越美を終えてから「福井県境ひとり全踏破」にもそれなりの現実味は出てきたけど、完遂って果たしていつのことになるのやら~?
- 赤登り / 黄色、今回の加越国境3.8キロ / 青下り
【日付】 2018年1月20日(土)
【天候】 晴れのち曇り、雪のち晴れ
【ルート】駐車地(7:14) -(8:17)取り付き -(9:52)越前甲展望(10:17) -(11:45)P1287 -(12:08)県境 -(13:00)ニセ大日山 -(13:25)地割れ(13:58) -
(14:33)大日小屋 -(15:27)P1135 -(16:13)P1126県境分岐 -(17:10)P873下降点 -(18:29)林道着地-(18:47)駐車地
出合いの橋を渡って植林尾根に取り付く。
朝のこの時間で気温は氷点下なのに、半分になってもまだ皿川の水量は多い。
周回しての帰りはこの取り付きの橋を目指そうかとも考えたが、渡渉が苦手なワタシとしては安全な尾根まで回り込むことにしよう。
スギの植林帯を登っていると、段差で左足がシューごとズボっとふくらはぎまで落ち込んでしまう。バランスを崩してしりもちをつくと身体は下へと滑り落ちようとする・・・足を穴に固定したまま。経験からあらぬ方向へ足をひねられることを知っていたので、両手で踏ん張って左足を跳ね上げさせると上手く穴から抜け出てラッキー、と思う間もなくそのまま身体が雪面を滑り始める。幸い三mほどでシューを使っての滑落停止が出来た。
まさか植林帯で滑落とは今まで考えもしなかった・・・。
快晴予報のはずなのに、なぜか標高を上げていくにつれて視界が悪くなり風花のようなモノまで舞い落ちてくる。
嫌な予感がして、まだ見えるうちに越前甲の展望地で大休止とする。
おそらく今週の雨で付着していた雪が洗い落とされたのだろう、いつもの姿より黒々として威圧感十分だ。
- 黒々越前甲
小雪もちらつく中、カラマツ林を抜けてちょっとした無木立のゲレンデに出る。
なんで木が生えてないか分かりそうなものだが、右奥のブナ林へは向かわずに何故かここを直登。(^^ゞ
雪面は完全なカリカリではなく薄っすらとした新雪もあって、スノーシューではスリル満点。
たぶんこんな雪面なら、ゲレンデスキーでも十分に滑りを楽しめそうな感じがする。
当面の目標だったP1287を前にして、遂に白い雲が降りてくる。
霧の中のさっきよりかはまだマシかというくらいの急斜面、何本も走ってる雨溝のでこぼこの無い面をたどる。
風と雪、そしてホワイトアウトの中でのピークへと到着。
も、帰ろうか・・・。
いや、大日ピークだけでも踏んで帰らないとなー、周回はあきらめないとダメだろうけど。
実は魔の悪いことに、このピーク手前辺りからGPSの調子が思わしくない。「現在地」があっちゃ行ったりこっちゃ行ったり・・・。
地図とコンパスには日頃慣れてないので、視界なしの時計だけでは距離感に自信が持てない。
ここへ引き返してくることを前提に、県境の接続点には深めの足跡でマーキングしておく。
先週の大雪後の雨で危険な雪庇は全くなく、その意味ではのっぺりとした歩きやすい稜線歩きと言える。
ただ薄っすら新雪の被った雪面はカリカリでもあり、大きな段差はもちろんちょっとしたでこぼこであってもホワイトアウトのスノーシュー歩きにはツラいモノがある。
大日までの県境歩きには二か所の急下降があるが、二回とも「こんな下降の仕方は支尾根と間違ったのでは」と心配しながらの歩きとなった。
- 迷走状態の軌跡。
風雪厳しい
大日ピーク(だと思って)を踏んでからマッタリしようと思い小屋へと向かってみたが、ホワイトアウトの中で広がってきた雪面に危険を感じて、結局はまだトレースも健在な元の県境稜線に引き返す。
マッタリできるよう風を避けようと、雪庇の下へ降りられる場所を探していると・・・おお、これだ!
雪庇の亀裂が地面まで届いていて、人間一人ならすっぽりラクに入れて深すぎもしない地割れだ。
ちゃんと椅子や物入れまであって昼飯には打ってつけの場所。♪
ご飯ついでにGPSの電池残量をみて交換すると、ピタッと症状が収まる。もしかしてコレってそー言うことなのか?
もう帰るだけの「ふてくされモード」でお昼を食べていたが、ふと頭上の空間が高くなってることに気が付く ?
なんだなんだと地割れから風の中へと頭を出してみると・・・は、はい~??
いままでのホワイトアウトが嘘だったみたいに、どんどん視界が広がっていく。
え? これって当初予定が可ということなのか?
いやいやもうこんな時間だし・・・。
でもなー、くずくずまだ稜線上にいたおかげでリカバリーはしやすいかも。
今日本来の目的ってなんだった?またここまでもう一度やり直すのって大変だよなー。
大日小屋まで登り返したら後はもう下り基調だし。
・・・目前の危険が過ぎ去ってしまうと、ホント誘惑に弱いワタシ。(^^ゞ
よーし、闇下決定!! もちろんビバーク装備は整ってるしおまけに明日は日曜日。
- 向こうを下れば闇下は確実。
ふてくされモードでも足元はスノーシューからアイゼンに換装済だ。やはりカリカリ稜線、それも急が付く登り下りではアイゼンのほうが安全なようだ。おかげで意外に早く小屋へと到着。
その途中、クリアな視界にさきほどの大日山への登頂偽装が発覚してしまった!
- ええ~っ? 誰だこれが下り基調とか言ったのはー?
やっぱりここの小屋に泊まっとこうかな・・・。
青空にテンションも上がり、現金なもので登り返しがあってもペースは速い。
やはりGPSは完全復調。
あのまま降りてたら、この青空見て悔しかっただろうなー。
ニンゲン、こ~んないいメに合うためなら多少の犠牲には目をつぶらなくては・・・。
なんだ、闇下くらい。(^^ゞ
- 左越前甲から、右スキージャム勝山。
白山は雲の中だが、そこまで望んだら贅沢というもの。
ここで本来の目的であった加越国境歩きは終了。
県境から離れると途端に雪はぐずぐず、すぐにスノーシューに代える。
勝山の街やスキージャムに向かってゆったりした尾根を進んでいく。
ほぼ下降点のピークあたりで日没を迎えたようだ。
- さらば大日・越前甲
長大な尾根だけに傾斜は緩く危険は少ない。暮れなずむ勝山の街の明かりが少しずつ強くなっていく。
残照は意外に長く、三日月も出てきてヘッデンは車まで一時間も使わなかったと思う。