「福井から登って福井へ降りてくる山行だけ」のトレースをつないだ「越美国境」にしたい。
福井県民ならではの「こだわり」を実現させる為の越美登り直し山行。(^^ゞ
2015.5/24の山行(やぶレポ無し)時点では、ピストンが嫌いなのも大きいが日帰りでの往復はまず無理と判断、
踏破を優先させてお手軽な岐阜側の国道を歩いて峠に帰ってきた。
越美の難易度アップ実現に向け、この区間の山行時期を前回より少し早めて雪歩きを増やしたらばどうかと、温
見(ぬくみ)峠~蝿帽子嶺(P1037.3)の福井側のみでの周回を色々検討してみるが、当然まだ林道も未開通なの
で「チャリのデポだけで半日」とか「異様に長い薮アプローチ」とかになってしまって、あまり現実的なコース取りと
はなってくれない。
結局は前回よりも残雪歩きを増やしての、温見峠ピストンとして決行となった。
【 日 付 】 2017年5月4日(祝)
【 山 域 】 越美国境
【メンバー】単独
【 天 候 】 晴れ
【 ルート 】 駐車地(4:57)-(5:47)チャリデポ-(6:00)温見峠-(7:24)主稜線-(9:31)越山-(11:27)峠-
(11:53)蝿帽子嶺(12:17)-(14:17)越山-(16:41)下降点-(17:37)温見峠-(18:16)駐車地
五月末だった一昨年の前回は、能郷白山登山口でもある標高千mの温見峠まで車が入った。
それよりも20日も早い今回、熊河川にかかる橋まで行ければ儲けモンだと思っていたが、温見集落過ぎまで入る
ことが出来たのは嬉しい誤算。しかしかなりひどい目に逢った先月の林道残雪イメージを引きずってただけで、
実は温見へ入ったのは四年前の若丸と同時期だ。その時と同じようにGWの温見集落には何台もの車も止まっ
ていた。
4:57 チャリ漕ぎ開始。
- 明るくなるにつれ、山桜のピンクと周りの新緑の色も美しく映えてきた。
もう何度も痛い目に逢ってるので、チャリでの無理はしないで急坂は降りて押し歩きに徹した。
穏やかな空から山の上に朝日が差し込んできた。
チャリの残雪乗り越えは一回だけにして、つづら折りの二つ目のヘアピンでチャリもデポ。これで帰りも安泰だ。
温見峠の手前で振り返ると、福井側の奥の空は晴れているが頭上から岐阜側はどんよりとした雲で覆われてい
る。そして峠直前の路面の雪にはなんと車の轍。つまり岐阜側からは車で上がって来れるらしい。
峠でスパッツをつけてたら突然後ろから挨拶されてビックリ⁉ へっ?・・・峠で前泊した轍の主の能郷白山登山者
だった。
6:05 温見峠を出発。
能郷白山を背にした温見峠からの県境登りは、そのまま越美国境/中央分水嶺。
薄っすら続くケモノ道を見失うと、その瞬間から絶望的なまでのヤブ!!
二・三歩下がって目を凝らし、想像力を働かせながら身体を移動させ視角を変えて「道」を探り出す。
雪無しの前回はピークまでにえらい時間を使ったが、狙い通り今回は登りの半分ほどが雪に助けられた。♪
温見峠から一時間半ほどの登りで、雪に覆われた主稜線へ。
途中では雲に突入かとも思われたが、登りが無くなる頃には頭上の雲もだんだん取れてきた。
ここからは雪庇の名残りや雪面トラバースで、しかも立派なブナも立ち並ぶ下り一辺倒の稜線歩きだ♪♪
雪面のすぐ横に顔を出しているヤブの中にピンクテープが見えた。
試しに歩いてみたら、身をよじり・枝をまたぎ・かきわける。よくもま~前回はこんなコトして歩いたもんだと我なが
ら思う。標高が落ちればこんな優越感(?)などすぐに終わってしまうことは分かっている。幸せな雪面歩きはあと
どのくらい残っているのだろう?
- ブナと雪の道、そして本来のヤブ道も (^^ゞ
その幸せな時間は距離にして二キロほど、標高だと百mほど下って終了となってしまった。
あとはもういつものヤブ漕ぎの時間となるが、たまに復活してくる雪面がとてもうれしい。
- これから向かう中央の蝿帽子嶺までうねうねと続く稜線。
左に存在感を見せつける屏風山。
中間点の越山に向けての急下降開始点では、雪は無いけど展望が利いた。
- 今日初めてのすっきりとした白山。♪
左手前は荒島岳。
登りとなる帰りがホント心配になる程の薮々下降をこなしたら、越山に向けてのまた登り返しだ。
しかし日当たりの加減でか、利用できそうな雪が下降途中から見えててさほどの苦にはならなかった。
雪面を歩いているとこの雰囲気には見覚えがあった。
前回はマヨネーズ持参で、ここでネマガリの「焼タケノコ」や「ボイルタケノコ」の昼食とした雪面だった。
- 手前の倒木さえ無かったら、このすんばらしい雰囲気は伝わるかも (-_-;)
越山には 9:31 。
ほぼ予定通りだ。ここからの「道」はここまでよりも薮の程度が軽いと分かっているので、蝿帽子嶺を正午とした
予定もたぶん大丈夫だろう。
もし何かあって遅れたとしてもエスケープしなくてもいいなら、最悪でも13:00 を持って引き返すことになっている。
その場合、残してしまった区間は蝿帽子川からのピストンで簡単にリカバリーが出来る。
越山ピークを過ぎて往路で最後の雪が終わると、「道」はブナの目立つヤブが軽く歩きやすい、イワウチワとカタ
クリをメインにしたフラワーロードになった。
おそらく蝿帽子嶺の前後が、無雪期の越美国境としては実際に歩いて一番歩きやすい区間だと思う。
直ぐ近くには「越美最悪区間」の屏風山があるのになんでだろうとも思うが、その越美の中でも標高が千mを割り
込むほどの低い稜線であるからかも知れない。
急坂のない穏やかな「道」は出発点の温見峠の標高をも割り込んで、新緑の若葉が一番大きく美しい。
逆に言えば樹林を通しての「外」の景色も見えにくくなってきた。アタマの白い高い山も近くの山に遮られてしまう
こともあるだろう。
ヤブをよいしょとかき分けると空間に出て、もう四回目となる看板に出くわした。
幕末に水戸浪士の天狗党も越えたという古道蝿帽子峠だ。古道は岐阜・福井両方向を自分でトレースしている。
蝿帽子嶺には予定通り 11:53 到着。
新緑に囲まれて、まだ十分雪山と呼べる前山から能郷白山本峰へのラインが素晴らしい。
少し太めの木によじ登れば、後方に部子山・銀否峰の姿も望めた。
- 三十分ほどの昼食休憩で再び復路へと踏み出した。
アップダウンも少ない、越美国境で最も歩きやすい「道」を順調にこなして、中間点の越山には 14:17 。
標高も上がってか、ここからは「ちゃんとした?」越美のヤブ道となる。
つい朝方通ったヤブだと癖を覚えておくと初見よりも随分ラクだが、ほぼ登り一辺倒の復路はさすがに身体に堪
えてきた。急登のヤブを休み休み登り切って、やっと待望の雪面歩きで息を吹き返し、温見峠への下降点にはな
んとか 16:41 。
右に見える姥が岳までも雪面は続いてるだろうから、一時間くらいかな・・・なんてまだ元気だった朝には思ってた
が、今はもうお腹いっぱいだ。
下降も雪面のあるうちはまだ良かったが、疲れから早く下りたい気持ちでケモノ道を何回もロストしてしまい、時
間はかかるは疲労は溜まるわでもう半泣き状態。
ロストの都度、慎重にGPSのお世話になって復帰。キカイってホント優秀ですなー。(^^ゞ
やっと下り切って温見峠には 17:37 。クルマへは日没三十分前の 18:16 だった。