ここ10年ほど無雪期は沢登り,冬季は雪山という山ライフが続いている。暖冬だった昨冬は雪がない山に登る気もせず,かといって沢登りの季節でもなしということで,山に行ったのはスノー衆の1回のみであった。その代わりということでもないが,誘っていただいたクライミングを厳冬期にもかかわらず仲間と一緒に楽しみながらそれなりに充実した時間を過ごした。あまりに充実しすぎて肝心の仕事に支障が出てきたため,クライミングは半年ほどでご遠慮することになり,現在は室内でのボルダリングで遊んでいる。
今冬は昨年の埋め合わせでもなかろうが,12月中旬から大雪となり,あっという間に雪山シーズン到来となった。鈴鹿北部もかなりの積雪のようなので,様子見もかねて御池方面に出かけることにした。冬季の御池へのアクセスルートはいろいろあるが,最も楽に行けるルートは大君ヶ畑からのルートだろう。特に,天気さえ良ければ絶景を背に鞍掛尾根を登るのは素晴らしく気持ちがいい。今回は大君ヶ畑から行ってみることにする。
【 日 付 】2020年12月22日(火)
【 山 域 】鈴鹿北部
【メンバー】単独
【 天 候 】快晴
【 ルート】 大君ヶ畑国道306号線路肩 9:00 --- 9:35 鞍掛橋 --- 10:09取り付き --- 11:28 送電線鉄塔 --- 12:01 尾根末端(昼食休憩)12:58 --- 13:27 駐車地
出がけにいろいろバタバタして家を出るのが30分ほど遅れる。そのため朝の通勤ラッシュに捕まって大君ヶ畑まで2時間もかかってしまった。大君ヶ畑を過ぎたところで工事関係の車が止まっていたので,この先の様子を聞いてみる。「工事をやっているところまでは除雪してあるが,工事関係車両が通るのでなるべく駐車しないで欲しいと」のこと。今止まっている路肩なら大丈夫ということなので,そこの路肩に駐車させてもらうことにした。
- 取り付いた斜面
ちなみにこの車は宮崎ナンバー。話をした若いお兄さんは地元では聞かないイントネーションだった。通りかかった工事用トラックのおじさんの言葉もここらでは聞かないイントネーションで,母音が勝った話し口は心地よく響いて感じがいい。そういえば,昔,宮崎県からきている女子学生がいて,実家に帰省しああと2,3日は宮崎訛りが抜けなかった。彼女はその訛りを恥ずかしく思っていたようだが,私にはその響きがとても心地よく,標準語で喋る彼女よりもずっと好もしく思ったものだった。
トラックのおじさんの話では,「わしらは下請けなんで,そっちにいる元請けの人の了解を取っておいて」ということなので,元請けの人に聞くと,「そこなら置いておいて大丈夫」ということだった。ちなみにこの元請けの人は地元業者のようだった。この業界のシステムはよくわからないが,下請け仕事のためにわざわざ宮崎県からやってきているのだろう。
準備をして歩き始める。工事区間以降もずっと除雪してあるので,工事の人に土日も工事をやっているのかと聞くと,「日曜日は休み」ということだった。結局,鞍掛橋のゲートまできれいに除雪してあり,登山口の林道入り口には車を止められるほどのスペースがあった。工事が休みの日曜日ならここまで車で入ることができそうだ。
鞍掛橋手前の林道からは30〜40センチほどの積雪がある。ここでスノーシューを履く。林道には単独者のスノーシューのトレースが続いている。おそらく日曜日のものだろう。「尾根末端の登山道の取り付きを登っていてくれると助かるんだけど」と期待して行ってみると,トレースの主は取り付きを越えて林道の奥に進んでいったようだ。取り付き付近は急傾斜で,トレースもなく,とてもスノーシューで登る気になれない。
林道の先に2年前に取り付いた斜面があるので,そこから取り付いてみることにする。トレースの主はしばらく行って,逡巡し結局引き返すことにしたようだ。「もう少し行くと取り付けるところがあるのにねえ。根性なしだねえ。」と思う。記憶にある取り付き点はそのすぐ先だった。
- きれいに除雪されている国道306号線
この取り付き点,取り付くことはできるのだが,すぐに植林の急斜面になる。気温が高く重い湿り雪で覆われた急斜面を一歩一歩ラッセルしていくのはとても体力を消耗する。スノーシューを履いていても深いところでは膝くらいまで沈み込む。しかも2,3度踏み込まないと滑ってしまうのだ。数歩ごとに休みながらようやく標高730mの送電線鉄塔にたどり着く。取り付き点から1時間30分。歩き始めて2時間30分が経過している。鞍掛尾根までまだ半分も来ていない。このまま単独ラッセルをしているといつ鞍掛尾根につけるかわからない。
- 登山道の取り付き
時刻はまだ11時半だが,撤退することに決める。せっかくなので帰りは登山道を降りてトレースをつけておいてあげよう。次に来る人はこの鉄塔までは迷わずに来れる。取り付きの急斜面はシリセードで降りれば降りられないことはないだろう。
- 306号戦を俯瞰する
降りはトレースがなくても早い。標高640mにある下の送電線鉄塔に来ると古いトレースが出てきた。おそらく土曜日あたりにここまで来て引き返したものだろう。そのあとはトレースに従って降りていく。最後の尾根末端の急斜面はシリセードするほどのこともなく,スノーシューのままで簡単に降りることができた。「これだったら最初からここを登ればよかった」。
- 標高730mの送電線鉄塔
林道に降り立ったところの陽だまりで昼食にする。風もなく,陽が当たると暑いくらいだ。帰り道の車のバックミラーに白く輝く鈴鹿の稜線が写っている。「まあいいさ。今度また来ればいい。」
ここ10年ほど無雪期は沢登り,冬季は雪山という山ライフが続いている。暖冬だった昨冬は雪がない山に登る気もせず,かといって沢登りの季節でもなしということで,山に行ったのはスノー衆の1回のみであった。その代わりということでもないが,誘っていただいたクライミングを厳冬期にもかかわらず仲間と一緒に楽しみながらそれなりに充実した時間を過ごした。あまりに充実しすぎて肝心の仕事に支障が出てきたため,クライミングは半年ほどでご遠慮することになり,現在は室内でのボルダリングで遊んでいる。
今冬は昨年の埋め合わせでもなかろうが,12月中旬から大雪となり,あっという間に雪山シーズン到来となった。鈴鹿北部もかなりの積雪のようなので,様子見もかねて御池方面に出かけることにした。冬季の御池へのアクセスルートはいろいろあるが,最も楽に行けるルートは大君ヶ畑からのルートだろう。特に,天気さえ良ければ絶景を背に鞍掛尾根を登るのは素晴らしく気持ちがいい。今回は大君ヶ畑から行ってみることにする。
【 日 付 】2020年12月22日(火)
【 山 域 】鈴鹿北部
【メンバー】単独
【 天 候 】快晴
【 ルート】 大君ヶ畑国道306号線路肩 9:00 --- 9:35 鞍掛橋 --- 10:09取り付き --- 11:28 送電線鉄塔 --- 12:01 尾根末端(昼食休憩)12:58 --- 13:27 駐車地
出がけにいろいろバタバタして家を出るのが30分ほど遅れる。そのため朝の通勤ラッシュに捕まって大君ヶ畑まで2時間もかかってしまった。大君ヶ畑を過ぎたところで工事関係の車が止まっていたので,この先の様子を聞いてみる。「工事をやっているところまでは除雪してあるが,工事関係車両が通るのでなるべく駐車しないで欲しいと」のこと。今止まっている路肩なら大丈夫ということなので,そこの路肩に駐車させてもらうことにした。
[attachment=4]PC220001.jpg[/attachment]
ちなみにこの車は宮崎ナンバー。話をした若いお兄さんは地元では聞かないイントネーションだった。通りかかった工事用トラックのおじさんの言葉もここらでは聞かないイントネーションで,母音が勝った話し口は心地よく響いて感じがいい。そういえば,昔,宮崎県からきている女子学生がいて,実家に帰省しああと2,3日は宮崎訛りが抜けなかった。彼女はその訛りを恥ずかしく思っていたようだが,私にはその響きがとても心地よく,標準語で喋る彼女よりもずっと好もしく思ったものだった。
トラックのおじさんの話では,「わしらは下請けなんで,そっちにいる元請けの人の了解を取っておいて」ということなので,元請けの人に聞くと,「そこなら置いておいて大丈夫」ということだった。ちなみにこの元請けの人は地元業者のようだった。この業界のシステムはよくわからないが,下請け仕事のためにわざわざ宮崎県からやってきているのだろう。
準備をして歩き始める。工事区間以降もずっと除雪してあるので,工事の人に土日も工事をやっているのかと聞くと,「日曜日は休み」ということだった。結局,鞍掛橋のゲートまできれいに除雪してあり,登山口の林道入り口には車を止められるほどのスペースがあった。工事が休みの日曜日ならここまで車で入ることができそうだ。
鞍掛橋手前の林道からは30〜40センチほどの積雪がある。ここでスノーシューを履く。林道には単独者のスノーシューのトレースが続いている。おそらく日曜日のものだろう。「尾根末端の登山道の取り付きを登っていてくれると助かるんだけど」と期待して行ってみると,トレースの主は取り付きを越えて林道の奥に進んでいったようだ。取り付き付近は急傾斜で,トレースもなく,とてもスノーシューで登る気になれない。
林道の先に2年前に取り付いた斜面があるので,そこから取り付いてみることにする。トレースの主はしばらく行って,逡巡し結局引き返すことにしたようだ。「もう少し行くと取り付けるところがあるのにねえ。根性なしだねえ。」と思う。記憶にある取り付き点はそのすぐ先だった。
[attachment=3]PC220006.jpg[/attachment]
この取り付き点,取り付くことはできるのだが,すぐに植林の急斜面になる。気温が高く重い湿り雪で覆われた急斜面を一歩一歩ラッセルしていくのはとても体力を消耗する。スノーシューを履いていても深いところでは膝くらいまで沈み込む。しかも2,3度踏み込まないと滑ってしまうのだ。数歩ごとに休みながらようやく標高730mの送電線鉄塔にたどり着く。取り付き点から1時間30分。歩き始めて2時間30分が経過している。鞍掛尾根までまだ半分も来ていない。このまま単独ラッセルをしているといつ鞍掛尾根につけるかわからない。
[attachment=2]PC220011.jpg[/attachment]
時刻はまだ11時半だが,撤退することに決める。せっかくなので帰りは登山道を降りてトレースをつけておいてあげよう。次に来る人はこの鉄塔までは迷わずに来れる。取り付きの急斜面はシリセードで降りれば降りられないことはないだろう。
[attachment=1]PC220014.jpg[/attachment]
降りはトレースがなくても早い。標高640mにある下の送電線鉄塔に来ると古いトレースが出てきた。おそらく土曜日あたりにここまで来て引き返したものだろう。そのあとはトレースに従って降りていく。最後の尾根末端の急斜面はシリセードするほどのこともなく,スノーシューのままで簡単に降りることができた。「これだったら最初からここを登ればよかった」。
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林道に降り立ったところの陽だまりで昼食にする。風もなく,陽が当たると暑いくらいだ。帰り道の車のバックミラーに白く輝く鈴鹿の稜線が写っている。「まあいいさ。今度また来ればいい。」