【大峰】前鬼川孔雀又谷から奥駈道へ
Posted: 2012年11月06日(火) 19:54
【日 付】2012年11月3日(土)~4日(日)
【山 域】大峰山脈南部 釈迦ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】11/3 前鬼林道ゲート9:36---10:12 10m滝---12:01千手滝---12:39垢離取場---13:14深仙股谷出合---
15:04孔雀又谷二俣---15:30アメシ谷CS
11/4 CS 7:06---11:10孔雀岳11:53---13:21釈迦ヶ岳13:38----14:52大日岳---15:14太古の辻15:35---
17:00前鬼---17:32駐車地
待ち合わせ場所の「道の駅川上杉の湯」に30分も早く着くと、ふ~さんはすでに到着していた。空は真っ青だが昨日から急に
冷え込んで寒い。沢登りを尾根歩きに切替えたくなるような気候だ。
山日和号で前鬼へ向かう。途中、不動七重の滝なども見物しながらのんびりとゲート手前の駐車場に着いた。今日の行程は短
く時間的余裕がある。
黒谷に架かる吊橋の袂から谷へ降り、左岸の樹林の踏み跡をすすめば前鬼川本流はすぐである。別に出合まで行くこともない
ので適当なところで左側を流れる本流に降り立った。時節柄今回はひざから上は絶対に浸からないと固い決意で入渓する。
しばらくは平凡なゴーロの谷を進むと谷は90度右折した。
まずは最初の見どころ、エメラルドグリーンの大きな釜に落ちる10m滝の登場だ。この釜の色は言葉で表現するのが難しい美し
さだ。ふ~さんも感嘆の声を上げる。
[attachment=4]P1130757_1.JPG[/attachment]
右の岩場を上がって落ち口上のナメを右岸に渡るところがポイントだ。下手をすればそのまま滝へ持っていかれてしまうので緊
張する場面である。今日は水量が少ないのでまだマシだが、スクラムを組んで慎重に渡った。
そこから始まるナメ天国もまったく素晴らしいのひと言だ。ナメと言っても微妙な凹凸があり、日にきらめく白い波頭がまるで鳴
門のうず潮のようだ。ふたりとも喜色満面である。
[attachment=3]P1130771_1.JPG[/attachment]
次の見どころは左岸から次々と滝となって流れ込む支谷が連続する場所だ。支谷と言っても、滝の上に流れが見えるところ
1箇所のみ。他はすべて斜面から湧き出した水が滝となって本流の深く穿たれた淵に落ち込んでいる。なんとも珍しい地形である。
日帰り装備ならなんでもないトラロープ頼みのトラバースや巨岩上からの下降も、重荷を担いでいると難行苦行である。スリング
を使っての荷降しなどで時間を食う。
再びの美しいナメを過ぎて水線沿いを省略して左岸の台地を歩いているといきなり道に出くわした。三重(みかさね)の滝への登
山道だ。これは好都合。今日は時間もあるので三重の滝見物もプランに加えようと思っていたのである。
ザックをデポして滝見物に向かう。道は思いの他しっかりしていた。下流方向へトラバースしながら高度を上げ、滝ノ谷へ入る乗越
から階段の急降下となった。比較的新しいもののようで、ずいぶんよく整備されている。
降り立ったのは三重の滝の2段目である千手滝の滝つぼである。40mはあるだろうか、美しい滝だ。足元からは岩を滑るように不
動滝が流れ落ちており、落ち口を覗き込むのは少々恐い。本流から見えていたのが最下段の不動滝なのだろう。
この上に最上段の馬頭滝があるらしいのだが、事前の研究不足で帰ってから知ることとなった。少し残念。
[attachment=0]P1130802_1.JPG[/attachment]
引き返してそのまま道を辿るとすぐにこり垢離取場と呼ばれる場所に着く。ここもエメラルドグリーンの大きな釜が美しいところだ。
ここからは前鬼へ道が続いており、三重の滝見物だけなら登山靴でも来られる。これを利用して、三重の滝から小峠山の尾根へ
上がるルートも面白そうだ。
前鬼川の来訪者のほとんどはここで遡行を打ち切るようだ。ここまででも十分見どころはあるし、真夏なら水線通しで思いっ切り
遊べるだろう。しかし我々はここからが本番である。「稜線へ抜ける」ことを第一義としている我々に取っては、孔雀岳まで詰め上
がってこその前鬼川。私自身は3度目だが、前2回は諸般の事情によりいずれも途中で撤退している。
今回が3度目の正直というわけだ。
2段の滝で2段目から水流がジャンプしているような面白い滝を左から巻き上がる。
巨岩がゴロゴロして行く手に立ちはだかる。深仙又谷の出合はいずれもが巨岩に行く手を阻まれた袋小路のような場所だ。
ひざまでと決めていた渡渉だったが、ここは中央から行くしかない。覚悟を決めて股まで浸かって本流の内裏谷へ入る。
巨岩滝のルートを探ると右の凹角以外にはない。ほぼ垂直に近く、この重荷では後ろへひっくり返ってしまいそうだ。
ロープを持って空身で這い上がり、ザック2個を荷揚げしたがさすがに腕力だけで引き上げるのは重い。それも途中でザックが引
っ掛かってしまうので一気に引き上げることができず時間が掛かって腕がパンパンになってしまった。
登り終えて右岸を見ると見覚えのある風景。これは12年前に洞吹さんとビバークしたサイトだ。
ふ~さんに「よく覚えてますねえ」と感心された。どうでもいいようなことほどよく覚えているものである。
谷の奥には孔雀又谷左俣の左岸に並ぶ、五百羅漢と呼ばれる岩峰群の一部が迫力ある姿を見せていた。
[attachment=1]P1130848_1.JPG[/attachment]
3時頃をメドにキャンプサイトを探しながら歩く。明日の行程が1時間縮められるよりいいテン場を確保する方が優先である。
孔雀又谷の二俣付近に植林小屋があり、そこそこの平地もあるのだが、いかんせん植林で雰囲気がよろしくない。
候補地をチェックしながら、他になければここにしようという場所でザックをデポしてさらに上流を探った。
アメシ谷出合を少しアメシ谷へ入ったところにまずまずの場所を発見。整地が必要だが、何より自然林の中なのがいい。
水も近いしここに決定、ザックを取りに戻った。見上げると尾根の上に先が太く、根元が削れた岩峰が屹立している。
ふ~さんが早速「マライワキャリー」と命名。翌日も稜線から常にこの岩を探していた。
丹念に整地作業してテントを張る。冷え込みに備えて今日はツェルトではなくテントを持って来た。設営が終わると焚き火用の
マキ集めだ。これでもかというぐらいマキを集めて、まだ明るいうちから点火。ふ~さんが用意してくれた鍋の準備とメシ炊きに取
り掛かる。
まずは流れで冷やしたビールで乾杯。荷物が重いのでふたりでビール2本と日本酒1合、ワイン1本しかない。時間だけはたっ
ぷりある。もう少し頑張って担いで来るべきだったか。
宴たけなわの頃アクシデントが発生した。ずいぶん急に火の勢いが強くなったなあと話し合っていたが、そこで見たのはとんで
もない光景だった。乾かすために干していたスパッツと渓流ソックスが勢いよく火の手を上げていた。「うわー」と慌ててももう遅い。
哀れネオプレーン兄弟は火葬に処せられ、炭の粉に変わり果ててしまった。
それにしてもネオプレーンはよく燃えるなあと変に感心してしまう。普通のソックスは持って来ているし、水量も少なくなってそう厳
しいところもないようなので、まったく焦りはなかった。
沢登りを始めて長い間スパッツもネオプレーンソックスも無しでやってきた経験がこんなところで生きたようである。
[attachment=2]P1130864_1.JPG[/attachment]
ふ~さんの鍋に舌鼓を打ち、少ない酒を分け合いながら飲めば時間が経つのは早い。気が付けばもう11時。
あれだけ集めたマキも底を突きかけるほど、延々6時間に及ぶ焚き火宴会だった。
宴も終盤に差し掛かった頃に飛び出した70~80年代ロック・ポップス談義。こちらが投げる癖球も一球残らず打ち返してきたの
には驚いた。かなりマニアックな名前を持ち出しても即座に代表曲やバンドのメンバーの名前、挙句の果てにはアルバムジャケッ
トのデザインまで答えてしまうふ~さんはやはり普通ではない。これだけ知識を共有している人間にお目にかかったのは初めてで
ある。おかげで就寝が1時間延びてしまったが。
2日目へ続く
【山 域】大峰山脈南部 釈迦ヶ岳周辺
【天 候】晴れ
【メンバー】ふ~さん、山日和
【コース】11/3 前鬼林道ゲート9:36---10:12 10m滝---12:01千手滝---12:39垢離取場---13:14深仙股谷出合---
15:04孔雀又谷二俣---15:30アメシ谷CS
11/4 CS 7:06---11:10孔雀岳11:53---13:21釈迦ヶ岳13:38----14:52大日岳---15:14太古の辻15:35---
17:00前鬼---17:32駐車地
待ち合わせ場所の「道の駅川上杉の湯」に30分も早く着くと、ふ~さんはすでに到着していた。空は真っ青だが昨日から急に
冷え込んで寒い。沢登りを尾根歩きに切替えたくなるような気候だ。
山日和号で前鬼へ向かう。途中、不動七重の滝なども見物しながらのんびりとゲート手前の駐車場に着いた。今日の行程は短
く時間的余裕がある。
黒谷に架かる吊橋の袂から谷へ降り、左岸の樹林の踏み跡をすすめば前鬼川本流はすぐである。別に出合まで行くこともない
ので適当なところで左側を流れる本流に降り立った。時節柄今回はひざから上は絶対に浸からないと固い決意で入渓する。
しばらくは平凡なゴーロの谷を進むと谷は90度右折した。
まずは最初の見どころ、エメラルドグリーンの大きな釜に落ちる10m滝の登場だ。この釜の色は言葉で表現するのが難しい美し
さだ。ふ~さんも感嘆の声を上げる。
[attachment=4]P1130757_1.JPG[/attachment]
右の岩場を上がって落ち口上のナメを右岸に渡るところがポイントだ。下手をすればそのまま滝へ持っていかれてしまうので緊
張する場面である。今日は水量が少ないのでまだマシだが、スクラムを組んで慎重に渡った。
そこから始まるナメ天国もまったく素晴らしいのひと言だ。ナメと言っても微妙な凹凸があり、日にきらめく白い波頭がまるで鳴
門のうず潮のようだ。ふたりとも喜色満面である。
[attachment=3]P1130771_1.JPG[/attachment]
次の見どころは左岸から次々と滝となって流れ込む支谷が連続する場所だ。支谷と言っても、滝の上に流れが見えるところ
1箇所のみ。他はすべて斜面から湧き出した水が滝となって本流の深く穿たれた淵に落ち込んでいる。なんとも珍しい地形である。
日帰り装備ならなんでもないトラロープ頼みのトラバースや巨岩上からの下降も、重荷を担いでいると難行苦行である。スリング
を使っての荷降しなどで時間を食う。
再びの美しいナメを過ぎて水線沿いを省略して左岸の台地を歩いているといきなり道に出くわした。三重(みかさね)の滝への登
山道だ。これは好都合。今日は時間もあるので三重の滝見物もプランに加えようと思っていたのである。
ザックをデポして滝見物に向かう。道は思いの他しっかりしていた。下流方向へトラバースしながら高度を上げ、滝ノ谷へ入る乗越
から階段の急降下となった。比較的新しいもののようで、ずいぶんよく整備されている。
降り立ったのは三重の滝の2段目である千手滝の滝つぼである。40mはあるだろうか、美しい滝だ。足元からは岩を滑るように不
動滝が流れ落ちており、落ち口を覗き込むのは少々恐い。本流から見えていたのが最下段の不動滝なのだろう。
この上に最上段の馬頭滝があるらしいのだが、事前の研究不足で帰ってから知ることとなった。少し残念。
[attachment=0]P1130802_1.JPG[/attachment]
引き返してそのまま道を辿るとすぐにこり垢離取場と呼ばれる場所に着く。ここもエメラルドグリーンの大きな釜が美しいところだ。
ここからは前鬼へ道が続いており、三重の滝見物だけなら登山靴でも来られる。これを利用して、三重の滝から小峠山の尾根へ
上がるルートも面白そうだ。
前鬼川の来訪者のほとんどはここで遡行を打ち切るようだ。ここまででも十分見どころはあるし、真夏なら水線通しで思いっ切り
遊べるだろう。しかし我々はここからが本番である。「稜線へ抜ける」ことを第一義としている我々に取っては、孔雀岳まで詰め上
がってこその前鬼川。私自身は3度目だが、前2回は諸般の事情によりいずれも途中で撤退している。
今回が3度目の正直というわけだ。
2段の滝で2段目から水流がジャンプしているような面白い滝を左から巻き上がる。
巨岩がゴロゴロして行く手に立ちはだかる。深仙又谷の出合はいずれもが巨岩に行く手を阻まれた袋小路のような場所だ。
ひざまでと決めていた渡渉だったが、ここは中央から行くしかない。覚悟を決めて股まで浸かって本流の内裏谷へ入る。
巨岩滝のルートを探ると右の凹角以外にはない。ほぼ垂直に近く、この重荷では後ろへひっくり返ってしまいそうだ。
ロープを持って空身で這い上がり、ザック2個を荷揚げしたがさすがに腕力だけで引き上げるのは重い。それも途中でザックが引
っ掛かってしまうので一気に引き上げることができず時間が掛かって腕がパンパンになってしまった。
登り終えて右岸を見ると見覚えのある風景。これは12年前に洞吹さんとビバークしたサイトだ。
ふ~さんに「よく覚えてますねえ」と感心された。どうでもいいようなことほどよく覚えているものである。
谷の奥には孔雀又谷左俣の左岸に並ぶ、五百羅漢と呼ばれる岩峰群の一部が迫力ある姿を見せていた。
[attachment=1]P1130848_1.JPG[/attachment]
3時頃をメドにキャンプサイトを探しながら歩く。明日の行程が1時間縮められるよりいいテン場を確保する方が優先である。
孔雀又谷の二俣付近に植林小屋があり、そこそこの平地もあるのだが、いかんせん植林で雰囲気がよろしくない。
候補地をチェックしながら、他になければここにしようという場所でザックをデポしてさらに上流を探った。
アメシ谷出合を少しアメシ谷へ入ったところにまずまずの場所を発見。整地が必要だが、何より自然林の中なのがいい。
水も近いしここに決定、ザックを取りに戻った。見上げると尾根の上に先が太く、根元が削れた岩峰が屹立している。
ふ~さんが早速「マライワキャリー」と命名。翌日も稜線から常にこの岩を探していた。
丹念に整地作業してテントを張る。冷え込みに備えて今日はツェルトではなくテントを持って来た。設営が終わると焚き火用の
マキ集めだ。これでもかというぐらいマキを集めて、まだ明るいうちから点火。ふ~さんが用意してくれた鍋の準備とメシ炊きに取
り掛かる。
まずは流れで冷やしたビールで乾杯。荷物が重いのでふたりでビール2本と日本酒1合、ワイン1本しかない。時間だけはたっ
ぷりある。もう少し頑張って担いで来るべきだったか。
宴たけなわの頃アクシデントが発生した。ずいぶん急に火の勢いが強くなったなあと話し合っていたが、そこで見たのはとんで
もない光景だった。乾かすために干していたスパッツと渓流ソックスが勢いよく火の手を上げていた。「うわー」と慌ててももう遅い。
哀れネオプレーン兄弟は火葬に処せられ、炭の粉に変わり果ててしまった。
それにしてもネオプレーンはよく燃えるなあと変に感心してしまう。普通のソックスは持って来ているし、水量も少なくなってそう厳
しいところもないようなので、まったく焦りはなかった。
沢登りを始めて長い間スパッツもネオプレーンソックスも無しでやってきた経験がこんなところで生きたようである。
[attachment=2]P1130864_1.JPG[/attachment]
ふ~さんの鍋に舌鼓を打ち、少ない酒を分け合いながら飲めば時間が経つのは早い。気が付けばもう11時。
あれだけ集めたマキも底を突きかけるほど、延々6時間に及ぶ焚き火宴会だった。
宴も終盤に差し掛かった頃に飛び出した70~80年代ロック・ポップス談義。こちらが投げる癖球も一球残らず打ち返してきたの
には驚いた。かなりマニアックな名前を持ち出しても即座に代表曲やバンドのメンバーの名前、挙句の果てにはアルバムジャケッ
トのデザインまで答えてしまうふ~さんはやはり普通ではない。これだけ知識を共有している人間にお目にかかったのは初めてで
ある。おかげで就寝が1時間延びてしまったが。
2日目へ続く
タイトルを見て懐かしくなりました。