【奥美濃】奥美濃ど真ん中 雪の蕎麦粒山
Posted: 2013年2月05日(火) 00:26
【日 付】2013年2月3日(日)
【山 域】奥美濃 蕎麦粒山1296.7m
【天 候】晴れ
【コース】遊らんど坂内7:00---西俣出合7:40---10:25 Ca1000mジャンクション10:40---11:10 P1075m 11:20---
12:40蕎麦粒山14:00---14:45 P1075m 15:00---15:25ジャンクション---16:40西俣出合---17:15駐車地
大谷川の林道は遊らんど坂内のスキー場跡まで除雪されていた。工事が入っているようで、まだ先まで除雪されて
いそうだが、駐車する場所がないと困るので除雪されたスペースに止める。
奥美濃には珍しく単独の女性が出発の用意をしていた。湧谷山へ行くようだ。蕎麦粒へ行くと言うと、「蕎麦粒も行き
たかったんですけど、この辺は初めてなんで・・・」と言う。それならまずは湧谷あたりで雰囲気をつかむのがいいだろ
う。湧谷と言えど、雪の状態次第では去年のスノー衆のように行き着けないこともある。
出発しようとして時計がないことに気が付いた。家に忘れてきてしまったのだ。
時間を知る手段は携帯、デジカメ、GPSと3つもあるし、高度もGPSで分かるので問題はない。
今日はあまり時間も高度も気にせず歩いてみよう。
林道が左岸に渡った少し先で除雪は終わっていた。遊らんどに止めて正解だ。林道上は50センチほどの積雪。足を
踏み入れてすぐにスノーシューを履いた。つぼ足だと雪はボソボソでひざまで潜る。やれやれ。
昨日の雨が利いたのか、予想とはかなり違う雪質である。
スノーシューで雪面に乗ってガシガシと歩くイメージだったのだが、こんなんで蕎麦粒山まで辿り着けるのだろうか。
雪面には今日のものではないワカンの跡がうっすらと残っていた。
雪原となった河原を横切り、西俣谷の合流点付近で渡渉点を探る。水量は少なく、足首程度の潜りで浸水することも
なく渡り切った。こういう場面でもスノーシューは安定して有効だ。
無雪期の道を外れて植林の斜面を上がる。スノーシューの沈みは20センチ程度だが、あまりいい雪質ではない。
やっと植林帯が終わって雑木林に入ると蕎麦粒山の南面が圧倒的な迫力で迫る。今のペースからするとあまりにも遠
い山頂だ。
自分の後ろに残るのは2本のレールを引いて行くスノーシューらしいトレースではなく、金型で打ち抜いたような足跡に
なるのは雪が重たい証拠だ。
800mあたりから徐々にブナ林が増えていい雰囲気になるのがせめてもの救い。とにかく一歩ずつ進むしかない。
Ca1000mのホハレ峠へのジャンクションまで行けば雪質も変わるかもしれない。ほのかな期待を抱いて我慢の時間が
過ぎた。
[attachment=4]P1110197_1.JPG[/attachment]
やっとCa1000mジャンクションに着いた。取り付きからなんと2時間半以上も掛かっている。
これで雪質が変わらなければ敗退必至だ。せめて1075mピークまで行ってランチにしよう。
そう思って蕎麦粒山南西尾根に一歩を踏み出した。沈まない。雪質は劇的に変わった。スノーシューのフレームの形が
雪面に残る程度だ。折れそうになっていた心の中で何かが動いた。行こう。
まずは腹ごしらえだ。風を避けて東面の雪堤の下でエネルギーを補給する。いつもあまり食べないし飲まないので意識
的に摂るようにしないといけない。
1075mピークまでは右上に蕎麦粒山を眺めながらの稜線漫歩だ。ほとんどアップダウンはなく快適な歩行である。
1075mピークに立つと、これまで遮られていた北側の展望が一気に広がった。奥美濃北西部と越美国境の山々のほ
とんどを手中に収めることができる。ひとつひとつ山を数えるのは山頂での楽しみにしておこう。
ここから山頂へは一旦下って280mの登り返しだ。やたら山頂部が近くに見えるが、本当の山頂は見えないはずであ
る。
鞍部へ向かっては間に緩やかな谷状地形を挟んで二重山稜状になっている。無雪期のルートは左の短い尾根を下りる
のだが、右の広い尾根と谷間にこそこの場所の魅力がある。
疎林の尾根と緩やかな谷あいが作り出す地形の妙は、ヤブが埋もれる積雪期にしか感じることができない季節限定の
プレゼントだ。但しブナの大木は左側の尾根の方が多い。
谷へ下りて左の尾根に乗り換える。かなりの太さのブナの並木が続いている。
[attachment=3]P1110231_1.JPG[/attachment]
そしていよいよ山頂への急登に入った。単に急なだけではなく、無雪期は強烈なヤブで道はほとんど左斜面を巻いて
付けられているように、尾根芯は痩せたヤブの上に積もった雪で不安定なのだ。
尾根の右側を見るとスッパリと切れ落ちて、とても雪の上を歩く気はしない。雪の積もった尾根に見えて、実体はシャク
ナゲジャングルの上に雪が乗っているだけだ。
命が惜しいので左斜面から巻いて行く。こういう時は夏道があるので助かるのだ。
しかしスノーシューのままでは歩きにくいことこの上ない。これならアイゼンを履いた方がいいかもと一度履き替えてみ
たが、10mも歩かないうちにその考えが間違いであることに気付かされた。つぼ足ではとても歩けたものではない。
再びスノーシューを履く。
[attachment=2]P1110277_1.JPG[/attachment]
青空と真っ白な雪の境界線。目の前に見える青と白の比率が変わって行き、ついに青だけになった。蕎麦粒山頂だ。
今年は雪が少ないと思っていたが十分な雪量だ。
高度感満点の山頂からは何ものにも遮られることのない360度の大パノラマが得られる。
間近に見える黒津、天狗、五蛇池から小津権現、花房、雷倉、能郷白山、姥ヶ岳、磯倉、杉倉、若丸、冠、金草、千
回沢、不動、笹ヶ峰、美濃俣丸、三周、烏帽子、高丸、三国、左千方、神又峰、猫ヶ洞、土蔵、大ダワ、横山、トガス、
湧谷、金糞、伊吹、ブンゲン、貝月、鍋倉、そして御岳。白山は霞んでよく見えない。
何度となく登ったわが愛すべき山々を余すことなく眺められる孤高の展望台はまさに「奥美濃ど真ん中」だ。
県境稜線を除くと高丸以外にここより高いところはない。
[attachment=1]P1110278_1.JPG[/attachment]
南側にできた雪の壁の下がお誂え向きのランチ場になっていた。風も遮り、日差しがぽかぽかと暖かい。
この贅沢な眺めを肴に飲むビールが不味かろうはずはない。
ぐつぐつと煮える鴨鍋も旨い。ビールはすぐになくなり、ロング缶にすればよかったと悔やむ。
下山開始のリミットを2時と決めてのんびりと寛いだ。
今日はぜんざいの代わりに生姜湯とコーヒーで締めて下山の準備に掛かる。
去り難いとはまさにこういう気持ちを言うのだろう。いつまでも眺めていたいがそうもいかない。もう一度四方を見渡して、
後ろ髪引かれる思いで山頂を後にした。
このルートの下山での登り返しは1075mピークのわずかな登りだけなので気が楽だ。
1075mピークの北端で再び展望を楽しんで、その姿を目に焼き付ける。山頂では霞んでいた白山がくっきりとその姿を
現わした。去年歩いた烏帽子から高丸への雪稜も素晴らしい。
ホハレ峠ジャンクションまでの稜線は東側に大きな雪堤ができ、斜光線に照らされて何とも言えぬ陰影を作り出して
いた。雪もまったく緩んでおらず快適である。
[attachment=0]P1110318_1.JPG[/attachment]
ジャンクション下の小台地のブナ林の雪面に伸びた影が美しい。ここからが逆落としの下りだ。
ある程度予想はしていたものの、思った以上に雪が腐っていた。自分のトレースを踏んでもその深さで止まることはな
い。新しい雪面を選んで進むがスノーシューの上に乗った雪が重たい。
雑木林から植林帯へ移ると状態はますます悪化するばかり。グサグサの雪はズルッと滑ると止まらない。
これならつぼ足の方がマシかもしれないと脱いでみたら、5歩進んで股まで埋もれる始末。スノーシューを履いていても
木の根元の空洞に嵌り込んでもがいてしまう。七転八倒でまったく始末に負えない。
1時間でお釣りが来ると思われた下りで思わぬ苦戦を強いられ、たっぷり汗をかかされてやっとの思いで河原に辿り着
いた。
自分のスノーシューのトレースにつぼ足の足跡が付いていた。河原まで遊びに来たのだろうか。
疲労で足が重くなり、雪が切れるところまでずいぶん長く感じてしまった。
遊ランドまで戻ると、小さい子を連れた地元の軽トラのおじさんに声を掛けられた。
「どこまで行って来た?」「蕎麦粒です。」「へえー、よう行って来たなあ。」と感心されて、なんだか嬉しくなってしまった。
雪の蕎麦粒、本当にいい山だった。
山日和
【山 域】奥美濃 蕎麦粒山1296.7m
【天 候】晴れ
【コース】遊らんど坂内7:00---西俣出合7:40---10:25 Ca1000mジャンクション10:40---11:10 P1075m 11:20---
12:40蕎麦粒山14:00---14:45 P1075m 15:00---15:25ジャンクション---16:40西俣出合---17:15駐車地
大谷川の林道は遊らんど坂内のスキー場跡まで除雪されていた。工事が入っているようで、まだ先まで除雪されて
いそうだが、駐車する場所がないと困るので除雪されたスペースに止める。
奥美濃には珍しく単独の女性が出発の用意をしていた。湧谷山へ行くようだ。蕎麦粒へ行くと言うと、「蕎麦粒も行き
たかったんですけど、この辺は初めてなんで・・・」と言う。それならまずは湧谷あたりで雰囲気をつかむのがいいだろ
う。湧谷と言えど、雪の状態次第では去年のスノー衆のように行き着けないこともある。
出発しようとして時計がないことに気が付いた。家に忘れてきてしまったのだ。
時間を知る手段は携帯、デジカメ、GPSと3つもあるし、高度もGPSで分かるので問題はない。
今日はあまり時間も高度も気にせず歩いてみよう。
林道が左岸に渡った少し先で除雪は終わっていた。遊らんどに止めて正解だ。林道上は50センチほどの積雪。足を
踏み入れてすぐにスノーシューを履いた。つぼ足だと雪はボソボソでひざまで潜る。やれやれ。
昨日の雨が利いたのか、予想とはかなり違う雪質である。
スノーシューで雪面に乗ってガシガシと歩くイメージだったのだが、こんなんで蕎麦粒山まで辿り着けるのだろうか。
雪面には今日のものではないワカンの跡がうっすらと残っていた。
雪原となった河原を横切り、西俣谷の合流点付近で渡渉点を探る。水量は少なく、足首程度の潜りで浸水することも
なく渡り切った。こういう場面でもスノーシューは安定して有効だ。
無雪期の道を外れて植林の斜面を上がる。スノーシューの沈みは20センチ程度だが、あまりいい雪質ではない。
やっと植林帯が終わって雑木林に入ると蕎麦粒山の南面が圧倒的な迫力で迫る。今のペースからするとあまりにも遠
い山頂だ。
自分の後ろに残るのは2本のレールを引いて行くスノーシューらしいトレースではなく、金型で打ち抜いたような足跡に
なるのは雪が重たい証拠だ。
800mあたりから徐々にブナ林が増えていい雰囲気になるのがせめてもの救い。とにかく一歩ずつ進むしかない。
Ca1000mのホハレ峠へのジャンクションまで行けば雪質も変わるかもしれない。ほのかな期待を抱いて我慢の時間が
過ぎた。
[attachment=4]P1110197_1.JPG[/attachment]
やっとCa1000mジャンクションに着いた。取り付きからなんと2時間半以上も掛かっている。
これで雪質が変わらなければ敗退必至だ。せめて1075mピークまで行ってランチにしよう。
そう思って蕎麦粒山南西尾根に一歩を踏み出した。沈まない。雪質は劇的に変わった。スノーシューのフレームの形が
雪面に残る程度だ。折れそうになっていた心の中で何かが動いた。行こう。
まずは腹ごしらえだ。風を避けて東面の雪堤の下でエネルギーを補給する。いつもあまり食べないし飲まないので意識
的に摂るようにしないといけない。
1075mピークまでは右上に蕎麦粒山を眺めながらの稜線漫歩だ。ほとんどアップダウンはなく快適な歩行である。
1075mピークに立つと、これまで遮られていた北側の展望が一気に広がった。奥美濃北西部と越美国境の山々のほ
とんどを手中に収めることができる。ひとつひとつ山を数えるのは山頂での楽しみにしておこう。
ここから山頂へは一旦下って280mの登り返しだ。やたら山頂部が近くに見えるが、本当の山頂は見えないはずであ
る。
鞍部へ向かっては間に緩やかな谷状地形を挟んで二重山稜状になっている。無雪期のルートは左の短い尾根を下りる
のだが、右の広い尾根と谷間にこそこの場所の魅力がある。
疎林の尾根と緩やかな谷あいが作り出す地形の妙は、ヤブが埋もれる積雪期にしか感じることができない季節限定の
プレゼントだ。但しブナの大木は左側の尾根の方が多い。
谷へ下りて左の尾根に乗り換える。かなりの太さのブナの並木が続いている。
[attachment=3]P1110231_1.JPG[/attachment]
そしていよいよ山頂への急登に入った。単に急なだけではなく、無雪期は強烈なヤブで道はほとんど左斜面を巻いて
付けられているように、尾根芯は痩せたヤブの上に積もった雪で不安定なのだ。
尾根の右側を見るとスッパリと切れ落ちて、とても雪の上を歩く気はしない。雪の積もった尾根に見えて、実体はシャク
ナゲジャングルの上に雪が乗っているだけだ。
命が惜しいので左斜面から巻いて行く。こういう時は夏道があるので助かるのだ。
しかしスノーシューのままでは歩きにくいことこの上ない。これならアイゼンを履いた方がいいかもと一度履き替えてみ
たが、10mも歩かないうちにその考えが間違いであることに気付かされた。つぼ足ではとても歩けたものではない。
再びスノーシューを履く。
[attachment=2]P1110277_1.JPG[/attachment]
青空と真っ白な雪の境界線。目の前に見える青と白の比率が変わって行き、ついに青だけになった。蕎麦粒山頂だ。
今年は雪が少ないと思っていたが十分な雪量だ。
高度感満点の山頂からは何ものにも遮られることのない360度の大パノラマが得られる。
間近に見える黒津、天狗、五蛇池から小津権現、花房、雷倉、能郷白山、姥ヶ岳、磯倉、杉倉、若丸、冠、金草、千
回沢、不動、笹ヶ峰、美濃俣丸、三周、烏帽子、高丸、三国、左千方、神又峰、猫ヶ洞、土蔵、大ダワ、横山、トガス、
湧谷、金糞、伊吹、ブンゲン、貝月、鍋倉、そして御岳。白山は霞んでよく見えない。
何度となく登ったわが愛すべき山々を余すことなく眺められる孤高の展望台はまさに「奥美濃ど真ん中」だ。
県境稜線を除くと高丸以外にここより高いところはない。
[attachment=1]P1110278_1.JPG[/attachment]
南側にできた雪の壁の下がお誂え向きのランチ場になっていた。風も遮り、日差しがぽかぽかと暖かい。
この贅沢な眺めを肴に飲むビールが不味かろうはずはない。
ぐつぐつと煮える鴨鍋も旨い。ビールはすぐになくなり、ロング缶にすればよかったと悔やむ。
下山開始のリミットを2時と決めてのんびりと寛いだ。
今日はぜんざいの代わりに生姜湯とコーヒーで締めて下山の準備に掛かる。
去り難いとはまさにこういう気持ちを言うのだろう。いつまでも眺めていたいがそうもいかない。もう一度四方を見渡して、
後ろ髪引かれる思いで山頂を後にした。
このルートの下山での登り返しは1075mピークのわずかな登りだけなので気が楽だ。
1075mピークの北端で再び展望を楽しんで、その姿を目に焼き付ける。山頂では霞んでいた白山がくっきりとその姿を
現わした。去年歩いた烏帽子から高丸への雪稜も素晴らしい。
ホハレ峠ジャンクションまでの稜線は東側に大きな雪堤ができ、斜光線に照らされて何とも言えぬ陰影を作り出して
いた。雪もまったく緩んでおらず快適である。
[attachment=0]P1110318_1.JPG[/attachment]
ジャンクション下の小台地のブナ林の雪面に伸びた影が美しい。ここからが逆落としの下りだ。
ある程度予想はしていたものの、思った以上に雪が腐っていた。自分のトレースを踏んでもその深さで止まることはな
い。新しい雪面を選んで進むがスノーシューの上に乗った雪が重たい。
雑木林から植林帯へ移ると状態はますます悪化するばかり。グサグサの雪はズルッと滑ると止まらない。
これならつぼ足の方がマシかもしれないと脱いでみたら、5歩進んで股まで埋もれる始末。スノーシューを履いていても
木の根元の空洞に嵌り込んでもがいてしまう。七転八倒でまったく始末に負えない。
1時間でお釣りが来ると思われた下りで思わぬ苦戦を強いられ、たっぷり汗をかかされてやっとの思いで河原に辿り着
いた。
自分のスノーシューのトレースにつぼ足の足跡が付いていた。河原まで遊びに来たのだろうか。
疲労で足が重くなり、雪が切れるところまでずいぶん長く感じてしまった。
遊ランドまで戻ると、小さい子を連れた地元の軽トラのおじさんに声を掛けられた。
「どこまで行って来た?」「蕎麦粒です。」「へえー、よう行って来たなあ。」と感心されて、なんだか嬉しくなってしまった。
雪の蕎麦粒、本当にいい山だった。
山日和
奥美濃には珍しく単独の女性が出発の用意をしていた。湧谷山へ行くようだ。