【大峰】霧氷の回廊 頂仙岳
Posted: 2013年1月28日(月) 21:44
【日 付】2013年1月27日(日)
【山 域】大峰山脈中部 頂仙岳1717.6m
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】熊渡8:03---8:39林道終点---10:47川合道11:00---12:24頂仙岳13:26---14:17カナビキ尾根分岐14:27---
15:02天女の舞---16:18上部林道---16:55熊渡
川迫(こうぜい)川沿いに走る国道とは名ばかりの酷道309号線にはほとんど雪の影もなかった。北の方は昨日から
大雪が降り続いている。スタートしていくらも進まない内にギブアップするのも嫌なので大峰を選んだのだが、予想以
上に雪が少ないようだ。これを楽勝と喜ぶべきなのか、面白みが少ないと憂うべきなのか。
弥山川入口の熊渡に4台の車が止まっていたのは予想外だった。下山したのか1台分のスペースがぽっかりと空い
ていて助かった。
ここから林道を進んで弥山川左岸尾根であるカナビキ尾根を辿るのは7年振りである。
前回は八経ヶ岳を目指したものの、時間、体力ともに不足して日裏山で敗退している。おまけにその時は弥山川の源
流で川にはまってしまった。
forum/1654.html
厳冬期の八経ヶ岳日帰りはよほどの好条件が揃わないと難しい。今回は出発が遅いこともあって途中の頂仙岳が目
標だ。
林道はうっすら雪が積もっているが、地肌が露出しているところもある。数名分の足跡が残っているが、下山の足跡
は先ほどのスペースの主だろう。昨日のものにしては真新しい感じだが、今日だったら時間が早過ぎる。
林道終点から斜面を巻くように植林帯を上がって行く。このルートはカナビキ尾根とは言いながら、尾根芯を歩くところ
は意外に少ない。
中途半端な積雪の下に凍結層があり、足跡で固められているせいもあってアイゼンを履いた。なくても歩けないわけで
はないが、スリップしまいと踏ん張る力のロスがもったいないのだ。
やっと尾根に乗った。ここは両サイドが植林ながら、尾根芯だけは気持ちのいい自然林が残されているいいところだ。
トレースはなぜか夏道を忠実に辿って植林の中をトラバースするように付けられていた。どうせなら真っすぐ尾根を上が
ればいいのにと思いながらもありがたくトレースを使わせて頂く。このあたりで積雪は50センチぐらいか。
2人パーティーが下りてきた。この時間の下山なら泊まりのはずだがやけに荷物が小さい。
次に下りてきたのはデカいザックを担いだ単独者。足元はライトニングアッセントだ。この雪質でこの急な尾根をスノーシ
ューで下りるとはなかなかの使い手だろう。
しかしスノーシューのおかげでトレースのステップが消えて斜面になってしまって歩き辛い。登りはともかく、急な下りの
スノーシューのトレースはシリセード跡みたいなもので、つぼ足登山者にとってはいい迷惑だろう。
スノーシュー派の自分としても考えさせられた。
あまり面白みのないカナビキ尾根ルートは最後に劇的な展開を見せる。右から上がってくるナメリ谷の源頭部にはブ
ナ林が広がり、見渡す限り純白の衣装を纏っている。今年初の霧氷は期待をはるかに上回る素晴らしさで現われた。
頭上には青空が広がり、霧氷の美しさを一段と引き立てている。このあたりまで来ると雪はぐっと増えて、トレースを外
れると太ももあたりまで潜ることもある。
トレースはそのまま弥山方面へ上がっているので、トラバースして最低鞍部へ向かう。川合からの登山道と出合うこ
の鞍部には素晴らしいブナ林が広がる。栃尾辻方面にもブナ林が続き、小広い尾根上は霧氷の回廊となっていた。
全身に氷を纏って凍てついたブナが寒そうに見えないのは日の光のおかげだ。太陽はすべての生きるものに命を吹き
込んでくれる。
[attachment=0]P1110023_1_1.JPG[/attachment]
アイゼンをスノーシューに換装して弥山方面へ向かうと積雪量が目に見えて増えてきた。
深い森の中を行くこの尾根道では強風で雪が飛ばされることもなく、ただ降り積もるばかりなのだろう。それでも時々風
の通り道になっているところがあり、そこではまったく沈まないほどクラストしている。
ブナは少なく針葉樹が主体の森で、枝葉にたっぷり着いた雪氷の重みで垂れ下がってちょっと変わったオブジェを作り
出していた。
前方から2人パーティーがやってきた。20代と見える若者で、狼平から弥山まで頑張ったが八経ヶ岳には届かなかっ
たと屈託なく笑っている。トレースもバッチリ付けときましたと笑顔で下って行った。
こういう若者が増えれば登山界も心強いというものだ。
1598mピークを巻いて頂仙岳北の鞍部に着いた。ここからはトレースを外れて直登ルートを進む。トレースは夏道通り
西斜面を巻いている。
深い新雪とクラスト雪面が交互に現われた。新雪の下は凍結しているところが多く、足を踏み込んでもズルズルと後退
してしまうので難儀である。
山頂まではわずかな登りを残すだけなのに、どうせ山頂に立ったところで展望がいいわけでもいい樹林があるわけでも
ないしと、やめる言い訳を考えている自分が情けない。
[attachment=1]P1110048_1_1.JPG[/attachment]
モンスターのような雪に覆われた針葉樹が通せんぼをするようになると頂仙岳山頂だ。木の間を縫ってわずかな切り
開きのある三角点に立った。
山頂をカットして適当なところでメシを食って帰ってもそれなりの満足感は得られるだろう。しかし山頂に到達することで
初めて山行として完結する部分もあるのは確かだ。
やっぱりここまで来てよかったと思う。晴れそうでなかなかスカッと晴れてはくれないが、風もなく穏やかだ。三角点の
横に腰を降ろしていつもの鍋ランチを楽しむ。
ほとんど展望のない山頂で、わずかに北方向の一部だけが開け、弥山からトサカ尾への稜線が一面の霧氷に覆われ
て輝いていた。
カナビキ尾根の分岐まで戻る途中で単独者が上がってきた。この時間なら泊まりしかあり得ないが荷物は少なそうで
ワカンも持っていない。軽く挨拶をしただけで通り過ぎた。
このままカナビキ尾根を下りたのでは芸がない。P1518mの先から北に伸びる尾根を下りてみよう。
尾根の分岐のあたりは「天女の舞」と名付けられているらしい。なんともベタなネーミングだが、それなりの理由はある
のだろう。もちろん昔にはなかった名前である。
ノートレースのはずの行く手には先の若者2人組の足跡が残されていた。下に止まっていた4台の内の1台だとは思っ
ていたが、同じことを考えていたのか。
鞍部からP1518mへの緩やかな登りに本日一番のブナ林があった。悉く霧氷に輝いて、美しいという言葉さえ陳腐に思
えてしまう。
[attachment=2]P1110099_1_1.JPG[/attachment]
P1518はいいピークだった。頂仙岳よりもはるかに落ち着くランチの適地である。このピークは以外に展望も利き、大峰
前衛の山々を望むことができる。
ここからわずかに下ったところが北尾根の分岐点だが、意外なことにトレースは栃尾辻の方へ向かっていた。ということ
は、駐車地の車の主ではないということか。
こちらも少し栃尾辻の方へ下って「天女の舞」の看板を確かめた。確かにいいところであるが、この命名の根拠は何な
のだろう。ある条件、例えば霧氷が風に飛ばされてあたり一面キラキラと輝いていたというようなことなら場所とは関係
ない。特殊な条件に恵まれなければ見られない風景を地名とするべきではないと思うがどうなのだろう。先に述べたこ
とは私の想像に過ぎないが。ここへ夏に来て、青々とした樹林を眺めて天女が舞っているようだとはとても言えないと思
うのである。
[attachment=4]P1110120_1_1.JPG[/attachment][attachment=3]P1110111_1_1.JPG[/attachment]
閑話休題。
「天女の舞」あたりからは稲村ヶ岳・大日山の迫力満点の姿を望むことができる。その真っ白な姿はびっしりと霧氷に覆
われていることを想像させる。稲村や山上ヶ岳も今日の候補地に入っていた。山行に展望というスパイスを加えるならば
そちらの方がよかったかもしれない。しかし何度も登り過ぎて新鮮味という点では物足りないのもまた事実である。
北尾根に入る。尾根芯はブナ林でなかなかいいじゃないかと思わせた。ところが少し進むと早くも植林帯となり、それ
は最後まで変わることがなかった。趣向を変えるという意味ではいい選択だと思ったのだが、これならカナビキ尾根の
方がマシである。
急斜面を終えて尾根が広大になった地点では方向を間違えて、危うく東へ下りそうになってしまった。
地図を見ていれば北に進みさえすればというところだが、結構地形が複雑なのと植林で見通しが利かないのとで50m
ほど下ってから気付いて登り返すという失態を演じてしまったのだ。ここまで途切れなくテープがあったのに屈曲点で
見失ったのも一因だが、だいたいテープを頼りに歩いていること自体が失格である。
本来の尾根に戻ると見事なほどの植林、伐採斜面が続いた。伐木がそのままなので真っすぐ下りられない。
やがて地図にない林道に出た。これはネット情報で確認済だ。ショートカットして直線的に下り、林道の最下部に出た。
これを右に取れば朝の林道の弥山川分岐あたりに出るが遠回りだ。このまま直進すれば距離は大幅に短縮できる。
但し、ここを歩いた記録は見ていない。伐採跡の雪がわずかに積もっただだっ広い斜面を委細構わず進む。
下りの途中で履き替えたアイゼンはそのままだ。最後は右へ回り込んで段差なく林道へ下り立った。
そこから先の林道の法面は20~30mはあるガケが続いて、左寄りに進めば立ち往生していただろう。
駐車地に戻ると朝あった車はなく、新しい車が1台止まっていた。これが頂仙岳からの帰路で出合った単独者のもの
だろう。と思っていたら林道を2人連れが下りてきた。聞けば双門滝を見に行ったが行き着けずに帰ってきたと言う。
そして彼らがこの車の主だった。と言うことは、山上であった単独者はどこから来たのか。カナビキ尾根分岐から天女
の舞の間は若者2人組の下りのトレースしかなかったはずである。単独者にはちゃんと足があったと思うが・・・
下山後は久しぶりの天の川温泉で冷え切った体を温めた。ここの桧風呂は最高に心地良く、適温の湯と相まって至
福のひと時を与えてくれた。冬の夕方ともなればほとんど客もおらずほとんど貸切状態。
すっかり温まって帰る頃には、私の車が最後の1台になっていた。
山日和
【山 域】大峰山脈中部 頂仙岳1717.6m
【天 候】曇り時々晴れ
【コース】熊渡8:03---8:39林道終点---10:47川合道11:00---12:24頂仙岳13:26---14:17カナビキ尾根分岐14:27---
15:02天女の舞---16:18上部林道---16:55熊渡
川迫(こうぜい)川沿いに走る国道とは名ばかりの酷道309号線にはほとんど雪の影もなかった。北の方は昨日から
大雪が降り続いている。スタートしていくらも進まない内にギブアップするのも嫌なので大峰を選んだのだが、予想以
上に雪が少ないようだ。これを楽勝と喜ぶべきなのか、面白みが少ないと憂うべきなのか。
弥山川入口の熊渡に4台の車が止まっていたのは予想外だった。下山したのか1台分のスペースがぽっかりと空い
ていて助かった。
ここから林道を進んで弥山川左岸尾根であるカナビキ尾根を辿るのは7年振りである。
前回は八経ヶ岳を目指したものの、時間、体力ともに不足して日裏山で敗退している。おまけにその時は弥山川の源
流で川にはまってしまった。
forum/1654.html
厳冬期の八経ヶ岳日帰りはよほどの好条件が揃わないと難しい。今回は出発が遅いこともあって途中の頂仙岳が目
標だ。
林道はうっすら雪が積もっているが、地肌が露出しているところもある。数名分の足跡が残っているが、下山の足跡
は先ほどのスペースの主だろう。昨日のものにしては真新しい感じだが、今日だったら時間が早過ぎる。
林道終点から斜面を巻くように植林帯を上がって行く。このルートはカナビキ尾根とは言いながら、尾根芯を歩くところ
は意外に少ない。
中途半端な積雪の下に凍結層があり、足跡で固められているせいもあってアイゼンを履いた。なくても歩けないわけで
はないが、スリップしまいと踏ん張る力のロスがもったいないのだ。
やっと尾根に乗った。ここは両サイドが植林ながら、尾根芯だけは気持ちのいい自然林が残されているいいところだ。
トレースはなぜか夏道を忠実に辿って植林の中をトラバースするように付けられていた。どうせなら真っすぐ尾根を上が
ればいいのにと思いながらもありがたくトレースを使わせて頂く。このあたりで積雪は50センチぐらいか。
2人パーティーが下りてきた。この時間の下山なら泊まりのはずだがやけに荷物が小さい。
次に下りてきたのはデカいザックを担いだ単独者。足元はライトニングアッセントだ。この雪質でこの急な尾根をスノーシ
ューで下りるとはなかなかの使い手だろう。
しかしスノーシューのおかげでトレースのステップが消えて斜面になってしまって歩き辛い。登りはともかく、急な下りの
スノーシューのトレースはシリセード跡みたいなもので、つぼ足登山者にとってはいい迷惑だろう。
スノーシュー派の自分としても考えさせられた。
あまり面白みのないカナビキ尾根ルートは最後に劇的な展開を見せる。右から上がってくるナメリ谷の源頭部にはブ
ナ林が広がり、見渡す限り純白の衣装を纏っている。今年初の霧氷は期待をはるかに上回る素晴らしさで現われた。
頭上には青空が広がり、霧氷の美しさを一段と引き立てている。このあたりまで来ると雪はぐっと増えて、トレースを外
れると太ももあたりまで潜ることもある。
トレースはそのまま弥山方面へ上がっているので、トラバースして最低鞍部へ向かう。川合からの登山道と出合うこ
の鞍部には素晴らしいブナ林が広がる。栃尾辻方面にもブナ林が続き、小広い尾根上は霧氷の回廊となっていた。
全身に氷を纏って凍てついたブナが寒そうに見えないのは日の光のおかげだ。太陽はすべての生きるものに命を吹き
込んでくれる。
[attachment=0]P1110023_1_1.JPG[/attachment]
アイゼンをスノーシューに換装して弥山方面へ向かうと積雪量が目に見えて増えてきた。
深い森の中を行くこの尾根道では強風で雪が飛ばされることもなく、ただ降り積もるばかりなのだろう。それでも時々風
の通り道になっているところがあり、そこではまったく沈まないほどクラストしている。
ブナは少なく針葉樹が主体の森で、枝葉にたっぷり着いた雪氷の重みで垂れ下がってちょっと変わったオブジェを作り
出していた。
前方から2人パーティーがやってきた。20代と見える若者で、狼平から弥山まで頑張ったが八経ヶ岳には届かなかっ
たと屈託なく笑っている。トレースもバッチリ付けときましたと笑顔で下って行った。
こういう若者が増えれば登山界も心強いというものだ。
1598mピークを巻いて頂仙岳北の鞍部に着いた。ここからはトレースを外れて直登ルートを進む。トレースは夏道通り
西斜面を巻いている。
深い新雪とクラスト雪面が交互に現われた。新雪の下は凍結しているところが多く、足を踏み込んでもズルズルと後退
してしまうので難儀である。
山頂まではわずかな登りを残すだけなのに、どうせ山頂に立ったところで展望がいいわけでもいい樹林があるわけでも
ないしと、やめる言い訳を考えている自分が情けない。
[attachment=1]P1110048_1_1.JPG[/attachment]
モンスターのような雪に覆われた針葉樹が通せんぼをするようになると頂仙岳山頂だ。木の間を縫ってわずかな切り
開きのある三角点に立った。
山頂をカットして適当なところでメシを食って帰ってもそれなりの満足感は得られるだろう。しかし山頂に到達することで
初めて山行として完結する部分もあるのは確かだ。
やっぱりここまで来てよかったと思う。晴れそうでなかなかスカッと晴れてはくれないが、風もなく穏やかだ。三角点の
横に腰を降ろしていつもの鍋ランチを楽しむ。
ほとんど展望のない山頂で、わずかに北方向の一部だけが開け、弥山からトサカ尾への稜線が一面の霧氷に覆われ
て輝いていた。
カナビキ尾根の分岐まで戻る途中で単独者が上がってきた。この時間なら泊まりしかあり得ないが荷物は少なそうで
ワカンも持っていない。軽く挨拶をしただけで通り過ぎた。
このままカナビキ尾根を下りたのでは芸がない。P1518mの先から北に伸びる尾根を下りてみよう。
尾根の分岐のあたりは「天女の舞」と名付けられているらしい。なんともベタなネーミングだが、それなりの理由はある
のだろう。もちろん昔にはなかった名前である。
ノートレースのはずの行く手には先の若者2人組の足跡が残されていた。下に止まっていた4台の内の1台だとは思っ
ていたが、同じことを考えていたのか。
鞍部からP1518mへの緩やかな登りに本日一番のブナ林があった。悉く霧氷に輝いて、美しいという言葉さえ陳腐に思
えてしまう。
[attachment=2]P1110099_1_1.JPG[/attachment]
P1518はいいピークだった。頂仙岳よりもはるかに落ち着くランチの適地である。このピークは以外に展望も利き、大峰
前衛の山々を望むことができる。
ここからわずかに下ったところが北尾根の分岐点だが、意外なことにトレースは栃尾辻の方へ向かっていた。ということ
は、駐車地の車の主ではないということか。
こちらも少し栃尾辻の方へ下って「天女の舞」の看板を確かめた。確かにいいところであるが、この命名の根拠は何な
のだろう。ある条件、例えば霧氷が風に飛ばされてあたり一面キラキラと輝いていたというようなことなら場所とは関係
ない。特殊な条件に恵まれなければ見られない風景を地名とするべきではないと思うがどうなのだろう。先に述べたこ
とは私の想像に過ぎないが。ここへ夏に来て、青々とした樹林を眺めて天女が舞っているようだとはとても言えないと思
うのである。
[attachment=4]P1110120_1_1.JPG[/attachment][attachment=3]P1110111_1_1.JPG[/attachment]
閑話休題。
「天女の舞」あたりからは稲村ヶ岳・大日山の迫力満点の姿を望むことができる。その真っ白な姿はびっしりと霧氷に覆
われていることを想像させる。稲村や山上ヶ岳も今日の候補地に入っていた。山行に展望というスパイスを加えるならば
そちらの方がよかったかもしれない。しかし何度も登り過ぎて新鮮味という点では物足りないのもまた事実である。
北尾根に入る。尾根芯はブナ林でなかなかいいじゃないかと思わせた。ところが少し進むと早くも植林帯となり、それ
は最後まで変わることがなかった。趣向を変えるという意味ではいい選択だと思ったのだが、これならカナビキ尾根の
方がマシである。
急斜面を終えて尾根が広大になった地点では方向を間違えて、危うく東へ下りそうになってしまった。
地図を見ていれば北に進みさえすればというところだが、結構地形が複雑なのと植林で見通しが利かないのとで50m
ほど下ってから気付いて登り返すという失態を演じてしまったのだ。ここまで途切れなくテープがあったのに屈曲点で
見失ったのも一因だが、だいたいテープを頼りに歩いていること自体が失格である。
本来の尾根に戻ると見事なほどの植林、伐採斜面が続いた。伐木がそのままなので真っすぐ下りられない。
やがて地図にない林道に出た。これはネット情報で確認済だ。ショートカットして直線的に下り、林道の最下部に出た。
これを右に取れば朝の林道の弥山川分岐あたりに出るが遠回りだ。このまま直進すれば距離は大幅に短縮できる。
但し、ここを歩いた記録は見ていない。伐採跡の雪がわずかに積もっただだっ広い斜面を委細構わず進む。
下りの途中で履き替えたアイゼンはそのままだ。最後は右へ回り込んで段差なく林道へ下り立った。
そこから先の林道の法面は20~30mはあるガケが続いて、左寄りに進めば立ち往生していただろう。
駐車地に戻ると朝あった車はなく、新しい車が1台止まっていた。これが頂仙岳からの帰路で出合った単独者のもの
だろう。と思っていたら林道を2人連れが下りてきた。聞けば双門滝を見に行ったが行き着けずに帰ってきたと言う。
そして彼らがこの車の主だった。と言うことは、山上であった単独者はどこから来たのか。カナビキ尾根分岐から天女
の舞の間は若者2人組の下りのトレースしかなかったはずである。単独者にはちゃんと足があったと思うが・・・
下山後は久しぶりの天の川温泉で冷え切った体を温めた。ここの桧風呂は最高に心地良く、適温の湯と相まって至
福のひと時を与えてくれた。冬の夕方ともなればほとんど客もおらずほとんど貸切状態。
すっかり温まって帰る頃には、私の車が最後の1台になっていた。
山日和
【山 域】大峰山脈中部 頂仙岳1717.6m