~。あな~、驚き桃の木山椒の木。私が、以前に歩いたルートともちょいと違うね~。七ノ沢からトラバースして六ノ沢との間くらいを登りつめ、稜線に立ちそこから抜戸岳~杓子平下降やったわ。今回のルート図貼り付けてみて。

 新穂高の広い無料駐車場には、20台足らずの車がひっそりと止まっているだけだった。
大型連休と夏山シーズンの端境期、山はしばらく静寂の時を迎えているのだろう。

その前の週は、飛騨沢を滑るというスキーヤーの方が二組いましたが、他の方々はどこへ行かれたのかお話しなかったわ。


 何を勘違いしたのか、第3堰堤の下で右岸へ渡渉してしまったが、結果的には正解だった。
前回の渡渉点の第1堰堤下を見ると水量が多く、少し苦労しそうな感じだったからだ。
安全な渡渉にはダブルストックが必需品である。流れに入るにせよ、石飛びで渡るにせよ安定感が違う。石飛
びの場合は特にそうだ。

その前の週のように大雨続きの翌日でなから、水量は落ち着いてるよね。一週間遅れのお出ましで、よかったじゃない。

 今年は雪が多いと思っていたら、なぜか第1堰堤の上には雪がなく、谷の真ん中を勢い良く水が流れている。
昨年は堰堤の上から雪が繋がり、自由自在に歩けたというのに。おかげで右岸のややこしいトラバースを強い
られてしまった。

雨の量もまた多し。

 ここを記録しておこうとシャッターを押すと、「記録容量がほとんどありません」の表示が。
まだ10枚ほどしか写していないのになぜだ。裏ブタを開けるとそこにはメモリーカードが入っていなかった。ここ
まで内蔵メモリーに記録していたのである。

なにしてるんや~っと、いつも、私が言われていたけぢお??@@

出鼻を挫かれてしまったが、良く考えれば携帯電話がある。なんせシャープ製のアクオス携帯は1200万画素も
あるのだ。十分過ぎるスペックである。ズームがないのが玉にキズだが無いよりははるかにマシだ。

マシというより、アリガタシじゃ?

 四ノ沢出合に着いた。圧倒的なデブリである。ここから見上げる笠の稜線は白く煙っている。
今日も天気はあまり期待できないのか。ど真ん中に立つピナクルが圧倒的だ。

ここは、いい景色ね~。ホレボレ。

 穴毛谷の象徴、御神体とも言える岩壁ももう感激は薄い。それより去年に比べて凄まじいばかりのデブリが
目立つ。雪が少なく思えたのは出だしの300mほどだけだった。
四ノ沢出合も五ノ沢出合も、支流からと本流からのデブリが衝突したようにうず高く盛り上がり、谷の真ん中に
雪の山を作っていた。雪崩が落ち着く前にこの谷へ入るのはリスクが高いとしみじみ思う。

今年は雪崩事故も多発だね。何せ、大雨に襲われた後は、特にね。

 穴毛大滝もデブリに邪魔をされてなかなか視界に入らなかった。
滝と対面してみると、去年より小さくなっている・・・のではなくて、積雪量が多いので露出している部分が少な
いのだ。落差40mと言われるこの滝は、昨年は20mぐらいの滝だったが今年は10m余りしか無いように見えた。
恐くて近寄れなかった滝身へもかなり近付くことができた。

いいこともあるさ~。

 その代わり滝の右側のザイテンタールと呼ばれるルンゼには落石がゴロゴロ、下部では崩落した土で雪面も
茶色になっていた。斜面にはいつ落ちてきてもおかしくない状態で大きな石がいくつも引っ掛かっている。
落石の直撃コースを避けて、五ノ沢出合で装着したアイゼンを効かせて急斜面を登る。対岸の岩壁上部にもと
んでもない雪塊や落ちかけの岩が落下のタイミングを計っているようだ。

やっぱりここは、危険地帯やね~。タイミング計られなくってよかったね。雪崩も落石も襲ってきたらと思うとドキドキものやね。


 大滝上の本流へのトラバース地点を間違えて少し苦労してしまった。記憶はあてにならないものである。
小尾根を乗っ越すともなく、ほとんど高低差のない本谷へ復帰した。ここはひと息入れるには絶好のポイントだ。
本日の目的である六ノ沢が正面に見え、笠への稜線に突き上げている、はずだが上部は雲の中。もうひとつ
モチベーションが上がらない。
何も見えないなら笠まで行っても意味ないなと、やめる言い訳を考えている自分がいる。

とらぬ狸のなんたらかったら~しながら、日和かけてましたか?

 六ノ沢へ取り付くには本流を少し下らなければならない。その本流は穴毛大滝の落ち口に向かって急激に落
ち込んでいる。正直、気持ちの悪い下りである。下の方に少し穏やかな水流が見えているのがわずかな救いだ。
雪渓の端を伝って六ノ沢出合に着いた時にはホッとした。が、のんびりしてはいられない。
ここから標高差700mの急峻な雪渓登りが待っているのだ。

沢はクレバスもなく雪いっぱいでした?しかし、700M楽しいなっと、そう思うと意欲満々~。思わんかなぁ。

 足が重い。どれぐらい上がったかと振り向いて見下ろしても、さっきからいくらも高度を稼いでいない。
焼岳から西穂、奥穂への稜線が徐々に見える体積を増やし、その奥に霞沢も頭を出している。
休むにしても適当な場所はなかなかなく、岩が露出したところへ近付けば例外なくシュルンドが口を開けている。
それでも猫の額ほどの休憩場所を探しながら、少しずつ体を持ち上げて行った。

少しづつお天気が回復傾向にあるのが嬉しいじゃありませんか~。やる気出てくるんじゃ?

右手にピッケル、左手には極端に短くセットしたストックというスタイルで、3点確保しながら進む。雪が緩み気味
なのがいいのか悪いのか。足元はアイゼンを置いただけでは決まらず、滑らないためには2~3回ステップを切る
必要がある。これがジワジワと体力を消耗させていく。
 雪渓のど真ん中にクレバスができている箇所もいくつかあり、下だけ見て歩いているとクレバスにぶち当たって
しまう。常に顔を上げて、落石にも目配りしながら歩かないといけない。雪の上の落石は音もなく降ってくるのだ。

神経ピリピリ使っちゃいますね。ズルズルが、嫌な感じ~。

 もうやめて下りようかとふと見上げたら、雪庇の奥に青空が光っていた。これは登って来いということか。
モチベーションメーターは一気に振り切れた。

メーター故障するほど、一気に上昇~。青空の威力は強いもんだわ。

とにかく一歩、また一歩。強烈な傾斜となった六ノ沢源頭部にステップを刻む。このまま直上すれば雪庇に阻ま
れて稜線に出られないので、左に斜上しながら雪庇の切れ目を目指す。
 稜線が頭の高さまで来た。よっこらしょと体を持ち上げて稜線に立つ。双六谷の向うから黒部五郎や薬師が出
迎えてくれた。槍・穂高の稜線の展望は言わずもがなである。

稜線
に立つと、感度もひとしお。しかし、風は強くなかったのかな?最近は、高い山は、土日ごとに強風みたいやけど。山岳天気予報見ると。



 予定よりずいぶん時間がかかってしまった。しかしまだ笠に行けない時間ではない。標高差も150mほど残す
ばかりで距離もそう大したことはない。
が、笠に向かう体力が残っていなかった。正確には「気力が」かもしれないが。
笠の山頂に立っても劇的に景色が変わるわけでもなし、穴毛の谷底ではまったく期待もしていなかった青空が
頭上に広がっている。ここで十分だ。

なんだかもったいないなぁ~。私がいたら、絶対行くって言うだろうね。きっと。でも、冷静に体力を判断し、諦めが肝心かも。冷静沈着な判断をする山日和さんらしいかも。

 抜戸岩を過ぎて東の2737mピークまで移動して店を広げる。登りの途中から半袖Tシャツ1枚で十分だったが、
まるで夏のようなカンカン照りで半袖でも暑いぐらいだ。寝不足のせいかあまり気分が良くない。
草の上に寝っ転がって目を瞑る。防水が利かなくなって中までずぶ濡れの靴を脱ぐとさっぱりした。

お天気だけでなく、半袖一枚で十分なほど、よく体を使ったのね。お疲れさま~。寝不足で高山病ぎみだったのでは?食欲が湧かなかった?

 このGARMONTの登山靴には面白い注意書きが付いている。
「These boots will take you farther than you think.」この文章が「warning」として書いてあるのだ。
「使用上の注意」ではなく「警告」なのである。さすがイタリア人、シャレが利いている。しかしなかなか思うより
遠くに連れて行ってくれないのは自分の力の無さのせいか。

まだまだ遠くへ行けますよ~。その日の体調によるわさ~。

 笠をあきらめたら時間は余裕たっぷりだ。下りは3時間も見れば十分だろう。眼下には六ノ沢右俣の緩斜面が
魅力的な広がりを見せる。滑り降りたい衝動に駆られるが、グッと我慢して2753mピークの手前まで尾根を進ん
だ。ここから七ノ沢へ下りようというプランだ。

下山プランは当初からこの沢なのかな?


 七ノ沢源頭は六ノ沢と大差ない斜度を持っている。アイゼンがビシッと利かず、安易に足を置くとズルズル滑り
出してしまう。腰を落として慎重にステップを刻むが、足を滑らして転倒してしまった。
ゆっくりと滑り出す。雪面の薄い雪の層に乗った形で雪ごと滑って行くが、いつでも止まれそうなスピードで恐さ
はなかった。足でブレーキをかけて立ち上がり、横に避けると幅1m、長さ50m、厚さ5センチ程度の雪の層はま
るで生き物のようにゆっくりと斜面を滑り落ちて行った。

なんだか嫌な感じ~。もっと大きな範囲なら雪崩れていきそうな。

 両側を露岩に挟まれたところに来た。おそらく無雪期は滝場なのだろう。横一文字にクレバスが開いている。
どうしたものかと岩の上から偵察すると、クレバスの中をS字状に雪が繋がっていた。これを利用して踏み抜か
ないように慎重に通過。クレバスの対岸に這い上がった。やれやれだ。

色々楽しませてくれるのね~。頭をひねりながら、クリアしていくのだ。


 ここから先は見た目にも斜度が緩んで安全地帯に入った。こうなれば滑るしかない。尻セードグッズを出して
豪快に滑る。本谷の出合まで問題なく滑ることができた。

いよいよ本格的なお楽しみタイムなのね。尻セードグッズって、何か特製グッズを隠し持って行った?

 本谷と七ノ沢の出合から大滝上の休み場は目と鼻の先だ。本谷からは真新しいアイゼンの跡が下りて来て
いた。
休み場からザイテンタールを眺めると、落石の配置が明らかに朝とは違っている。新たな落石があったようだ。
これだから春先の谷は油断できない。

登りの記録と明らかに違っていたの?う~んこわ。


 慎重に見極めて大滝下まで下り、アイゼンを外した。ここからはハイパースライディング走法にバトンタッチで
ある。スケーティングしながら下れば見る見る間に堰堤が近付いてくる。しかしここでミスジャッジを犯してしまった。
右岸のトラバース地点を過ぎてそのまま左岸を下りてしまったのだ。

ここからは、スケーターズワルツに乗って、優雅に滑っって行ったのね。観客のご感想はいかに?

どこかで渡れるだろうという甘い読みもあった。だが無傷で渡れそうな場所は見つからなかった。
仕方がない。覚悟を決めて水の中に入る。ヒザまでと高をくくっていたら股の下まで浸かってしまった。やらなく
てもいいアトラクションを必ずやってしまうのは性なのか。冷たい雪融け水も、上がってしまえばジワーッと温か
さが戻ってきて気持ちがいい。それにしても5月の北アルプスでパンツまで濡らすとは思わなかった。

レポの記事になることが満載です。つるりんこしなくてよかったね。

 


お初の沢渡りが、北アルプスとは~。今年の沢初めになっちゃったのかも。今年の沢も期待できそう~。
笠に登らなかったとはいえ、満足&充実感溢れる一日やったね~。お疲れさまでした。

☆~~とっちゃん(都津茶女)~☆。
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山日和
記事: 3582
登録日時: 2011年2月20日(日) 10:12
お住まい: 大阪府箕面市

Re: 【北アルプス】穴毛谷の女神は今年も微笑んだか

投稿記事 by 山日和 »

とっちゃん、どうもです。

ぽぽんたツアーの翌週に、同じ穴毛に出没だったの~。あな~、驚き桃の木山椒の木。私が、以前に歩いたルートともちょいと違うね~。

先週は残念な結末だったようで・・・

[attachment=3]s-穴毛谷.jpg[/attachment]

その前の週は、飛騨沢を滑るというスキーヤーの方が二組いましたが、他の方々はどこへ行かれたのかお話しなかったわ。

人が少ないことは確かやね。

その前の週のように大雨続きの翌日でなから、水量は落ち着いてるよね。一週間遅れのお出ましで、よかったじゃない。

前週はそんなに水量多かったの?

なにしてるんや~っと、いつも、私が言われていたけぢお??@@

けぢお? 甲賀弁?

マシというより、アリガタシじゃ?

いやホンマ。最近の携帯電話は素晴らしいわ~。

やっぱりここは、危険地帯やね~。タイミング計られなくってよかったね。雪崩も落石も襲ってきたらと思うとドキドキものやね。

両岸を見上げたらハラハラドキドキですわ。

[attachment=2]DVC00115_1.JPG[/attachment]

とらぬ狸のなんたらかったら~しながら、日和かけてましたか?

天気がよくないとすぐにモチ急降下です。

沢はクレバスもなく雪いっぱいでした?しかし、700M楽しいなっと、そう思うと意欲満々~。思わんかなぁ。

クレバスもシュルンドも口開けてました。
しかし700mの登りを楽しいと思える?

神経ピリピリ使っちゃいますね。ズルズルが、嫌な感じ~。

もっと堅い方が気が楽やね。

メーター故障するほど、一気に上昇~。青空の威力は強いもんだわ。

故障はしてないけど・・・なんせ青空は一番の気付け薬です。

稜線に立つと、感度もひとしお。しかし、風は強くなかったのかな?最近は、高い山は、土日ごとに強風みたいやけど。

歩き始めは下の方では風があったけど、稜線ではまったくの無風状態。暑過ぎて風よ吹いてくれ~って感じでした。

なんだかもったいないなぁ~。私がいたら、絶対行くって言うだろうね。きっと。でも、冷静に体力を判断し、諦めが肝心かも。冷静沈着な判断をする山日和さんらしいかも。

もったいないなんて思わんね。登ったことないなら別だけど。
実は笠に向かって数歩歩きかけたんだけど、すぐに「こらあかん」と悟りました。

お天気だけでなく、半袖一枚で十分なほど、よく体を使ったのね。お疲れさま~。寝不足で高山病ぎみだったのでは?食欲が湧かなかった?

とにかく真夏みたいでした。近年暑さに弱いからね~。食欲もイマイチ。ビールも残しました。

下山プランは当初からこの沢なのかな?

その通り。

なんだか嫌な感じ~。もっと大きな範囲なら雪崩れていきそうな。

これは気持ち悪いよ~。なんか生きてるみたいで。

[attachment=1]RIMG0023_1.JPG[/attachment]

色々楽しませてくれるのね~。頭をひねりながら、クリアしていくのだ。

まっすぐ突っ込むだけでは行き詰まります。ラインを考えながら歩くのもまた楽し。

[attachment=0]RIMG0030_1.JPG[/attachment]

いよいよ本格的なお楽しみタイムなのね。尻セードグッズって、何か特製グッズを隠し持って行った?

今回は風呂の冷め防止シートでした。大きいから快適。

登りの記録と明らかに違っていたの?う~んこわ。

記憶にない岩が斜面に引っかかってましたわ。

レポの記事になることが満載です。つるりんこしなくてよかったね。

さすがにそれはゴメンです。

お初の沢渡りが、北アルプスとは~。今年の沢初めになっちゃったのかも。今年の沢も期待できそう~。

そう来ますか。(^^ゞ
飯豊アクアもソール張替えに出してます。(今度はフェルトソールやで)

                       山日和
添付ファイル
ここが七ノ沢の関門
ここが七ノ沢の関門
まだ動いてる~
まだ動いてる~
デブリの壁
デブリの壁
赤が今回のルート図
赤が今回のルート図
閉鎖