【大峰】矢納谷から竜ヶ岳、阿古滝道
Posted: 2013年7月15日(月) 19:05
【日 付】2013年7月13日(土)
【山 域】大峰北部 上多古川周辺
【天 候】曇り一時雨
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】上多古林道駐車地7:10---7:35林道終点---8:38昇竜の滝---10:00赤ナメクチキの滝---
11:00コウリン滝11:15---12:08植林小屋跡付近12:40---15:15奥駈道15:57---16:25投地蔵辻
---16:57阿古滝落ち口17:08---18:52林道終点---19:14駐車地
上多古林道は崩落のため終点まで入れなかった。伊坪谷出合の先に駐車して林道を歩く。
最初の崩落地は軽自動車が通れるぐらいの道幅が残っていたが、次の崩落地は跡形もなくなりル
ンゼが道を寸断していた。この巻きが最初の核心部。入渓前から大いに緊張させられた。
林道終点付近は昔に比べればずいぶん草深くなった印象だ。考えてみればここへ来るのは19年
振りである。洞吹氏と上多古川本谷から竹林院谷を遡行して山上ヶ岳へ抜けたのだ。
山道を少し上がると祠があり、阿古滝へ向かう道と分かれて左に落下音を轟かせている矢納滝
の方へ進んだ。ほぼ落ち口のレベルでトラバースして、滝の上で入渓となる。
小滝や美しいナメ滝を越えて行くと、優美な2段8m滝を迎えた。ここは左岸から巻く。
ここからも小滝が続くが岩の乗越しや流倒木登りに終始する感がある。
岩の大きさがだんだん大きくなり、谷中は前進不能。左岸を見るといかにも頼りなさげなハシ
ゴが架かっている。恐る恐る登ると上にトラロープが伸びる。こいつも100%の信用は置けない。
なんとか大岩の上に立てば丸太2本の橋の残骸が。これはさすがに渡る気にならなかった。
ど真ん中の巨岩が流れを2条に分ける滝を巻けば、矢納谷名所その1の昇竜の滝の登場である。
右岸に続く岩壁の奥に、はるかな高みから落ちる40mの滝は見事な姿を見せる。
ここは少し戻った左岸ルンゼから巻きにかかり、どこまで上がるんだというほど追い上げられた。
上部で杣道と合流し、その上の2段15m滝もまとめて巻いてしまうが、さすがにトータル55mの滝
は巻き甲斐がある。
[attachment=4]P1140963_1_1.JPG[/attachment]
沢に戻って大釜の3m滝は泳げば取り付けるが回避して左から巻く。その上に続くゴルジュをや
り過ごして8m滝の落ち口へトラロープを利用して下りた。
ほどなく正面に25mのスダレ滝が架かるがこれは支流の滝だ。本流は左折して10mナメ滝の奥に
25mの美しい斜瀑を落としている。この一連を赤ナメクチキの滝と呼ぶようで、下部の岩盤はそ
の名の通り赤い。行ったことはないが、赤石沢のラジオラリアの岩床はこんな感じかとふ~さん
と笑い合う。それにしても流麗な滝である。その造作の見事さにしばらく見惚れてしまった。
しかしこの谷はやたらワイヤーの類が放置されていて見苦しい。かつての伐採の名残りだが、
モノレールのレールも転がっていたりして美観を損ねているのがなんとも残念である。
[attachment=3]P1140988_1.JPG[/attachment]
右から簡単に巻いて落ち口に上がれば、その上にも斜瀑が連続して実にいい雰囲気だ。
岩を割って立ち上がるサワグルミの大木も趣を添えている。
大岩がゴロゴロと重なる間に滝がいくつか架かり、その果てに矢納谷最後の大滝であるコウリ
ン滝が現われた。20mと言われる落差だが、何度も腰を折り、水量も多いとは言えない状態は迫
力に欠ける。
どうも頭がフラフラするのでふーさんに「5分だけ横にならせてくれ」と頼んでシートにひっく
り返った。キッカリ5分で立ち直って出発。どうもシャリバテ気味だったようだ。
考えてみれば朝起きてからサンドイッチひと切れとドリンクゼリーしか口にしていない。
[attachment=2]P1150021_1.JPG[/attachment]
右岸のガレを登りかけたところで雨が降り出した。本降りに近い様相で、うまい具合に現われ
た岩小屋でしばし雨宿り。下流方向を見ると空は明るく、少し待つと青空も覗き始めた。
ガレを上がって小尾根状に登り着いたところで「どうする?」とふ~さんに尋ねた。いろんな記
録を見ても、99%ここかコウリン滝の上で遡行終了して引き返している。
しかし我々の計画は矢納谷を奥駈道まで詰め上げて、竜ヶ岳の山頂を踏むというものだ。核心部
のつまみ食いで稜線に抜けずに下山するという発想はないのである。沢登りはあくまで山登りの
一部として捉えているからだ。それでも今日の体調からすれば稜線に抜ける自信をもうひとつ持
てないというのが正直なところ。「どうする?」と聞いても「下りましょう」という返事が返っ
てくるはずがないのは百も承知である。
小滝を数個やり過ごしたところで7mの直瀑と対面した。右上を見ると植林小屋の廃墟が何棟も
連なって言葉にならない風景である。
とりあえずランチ場を探して滝を巻き上がった。ミニゴルジュの中に辛うじて場所を確保、ラン
チタイムとした。ビールととろろそばを流れに放り込んで冷やしていたら、ふ~さんが奇声を上
げた。見ると、とろろそばがふ~さんに救出されるところ、危機一髪だった。
ここが最後の思案のしどころだった。腹がふくれたら気力も充実してきたのか、「さあ、頑張
ってみよか」と足が上流へ向いていた。
件の植林小屋から上流は伐採が入り、まったく遡行対象にならないというのが定説だ。しかし
沢は登ってみなければわからない。私の沢登りのバイブルである「関西の谷」では「源流部は刈
り倒された枝木が谷を埋めつくして歩ける状態ではない。」と書かれている。しかしこれは35年
前に書かれたものだ。年月が経てば沢の表情も少しは変わっているだろう。
歩き始めて少しの間はミニゴルジュに滝が架かり、悪くない雰囲気だった。しかしそれもすぐ
に終わり、植林と平流のまったく面白くない渓相に変わった。ただ普通に歩けるのが救いだ。
二俣を右に取って真西に方向を変えるとやがて植林も終わり、それなりの雰囲気が出て来たが
完全に水が切れてしまった。谷筋は荒れ気味ではあるが、ぐんぐんと高度を稼いで行くに連れ両
岸に気持のいい森が広がり始める。
空が近付いてくると細々とながらも水流が復活。滝も現われて最後まで楽しませてくれる。
[attachment=1]P1150081_1.JPG[/attachment]
ツメはヤブ無しで大峰奥駈道へ飛び出した。竜ヶ岳の肩の台地は針葉樹の疎林と下生えのない
広場で実にいいところである。
竜ヶ岳山頂は目と鼻の先。大岩を巻いて到着した山頂は看板があるだけの平凡な場所だった。
それでも1725mの標高を持つここは山上ヶ岳よりも高い。矢納谷を詰め上げて立つ山頂は格別の
味わいがあるというものだ。ふ~さんとハイタッチ。
我々の登頂を祝福するかのように、大峰山寺方面から法螺貝の音が鳴り響いた。
先ほどの台地まで戻って沢装束を解く。のんびりしている時間ではないが、阿古滝道を下るだ
けなら問題ない。この時はそう楽観していた。
台地から少し下れば小笹の宿。ここは稜線直下でありながら豊かな水場があり、あちこちに幕
営適地と小さな避難小屋、修験道の祠がある別天地だ。単独者がテントを張ってビールを飲みな
がら夕餉の支度をしていた。いかにも贅沢かつ至福の時である。
阿古滝道への分岐は投地蔵辻と呼ばれている。「阿古滝」の標識があり、進行方向にはテープ
がベタ張りされて迷う心配はない。思ったより整備されたいい道だ。19年前の記憶はほとんどな
かった。
シャクナゲの林からブナの台地を過ぎて急降下して行くと阿古滝の落ち口に到着。50mの落差
を誇る阿古滝を覗きこむのは根性が要る。確保なしではとても覗く気にならず、反対側の側面か
ら辛うじて滝壺まで見通すことができた。
滝の上はそこに滝があると信じられないぐらいの穏やかな平流と台地が続いている。ここもテン
泊にはうってつけの場所だ。分岐からここまで30分ほど。これなら楽勝だと思ったが、それはと
んでもない勘違いだと思い知らされた。実はここからが阿古滝道の本領発揮だった。
[attachment=0]P1150103_1.JPG[/attachment]
流れを渡って対岸の尾根からトラバースしながら谷を渡って行く。滝までとは違ってテープが
極端に少なくなり踏み跡も薄い。この道のラインは地形図とはかなり違う場所を通っている。
途中からまた雨が降り出した。今度はにわか雨という感じではなく、かなりの雨脚だ。
ふ~さんが「どこかで雨宿りしましょう。」と言うも、樹林帯の中ながら雨がまともに降り注ぐ
ので避けられるところがないのでとにかく前進するしかない。
暑いので雨具を着ていなかったがさすがにこの雨に打たれ続けるのは得策ではないので雨具を着
る。
尾根上の道と違って斜面をトラバースしながら続く道は、ところどころ折り返す地点や谷を渡る
箇所で判然とせず、神経を集中しないとコースをロストしてしまいそうになる。天気が悪く、樹
林帯の中ではもう薄暗い。
ついに道が寸断された。目の前にはスラブっぽい小沢が横切りトラバースするのは躊躇われた。
目を凝らしてもその先に道が続いているようには見えない。上か下か。
さるHPの主のプレートとテープがあるのでコース上にいることは間違いない。ふ~さんが下を、
私が上を探った。10mほど上に道のようなラインが見えるのが気になったのだ。斜面を這い上が
ってみると果たして、そこには明瞭な道が続いていた。ふ~さんはここでビバークが頭をよぎっ
たらしい。
下山路といいながらも意外にアップダウンが多く、コース維持に神経も集中させなくてはなら
ず思いのほか疲れるルートである。
途中で見つけた岩小屋でやっと雨宿りしていると雨も小降りになってきた。
道はだんだんはっきりしてきた。道標のある上多古本谷の多冶良渕への分岐まで来ればメドが着
いてひと安心だ。よく手入れされた現役の杣道を急ぐ。もう闇下の心配はない。
増水した矢納滝の轟音が近付くと林道終点までは一投足。林道に下り立って再び無事下山のハイ
タッチだ。
もし単独なら100%コーリン滝で引き返していただろう。無言の圧力?で折れそうな心を支えて
くれたふ~さんのおかげで矢納谷遡行、竜ヶ岳登頂を果たすことができた。
やっぱり沢は詰め上げてナンボだと実感した。
12時間行動に付き合ってくれたふ~さんに感謝。充実の一日だった。
山日和
【山 域】大峰北部 上多古川周辺
【天 候】曇り一時雨
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】上多古林道駐車地7:10---7:35林道終点---8:38昇竜の滝---10:00赤ナメクチキの滝---
11:00コウリン滝11:15---12:08植林小屋跡付近12:40---15:15奥駈道15:57---16:25投地蔵辻
---16:57阿古滝落ち口17:08---18:52林道終点---19:14駐車地
上多古林道は崩落のため終点まで入れなかった。伊坪谷出合の先に駐車して林道を歩く。
最初の崩落地は軽自動車が通れるぐらいの道幅が残っていたが、次の崩落地は跡形もなくなりル
ンゼが道を寸断していた。この巻きが最初の核心部。入渓前から大いに緊張させられた。
林道終点付近は昔に比べればずいぶん草深くなった印象だ。考えてみればここへ来るのは19年
振りである。洞吹氏と上多古川本谷から竹林院谷を遡行して山上ヶ岳へ抜けたのだ。
山道を少し上がると祠があり、阿古滝へ向かう道と分かれて左に落下音を轟かせている矢納滝
の方へ進んだ。ほぼ落ち口のレベルでトラバースして、滝の上で入渓となる。
小滝や美しいナメ滝を越えて行くと、優美な2段8m滝を迎えた。ここは左岸から巻く。
ここからも小滝が続くが岩の乗越しや流倒木登りに終始する感がある。
岩の大きさがだんだん大きくなり、谷中は前進不能。左岸を見るといかにも頼りなさげなハシ
ゴが架かっている。恐る恐る登ると上にトラロープが伸びる。こいつも100%の信用は置けない。
なんとか大岩の上に立てば丸太2本の橋の残骸が。これはさすがに渡る気にならなかった。
ど真ん中の巨岩が流れを2条に分ける滝を巻けば、矢納谷名所その1の昇竜の滝の登場である。
右岸に続く岩壁の奥に、はるかな高みから落ちる40mの滝は見事な姿を見せる。
ここは少し戻った左岸ルンゼから巻きにかかり、どこまで上がるんだというほど追い上げられた。
上部で杣道と合流し、その上の2段15m滝もまとめて巻いてしまうが、さすがにトータル55mの滝
は巻き甲斐がある。
[attachment=4]P1140963_1_1.JPG[/attachment]
沢に戻って大釜の3m滝は泳げば取り付けるが回避して左から巻く。その上に続くゴルジュをや
り過ごして8m滝の落ち口へトラロープを利用して下りた。
ほどなく正面に25mのスダレ滝が架かるがこれは支流の滝だ。本流は左折して10mナメ滝の奥に
25mの美しい斜瀑を落としている。この一連を赤ナメクチキの滝と呼ぶようで、下部の岩盤はそ
の名の通り赤い。行ったことはないが、赤石沢のラジオラリアの岩床はこんな感じかとふ~さん
と笑い合う。それにしても流麗な滝である。その造作の見事さにしばらく見惚れてしまった。
しかしこの谷はやたらワイヤーの類が放置されていて見苦しい。かつての伐採の名残りだが、
モノレールのレールも転がっていたりして美観を損ねているのがなんとも残念である。
[attachment=3]P1140988_1.JPG[/attachment]
右から簡単に巻いて落ち口に上がれば、その上にも斜瀑が連続して実にいい雰囲気だ。
岩を割って立ち上がるサワグルミの大木も趣を添えている。
大岩がゴロゴロと重なる間に滝がいくつか架かり、その果てに矢納谷最後の大滝であるコウリ
ン滝が現われた。20mと言われる落差だが、何度も腰を折り、水量も多いとは言えない状態は迫
力に欠ける。
どうも頭がフラフラするのでふーさんに「5分だけ横にならせてくれ」と頼んでシートにひっく
り返った。キッカリ5分で立ち直って出発。どうもシャリバテ気味だったようだ。
考えてみれば朝起きてからサンドイッチひと切れとドリンクゼリーしか口にしていない。
[attachment=2]P1150021_1.JPG[/attachment]
右岸のガレを登りかけたところで雨が降り出した。本降りに近い様相で、うまい具合に現われ
た岩小屋でしばし雨宿り。下流方向を見ると空は明るく、少し待つと青空も覗き始めた。
ガレを上がって小尾根状に登り着いたところで「どうする?」とふ~さんに尋ねた。いろんな記
録を見ても、99%ここかコウリン滝の上で遡行終了して引き返している。
しかし我々の計画は矢納谷を奥駈道まで詰め上げて、竜ヶ岳の山頂を踏むというものだ。核心部
のつまみ食いで稜線に抜けずに下山するという発想はないのである。沢登りはあくまで山登りの
一部として捉えているからだ。それでも今日の体調からすれば稜線に抜ける自信をもうひとつ持
てないというのが正直なところ。「どうする?」と聞いても「下りましょう」という返事が返っ
てくるはずがないのは百も承知である。
小滝を数個やり過ごしたところで7mの直瀑と対面した。右上を見ると植林小屋の廃墟が何棟も
連なって言葉にならない風景である。
とりあえずランチ場を探して滝を巻き上がった。ミニゴルジュの中に辛うじて場所を確保、ラン
チタイムとした。ビールととろろそばを流れに放り込んで冷やしていたら、ふ~さんが奇声を上
げた。見ると、とろろそばがふ~さんに救出されるところ、危機一髪だった。
ここが最後の思案のしどころだった。腹がふくれたら気力も充実してきたのか、「さあ、頑張
ってみよか」と足が上流へ向いていた。
件の植林小屋から上流は伐採が入り、まったく遡行対象にならないというのが定説だ。しかし
沢は登ってみなければわからない。私の沢登りのバイブルである「関西の谷」では「源流部は刈
り倒された枝木が谷を埋めつくして歩ける状態ではない。」と書かれている。しかしこれは35年
前に書かれたものだ。年月が経てば沢の表情も少しは変わっているだろう。
歩き始めて少しの間はミニゴルジュに滝が架かり、悪くない雰囲気だった。しかしそれもすぐ
に終わり、植林と平流のまったく面白くない渓相に変わった。ただ普通に歩けるのが救いだ。
二俣を右に取って真西に方向を変えるとやがて植林も終わり、それなりの雰囲気が出て来たが
完全に水が切れてしまった。谷筋は荒れ気味ではあるが、ぐんぐんと高度を稼いで行くに連れ両
岸に気持のいい森が広がり始める。
空が近付いてくると細々とながらも水流が復活。滝も現われて最後まで楽しませてくれる。
[attachment=1]P1150081_1.JPG[/attachment]
ツメはヤブ無しで大峰奥駈道へ飛び出した。竜ヶ岳の肩の台地は針葉樹の疎林と下生えのない
広場で実にいいところである。
竜ヶ岳山頂は目と鼻の先。大岩を巻いて到着した山頂は看板があるだけの平凡な場所だった。
それでも1725mの標高を持つここは山上ヶ岳よりも高い。矢納谷を詰め上げて立つ山頂は格別の
味わいがあるというものだ。ふ~さんとハイタッチ。
我々の登頂を祝福するかのように、大峰山寺方面から法螺貝の音が鳴り響いた。
先ほどの台地まで戻って沢装束を解く。のんびりしている時間ではないが、阿古滝道を下るだ
けなら問題ない。この時はそう楽観していた。
台地から少し下れば小笹の宿。ここは稜線直下でありながら豊かな水場があり、あちこちに幕
営適地と小さな避難小屋、修験道の祠がある別天地だ。単独者がテントを張ってビールを飲みな
がら夕餉の支度をしていた。いかにも贅沢かつ至福の時である。
阿古滝道への分岐は投地蔵辻と呼ばれている。「阿古滝」の標識があり、進行方向にはテープ
がベタ張りされて迷う心配はない。思ったより整備されたいい道だ。19年前の記憶はほとんどな
かった。
シャクナゲの林からブナの台地を過ぎて急降下して行くと阿古滝の落ち口に到着。50mの落差
を誇る阿古滝を覗きこむのは根性が要る。確保なしではとても覗く気にならず、反対側の側面か
ら辛うじて滝壺まで見通すことができた。
滝の上はそこに滝があると信じられないぐらいの穏やかな平流と台地が続いている。ここもテン
泊にはうってつけの場所だ。分岐からここまで30分ほど。これなら楽勝だと思ったが、それはと
んでもない勘違いだと思い知らされた。実はここからが阿古滝道の本領発揮だった。
[attachment=0]P1150103_1.JPG[/attachment]
流れを渡って対岸の尾根からトラバースしながら谷を渡って行く。滝までとは違ってテープが
極端に少なくなり踏み跡も薄い。この道のラインは地形図とはかなり違う場所を通っている。
途中からまた雨が降り出した。今度はにわか雨という感じではなく、かなりの雨脚だ。
ふ~さんが「どこかで雨宿りしましょう。」と言うも、樹林帯の中ながら雨がまともに降り注ぐ
ので避けられるところがないのでとにかく前進するしかない。
暑いので雨具を着ていなかったがさすがにこの雨に打たれ続けるのは得策ではないので雨具を着
る。
尾根上の道と違って斜面をトラバースしながら続く道は、ところどころ折り返す地点や谷を渡る
箇所で判然とせず、神経を集中しないとコースをロストしてしまいそうになる。天気が悪く、樹
林帯の中ではもう薄暗い。
ついに道が寸断された。目の前にはスラブっぽい小沢が横切りトラバースするのは躊躇われた。
目を凝らしてもその先に道が続いているようには見えない。上か下か。
さるHPの主のプレートとテープがあるのでコース上にいることは間違いない。ふ~さんが下を、
私が上を探った。10mほど上に道のようなラインが見えるのが気になったのだ。斜面を這い上が
ってみると果たして、そこには明瞭な道が続いていた。ふ~さんはここでビバークが頭をよぎっ
たらしい。
下山路といいながらも意外にアップダウンが多く、コース維持に神経も集中させなくてはなら
ず思いのほか疲れるルートである。
途中で見つけた岩小屋でやっと雨宿りしていると雨も小降りになってきた。
道はだんだんはっきりしてきた。道標のある上多古本谷の多冶良渕への分岐まで来ればメドが着
いてひと安心だ。よく手入れされた現役の杣道を急ぐ。もう闇下の心配はない。
増水した矢納滝の轟音が近付くと林道終点までは一投足。林道に下り立って再び無事下山のハイ
タッチだ。
もし単独なら100%コーリン滝で引き返していただろう。無言の圧力?で折れそうな心を支えて
くれたふ~さんのおかげで矢納谷遡行、竜ヶ岳登頂を果たすことができた。
やっぱり沢は詰め上げてナンボだと実感した。
12時間行動に付き合ってくれたふ~さんに感謝。充実の一日だった。
山日和
お~ 何度も周辺、計画して行けてない中でもあこがれルートですなぁ!!