【奥美濃】岩の城門を越えて若丸に迫る

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兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

【奥美濃】岩の城門を越えて若丸に迫る

投稿記事 by 兔夢 »

2013年10月14日(月) 晴れ 奥美濃 ヒン谷~若丸山 単独

6:15 ヒン谷最終堰堤(テン泊地) → 7:15 12m大滝(アマタル) → 9:15 750m出合 → 10:00 840m二俣 → 11:35~12:10 若丸山頂 → 12:30 南肩(1260P) → 14:10 750m出合 → 16:15~40 テン泊地 → 17:25 塚駐車場
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 日曜日、町内の用事を終えて徳山湖沿いを走り塚に向かう。塚白椿隧道を抜けたところの駐車場で出発準備。この辺りの山々はまだ青くて紅葉は来週から再来週ぐらいだろうか。
 駐車場の反対側にある広場を通り抜けてヒン谷へ降りる。右岸を奥に伸びる林道跡は予想外にしっかりしていて踏み跡も明瞭だ。釣り人が繁く行き交っているのだろう。
 中ノ又谷の出合を過ぎたあたりからやや薮がうるさくなるものの問題はない。最終堰堤は踏み跡を辿って越えていく。上は広い川原になっていてその片隅にテントを張った。塚の駐車場からここまで50分、12時前の到着だ。後は明日の英気を養うためのんびり過ごす。
 5時前に起きるとまだ外は真っ暗。その中で仕度を始めた。吐く息が白い。
 6時を過ぎるとずいぶん明るくなって出発。しばらくは流れの細い川沿いを歩いていく。手入れのされていない植林の杉が立派に育っていた。
 谷が北に向きだした辺りから谷の様相が変わる。両岸が徐々に立ってきて深い渕や小滝が現れ始める。下流部からは想像できない雰囲気になってきたかと思うと前方に垂瀑が現れた。事前に資料で見た大滝だ。「美濃の山」ではアマタルという名で紹介されている。12m程だろうか。上にも滝が姿を覗かせている。
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 両岸とも岩壁が立ってい巨大な城壁を思わせる。その間に滝の落口が開かれていてあたかも城門のようだ。しかしそこを通り抜けていくのは困難に見える。迷った挙げ句取り付きやすそうな右岸のガレ急斜面を登り城壁を越えていく事にした。
 斜面を登り小尾根上に出ると行く手に白い岩壁が立ち塞がった。左手にバンドがあり岩壁を巻くように進んでいく。先には木立の斜面。木枝を掴んで再び小尾根上にあがる。反対側は切り落ちていて下はルンゼになっていた。
 進むべき方向に迷い一旦ルンゼ側に下りてみた。しかし対岸の様子をみればまだ滝を越えていない。再び小尾根上に戻り登っていくとブナの山腹に出た。下方に枝沢が見えその先に本流の流れがあった。どうやらこれで巻けそうだ。後は急な斜面を草木を掴みつつ下って枝沢から簡単に本流に出る。そこは調度滝の落口を越えたところだった。
 ずいぶんな高巻きになり時間にして50分。この調子では山頂にたどり着けるのか怪しい。テント撤収も含めて帰りの事を考えると12時がタイムリミットだ。
 大滝の上は意外と広々としている。沢沿いには巨岩が積み重なっていてそれらをひとつひとつ越すのは面倒だ。山腹よりの草むらを歩いていく。と前方に吃驚するようなスラブ岩とそこを刻んで落ちる滝。これは!とドキドキしながら近寄った。
 スラブ岩は45度ほどの傾斜で左右に滝がかかっている。右の滝はスラブに刻まれた溝を落ちている。直登可能そうだ。というかこの岩場を越えるにはこの滝を直登するのが一番早そうだ。濡れるのが躊躇われたが取り付く。上部で左手のスラブ側に移ったところが滑りそうで微妙だった。
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 結局、ヒン谷本流で滝登りらしいところはここだけだった。すぐ上に登りやすそうな6mの2段滝があったがここは巻いた方が早かった。
 地形図上で左岸に崖マークがあるところは実際に大きな岩壁が立っていた。その反対側には巨岩がゴロゴロ。ここを抜けると大滝は影を潜める。
 3m前後の滝が時折現れるが特に難しいところもなく標高750mの枝沢出合に出る。下降はこの沢を下ってくる予定だがそうなるだろうか。
 出合を過ぎてからはやや両岸が立ってきて数カ所に深い渕を持った狭い廊下が現れた。水が好きな人や泳ぎが得意な人には問題ないところだろう。そうでない僕の場合は廊下が現れる度に「越えられない!」と立ち尽くした。それでもへつりやステミングで何とかクリア、二俣に辿り着いた。10時にここへ着ければいいなと思っていたらきっかり10時だった。これで登頂が見えてきた。
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 がおろ亭さんのブログで「きれいなところ」と紹介されていた二俣はそのまま本当に「きれいなところ」だった。澄んだ水をたたえる渕の向こうは苔むしていてその中を白い大小二筋の滝が落ちている。これを見られただけでも来て良かったと思えるそんな場所だった。が写真には表現しきれてない…。
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 5m、4mの滝がかかった右俣へ進んでいく。4mはシャワークライミング。
 それ以降も2~3mの滝が現れ直登していく。造形の面白い滝もありなかなか楽しめた。
 次の二俣を右に進んでいく。若干流木がうるさくなるが歩行を妨げるものではなかった。引き続き直登できる小滝が幾つか現れた。
 上部では沢筋はぼやけてきて水流を追っていくがそれも途絶えると山腹の登りとなる。薮はそれほどきつくない。
 やがて左手に明確な沢筋が現れた。これは山頂に北西側から巻き込んで直登している沢だろう。地形図を見ると斜度も緩やかで歩きやすそうだがそれゆえ薮がきついだろうと読んで右手山腹側へ進路を取った。
 立ち木をかき分けて登る右手側に白い岩壁が見えた。少し行くと今度は左手に。二つの岩場の間を通り抜けるように登っていった先にはルンゼ状の岩壁。これを避けて右手に逃げる。このまま上手く弱点を縫って稜線に抜けてくれないかと祈る気持ちだった。しかし祈りは通じず結局岩場に出た。
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 立った岩場でなかったのが救いだ。灌木が程よく生えて手がかりも十分。引っ掴み引っ掴みしながら身体を持ち上げていく。やがて斜度が緩くなってきた。これは百点満点の登頂か!とほくそ笑んだのも束の間、出たのは三角点より10mばかり南の踏み跡だった。
 若丸山3度目の登頂!一時は諦めたけどやはり登頂してこその沢登り。味わいがひと味も二味も違ってくる。
 360°の展望がある山頂だが今日は少し雲が多め。奥美濃の盟主、能郷白山は頭を隠している。北西には9月に登ったアラクラのピーク。こちら側に見える沢を降りたのだがこうして見るとかなりの急傾。よく下ったなあ。冠山はちょこんと頭を出した格好。それ以上先の峰々は少しもやっている。でも今日は登れた事に大感謝。
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 休憩中、吹き抜ける風の肌触りが季節の移ろいを感じさせる。冬の足音が聞こえるのもそう遠くないだろう。
 下降は予定通り南肩から750m出合へ落ちる沢を下った。この下りは前半がやっかいだった。沢筋のはっきりしない山腹の下りはいつまでも灌木が行く手を塞ぎすっきりしなかった。
 沢筋に出てからは浮き石が多く気を使った。また事前に読んだ資料ではロープを使う事はなかったと書いてあったが一ヶ所、20m多段滑滝が下れそうになく傍らの木にシュリンゲを掛け懸垂下降した。その木には古いシュリンゲが掛けてあったので過去に同じように懸垂下降した人がいたのだろう。
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 考えていたよりも本流に出るのに時間がかかった。17時にはテン泊地にいたかったのでその後は急いだ。大滝の巻きは登りと同じルートを通ったがバンドを見失いかけて焦った。自分の残した足跡が確認できたので助かった。
 頑張った結果、テントには余裕の時間で到着。塚の駐車場にも明るいうちに着けて一安心。山頂付近とは違って徳山湖畔はまだ暑さが少し残っていた。
 
 
 
  
 
越前
記事: 217
登録日時: 2012年5月16日(水) 15:43

Re: 【奥美濃】岩の城門を越えて若丸に迫る

投稿記事 by 越前 »

兔夢さん、今晩は。

こんな時期にまでシャワークライムとは、さすがですね~。
私もこの連休あたりが限界かと思っていましたが、結局は沢には行かず終いでした。
代わりに行った山で雪を見てしまっては、もう今年は水を被る「勇気」はなくなりましたね~ (笑)

さて、このヒン谷からの若丸山、来年になりますが私の若丸攻略のお手本として参考にさせていただきます。
実は私の未踏の越美国境である、冠-若丸はまさにこのヒン谷を使った沢登りで考えていました。
冠山峠に自転車を置いて車での入渓ということです。
もしくは時間切れビバークを考えるなら、自転車は大変となっても逆ルートにして沢での一泊かなと・・・。

本当は今年の計画と思っていたのですが、経験不足とやぶ漕ぎや沢の状況が不明ということもあり、決行には踏み切れませんでした。
ということで、今回の兔夢さんのレポは私にはとても有益な情報となりました。
たぶん来年の夏頃には踏ん切りがつくのではと思います。
ありがとうございます。
越前
兔夢
記事: 624
登録日時: 2011年2月24日(木) 23:12

Re: 【奥美濃】岩の城門を越えて若丸に迫る

投稿記事 by 兔夢 »

越前さん、こんばんは。

今年は温かいんでシャワーもそんなに苦にならないですよ。そういえば昨年もこの時期に濡れてました。もう少し遅い時期にも濡れてました。フルシャワーでなければ大丈夫。濡れないように頑張れば12月まで沢シーズン。

冠ー若丸をつなげるという発想がすごいですね。残雪期ならすぐ繋がりそうですが。
ヒン谷にこだわってるんですか?ピストンが嫌なんですかね。
冠山から若丸まで薮漕ぎ縦走して更に東の鞍部まで進み熊河谷へナリガ又谷を下り西日谷を遡行して冠山に返るというルートが自転車という余分な手段を使わないですっきりしていていい気がするのですが…。テン泊になりますけど。参考に。

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