【鈴鹿】 消えた龍神のブナ 遠足尾根
Posted: 2013年1月22日(火) 10:19
【鈴鹿】 消えた龍神のブナ 遠足尾根
2013.01.20(SUN) 曇りのち雪 往路 単独 復路 拾い人
コース 落合橋駐車場8:00=遠足新道取り付き=遠足尾根出合9:30=龍神のブナ11:06(ガラン谷源頭) 往復
昨年末「『三重県の山』重版につき、変更箇所があれば知らせたし」という指令がヤマケイからきた。9月18日の集中豪雨で被害があった登山道を箇条書きにして送った。竜ヶ岳ではホタガ谷道が通行禁止になったので、遠足新道を代替えとして使うようにと書いた。しかし書いた本人が遠足新道をまだ未体験なのだ(^◇^)。これではまずかろうと本日見に行くことにする。本とは関係ないが、ガラン谷崩壊具合の観察も目的の一つ。あと正月に溜めこんだカロリー消費も。
落合橋無料駐車場は数台の先客。ここには「車上荒らし注意」の看板がある。私の停めた所にもガラスの破片が散乱していた。貴重品は置かないことだ。さらに言うならロックしない方がガラスを割られなくていいかも。案内所の料金徴収のおじさん(Sさん)は冬でもいる。ここの有料Pに停めればおじさんの監視つきで車上荒らしは心配無用となる。うまいシステムだ。300円の差額は用心棒代と考えればよい。登山届を出して林道をテクテク登って行く。
新道というからには登山道に昇格した訳で、林道に取り付きの看板ぐらい出来ただろうと思う。ところが行けども行けどもそれらしき看板はない。もうホタガ谷取り付きが近づいてきて、「これはいかん、どうも見落としたに違いない」と思った。戻るのもあほらしいなと考えていたら、それは突然現れた。地図を見て、この急な尾根に道を付けたのかと驚く。遠足尾根取り付きを開削するなら・566経由だと勝手に思い込んでいた。やっぱり来てみないと分からないものだ。
植林の中に付けられたジグザグをひたすら登る。もともと植林の中は薄い道があるが、ここは登山道にふさわしく完全に整備されていてサルでも登れる。いや山登りに関してはサルの方が5枚も10枚も上手だった。整備はいいが、変化もなく植林しか見えないルートである。それでもまばらだった雪が550mほどから白一面に変わって面白くなってきた。二人組の人に追いつき道を譲られて抜く。しかし今度追いつかれると恥ずかしいので休めない。630mほどの場所に岩が積み重なったピークがある。展望があるが、山頂はガスの中。見えているのはクラ付近だろう。登れども登れども着かない。休憩じゃ。よくこんな所に道を付けたものだと関係者のご苦労を思う。
9時30分、ようやく遠足尾根に乗る。大日向(696.5)の北西200mほどの地点だ。駐車場から1時間半もかかった。御在所の中道ならもう山上に着いてる頃だ。宇賀渓は出発点の標高が低いので大変だ。ここから先はもともと使われていたので、整備と言っても目印が増えたくらい。雪はどんどん増えてくる。一気に展望が開ける所まで来たが、やはりガスで本峰は見えない。横殴りの雪が降ってきた。そう寒くはないが顔が冷たい。日曜なので昨日のトレースが十分。今朝の先行者の分もたぶんあるのだろう。試しに横へそれると腿まで潜る。ラッセル泥棒は楽だなあ。泥棒は人聞きが悪いのでラッセル万引き・・・それも人聞きが悪い。ラッセル無許可借用くらいか。
遠足尾根は傾斜が緩いので鼻歌ものだ。しかし964付近まで来ると相当雪が深い。ラッセル跡でもときどき落ちる。もの凄い風が新雪を巻きあげて地吹雪状態になってきた。これぞ冬山だ。前方に山ガール発見。でも男連れ。これを抜くと前からおじさんが下りてきた。「山頂は凄いよ。地吹雪で何も見えない。行っても無駄だと思う」とおっしゃる。私はもともと行くつもりはないのでどうでもいいけど。そろそろルートを外して龍神のブナ方向へ行かねばならないが、後ろに2パーティーがいるので逸れにくい。少し引き離しておいてコソコソと北へ進路を変えた。一気に雪の抵抗が増える。
北側斜面は下から猛烈な風が吹き上げ、雪面はクラストしてピカピカ光っている。だけど潜らないから有難い。やがて凄惨な大ガレが目に入ってきた。ガレの淵付近は一転して吹き溜まりの深雪。しかし重力により泳ぐように下っていく。ブナはこの辺りだったはずだが・・・と見回すが見つからない。雪が深いので歩き廻って探すパワーはないが、視界に入らないはずがない。念のためもう少し標高を下げるが見つからない。もしかしてという考えがよぎる。そう、ガラン谷の崩壊に飲み込まれたと考えるのが自然だ。前回見たときもあまり距離はなかったのである。対岸を見ても間もなく崩落するであろう木々が死刑執行の順番におびえている。だいたいこの谷にはあまり雪がない。念仏ハゲのように滑れるかもという期待もあったが、全く駄目だ。雪がないのは絶え間なく崩壊が続いているからではないだろうか。青川も埋まってしまうはずである。いったいどこまで侵食するのか要観察だ。龍神のブナも人知れず谷に埋もれる運命だったのが、秋狸氏によって世に出され、晩年の花道を飾ることができたと思う。
腹が減って登り返す気力がない。斜面ではあるが、ここで昼にしよう。雪を均す。風が吹き上げるのでツェルトの出番だ。木の間に張ったロープに吊るすが、強風にあおられてとても四隅は固定できない。中にもぐりこんで足や荷物で固定する。バタバタうるさいが中は無風で快適な空間だ。湯を沸かすと少し暖かくなってくる。コンロの熱を受けてスパッツから水分が湯気になって立ち昇る。今頃家では何食べてるのかなあ。
暴風の中撤収する。調子に乗って下り過ぎたので、標高差100mの登り返しで地獄を見た。深いところでは全く進めない。このまま力尽きて死ぬのだろうかと一瞬考えたりする。相変わらずの地吹雪で、谷底から上まで雪の竜巻が登っていくのを見た。面白い現象だ。しかしその向こうには少し青空が見えている。トラバースしてクラストを探す。木の根伝いに行くと割と具合が良い。まあまだ時間はいくらでもあるので、これくらいで遭難するはずもない。ようやく尾根に這いあがって、立ったまま休む。さて予定していた金山尾根に進むか往路で帰るか迷う。二度三度行ったり来たりで優柔不断なことだ。やっと金山尾根に決して進んでいくと深かったトレースがキレイサッパリ消えていた。ブリザードではよくあることだ。これで気力が萎えて、また反転する。
戻って行くと灌木の陰で強風に吹かれて、震えながら昼食中の若者がいた。「もう、やめたの?」と声をかけると「もうとてもダメです。遭難しかかっています」という。私と同じや(^◇^)。「食べませんか」と言って、フライパンの中で焦げかけていたハムをくれた。話をすると雪山初挑戦らしい。「ヤマレコ読んで楽しそうだったので来たのですが、山をなめていました」という。上着は普通のダウンでビショビショに濡れている。「おいちゃん、自信がないから一緒に帰ってくれませんか?」という。山ガなら一も二もないが、ボーズ相手では気が進まないなあ。それにしても、おいちゃんって、お前・・・・。まあ何処から見てもおいちゃんなのだが、助けてもらおうという相手においちゃんはないだろう。「じゃあ立ってるのも寒いから早く撤収してくれ」とせかす。 しかし動きがぎこちない。聞けばかじかんで手が言うことをきかないという。最後は歯でジッパーを締めた。「キミ、ツェルト持ってこなかったのか?」「ツェルトって何ですか?」 オーマイガッ!
こうしてえらい拾いものをして帰った。家族や兄弟、仕事の話までしてくれた。「キミ、若いけど幾つ?」「24っす」「じゃあ平成生まれ?」「ギリ昭和です」「同じ学年に平成生まれいるやろ。うちの次女と同い年だから分かる」とか話しながら下山した。しかし「マジっすか」や「ハンパねー」とかの連発には参る。「○○ねー(無いの意)」と語尾を上げるのは最近良く聞く若者言葉だ。自分の息子なら注意する所だが、まあいいか。案内所で徴収係のおじさんに山頂の様子を聞かれ、しばらく話しこむ。ホタガ谷の復旧はまだ目途がたたないそうな。
お知らせ 昨年取材を受けた廃村茨川の番組がようやく放送になります。私は現場へ行けなかったのでクレジットしか出ないけど、バービーのおじちゃんが多分映ります。残念ながら見られるのは地方ケーブルテレビのCTY管内だけとなります。
放映予定は2月。月水はPM10:30~ 火木土はPM1:00のリピートです。
ハリマオ
2013.01.20(SUN) 曇りのち雪 往路 単独 復路 拾い人
コース 落合橋駐車場8:00=遠足新道取り付き=遠足尾根出合9:30=龍神のブナ11:06(ガラン谷源頭) 往復
昨年末「『三重県の山』重版につき、変更箇所があれば知らせたし」という指令がヤマケイからきた。9月18日の集中豪雨で被害があった登山道を箇条書きにして送った。竜ヶ岳ではホタガ谷道が通行禁止になったので、遠足新道を代替えとして使うようにと書いた。しかし書いた本人が遠足新道をまだ未体験なのだ(^◇^)。これではまずかろうと本日見に行くことにする。本とは関係ないが、ガラン谷崩壊具合の観察も目的の一つ。あと正月に溜めこんだカロリー消費も。
落合橋無料駐車場は数台の先客。ここには「車上荒らし注意」の看板がある。私の停めた所にもガラスの破片が散乱していた。貴重品は置かないことだ。さらに言うならロックしない方がガラスを割られなくていいかも。案内所の料金徴収のおじさん(Sさん)は冬でもいる。ここの有料Pに停めればおじさんの監視つきで車上荒らしは心配無用となる。うまいシステムだ。300円の差額は用心棒代と考えればよい。登山届を出して林道をテクテク登って行く。
新道というからには登山道に昇格した訳で、林道に取り付きの看板ぐらい出来ただろうと思う。ところが行けども行けどもそれらしき看板はない。もうホタガ谷取り付きが近づいてきて、「これはいかん、どうも見落としたに違いない」と思った。戻るのもあほらしいなと考えていたら、それは突然現れた。地図を見て、この急な尾根に道を付けたのかと驚く。遠足尾根取り付きを開削するなら・566経由だと勝手に思い込んでいた。やっぱり来てみないと分からないものだ。
植林の中に付けられたジグザグをひたすら登る。もともと植林の中は薄い道があるが、ここは登山道にふさわしく完全に整備されていてサルでも登れる。いや山登りに関してはサルの方が5枚も10枚も上手だった。整備はいいが、変化もなく植林しか見えないルートである。それでもまばらだった雪が550mほどから白一面に変わって面白くなってきた。二人組の人に追いつき道を譲られて抜く。しかし今度追いつかれると恥ずかしいので休めない。630mほどの場所に岩が積み重なったピークがある。展望があるが、山頂はガスの中。見えているのはクラ付近だろう。登れども登れども着かない。休憩じゃ。よくこんな所に道を付けたものだと関係者のご苦労を思う。
9時30分、ようやく遠足尾根に乗る。大日向(696.5)の北西200mほどの地点だ。駐車場から1時間半もかかった。御在所の中道ならもう山上に着いてる頃だ。宇賀渓は出発点の標高が低いので大変だ。ここから先はもともと使われていたので、整備と言っても目印が増えたくらい。雪はどんどん増えてくる。一気に展望が開ける所まで来たが、やはりガスで本峰は見えない。横殴りの雪が降ってきた。そう寒くはないが顔が冷たい。日曜なので昨日のトレースが十分。今朝の先行者の分もたぶんあるのだろう。試しに横へそれると腿まで潜る。ラッセル泥棒は楽だなあ。泥棒は人聞きが悪いのでラッセル万引き・・・それも人聞きが悪い。ラッセル無許可借用くらいか。
遠足尾根は傾斜が緩いので鼻歌ものだ。しかし964付近まで来ると相当雪が深い。ラッセル跡でもときどき落ちる。もの凄い風が新雪を巻きあげて地吹雪状態になってきた。これぞ冬山だ。前方に山ガール発見。でも男連れ。これを抜くと前からおじさんが下りてきた。「山頂は凄いよ。地吹雪で何も見えない。行っても無駄だと思う」とおっしゃる。私はもともと行くつもりはないのでどうでもいいけど。そろそろルートを外して龍神のブナ方向へ行かねばならないが、後ろに2パーティーがいるので逸れにくい。少し引き離しておいてコソコソと北へ進路を変えた。一気に雪の抵抗が増える。
北側斜面は下から猛烈な風が吹き上げ、雪面はクラストしてピカピカ光っている。だけど潜らないから有難い。やがて凄惨な大ガレが目に入ってきた。ガレの淵付近は一転して吹き溜まりの深雪。しかし重力により泳ぐように下っていく。ブナはこの辺りだったはずだが・・・と見回すが見つからない。雪が深いので歩き廻って探すパワーはないが、視界に入らないはずがない。念のためもう少し標高を下げるが見つからない。もしかしてという考えがよぎる。そう、ガラン谷の崩壊に飲み込まれたと考えるのが自然だ。前回見たときもあまり距離はなかったのである。対岸を見ても間もなく崩落するであろう木々が死刑執行の順番におびえている。だいたいこの谷にはあまり雪がない。念仏ハゲのように滑れるかもという期待もあったが、全く駄目だ。雪がないのは絶え間なく崩壊が続いているからではないだろうか。青川も埋まってしまうはずである。いったいどこまで侵食するのか要観察だ。龍神のブナも人知れず谷に埋もれる運命だったのが、秋狸氏によって世に出され、晩年の花道を飾ることができたと思う。
腹が減って登り返す気力がない。斜面ではあるが、ここで昼にしよう。雪を均す。風が吹き上げるのでツェルトの出番だ。木の間に張ったロープに吊るすが、強風にあおられてとても四隅は固定できない。中にもぐりこんで足や荷物で固定する。バタバタうるさいが中は無風で快適な空間だ。湯を沸かすと少し暖かくなってくる。コンロの熱を受けてスパッツから水分が湯気になって立ち昇る。今頃家では何食べてるのかなあ。
暴風の中撤収する。調子に乗って下り過ぎたので、標高差100mの登り返しで地獄を見た。深いところでは全く進めない。このまま力尽きて死ぬのだろうかと一瞬考えたりする。相変わらずの地吹雪で、谷底から上まで雪の竜巻が登っていくのを見た。面白い現象だ。しかしその向こうには少し青空が見えている。トラバースしてクラストを探す。木の根伝いに行くと割と具合が良い。まあまだ時間はいくらでもあるので、これくらいで遭難するはずもない。ようやく尾根に這いあがって、立ったまま休む。さて予定していた金山尾根に進むか往路で帰るか迷う。二度三度行ったり来たりで優柔不断なことだ。やっと金山尾根に決して進んでいくと深かったトレースがキレイサッパリ消えていた。ブリザードではよくあることだ。これで気力が萎えて、また反転する。
戻って行くと灌木の陰で強風に吹かれて、震えながら昼食中の若者がいた。「もう、やめたの?」と声をかけると「もうとてもダメです。遭難しかかっています」という。私と同じや(^◇^)。「食べませんか」と言って、フライパンの中で焦げかけていたハムをくれた。話をすると雪山初挑戦らしい。「ヤマレコ読んで楽しそうだったので来たのですが、山をなめていました」という。上着は普通のダウンでビショビショに濡れている。「おいちゃん、自信がないから一緒に帰ってくれませんか?」という。山ガなら一も二もないが、ボーズ相手では気が進まないなあ。それにしても、おいちゃんって、お前・・・・。まあ何処から見てもおいちゃんなのだが、助けてもらおうという相手においちゃんはないだろう。「じゃあ立ってるのも寒いから早く撤収してくれ」とせかす。 しかし動きがぎこちない。聞けばかじかんで手が言うことをきかないという。最後は歯でジッパーを締めた。「キミ、ツェルト持ってこなかったのか?」「ツェルトって何ですか?」 オーマイガッ!
こうしてえらい拾いものをして帰った。家族や兄弟、仕事の話までしてくれた。「キミ、若いけど幾つ?」「24っす」「じゃあ平成生まれ?」「ギリ昭和です」「同じ学年に平成生まれいるやろ。うちの次女と同い年だから分かる」とか話しながら下山した。しかし「マジっすか」や「ハンパねー」とかの連発には参る。「○○ねー(無いの意)」と語尾を上げるのは最近良く聞く若者言葉だ。自分の息子なら注意する所だが、まあいいか。案内所で徴収係のおじさんに山頂の様子を聞かれ、しばらく話しこむ。ホタガ谷の復旧はまだ目途がたたないそうな。
お知らせ 昨年取材を受けた廃村茨川の番組がようやく放送になります。私は現場へ行けなかったのでクレジットしか出ないけど、バービーのおじちゃんが多分映ります。残念ながら見られるのは地方ケーブルテレビのCTY管内だけとなります。
放映予定は2月。月水はPM10:30~ 火木土はPM1:00のリピートです。
ハリマオ
竜ヶ岳ではホタガ谷道が通行禁止になったので、遠足新道を代替えとして使うようにと書いた。しかし書いた本人が遠足新道をまだ未体験なのだ(^◇^)。これではまずかろうと本日見に行くことにする。