【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

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yamaneko0922
記事: 301
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39

【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by yamaneko0922 »

【 日 付 】2020年11月14日(土曜日)〜15日(日曜日)
【 山 域 】野坂
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】(一日目)黒谷林道の駐車地14:24〜16:09ca790m
(二日目)ca790m6:49〜7:03庄部谷山〜8:08甲森谷入口〜 8:53出合9:34〜10:50ca860m〜11:52芦谷山12:44〜13:55庄部谷山〜15:00黒谷山〜15:26駐車地


大規模な風力発電の計画が進行している庄部谷山から芦谷山にかけての稜線を週末の日曜日に歩かれるという山行にflatwellさんからお誘い頂く。flatwellさんと共に歩いた芦谷山、庄部谷山の山行で山日和導師とお会いしたのは今から丁度、二年前のこの時期のことだ。晩秋の甲森谷の風景を見てみたかったということもあり、我々は前日の土曜日に出発し、山上でflatwellさん達にお会いすることを計画する。風力発電機が建設される前にこの山の黄葉の山毛欅林を見ることが出来るのも下手すると最後の機会かもしれない。

【一日目】
土曜日の午前中は朝から雲のない快晴が続いているが、この日もオンラインでのwebカンファレンスがあったので、出発が遅くなる。尤も私自身のプレゼンが終わるやいなや、PCの前を離れて山の準備に取り掛かるのだが、オンラインの会議やカンファレンスは出番がなければ離席してもバレないのがいいところだ。

京都を出発しR367、通称、鯖街道を北上すると比良の山、権現岳は上の方は紅葉がすっかり散っているようだ。紅葉が見られるのはどうやら山の下半分のあたりだ。

黒谷の入口からは林道を奥に進む。非舗装の林道に通行の支障となる石は取り除かれているようであり、真新しいタイヤの痕があるようだ。林道のヘアピン・カーブの手前の広地まで難無く入ることが出来る。

車を停めると、黒谷左岸の廃林道を辿る。廃林道とはいえ既に林道の跡形はほとんどない。歩き始めるとすぐに山の上の方からヘリコプターの音が聞こえる。

最後の三段の堰堤の手前を対岸に渡渉し、堰堤を越えるとすぐに黒谷の出合となる。渡渉して右俣に入ると、沢の流れの両側には門のように岩を抱えて立つ二本の欅の大樹が現れる。谷には炭焼き窯が現れる。

右岸につけられた送電線巡視路の踏み跡を辿ると早速にも山毛欅の大樹が出迎えてくれる。なだらかな谷間には平流が流れるようになる。
黒谷.jpg

前回の山行でテントを張った場所に到着すると、背後から西陽が差しこみ、平らな河岸段丘を明るく照らしている。ここにテントを張ろうかと思ったが、まだ時間も早く、家内が尾根の上まで登ることを望む。尾根を見上げると西陽に輝く山毛欅の黄葉が目に入った。斜面を登って黒谷の右俣と左俣の間の中尾根を登ることにする。

一面に黄色く色づいた小紫陽花の藪をかき分けて最初の急斜面を登ると徐々に斜面の斜度は緩くなり、送電線鉄塔にたどり着く。尾根を辿ると早速にも壮麗の山毛欅の黄葉の樹林が始まる。ここは昨年の秋ににも辿ったところではあるが、山毛欅の樹影がよく見えるようになったせいか梢が高く感じられる夕陽が梢から落とす黄金色の透過光を浴びながら緩やかに尾根を辿る。

標高が750mを越えると山毛欅は既に葉を落としている樹が多くなる。落ちて間もない落葉の柔らかい絨毯の上を歩く。ca790mピークの広々とした山頂台地にテントを張ることにする。山毛欅の葉が落葉したせいで、樹林に深く夕陽が差し込む。

テントを張り終えるとまもなく西の空にわずかにかかる雲の中に陽が隠れる。西側から大きな音量で聞き覚えのある旋律が聞こえてくる。「夕焼け小焼け」の歌であった。時間を確認すると17 時である。新庄の集落の防災無線から聞こえてくるのだろう。子供に帰宅を促すためのようだが、子供が外で遊ぶ機会が少ないせいだろうか、今や放送する自治体は少ないらしい。

この日のメニューは、ゴボウ天とマッシュルームをフライパンで温めると、次いで炭焼地鶏と玉ねぎ、しめじのソテー、牛肉、カボチャとインゲンとトマトの蒸し焼きである。最後の〆は白ご飯にカモロース、オリーブとマッシュルームを加えてリゾット風にするがこれは実に絶品であった。携行した赤ワインとウィスキーも早々に空けてしまい、食後は速やかに眠りに落ちていった。

真夜中にテントに近づいて来る足音と共に熊鈴の音が聞こえて目が覚める。途端に音が聞こえなくなったで、どうやら空耳だったらしい。果たして同じタイミングだったかどうかはわからないが、私の家内もテントに近づく足音を聞いて真夜中に目が覚めたらしい。

【二日目】
翌日、テントをたたみ6時半過ぎに出発する。樹間から朝陽が差し込むと、途端に山毛欅の林が赤橙色に輝き始める。庄部谷山にはわずかな登りで到着する。この山に来たのは5ヶ月ぶりだ。山頂には真新しい山名標がかけられていた。私のリュックにここからの山行で不要なものを詰め込むと山頂にリュックをデポし、まずは標高点772mを目指して北尾根を辿る。

ここでも広い尾根に樹高の高い壮麗な山毛欅の疎林が続く。尾根にはピンクテープがあるが、ピンクテープが誘導するのは山頂の北西のピークca840mの方らしい。尾根には果たしてこんな広々とした樹林が広がっていたのだろうかと思うほどに見事な疎林が続くが、前回辿った6月の山行では10m先も見えないような濃霧の中だったので、この樹林の景色を眺めるべくものないのだった。

標高点772mのあたりは広々とした台地状の緩斜面であり、明瞭なピークはない。ここは何本もの尾根が集まるところであるが、ca650mあたりにさしかかかるとここは何本もの尾根が集まるところであるが、甲森谷の入口めがけて下降する尾根がなかなかわかりにくい。一見、単なる急斜面に見えるが、方向を見極めて尾根を下るとすぐにも痩せ尾根となる。尾根上は杉の幼木による藪が頻繁に現れるが、右側斜面を巻くと通過しやすい箇所が多い。

尾根を下るにつれて紅葉の樹々が増える。やがて尾根の下部に至ると左側に緩斜面が見えてくるが、前回はこの緩斜面につられて左側に下降したところ谷を下降する羽目になったのだが、家内は谷の下降は嫌がるだろう。今回はあくまでも尾根芯に忠実に下降すると、右手に甲森谷の流れが見える。

尾根の末端部からは右手の斜面を下って甲森谷に降り立つと、狭い河岸には苔むした炭焼き窯が歓迎してくれる。まだ朝陽の差し込まない広い谷は薄暗く、荘厳な雰囲気が漂っている。渡渉を繰り返しながら上流へ辿ると、岸にはカツラの大樹が現れる。
甲森谷へ.jpg

やがて広い谷の正面にはカツラの大樹を背に見覚えのある炭焼き窯が現れる。前回のrepでも同様のことを書いたが、この炭焼き窯は背後のカツラのための祭壇のようであり、樹と共にあることで始めて一幅の絵画として完成するように思える。背後の聖堂のパイプオルガンを思わせるカツラの樹には幹が纏う深い緑の苔が厳かな神性を与えている。
炭焼き窯とご神木.jpg

炭焼き窯を過ぎると谷はますます大きく広がり、緩やかな円弧を描いて流れる谷の平流の河岸段丘には次々とカツラの大樹が現れる。トチやカツラの葉はすっかり散ってしまっていたが、谷を取り巻く斜面の楓は紅葉の最盛期のようだ。

谷の出合が近づくと左岸の斜面は朝陽を浴びて輝いている。徐々に明るくなってゆく谷を眺めながらコーヒーを淹れて、のんびりと朝食の休憩をとることにする。
上流の出合.jpg

お遭いした時のrepで山日和導師は「明る過ぎて、この森の持つ厳かな空気が失われているような気がした」と書いておられたが、確かに谷の荘厳な雰囲気を堪能するには深い谷間に陽光が差し込まない朝の時間の方が良いのかもしれないと思った。

左俣の谷の正面から登ってゆく朝陽が谷を照らし始めている。谷の右岸は芦谷山のすぐ南のピークへと至る長い尾根となっている。尾根の取付きは急ではあるが、登るのにさほど無理のない斜面に思われるが、まずは左俣のすぐ先にある大産岩屋の滝を訪ねることにする。

左俣を上流に向かい、左岸の小さな谷を越えるとすぐに巨岩の下にある岩屋とその左にかかる滝が現れる。滝の左岸には岩屋の上に向かって伸びている細いバンドが目に入る。バンドに取り付くが、もう一息というところで足がバンドの上の足場が滑る。私はなんとか無理によじ登ることが出来たとして家内は到底無理だろう。やむなく撤退し、バンドの右手から尾根を登る。
大産岩屋の滝.jpg

斜面をトラバースしながら下降すれば滝の落ち口にたどり着けそうだが、その上流にも滝が目に入る。家内がこの尾根をそのまま登るのがいいというので、芦谷山へと向かう尾根を辿ることは諦めて尾根を登ることにする。前回の山行で登ったのはこのすぐ西側の尾根であるが、こちらの尾根の方がさらに急峻であり、下降には到底、適さない尾根に思われる。

尾根を辿るとすぐにヘリコプターの音が聞こえ始める。朝から遭難者を探しているのかと思ったが、すぐにヘリコプターは別の目的で飛んでいることを知る。

尾根を登るにつれて徐々に斜度が緩くなる。樹林の間の広地からは左手にピークca830mが見えるが、その上には見慣れない銀色に輝く細長い鉄塔が立っている。風力発電器を建てる前に風力を調査するための観測機が設置されたようだ。その鉄塔のすぐ近くにヘリコプターが飛来する。どうやら観測機のあるピークに荷物を運搬しているようだ。

ところで目の前には尾根の好展望を喜んではいられない状況が待ち構えていた。尾根上には倒木の集中地帯が現れる。多くは杉の樹ではあるが、尾根上には立っている樹が見当たらず、樹が悉くなぎ倒されているようだ。樹は西側斜面に倒れ込んでいるものが多いので、東側斜面に回り込んでみると、状況はさらに酷かった。

尾根芯に近いところで少しでも倒木のましなところを選んで通過する。倒木帯を通過するとそこから先には通行の支障となる倒木はほとんどなくなった。山毛欅には杉の混じる樹林となり、尾根芯は歩きにくいので左側斜面をトラバース気味に登る。

稜線に出るとここからはいよいよ快適な山毛欅の回廊だ。ca850mのピークで北東に方向を転じ、芦谷山の方へ進む。ca830mのなだらかな山頂に達するとその北東の端に再び風力観測機の鉄塔がが見える。
ca830m.jpg

鉄塔の下には数人のパーティーがおられる。遠くからでも見覚えのある顔を認識することが出来る。flatwellさんだ。風力観測機の下に到着すると愕然とする。6月に来た時にテープでマーキングされていた山毛欅の樹はやはり悉く伐採されており、つい最近、伐採されたものと思われる真新しい切り株と切られた樹がそこら中に散乱している。

ピークを下るとすぐにもパーティーの方々に追いつく。ここからはflatwellさん一行のパーティーに加えて頂き、一緒に芦谷山の山頂を目指す。

若越国境尾根は稜線の西側にも広々とした斜面が広がっており、斜面の西側をトラバース気味に歩いて尾根に乗る。既にすっかりと葉を落としてしまってはいるが一際大きなトチノキの大樹が存在感を示す。

芦谷山へ到着すると北東斜面の樹間から野坂山と敦賀湾を望むポイントで皆さんと共にランチ休憩となり、肉饅を蒸して皆さんに差し入れをする。ランチ休憩の後は我々はデポしたリュックを回収するために庄部谷山まで戻らねばならないので、flatwellさん一行とお別れして先に失礼させて頂く。

先ほどのca830mピークで戻ると工事の方達にご挨拶する。皆さんは礼儀正しく、人の好い方達に思われた。どうやらこの風力計は設置が完了したのは昨日とのこと。風力計は最上部が高さ60mあり、およそ5mほどの間隔を空けて3つの小さな風車が回っている。その中で最適な高さを選択した上で風力発電機をここに設置するそうだ。「今後、このあたりの山という山に風力発電機が立ち並ぶことになります」と工事の方が無邪気に笑顔で話される。

午後の光の中を庄部谷山を目指して山毛欅の回廊を辿る。大規模な風力発電と林道工事のためにこの美しい山毛欅林が根こそぎ伐採される日が近いのだろう。

庄部谷山からは山頂の南のなだらかな台地ca830mで大きく右手に方向を転じて、黒谷の右岸尾根(西尾根)に入る。この尾根も下生の少ない快適な樹林が続く。やがて高度が緩やかに下が李、標高が750m以下になると、尾根には急に紅葉の樹々が目立つようになる。

昨日に登りで辿った中尾根の方が山毛欅の壮麗な樹林が広がっているように思われるが、こちらの尾根は楓の樹々が多く、華やかな雰囲気だ。樹林の中には所々に山毛欅の大樹が現れる。黄葉の木々を背後に従えて林の中で屹立する山毛欅の凜とした雰囲気には畏敬の念を抱かざるを得ない。
山毛欅.jpg

やがて尾根の送電線鉄塔に出ると正面には大御影山と三重獄のシルエットが大きく浮かぶ。背後には彼方に庄部谷山からの稜線が見える。送電線鉄塔からは午後の西陽を受けた紅葉の樹林から降り注ぐ色とりどりの透過光の中を歩くと、黒谷山の広いススキの原に出る。

風にそよぐ黄金色のススキの穂の向こうに江若国境稜線の壮大なパノラマが広がる。江若国境の山々を眺めるのにこれほど素晴らしい展望台は他には思いつかない。二年前の晩秋の山行で夕暮れ時のこのススキの原に立った時の感動と焦燥を思い出す。
黒谷山.jpg

黒谷山からは後はわずかである。小さな鞍部から左手の斜面を下ると送電線鉄塔までは尾根を辿る。鉄塔からは左手の斜面を折り返し、後は黒のプラスチック階段を辿り、ジグザグと斜面を下降する。黒谷を渡渉して林道に上がると車を停めた駐車地のすぐ南であった。

美浜の酒店では早瀬浦を入手するのが慣例となっている。この日は涼み酒と夜長月を入手する。山毛欅と紅葉を堪能した筈の山行ではあったが、やりきれない哀しみで胸がいっぱいになりながら、夕暮れの鯖街道を辿るのだった。
SHIGEKI
記事: 892
登録日時: 2011年7月25日(月) 18:30

Re: 【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by SHIGEKI »

yamamanekoさん こんばんは。


【 日 付 】2020年11月14日(土曜日)〜15日(日曜日)
【 山 域 】野坂
【メンバー】山猫、家内
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】(一日目)黒谷林道の駐車地14:24〜16:09ca790m
(二日目)ca790m6:49〜7:03庄部谷山〜8:08甲森谷入口〜 8:53出合9:34〜10:50ca860m〜11:52芦谷山12:44〜13:55庄部谷山〜15:00黒谷山〜15:26駐車地

一日ずれていますが、ニアミスだったようですね~

歩く速度と距離が余りにも違いすぎますが・・・


風力発電機が建設される前にこの山の黄葉の山毛欅林を見ることが出来るのも下手すると最後の機会かもしれない。

寂しいというか・・まだ、少しは先の話と思ってますが、喪失感半端ない ですね・・ :cry:

黒谷の入口からは林道を奥に進む。非舗装の林道に通行の支障となる石は取り除かれているようであり、真新しいタイヤの痕があるようだ。林道のヘアピン・カーブの手前の広地まで難無く入ることが出来る。

工事車両のために、10月頃 整備したようです。


最後の三段の堰堤の手前を対岸に渡渉し、堰堤を越えるとすぐに黒谷の出合となる。渡渉して右俣に入ると、沢の流れの両側には門のように岩を抱えて立つ二本の欅の大樹が現れる。谷には炭焼き窯が現れる。

朽ちた林道と堰堤を越えた後の、落ちつける素晴らしい空間です。

一面に黄色く色づいた小紫陽花の藪をかき分けて最初の急斜面を登ると徐々に斜面の斜度は緩くなり、送電線鉄塔にたどり着く。尾根を辿ると早速にも壮麗の山毛欅の黄葉の樹林が始まる。ここは昨年の秋ににも辿ったところではあるが、山毛欅の樹影がよく見えるようになったせいか梢が高く感じられる夕陽が梢から落とす黄金色の透過光を浴びながら緩やかに尾根を辿る。

標高が750mを越えると山毛欅は既に葉を落としている樹が多くなる。落ちて間もない落葉の柔らかい絨毯の上を歩く。ca790mピークの広々とした山頂台地にテントを張ることにする。山毛欅の葉が落葉したせいで、樹林に深く夕陽が差し込む。

左右俣の真ん中尾根ですね。

この日のメニューは、ゴボウ天とマッシュルームをフライパンで温めると、次いで炭焼地鶏と玉ねぎ、しめじのソテー、牛肉、カボチャとインゲンとトマトの蒸し焼きである。最後の〆は白ご飯にカモロース、オリーブとマッシュルームを加えてリゾット風にするがこれは実に絶品であった。携行した赤ワインとウィスキーも早々に空けてしまい、食後は速やかに眠りに落ちていった。

距離と速度の違いで同行は無理でも、不肖Sは最短距離から合流点を目指して、この部分は、いいお付き合いができるかもしれません。
しっぽりと焚火を囲んで呑みながら呑みながら山談義でもしたいもんですね。直ぐに酔っ払ってしまうでしょうが・・・ :mrgreen:  


真夜中にテントに近づいて来る足音と共に熊鈴の音が聞こえて目が覚める。途端に音が聞こえなくなったで、どうやら空耳だったらしい。果たして同じタイミングだったかどうかはわからないが、私の家内もテントに近づく足音を聞いて真夜中に目が覚めたらしい。

山本素石の「ねずてん」を想い出しますね。

【二日目】

標高点772mのあたりは広々とした台地状の緩斜面であり、明瞭なピークはない。ここは何本もの尾根が集まるところであるが、ca650mあたりにさしかかかるとここは何本もの尾根が集まるところであるが、甲森谷の入口めがけて下降する尾根がなかなかわかりにくい。一見、単なる急斜面に見えるが、方向を見極めて尾根を下るとすぐにも痩せ尾根となる。尾根上は杉の幼木による藪が頻繁に現れるが、右側斜面を巻くと通過しやすい箇所が多い。

尾根を下るにつれて紅葉の樹々が増える。やがて尾根の下部に至ると左側に緩斜面が見えてくるが、前回はこの緩斜面につられて左側に下降したところ谷を下降する羽目になったのだが、家内は谷の下降は嫌がるだろう。今回はあくまでも尾根芯に忠実に下降すると、右手に甲森谷の流れが見える。

ま東に向かう浅い谷の直近左岸尾根を降りられたんですか??


お遭いした時のrepで山日和導師は「明る過ぎて、この森の持つ厳かな空気が失われているような気がした」と書いておられたが、確かに谷の荘厳な雰囲気を堪能するには深い谷間に陽光が差し込まない朝の時間の方が良いのかもしれないと思った。

ですね。ピーカンよりも薄いもやか霧、時折射し込む木漏れ日が似合います。

左俣を上流に向かい、左岸の小さな谷を越えるとすぐに巨岩の下にある岩屋とその左にかかる滝が現れる。滝の左岸には岩屋の上に向かって伸びている細いバンドが目に入る。バンドに取り付くが、もう一息というところで足がバンドの上の足場が滑る。私はなんとか無理によじ登ることが出来たとして家内は到底無理だろう。やむなく撤退し、バンドの右手から尾根を登る。

このバンド!!ザレの斜面なのにいつまでもそのバンド残ってるんですよね。

不肖Sも数年前にこのバンド行きかけましたが、あきらめました。流石によく登られましたね。

夏なら滝の左、真ん中、右どこでも登れるんですが・・・


尾根を登るにつれて徐々に斜度が緩くなる。樹林の間の広地からは左手にピークca830mが見えるが、その上には見慣れない銀色に輝く細長い鉄塔が立っている。風力発電器を建てる前に風力を調査するための観測機が設置されたようだ。その鉄塔のすぐ近くにヘリコプターが飛来する。どうやら観測機のあるピークに荷物を運搬しているようだ。

前日、反対側からこの残念な光景を目の当たりにしました。 :cry:

おー 830 山毛欅の森よ~



先ほどのca830mピークで戻ると工事の方達にご挨拶する。皆さんは礼儀正しく、人の好い方達に思われた。どうやらこの風力計は設置が完了したのは昨日とのこと。風力計は最上部が高さ60mあり、およそ5mほどの間隔を空けて3つの小さな風車が回っている。その中で最適な高さを選択した上で風力発電機をここに設置するそうだ。「今後、このあたりの山という山に風力発電機が立ち並ぶことになります」と工事の方が無邪気に笑顔で話される。

えっ もうそんな 決定が ・・・

やりきれない哀しみで胸がいっぱいになりながら、夕暮れの鯖街道を辿るのだった。

・・・・ホンマ 言葉がありません・・・

        SHIGEKI
sato
記事: 106
登録日時: 2019年2月13日(水) 12:55

Re: 【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by sato »

やまねこさま

こんにちは。
庄部谷山周辺の風力発電設置の計画、そして先月、お世話になっている方から、尾根上のブナの大木が伐採されてしまったのを聞き、
やるせない気持ちに包まれていました。やまねこさんも惨状をご覧になられたのですね。

福井県は、県を挙げて風力発電の設置に積極的に取り組んでいるようです。
世界的にも、原発に続くもの、二酸化炭素排出量削減などをうたい、
クリーンで再生可能、純国産のエネルギーとして、風力発電が導入されていっているようです。
そんなに電気が必要なのか、風力発電は必要なのかと思うものの、
電気に頼り切っている社会があり、当たり前に電気を使うわたしたちの暮らしがあるという現実を前に、
どう考えていったらよいのか分からなくなります。

ただ、わたしたちのからだの60パーセント以上が水分。山は、いのちの源の水が生まれるところ。
そして、健やかな山があり、複雑で多様な生態系があり、繋がり合い、わたしたちは存在している、と頭ではなく、からだが感じます。
訪れる度、幸せな気持ちに包まれる風景が、失われてしまうと思うと、胸が苦しくなります。

庄部谷山へは、黒谷林道から向かわれたのですね。
門番のような木(わたしの記憶ではトチなのですが・・・)が両岸に佇む、谷の入り口の情景は、清廉さを湛え、
この山に分け入ることの出来るよろこびが湧き上がります。
秋の夕方の山は、しみじみと美しいですね。柔らかな光に包まれた谷の写真を眺め、
今日は帰らなくてもよいという幸せを、わたしも味わいたくなりました。

やまねこさんは、お料理もお得意なのですね。やまねこさんの苦手なものはあるのかしら、と思ってしまいます(笑)。
山では不思議なことが起こりうるのかもしれません。
真夜中の鈴の音・・わたしも残雪の白山でテント泊した時に聞きました。
夢かなと思ったのですが、翌朝、ご一緒だった方に「鈴の音が聞こえなかった?」と聞かれ、本当だったのだとびっくりしました。

甲森谷は、「トチとカツラのワンダーランド」と呼ばれているのですね。
言い得て妙と思いました。
カツラの大樹とその傍らの炭焼き窯跡に初めて目にした時、ひとつの完結した世界を感じました。
「炭焼き窯は背後の桂のための祭壇のようであり、樹と共にあることで始めて一幅の絵画として完成されるように思える」
祭壇・・そうなのかもしれませんね。山中で出会う炭焼き窯跡に、炭を焼くという役割を超えたものを感じることが度々あります。

大産岩屋の滝は、透き通った瀬音が、静かにこころに響き渡る、情趣のある滝ですね。
自然の生み出す造形ってすごい、ちいさな山のちいさな点のような場所なのだけど、完璧な世界、と思いました。

ブナが倒された830mピークでは、工事関係者の方々とお会いしたのですね。
「「今後、このあたりの山という山に風力発電機が立ち並ぶことになります」と工事の方が無邪気に笑顔で話される」
道路が出来、暮らしが楽になると住民に呼びかけ、原発誘致に至った若狭。
今度は、クリーンでやさしいエネルギーを、風力発電機は観光スポットにもなり、地域活性化にもなるという大義名分のもと、
誘致を呼びかけているのですね。

かつて山と共に暮らした人びとも、今は、山を持っているだけという方がほとんど。
自分の山がどこからどこまでなのか知らない方も多いです。
こういう現状の中、山を買いたいと話を持ちかけられたら、いい機会だと手放したくなる心情も想像出来ます。

「山毛欅と紅葉を堪能した筈の山行であったが、やりきれない哀しみで胸がいっぱいになりながら、夕暮れの鯖街道を辿るのだった」
コメントを綴りながら、やまねこさんのこころに映った風景、わたしの記憶の風景を想い、かなしさでいっぱいになりました。

やまねこさんのレポを拝見し、お世話になっている方の思いもお伝えしたくなりました。
10月の末と11月に歩かれた時の報告を載せさせてください。

https://www.shigasanyu.com/2020/11/08/野 ... 定地のブナ林を歩く/

sato
yamaneko0922
記事: 301
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39

Re: 【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by yamaneko0922 »

SHIGEKIさん コメントどうも有難うございます。

>寂しいというか・・まだ、少しは先の話と思ってますが、喪失感半端ない ですね・・ :cry:

風力発電機が建設されるのはあと二年ほどある・・・という話が聞こえてきますが、その前に江越国境の音波山のような形で林道を延伸して、山毛欅が伐採されてしまうのではないかという危惧があります。

>工事車両のために、10月頃 整備したようです。

昨年の秋にこの林道に車で入った時とは林道の状態がかなり違っていたので驚きました。
工事のためにほぼ毎日のように車が往復するようです。

>朽ちた林道と堰堤を越えた後の、落ちつける素晴らしい空間です。

ここも実にいい場所ですね。昨年のレポで教えてくださり、有難うございます。

>しっぽりと焚火を囲んで呑みながら呑みながら山談義でもしたいもんですね。直ぐに酔っ払ってしまうでしょうが・・・ :mrgreen:  

有難うございます。是非とも宜しくお願いします。酒と食材は私が担ぎ上げますので。

>山本素石の「ねずてん」を想い出しますね。

これは知りませんでした。早速、購入してみようと思います。

>ま東に向かう浅い谷の直近左岸尾根を降りられたんですか??

p772から北東に伸びる尾根はca650mのあたりで尾根が分岐しますが、そのまま尾根をまっすぐ下降して甲森谷の下の出合に着地しました。

>ピーカンよりも薄いもやか霧、時折射し込む木漏れ日が似合います。

まだ木漏れ日の落ちる谷の風景を知らないので、その内、機会を見つけて来訪したいと思います。
カツラの葉が黄色く色づく頃も良さそうですね。

>前日、反対側からこの残念な光景を目の当たりにしました。 :cry:
おー 830 山毛欅の森よ~


東の若越国境尾根から辿ってくると、リョウブの低木を抜けてこのca830mの壮なブナ林にたどり着き、忽然と現れる壮麗なブナ林に思わず梢を見上げるところだったのですが :cry:
yamaneko0922
記事: 301
登録日時: 2018年11月20日(火) 06:39

Re: 【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by yamaneko0922 »

satoさん コメントどうも有難うございます。

>福井県は、県を挙げて風力発電の設置に積極的に取り組んでいるようです。

そのようですね。まずはトチノキ峠〜下谷山、この庄部谷山〜芦谷山の稜線の次には銀杏峰〜部子山の稜線にも風力発電機が立ち並ぶ計画のようです。

電力会社と地元の自治体や企業との間に緊密な協力関係が既に構築されている背景もあるのでしょう。

風力発電機が建設されると発電機が発する超低周波音(耳には聞こえない音)により体調不良に陥る可能性があるので、山に近づけない人もおられると思います。

>門番のような木(わたしの記憶ではトチなのですが・・・)が両岸に佇む、谷の入り口の情景は、清廉さを湛え、
この山に分け入ることの出来るよろこびが湧き上がります。


樹肌から判断しようとしたのですが、確かにトチノキだと思います。失礼しました。
ここは一気に景色が変わり、この谷に入る高揚感を感じるところですね。

>やまねこさんは、お料理もお得意なのですね。

いえ、食材をフライパンに放り込んで加熱するだけですので、この程度では得意とはいえません。

>甲森谷は、「トチとカツラのワンダーランド」と呼ばれているのですね。

私もこのやぶこぎネットで初めて知りました。これも山日和導師の命名でしょうか?

>カツラの大樹とその傍らの炭焼き窯跡に初めて目にした時、ひとつの完結した世界を感じました。
>山中で出会う炭焼き窯跡に、炭を焼くという役割を超えたものを感じることが度々あります。

私もそう思います。山日和さんが書いておられますが、一昨年の小栗への源頭部の炭焼き窯もそうですね。

滋賀の山友会のご紹介有難うございます。この山の魅力を知る方は同じく哀しい思いをされることになりますね。
oku
記事: 205
登録日時: 2011年3月07日(月) 22:52

Re: 【野坂】庄部谷山〜晩秋のワンダーランド〜芦谷山☆風力発電計画進行中の山毛欅の稜線に

投稿記事 by oku »

山猫さん こんばんは

>【 日 付 】2020年11月14日(土曜日)〜15日(日曜日)
>【 山 域 】野坂
>【 ルート 】(一日目)黒谷林道の駐車地14:24〜16:09ca790m
少しニアミスです。ちょうど14日は2kmほど北東を散策していました。

>【一日目】
>右岸につけられた送電線巡視路の踏み跡を辿ると早速にも山毛欅の大樹が出迎えてくれる。なだらかな谷間には平流が流れるようになる。
黒谷より折戸谷が多かったのですが最近黒谷もいいなと思うようになりました。

>この日のメニューは、ゴボウ天とマッシュルームをフライパンで温めると、次いで炭焼地鶏と玉ねぎ、しめじのソテー、牛肉、カボチャとインゲンとトマトの蒸し焼きである。最後の〆は白ご飯にカモロース、オリーブとマッシュルームを加えてリゾット風にするがこれは実に絶品であった。携行した赤ワインとウィスキーも早々に空けてしまい、食後は速やかに眠りに落ちていった。
山レポも充実ですが、食事レポというか食事メニューの豪華さがさらにすごくて、山レポだったことを忘れてしまいそうです(笑)

>【二日目】
>翌日、テントをたたみ6時半過ぎに出発する。樹間から朝陽が差し込むと、途端に山毛欅の林が赤橙色に輝き始める。庄部谷山にはわずかな登りで到着する。この山に来たのは5ヶ月ぶりだ。
新緑、初夏、紅葉、落葉 いつでも気持ちよくあるけますね。

>ここでも広い尾根に樹高の高い壮麗な山毛欅の疎林が続く。尾根にはピンクテープがあるが、ピンクテープが誘導するのは山頂の北西のピークca840mの方らしい。尾根には果たしてこんな広々とした樹林が広がっていたのだろうかと思うほどに見事な疎林が続くが、前回辿った6月の山行では10m先も見えないような濃霧の中だったので、この樹林の景色を眺めるべくものないのだった。
ピークの少し北の広々したあたりは、山頂よりもいい場所だと思います。

>炭焼き窯を過ぎると谷はますます大きく広がり、緩やかな円弧を描いて流れる谷の平流の河岸段丘には次々とカツラの大樹が現れる。トチやカツラの葉はすっかり散ってしまっていたが、谷を取り巻く斜面の楓は紅葉の最盛期のようだ。
稜線の葉っぱは紅葉過ぎてました。谷あいはきれいな紅葉残っているなぁとその前日眺めていました。

>谷の出合が近づくと左岸の斜面は朝陽を浴びて輝いている。徐々に明るくなってゆく谷を眺めながらコーヒーを淹れて、のんびりと朝食の休憩をとることにする。
このあたりはこうやってゆっくり時間を過ごす場所ですね。

>尾根を登るにつれて徐々に斜度が緩くなる。樹林の間の広地からは左手にピークca830mが見えるが、その上には見慣れない銀色に輝く細長い鉄塔が立っている。風力発電器を建てる前に風力を調査するための観測機が設置されたようだ。その鉄塔のすぐ近くにヘリコプターが飛来する。どうやら観測機のあるピークに荷物を運搬しているようだ。
14日、響いてくる金属音なにかな、と思ったらこの作業の音でした。

>ところで目の前には尾根の好展望を喜んではいられない状況が待ち構えていた。尾根上には倒木の集中地帯が現れる。多くは杉の樹ではあるが、尾根上には立っている樹が見当たらず、樹が悉くなぎ倒されているようだ。樹は西側斜面に倒れ込んでいるものが多いので、東側斜面に回り込んでみると、状況はさらに酷かった。
最近、P806と庄部谷山の間歩いていないのですが、さらに行きたくなくなる、というか行く理由がなくなりますね。

>先ほどのca830mピークで戻ると工事の方達にご挨拶する。皆さんは礼儀正しく、人の好い方達に思われた。どうやらこの風力計は設置が完了したのは昨日とのこと。風力計は最上部が高さ60mあり、およそ5mほどの間隔を空けて3つの小さな風車が回っている。その中で最適な高さを選択した上で風力発電機をここに設置するそうだ。「今後、このあたりの山という山に風力発電機が立ち並ぶことになります」と工事の方が無邪気に笑顔で話される。
現地の職人さんにとっては誇らしいことだと思います。(役に立っていない森を開いて、役に立つ自然エネルギー源建設ですし。)

>午後の光の中を庄部谷山を目指して山毛欅の回廊を辿る。大規模な風力発電と林道工事のためにこの美しい山毛欅林が根こそぎ伐採される日が近いのだろう。
がっくりのため息だけですね。

>風にそよぐ黄金色のススキの穂の向こうに江若国境稜線の壮大なパノラマが広がる。江若国境の山々を眺めるのにこれほど素晴らしい展望台は他には思いつかない。二年前の晩秋の山行で夕暮れ時のこのススキの原に立った時の感動と焦燥を思い出す。
秋の空にススキは本当によく似合いますね。

>美浜の酒店では早瀬浦を入手するのが慣例となっている。この日は涼み酒と夜長月を入手する。山毛欅と紅葉を堪能した筈の山行ではあったが、やりきれない哀しみで胸がいっぱいになりながら、夕暮れの鯖街道を辿るのだった。
福沢諭吉さんだったと思いますが、急流瀑布、風光明媚なれども人の役に立たず。水車回せば云々。が明治
時代の風潮っていうものあると思いますが、視線の先がみんな違いますしね。。。

oku
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