【白山】鳴谷山
Posted: 2012年10月10日(水) 10:28
【日 付】 2012/10/6(土)
【山 域】 白山前衛 鳴谷山 (石川県白山市)
【メンバー】 単独
【天 候】 高曇り
【ルート】 登山口9:40---鎧壁10:35---砂御前山分岐11:00---鳴谷山12:25/13:05
---砂御前山分岐14:05---鎧壁14:25---登山口15:15
[attachment=0]s-R0016652.jpg[/attachment]
今年の夏も、すっかり出不精のコブ取り爺さんになってしまった。
中には、「デブ症の小太り爺さん」なんてことを言う、口の悪い人もいる。
暑い夏もやっと去りつつある昨今、今回は白山前衛の山、鳴谷山に登る。
前夜、いつものように車線をはみ出しながら眠気と戦いつつ、山麓へと向かう。
もうぐっすりと眠りこけそうな時分に、南条サービスエリアに辿り着き、一杯のおろしそばで目をさます。
冷凍麺だが、ここのはうまい。
北陸道を福井北ICで降りて、勝山から谷トンネルを抜けて白山市白峰に入る。
もうあかん、眠たい。
適当な空き地にクルマを止めて、助手席にシュラフをセットした。
そのあとロング缶を1本開けたまでは覚えているが、
気が付くと朝になっていて、運転席に座ったままだった。
せっかくシュラフを出したのに、使わずじまいになってしまった。
しかし、途中で意識が落ちたとはいえ、
さすがにちゃんとエンジンは切っているし、車内灯も消しているのが、
ワシの年季が入っているところじゃ。
唯一の過ちは、目覚まし時計を掛け忘れたことだった。
だもんで、起きたのは8時半だった。
これから朝メシ食って、お勤めをすませて、登山口まで走って行って、支度をすると、
登り始めは10時頃になるのかなあ。
なにも驚くことではないし、あわてることもない。
「あわてる乞食はもらいが少ない」って言うしね。
こういうこともあろうかと、計画は初めから、登るのにあまり時間のかからない山にしてある。
その割りには今回もぐちゃぐちゃと言ってるばかりで、なかなか山に登らないのだが。
クルマは、狭い道にかぶさった夏草をかきわけながら、百合谷林道をトコトコと進む。
「百合谷」は美しい響きの「ゆりたに」かと思ったら、いかつい感じで「びゃっこだん」と読むらしい。
登山口になる林道終点広場には、先客の軽自動車が3台止まっていた。
9時半だ。
この時間ではもう誰もいるはずもなく、手早く支度をして、静かな駐車場をあとにする。
[attachment=4]s-R0016665.jpg[/attachment]
登山道の入口に「入山者へのお願い」の看板が立っていて、
その中に「この山は禁煙です」などと書いてある。
ワシはタバコを吸わないからいいけど、スモーカーにはつらい山かもしれない。
そういえば昔、鈴鹿の宇曽川の奥で、
「環境保護のためここから先は飲食を禁止します」という看板が立っているのを見たことがある。
飲み食いができない山というのも、つらいものだ。
昔、ヤミ物資に手を出さず筋を通して餓死した裁判官がいたらしいが、
真面目な登山者が脱水症状やシャリバテで遭難したら、
看板主の行政機関はどうするつもりだろうね。
まあここは、タバコを吸わなくても死ぬことはないので、いいんだけど。
登山道は、最初は水平と緩い登りを繰り返し、
ときどき急登もまじえながら広い谷の奥へと入って行く。
今日の天気予報は晴れのはずだが、空はどんよりとした雲が覆っている。
これじゃ、白山の眺めも無いかもしれんなあ。
歩き出して20分、一人目の人がピッケルを持って下ってきた。
桂小枝師匠に似ているかな。
男「こんにちは。今日は人が少ないですね。これで三人しかすれ違わなかった。」
洞「こんにちは。そうですか。いつもはもっと多いんですね。」
それから15分。
あろうことか、ノーリードの白犬が下ってきた。
首輪をしているので、野良犬ではないようだ。
しかし、犬が来ると、ワシはどうしてもかまえてしまう。
案の定、ズボンにまとわりついてじゃれはじめた。
こりゃ、やめんか!
汚れるじゃないか。
白戸家のお父さんなら話しがわかりそうだが、この犬は気がきかないみたいだ。
ワシは登山道の端まで逃げるが、それも限度がある。
こんにゃろめ。
ケツを蹴飛ばしてやろうかとも思ったが、すぐに飼い主が下りてくるだろうし、ぐっとガマン。
飼い主が下りてきた。
漫画家のやくみつるに似ている。
男「ああっ、すみません。 こんにちは。」
洞(渋い顔を作って)「こんにちは!」
「ちゃんとリードつけとけよ。常識やろ。」と喉元まで出かかったが、
やくみつるの漫画は面白いので、それに免じて飲み込んでおいた。
これで二人目、ワシの前にはあとひとりだけか。
[attachment=3]s-R0016627.jpg[/attachment]
しばらくすると右手に岩壁が現れ、その下の岩棚を歩くところに来た。
「鎧壁」と呼ばれる場所で、登山ガイドの鳴谷山の記事によく写真が載っている。
まあ、それなりのビューポイントだ。
そこを過ぎると、道が水分を含んでブヨブヨぐちゃぐちゃになっているところが続く。
ぼやーっとして歩いていると泥の中にはまるので、油断できない。
支尾根に乗ると砂御前山への分岐があり、その先には大杉谷林道への分岐と続くが、
すべて道標がきちんと整備されている。
[attachment=2]s-R0016634.jpg[/attachment]
このあたり、自然杉の巨木が並び立つ。
道は、少し登ると、思いのほか下りが続く……を繰り返す。
帰り道の登り返しがしんどい、イヤなパターンだ。
1284m標高点付近、登り返しの頂点で、息を整えながら立っている人がいた。
携帯ラジオを鳴らしているので、ワシが近づいても気付かない。
わざと足音を立ててやると、やっとこちらに気が付いた。
男「こんにちは。」
洞「こんにちは。」
ラジオが鳴っているのでうるさくて、他に言うこともない。
これで三人目、ワシの前に登山者はいないことになる。
[attachment=1]s-R0016642.jpg[/attachment]
1428m標高点を過ぎる。
最後の登りで、鳴谷山へは、山頂手前から右に巻き上がるようにして道がつけられている。
ここまで来ると、今まで樹林に遮られていた視界が一気に開けた。
まず、大長、赤兎方面。
そして、更に進むと白山の峰々。
しかし、この角度で白山を見たのは初めてなので、どれが何山なのかよくわからない。
釈迦岳はあれかいなあ。
天気予報と違って今日はずっと曇りだけど、雲底が高いので周りの山々はよく見える。
鳴谷山、1596.6m。
予想どおり誰もいない、静かな山頂だ。
さあ昼メシにしよう。
ど~んと大きい白山を前にして、ビールを開ける。
プシュウ……いい音だ。
今日はコンビニのおにぎりだけど、山で食べるメシはすごくうまい。
やっぱり山はいいね。
時々ガスが流れてきて、ひととき視界にベールがかかるが、それも一瞬のこと。
間近に白山の峰々を望む鳴谷山に、至福の時間(とき)が静かに流れていく。
洞吹(どうすい)
【山 域】 白山前衛 鳴谷山 (石川県白山市)
【メンバー】 単独
【天 候】 高曇り
【ルート】 登山口9:40---鎧壁10:35---砂御前山分岐11:00---鳴谷山12:25/13:05
---砂御前山分岐14:05---鎧壁14:25---登山口15:15
[attachment=0]s-R0016652.jpg[/attachment]
今年の夏も、すっかり出不精のコブ取り爺さんになってしまった。
中には、「デブ症の小太り爺さん」なんてことを言う、口の悪い人もいる。
暑い夏もやっと去りつつある昨今、今回は白山前衛の山、鳴谷山に登る。
前夜、いつものように車線をはみ出しながら眠気と戦いつつ、山麓へと向かう。
もうぐっすりと眠りこけそうな時分に、南条サービスエリアに辿り着き、一杯のおろしそばで目をさます。
冷凍麺だが、ここのはうまい。
北陸道を福井北ICで降りて、勝山から谷トンネルを抜けて白山市白峰に入る。
もうあかん、眠たい。
適当な空き地にクルマを止めて、助手席にシュラフをセットした。
そのあとロング缶を1本開けたまでは覚えているが、
気が付くと朝になっていて、運転席に座ったままだった。
せっかくシュラフを出したのに、使わずじまいになってしまった。
しかし、途中で意識が落ちたとはいえ、
さすがにちゃんとエンジンは切っているし、車内灯も消しているのが、
ワシの年季が入っているところじゃ。
唯一の過ちは、目覚まし時計を掛け忘れたことだった。
だもんで、起きたのは8時半だった。
これから朝メシ食って、お勤めをすませて、登山口まで走って行って、支度をすると、
登り始めは10時頃になるのかなあ。
なにも驚くことではないし、あわてることもない。
「あわてる乞食はもらいが少ない」って言うしね。
こういうこともあろうかと、計画は初めから、登るのにあまり時間のかからない山にしてある。
その割りには今回もぐちゃぐちゃと言ってるばかりで、なかなか山に登らないのだが。
クルマは、狭い道にかぶさった夏草をかきわけながら、百合谷林道をトコトコと進む。
「百合谷」は美しい響きの「ゆりたに」かと思ったら、いかつい感じで「びゃっこだん」と読むらしい。
登山口になる林道終点広場には、先客の軽自動車が3台止まっていた。
9時半だ。
この時間ではもう誰もいるはずもなく、手早く支度をして、静かな駐車場をあとにする。
[attachment=4]s-R0016665.jpg[/attachment]
登山道の入口に「入山者へのお願い」の看板が立っていて、
その中に「この山は禁煙です」などと書いてある。
ワシはタバコを吸わないからいいけど、スモーカーにはつらい山かもしれない。
そういえば昔、鈴鹿の宇曽川の奥で、
「環境保護のためここから先は飲食を禁止します」という看板が立っているのを見たことがある。
飲み食いができない山というのも、つらいものだ。
昔、ヤミ物資に手を出さず筋を通して餓死した裁判官がいたらしいが、
真面目な登山者が脱水症状やシャリバテで遭難したら、
看板主の行政機関はどうするつもりだろうね。
まあここは、タバコを吸わなくても死ぬことはないので、いいんだけど。
登山道は、最初は水平と緩い登りを繰り返し、
ときどき急登もまじえながら広い谷の奥へと入って行く。
今日の天気予報は晴れのはずだが、空はどんよりとした雲が覆っている。
これじゃ、白山の眺めも無いかもしれんなあ。
歩き出して20分、一人目の人がピッケルを持って下ってきた。
桂小枝師匠に似ているかな。
男「こんにちは。今日は人が少ないですね。これで三人しかすれ違わなかった。」
洞「こんにちは。そうですか。いつもはもっと多いんですね。」
それから15分。
あろうことか、ノーリードの白犬が下ってきた。
首輪をしているので、野良犬ではないようだ。
しかし、犬が来ると、ワシはどうしてもかまえてしまう。
案の定、ズボンにまとわりついてじゃれはじめた。
こりゃ、やめんか!
汚れるじゃないか。
白戸家のお父さんなら話しがわかりそうだが、この犬は気がきかないみたいだ。
ワシは登山道の端まで逃げるが、それも限度がある。
こんにゃろめ。
ケツを蹴飛ばしてやろうかとも思ったが、すぐに飼い主が下りてくるだろうし、ぐっとガマン。
飼い主が下りてきた。
漫画家のやくみつるに似ている。
男「ああっ、すみません。 こんにちは。」
洞(渋い顔を作って)「こんにちは!」
「ちゃんとリードつけとけよ。常識やろ。」と喉元まで出かかったが、
やくみつるの漫画は面白いので、それに免じて飲み込んでおいた。
これで二人目、ワシの前にはあとひとりだけか。
[attachment=3]s-R0016627.jpg[/attachment]
しばらくすると右手に岩壁が現れ、その下の岩棚を歩くところに来た。
「鎧壁」と呼ばれる場所で、登山ガイドの鳴谷山の記事によく写真が載っている。
まあ、それなりのビューポイントだ。
そこを過ぎると、道が水分を含んでブヨブヨぐちゃぐちゃになっているところが続く。
ぼやーっとして歩いていると泥の中にはまるので、油断できない。
支尾根に乗ると砂御前山への分岐があり、その先には大杉谷林道への分岐と続くが、
すべて道標がきちんと整備されている。
[attachment=2]s-R0016634.jpg[/attachment]
このあたり、自然杉の巨木が並び立つ。
道は、少し登ると、思いのほか下りが続く……を繰り返す。
帰り道の登り返しがしんどい、イヤなパターンだ。
1284m標高点付近、登り返しの頂点で、息を整えながら立っている人がいた。
携帯ラジオを鳴らしているので、ワシが近づいても気付かない。
わざと足音を立ててやると、やっとこちらに気が付いた。
男「こんにちは。」
洞「こんにちは。」
ラジオが鳴っているのでうるさくて、他に言うこともない。
これで三人目、ワシの前に登山者はいないことになる。
[attachment=1]s-R0016642.jpg[/attachment]
1428m標高点を過ぎる。
最後の登りで、鳴谷山へは、山頂手前から右に巻き上がるようにして道がつけられている。
ここまで来ると、今まで樹林に遮られていた視界が一気に開けた。
まず、大長、赤兎方面。
そして、更に進むと白山の峰々。
しかし、この角度で白山を見たのは初めてなので、どれが何山なのかよくわからない。
釈迦岳はあれかいなあ。
天気予報と違って今日はずっと曇りだけど、雲底が高いので周りの山々はよく見える。
鳴谷山、1596.6m。
予想どおり誰もいない、静かな山頂だ。
さあ昼メシにしよう。
ど~んと大きい白山を前にして、ビールを開ける。
プシュウ……いい音だ。
今日はコンビニのおにぎりだけど、山で食べるメシはすごくうまい。
やっぱり山はいいね。
時々ガスが流れてきて、ひととき視界にベールがかかるが、それも一瞬のこと。
間近に白山の峰々を望む鳴谷山に、至福の時間(とき)が静かに流れていく。
洞吹(どうすい)
今年の夏も、すっかり出不精のコブ取り爺さんになってしまった。