【奥美濃】薙刀山から願教寺詣り
Posted: 2013年4月30日(火) 21:50
【日 付】2013年4月28日(日)
【山 域】奥美濃 石徹白 薙刀山・日岸山・願教寺山
【天 候】快晴
【コース】大杉登山口6:01---6:38笠羽橋---9:05薙刀山9:36---10:22日岸山10:48---11:17よも太郎山
---12:50願教寺山14:12---14:51 P1615m---16:04河ウレ谷出合---16:54登山口
先週1時間半かけて歩いた大杉林道を、今日は10分あまりで駆け抜けた。文明の利器はありがたいものだ。
ここから林道を奥に進むのも4年振りである。お百度を目指した願教寺年詣りもしばらくサボっている。
4月も末ともなれば林道の雪はほとんど消え、地獄の滑り台の心配もない。
母御石橋の手前で2人連れが歩いてきた。願教寺へ向かおうとしたが、笠羽橋の先の渡渉が恐くて引き返してきたらしい。大した水量ではないと思うのだが。
モヒカン刈り状に雪を乗せたその笠羽橋を渡る。渡渉点を見るとまったくの平水だ。但し乾いているかに見える石は薄く氷を被ってツルツルと滑るので危ない。彼らが恐いと思ったのはこれか。回り込んで流れの上に垂れ下がったブッシュを利用して簡単に渡ることができた。渡渉慣れしていなければこの程度でも恐いものなのだろう。
一段上がった台地からは完全に雪が繋がり、もう一段上に急登すればそこは願教寺谷右岸に展開するパラダイスである。一度は伐採が入っているので目を瞠る大木こそないものの、美しい樹林が広がる雪上の楽園だ。但し積雪期限定であるが。
1206m標高点の北に池マークがある。この時期は完全に雪の下。見渡す限り雪原が広がるのみだ。その南にも池があり、和田山あたりに通じるゆったりとした地形が広がっている。ここは一度探索してみたいと思いながら果たせていない。
願教寺谷の奥には日岸山あたりから願教寺山への稜線が真っ青な空の下に白く輝いている。今日は天気の心配をしなくて済みそうだ。
[attachment=4]RIMG0056_1_1.JPG[/attachment]
薙刀山北東尾根に乗る。洞吹氏と初めて来て以来12年振りだ。金曜の夜から土曜にかけて雪が降ったようで、この時期にはいつも白黒まだら模様の雪面は、新雪の衣を纏って化粧直ししている。色の白いは七難隠すというが、まったくその通りだ。
左を見下ろすと南側の池が見えた。こちらは完全には雪に覆われておらず、半分以上は凍った池面が現われていた。
例年ならスノーシューは既に仕舞い込んでいるこの時期だが、今日は念のため持って来て正解だった。新雪は20センチ以上積もっており、スノーシューが有効だ。
風を避けてブナの根穴でひと息入れていると、後ろから単独者が追い付いてきた。台地から正面の山に見える山(日岸山のことか)に行くつもりだったが、トレースがあったのでこちらへ来たという。日岸山の名前も知らないらしい。
それほど年配にも見えなかったが、「お兄さん、先に行って」と言われたので仕方ないなあとザックを担いだら、おじさんは既に先を歩いていた。
途中で休憩していたおじさんに追い着く。「今日はここでやめてもええぐらいやなあ」と言う視線の先には三ノ峰の向こうに純白の別山が輝いていた。先週見たのと同じ山とは思えないぐらいの美しさである。
石徹白川の対岸には先週歩いた丸山から芦倉山、さらに大日山への稜線が並んでいる。今日の天気の下で歩けたらどんなに素晴らしかっただろうと思うが、今日が良過ぎるだけだと思うことにしよう。
[attachment=3]パノラマ 25_1.JPG[/attachment]
一点の曇りもない蒼空と汚れのない白雪。これ以上望むべくもない道具立てにもうひとつが加わった。立ち木に光る白い枝。霧氷である。GWに霧氷を拝めるとは夢にも思わなかった。
1526m標高点を過ぎて薙刀山北東の広大な尾根に入る。左には野伏ヶ岳が頭を出す。部分的にササが露出しているところがあり、それを避けながら白いお皿のように見える薙刀山頂に近付いて行った。
薙刀山頂。越美国境稜線に立つ。正面は経ヶ岳、大長山、赤兎山といった奥越の名山が並ぶ。風が少し強いので腰を落ち着けて休む気にならないが、この大パノラマはまったく素晴らしいの一語に尽きる。
しばらくするとおじさんがやってきた。さっきのところでやめなかったようである。
色々話していると、地元中の地元白鳥の人で、昨日はずいぶんひどい天気だっのでやめて今日にしたらしい。朝の天気を見てここに来られるのは何ともうらやましい限りだ。60才で登山を始め4年というからさほど年が離れているわけではなかった。それだけ私が若く見えるということか。
彼が取り出した地図を見ると昭文社の登山地図だった。この地図で石徹白川右岸の山を歩く人は初めて見た。
日岸山へ向かって踏み出す。ここの県境は少し複雑だ。県境は北東尾根と西側の尾根の間の浅い谷に引かれている。本来の稜線は西側の尾根だが、間の県境の谷を駈け下りる方がはるかに快適である。
日岸山との最低鞍部には願教寺谷の左俣が緩やかに上がっている。スキーで滑ればいかにも気持よさそうな斜面が広がる。
180m登り返して日岸山頂。ここの西側はいつもササが出ている。この山頂の陰になっていた願教寺山が大きくなった。おじさんが追い着いて先行した。
よも太郎山へ向かう途中で単独者とすれ違った。5時半に出発して銚子ヶ峰から回ってきたという。凄いスピードである。しかもなんと野伏ヶ岳まで縦走して、林道を歩いて車を回収すると言うから驚きだ。どこにでも超人的な登山者はいるものである。
よも太郎の山頂からは目の前に願教寺山南面の崩壊壁が凄まじい迫力で迫る。いつもは真っ黒な岩壁だが、今日は新雪のパウダーを振りかけられてまだら模様だ。願教寺山への尾根はかなりヤブが露出して、尾根芯を行くのは苦労させられるだろう。
[attachment=2]RIMG0203_1.JPG[/attachment]
ここでランチタイムのおじさんと別れて一気に願教寺谷の源頭の鞍部へ下る。
ここまで都合3人の登山者とすれ違ったのでトレースははっきりしており、ルートに迷うことはない。その反面自分でルートを見つけて行けない物足りなさもある。
尾根芯はどう見ても快適に歩けそうもなく、トレースは南面の谷をトラバースするように付けられていた。この谷にはバカでかい雪のブロックがごろごろと転がっていた。
ここで大きなザックを担いだ登山者と出会う。朝、少し前に銚子ヶ峰方面へ出発して行った人だ。薙刀平あたりでテント泊だろうか。
さっきから左足が攣り出した。最近は秘薬のお世話になることもなかったのだが、だましだまし歩いても治まりそうにもないので一服。歩き出したもののまだ危ない雰囲気だ。再度ザックを降ろして、塩飴を舐めて水を200CC補給するとスーッと痛みが引いた。
先ほどからアイゼンを装着し、ここでピッケルを出したが斜度の緩いルート取りのトレースのおかげでストックのままで十分だった。
トレースは山頂直下を東に回り込んで、おなじみのピラミッド状の雪稜を上がっていた。この雪稜は何度上がっても高度感満点で気持ちがいい。
[attachment=1]RIMG0263_1.JPG[/attachment]
5年振りの願教寺山。お百度まであと91回である。ここまで来れば三ノ峰(打波谷の頭)が大きい。黒坊稜の核心部はさすがに黒く、よくあんなところを登ったもんだと思わせる。
三ノ峰の奥には御前峰、大汝峰、七倉山、白山釈迦岳と並ぶ山稜の白さが際立つ。
今日はこれまで立った願教寺山頂の中でも最高の天気だ。先週と違って天気が崩れる心配もなく、下山路はどこを選んでも既知のルートだ。
風もなくなり、ゆっくりとランチを楽しむ。もう登って来る人もなく、360度の展望をひとり占めである。
下山はどこを選んでも自由自在だ。久し振りに河ウレ谷の左岸尾根を使ってみよう。
トレースだらけの縦走路を進む。雪が腐り出したので再びスノーシューを履いた。
Ca1670mピークを巻いてオオシラビソの林がある1615mピークが左岸尾根の下り口だ。
ここは11年前に洞吹氏と上がったのだが、途中に素晴らしい台地がいくつも現われて感激したところだ。
あっちこっちの雪山へ行って雪の台地に出会うたびに「木無平」やら「滝波平」などと名付けていたものだ。
この尾根の平には、「笠羽下の平」「中の平」「上の平」と名付けて喜んでいた。あの平にもう一度会いに行こう。
広い尾根を南に踏み出せば間もなく左下に広大な雪原が見える。あれが「中の平」だ。(ったと思う) ゆったりと広がる雪原にはポツリポツリとブナやダケカンバが点在する。下から上がって来た時の感激もひとしおだが、上から見下ろすのもまたいい。尾根を直進すると河ウレ谷側の崖に吸収されるようになっているので、平へ真っすぐ滑り降りることにした。
シートを出してさあ、と思ったところでシートが手を離れ、あれよあれよという間に平までひとり?で滑って行ってしまった。やれやれだ。やむなく滑り落ち気味にシートの元へ駈け下りた。
立派なブナの木陰でひと息入れる。実にいいところだ。このルートを使う登山者はいるのだろうか。
[attachment=0]パノラマ 19_1_1.JPG[/attachment]
細くなった尾根を嫌って左の小谷を下りる。この小谷を挟んだ対岸にも疎林を伴った幅広い尾根が続いて魅力的だ。そちらを下りても下部の平で合流することができるだろう。
しかし足元の谷からは早くも水音が聞こえてきた。雪を踏み抜かないように渡って元の尾根に復帰した。
痩せた尾根では完全に潅木のヤブが露出して、スノーシューを履いたままのヤブ漕ぎとなる。50mほどのヤブを抜けると再び雪がつながりひと安心である。
問題は着地点だ。この尾根の末端の東側には広い台地があり、上から見ると実に下りやすそうで引き込まれそうになる。しかしその台地の端は崖になっており、うっかり入り込むと進退窮まってしまうのだ。ここは河ウレ谷と願教寺谷の出合に下りるのが正解である。頃合いを見計らって右へ急降下するとピンポイントで出合に着地した。
さて、次の問題は渡渉点である。スノーブリッジを期待できる時期は過ぎているが、水量はたいしたことはない。しかし対岸の雪はハング状に被さったところが目立ち、渡っても這い上がれない。
前後を偵察した末、なんとか弱点を見つけて簡単に渡渉、うまい具合に出ていた木の枝に足を掛けて乗り上げ、キックステップ数発で対岸の台地に乗った。これで本日の行程はほぼ終了だ。
しばらく足が遠のいていた石徹白の山に2週続けて入ることができた。やっぱりいい山だ、石徹白を巡る山々は。
そう思わせてくれるに十分な一日を思い返しながら、もう初夏のような残照を浴びながら林道を歩いた。
山日和
【山 域】奥美濃 石徹白 薙刀山・日岸山・願教寺山
【天 候】快晴
【コース】大杉登山口6:01---6:38笠羽橋---9:05薙刀山9:36---10:22日岸山10:48---11:17よも太郎山
---12:50願教寺山14:12---14:51 P1615m---16:04河ウレ谷出合---16:54登山口
先週1時間半かけて歩いた大杉林道を、今日は10分あまりで駆け抜けた。文明の利器はありがたいものだ。
ここから林道を奥に進むのも4年振りである。お百度を目指した願教寺年詣りもしばらくサボっている。
4月も末ともなれば林道の雪はほとんど消え、地獄の滑り台の心配もない。
母御石橋の手前で2人連れが歩いてきた。願教寺へ向かおうとしたが、笠羽橋の先の渡渉が恐くて引き返してきたらしい。大した水量ではないと思うのだが。
モヒカン刈り状に雪を乗せたその笠羽橋を渡る。渡渉点を見るとまったくの平水だ。但し乾いているかに見える石は薄く氷を被ってツルツルと滑るので危ない。彼らが恐いと思ったのはこれか。回り込んで流れの上に垂れ下がったブッシュを利用して簡単に渡ることができた。渡渉慣れしていなければこの程度でも恐いものなのだろう。
一段上がった台地からは完全に雪が繋がり、もう一段上に急登すればそこは願教寺谷右岸に展開するパラダイスである。一度は伐採が入っているので目を瞠る大木こそないものの、美しい樹林が広がる雪上の楽園だ。但し積雪期限定であるが。
1206m標高点の北に池マークがある。この時期は完全に雪の下。見渡す限り雪原が広がるのみだ。その南にも池があり、和田山あたりに通じるゆったりとした地形が広がっている。ここは一度探索してみたいと思いながら果たせていない。
願教寺谷の奥には日岸山あたりから願教寺山への稜線が真っ青な空の下に白く輝いている。今日は天気の心配をしなくて済みそうだ。
[attachment=4]RIMG0056_1_1.JPG[/attachment]
薙刀山北東尾根に乗る。洞吹氏と初めて来て以来12年振りだ。金曜の夜から土曜にかけて雪が降ったようで、この時期にはいつも白黒まだら模様の雪面は、新雪の衣を纏って化粧直ししている。色の白いは七難隠すというが、まったくその通りだ。
左を見下ろすと南側の池が見えた。こちらは完全には雪に覆われておらず、半分以上は凍った池面が現われていた。
例年ならスノーシューは既に仕舞い込んでいるこの時期だが、今日は念のため持って来て正解だった。新雪は20センチ以上積もっており、スノーシューが有効だ。
風を避けてブナの根穴でひと息入れていると、後ろから単独者が追い付いてきた。台地から正面の山に見える山(日岸山のことか)に行くつもりだったが、トレースがあったのでこちらへ来たという。日岸山の名前も知らないらしい。
それほど年配にも見えなかったが、「お兄さん、先に行って」と言われたので仕方ないなあとザックを担いだら、おじさんは既に先を歩いていた。
途中で休憩していたおじさんに追い着く。「今日はここでやめてもええぐらいやなあ」と言う視線の先には三ノ峰の向こうに純白の別山が輝いていた。先週見たのと同じ山とは思えないぐらいの美しさである。
石徹白川の対岸には先週歩いた丸山から芦倉山、さらに大日山への稜線が並んでいる。今日の天気の下で歩けたらどんなに素晴らしかっただろうと思うが、今日が良過ぎるだけだと思うことにしよう。
[attachment=3]パノラマ 25_1.JPG[/attachment]
一点の曇りもない蒼空と汚れのない白雪。これ以上望むべくもない道具立てにもうひとつが加わった。立ち木に光る白い枝。霧氷である。GWに霧氷を拝めるとは夢にも思わなかった。
1526m標高点を過ぎて薙刀山北東の広大な尾根に入る。左には野伏ヶ岳が頭を出す。部分的にササが露出しているところがあり、それを避けながら白いお皿のように見える薙刀山頂に近付いて行った。
薙刀山頂。越美国境稜線に立つ。正面は経ヶ岳、大長山、赤兎山といった奥越の名山が並ぶ。風が少し強いので腰を落ち着けて休む気にならないが、この大パノラマはまったく素晴らしいの一語に尽きる。
しばらくするとおじさんがやってきた。さっきのところでやめなかったようである。
色々話していると、地元中の地元白鳥の人で、昨日はずいぶんひどい天気だっのでやめて今日にしたらしい。朝の天気を見てここに来られるのは何ともうらやましい限りだ。60才で登山を始め4年というからさほど年が離れているわけではなかった。それだけ私が若く見えるということか。
彼が取り出した地図を見ると昭文社の登山地図だった。この地図で石徹白川右岸の山を歩く人は初めて見た。
日岸山へ向かって踏み出す。ここの県境は少し複雑だ。県境は北東尾根と西側の尾根の間の浅い谷に引かれている。本来の稜線は西側の尾根だが、間の県境の谷を駈け下りる方がはるかに快適である。
日岸山との最低鞍部には願教寺谷の左俣が緩やかに上がっている。スキーで滑ればいかにも気持よさそうな斜面が広がる。
180m登り返して日岸山頂。ここの西側はいつもササが出ている。この山頂の陰になっていた願教寺山が大きくなった。おじさんが追い着いて先行した。
よも太郎山へ向かう途中で単独者とすれ違った。5時半に出発して銚子ヶ峰から回ってきたという。凄いスピードである。しかもなんと野伏ヶ岳まで縦走して、林道を歩いて車を回収すると言うから驚きだ。どこにでも超人的な登山者はいるものである。
よも太郎の山頂からは目の前に願教寺山南面の崩壊壁が凄まじい迫力で迫る。いつもは真っ黒な岩壁だが、今日は新雪のパウダーを振りかけられてまだら模様だ。願教寺山への尾根はかなりヤブが露出して、尾根芯を行くのは苦労させられるだろう。
[attachment=2]RIMG0203_1.JPG[/attachment]
ここでランチタイムのおじさんと別れて一気に願教寺谷の源頭の鞍部へ下る。
ここまで都合3人の登山者とすれ違ったのでトレースははっきりしており、ルートに迷うことはない。その反面自分でルートを見つけて行けない物足りなさもある。
尾根芯はどう見ても快適に歩けそうもなく、トレースは南面の谷をトラバースするように付けられていた。この谷にはバカでかい雪のブロックがごろごろと転がっていた。
ここで大きなザックを担いだ登山者と出会う。朝、少し前に銚子ヶ峰方面へ出発して行った人だ。薙刀平あたりでテント泊だろうか。
さっきから左足が攣り出した。最近は秘薬のお世話になることもなかったのだが、だましだまし歩いても治まりそうにもないので一服。歩き出したもののまだ危ない雰囲気だ。再度ザックを降ろして、塩飴を舐めて水を200CC補給するとスーッと痛みが引いた。
先ほどからアイゼンを装着し、ここでピッケルを出したが斜度の緩いルート取りのトレースのおかげでストックのままで十分だった。
トレースは山頂直下を東に回り込んで、おなじみのピラミッド状の雪稜を上がっていた。この雪稜は何度上がっても高度感満点で気持ちがいい。
[attachment=1]RIMG0263_1.JPG[/attachment]
5年振りの願教寺山。お百度まであと91回である。ここまで来れば三ノ峰(打波谷の頭)が大きい。黒坊稜の核心部はさすがに黒く、よくあんなところを登ったもんだと思わせる。
三ノ峰の奥には御前峰、大汝峰、七倉山、白山釈迦岳と並ぶ山稜の白さが際立つ。
今日はこれまで立った願教寺山頂の中でも最高の天気だ。先週と違って天気が崩れる心配もなく、下山路はどこを選んでも既知のルートだ。
風もなくなり、ゆっくりとランチを楽しむ。もう登って来る人もなく、360度の展望をひとり占めである。
下山はどこを選んでも自由自在だ。久し振りに河ウレ谷の左岸尾根を使ってみよう。
トレースだらけの縦走路を進む。雪が腐り出したので再びスノーシューを履いた。
Ca1670mピークを巻いてオオシラビソの林がある1615mピークが左岸尾根の下り口だ。
ここは11年前に洞吹氏と上がったのだが、途中に素晴らしい台地がいくつも現われて感激したところだ。
あっちこっちの雪山へ行って雪の台地に出会うたびに「木無平」やら「滝波平」などと名付けていたものだ。
この尾根の平には、「笠羽下の平」「中の平」「上の平」と名付けて喜んでいた。あの平にもう一度会いに行こう。
広い尾根を南に踏み出せば間もなく左下に広大な雪原が見える。あれが「中の平」だ。(ったと思う) ゆったりと広がる雪原にはポツリポツリとブナやダケカンバが点在する。下から上がって来た時の感激もひとしおだが、上から見下ろすのもまたいい。尾根を直進すると河ウレ谷側の崖に吸収されるようになっているので、平へ真っすぐ滑り降りることにした。
シートを出してさあ、と思ったところでシートが手を離れ、あれよあれよという間に平までひとり?で滑って行ってしまった。やれやれだ。やむなく滑り落ち気味にシートの元へ駈け下りた。
立派なブナの木陰でひと息入れる。実にいいところだ。このルートを使う登山者はいるのだろうか。
[attachment=0]パノラマ 19_1_1.JPG[/attachment]
細くなった尾根を嫌って左の小谷を下りる。この小谷を挟んだ対岸にも疎林を伴った幅広い尾根が続いて魅力的だ。そちらを下りても下部の平で合流することができるだろう。
しかし足元の谷からは早くも水音が聞こえてきた。雪を踏み抜かないように渡って元の尾根に復帰した。
痩せた尾根では完全に潅木のヤブが露出して、スノーシューを履いたままのヤブ漕ぎとなる。50mほどのヤブを抜けると再び雪がつながりひと安心である。
問題は着地点だ。この尾根の末端の東側には広い台地があり、上から見ると実に下りやすそうで引き込まれそうになる。しかしその台地の端は崖になっており、うっかり入り込むと進退窮まってしまうのだ。ここは河ウレ谷と願教寺谷の出合に下りるのが正解である。頃合いを見計らって右へ急降下するとピンポイントで出合に着地した。
さて、次の問題は渡渉点である。スノーブリッジを期待できる時期は過ぎているが、水量はたいしたことはない。しかし対岸の雪はハング状に被さったところが目立ち、渡っても這い上がれない。
前後を偵察した末、なんとか弱点を見つけて簡単に渡渉、うまい具合に出ていた木の枝に足を掛けて乗り上げ、キックステップ数発で対岸の台地に乗った。これで本日の行程はほぼ終了だ。
しばらく足が遠のいていた石徹白の山に2週続けて入ることができた。やっぱりいい山だ、石徹白を巡る山々は。
そう思わせてくれるに十分な一日を思い返しながら、もう初夏のような残照を浴びながら林道を歩いた。
山日和
先週1時間半かけて歩いた大杉林道を、今日は10分あまりで駆け抜けた。文明の利器はありがたいものだ。