【 日 付 】2024年1月9日
【 山 域 】南紀
【メンバー】tsubo、他6名
【 天 候 】快晴
【 ルート 】那智勝浦町大野ー藤綱の要害ー新宮市熊野川町滝本
私が住んでいる和歌山県那智勝浦町色川には平家の落人伝説がある。
平清盛の孫の維盛が色川の大野の集落の奥に隠れ住んだと言われている。藤蔓を綱にして要害を構えたので、藤綱の要害と言われている。
村人が落人のために食事を運んだとも言われている。
ここは沢好きな人がよく行く滝本本谷のコッペ滝のすぐそばだ。以前隣の熊野川町の滝本から行ったことがある。ネットで調べても、みな滝本から行っている。
そこを大野から行くことになった。
このあたりに詳しい50代のyさんと、30代の猟師のh君が案内人だ。
メンバーはほかに20代のo君とtokumori君、30代のi君と40代のh子さんと私の7人。
私が最高齢。みんな特に登山はしないが、体力はあるし、若くて元気だ。付いていけるかな?
民泊ジュゲムの横の石段からスタートだ。
人家がなくなり、山の中の急な登りが続く。
猪垣(シシガキ)が出てくる。全長4kmくらいあるそうだ。
「猪垣は江戸時代の終わりくらいから各地でできたらしいですよ。」
そのころから猪が畑を荒らすようになったのだろうか。
今は1mくらいの高さだが、できたころはもっと高かったのだろう。
「昔はここまで田んぼだったそうです。ここが田んぼの一番上で、ここで牛を飼っていたって聞きました。」
こんな高い所まで牛を連れてきたのか。
しかし、案内役のyさんとh君は歩くのが速い。少し間をおいてh子さん、私の順で歩く。
いつもならもっと軽快に歩くh子さんの足取りが重い。石段で座り込んでしまった。
お腹が痛いらしい。
「戻りますか?それなら誰か一緒に下りた方がいい。」とyさん。
「僕なら一度下って登り返しても追いつけると思うけど・・・」とh君。
「ゆっくりなら平気だと思います。」
ということで、少しペースを落として歩くことにする。私はほっとする。
それからは私にもちょうどいいペースで歩いてくれた。
「このあたりにエビフライがあるはずだがなあ。」
エビフライ?
「あった!」
「これ、リスが松ぼっくりを食べた跡なんです。これがあるってことはリスがいるってこと。」
地面を探すといくつもエビフライが転がっている。このあたりはリスが多く住んでいるようだ。だが、残念ながらリスの姿は見えなかった。
平たい場所に出た。
大野保郷会が立てた看板がある。
「ここが中の平です。ここのカタフタ街道を通って、藤綱の要害に行きます。」
yさんが持ってきた大野保郷会の地図を広げる。地形図には道が書かれてあった。だが、普通の地形図にはそれらの道は出ていない。
さらに歩いていくと、林業用の作業道が出てきた。そこにも地図が立っているが、作業道は書いていない。昔の道は作業道で分断されてしまっていてわかりにくい。
yさんとh君が道を探す。
「こっちです。」
低い木がかぶさってわかりにくかったが、はっきりした道が出てきた。
しばらくトラバースの道を行く。それから急な下りになる。
突然音楽が聞こえてきた。
「新宮市の12時の音楽だわ。」h子さんが言った。そのころにはh子さんはすっかり元気になって足取りも軽くなっていた。
大きな木がある。何の木だろう?
「これはシイの木だと思いますよ。」
やがて石垣が出てくると、そこが藤綱の要害だった。
無事に着くことができてみんなほっとする。
そばにはコッペ滝がある。立派な美しい滝だ。
tokumori君が「村の人がご飯を運んでくれるなら、ここに住んでもいいなあ。」なんて言う。
「偉い人の末裔じゃないとダメよ。」
「平徳盛ってことでどうですか?」
なるほど!tokumori君はもしかしたら平家の末裔かな?いや、違う。(笑)
滝本に下る。
発電所の導水管の巡視路を歩く。ここはわかりやすい。
やがて滝本に着く。置いてあった2台の車に乗り込む。
近くの宝竜滝に寄る。コッペ滝の下流の滝だ。
いつもなら迫力ある大きな滝だが、今年はやけに水が少ない。知っている人はびっくりしている。私もこんなに水量が少ない宝竜滝は初めてだ。
「いつもはこんなんじゃないよ。」yさんが、初めて来た人に必死で話している。
1時間以上の休憩を入れて4時間ほどの山歩き。
地元の山を地元の人たちと歩くのは楽しい。地元の歴史を知るのは興味深い。
いつもの一人での登山とは違った面白さがある。
案内してくれたyさん、h君、同行してくれたみんなに感謝。
この二日後の11日には初登山で、霧氷の三峰山に一人で行った。
グーさんに教えていただいた霧氷ができる条件にぴったりだと思ったからだ。
三峰山から平倉峰にかけては美しい霧氷の森が広がっていた。
ヤマレコを見ると、12日には霧氷はなかったそうなので、やっぱり天気予報を見て霧氷ができる条件にかなった日を見定めることが大事だなと思った。
残念ながら高曇りで青空と霧氷にはならなかったけど、御嶽山を見ることができた。
快晴の藤綱の要害歩き、霧氷の三峰山。
今年の山歩き、幸先よく始めることができた。
ありがとうございました。
tsubo