- (おそらく)世界で最も美しい国会議事堂
ブダペストに居られるのもあと3週間になった.うかうかしているとあっという間に過ぎてしまいそうなので,1日1日を心に刻み付けるようにして過ごしている.ブダペストは「ドナウの真珠」と呼ばれるにふさわしい美しい街である.ドナウ川の両岸に展開する19世紀後半に建築された建物群.ブダペストが最も美しい姿を見せるのはやはり夜景だろう.私のアパートから歩いてわずか1分のところにあるマルギット橋はその夜景を眺める絶好ポイントである.マルギット橋の中間からドナウの下流を眺めると左岸には世界で最も美しい国会議事堂,右岸の丘の上には旧ブダ王宮やマチャーシュ教会がライトアップされて浮かんでいる.その中間にはドナウ川にかかる鎖橋がやはりライトアップされている.冬でも観光客がその夜景をカメラに収めるべく,夜遅くまでマルギット橋に佇んでいたりする.
【 日 付 】2015年2月7日(土)
【 山 域 】ブダペスト近郊(ピリス山地)
【メンバー】単独
【 天 候 】晴れ
【 ルート 】 アパート 6:55 --- 7:30 シラグヘジー (ヘーヴ駅) --- 9:30 ボタンブチ 10:10 --- 10:15 P534 ナジケベリー山 --- 11:20 P352 13:10 --- 14:20 ポマーツ(ヘーヴ駅) --- 15:30 アパート
ブダ山地はほとんど歩いてしまったので,新しい山域へ行こうとブダ山地の北にあるピリス山地,ヴィシェグラード山地の地図を買ってきた.この辺りはドナウベントと言ってスロバキア・ハンガリー国境を東に流れてきたドナウ川が南に向きを変えてブダペストに向かう地点である.センテンドレ,ヴィシェグラード,エステルゴム,ヴァーツなどブダペストから日帰りで観光できる街が「地球の歩き方」などでも紹介されている.いずれもこじんまりとして1日のんびり過ごすにはいい街である.ブダペストに来られたらぜひ訪問することをお勧めする.
エステルゴムにはハンガリー・カトリックの総本山である大きな教会があり,ドナウの向こう岸はスロバキアである.海で外国と隔てられている日本人にとって,川を隔てたすぐ対岸に他国の領土があるというのは不思議なものである.ここには橋がかかっており,両国を自由に行き来することができる.パスポートはいらない.日本人にとってはスズキ自動車のハンガリー工場がある街という方がインパクトがあるかもしれない.スズキ自動車は1991年にハンガリーに進出し,現地法人マジャールスズキは今ではハンガリー最大の企業となっている(らしい).ハンガリーではスズキブランドの車が多く走っており,ハンガリー人にとってスズキというのは自国の車という感覚なのだろう.ハンガリーで生産された車の一部は日本にも輸出されている.
いつもにもなく朝スムーズに起きられたので,7時前の朝まだきに歩いて1分ほどのヘーヴ(郊外電車)の駅から北方のシラグヘジーへ向かう.ヘーヴというのはトラムと鉄道の中間みたいなもんで,ブダペストの近郊へ伸びている電車である.緑色の古い車両がのんびり走る様は昭和レトロの郷愁を感じさせる.いつまでも残して欲しいものの一つである.駅近くのスーパーでお昼用のパンを買い,歩き始める.ハンガリーではスーパーの開店時間が早く,朝7時には開店するのである.コンビニなどはないので,すごく便利である.
ブダ山地の地図にはコースにいろいろなマークがついて,それが実際のコース上のマークと一致しているので,簡単にトレッキングコースを理解することができた.今度の地図にはマークがなくて,コース上にP, S, Zなどの文字が書いてある.これはなんなのだろうと不思議に思っていたのだが,実際に来てみるとブダ山地と同様のマークがあった.どうも,色を文字で表しているらしい.たとえば,Pは赤,Sは黄である.P+だと赤い十字マークという意味らしい.単なるPは赤棒である.なるほどそうなっているのね.ということで問題解決.
- 登山道とコースのマーク
ブダ山地は所によって山の上まで住宅地になっているのだが,流石に郊外に出ると家はなく,広大な農地や牧場が広がっている.その中を延々と歩いていく.
- 広大な農地の横を歩いていく
同じ方向に向かう日帰り装備の男性に追い抜かれる.私のほうは目的地などなく,ハンガリーで山歩きができればいいので,風景を楽しみながらゆっくりと歩いていく.ブダ山地ではナラなど大木が多かったが,こちらは潅木ばかりであまり大きな木がない.ほとんど切られてしまったのだろうか.ゆったりとした斜面を登っていくと屋根のついた休憩用ベンチがある.
- 休憩所
そこを過ぎ,ナジケベリー山 534m山頂手前に御池のボタンブチのような切り立った岩場があったので休憩していくことにする.標高500mほどなので大して高くはないが,岩場は100mほど切り立っており,ここから落ちると助からないよなーと思いながらいつもの習性で崖の近くまで行って休む.風はほとんどなく,ピーカンである.おそらくこれまでの山歩きの中で最高の天気だろう.日差しが強いので,風さえなければ驚くほど暖かい.南西方向にはこれまで歩いてきたブダ山地が遠くに見え,自分が歩いたルートを辿ってみる.日本の山とは景色が全然違うが,それでも自分が歩いてきた山は愛おしい.
- ボタンブチ
山頂はすぐだった.山頂を過ぎ,ずっと下って行くと小さな村に着いた.案内板があり,右側に切り立った岩山が見える.看板を見るとロッククライミングのゲレンデもあるようだ.
- ハイキングコースの看板
切り立っていると言っても標高差で100mくらいのものだろう.どうせ目的地というのはないので寄って行くことにする.標高328m.予想通り上はいい景色だった.
- P328
親子連れがいたので挨拶する.ここで昼食にする.少し風が出てきて寒いので,風下側の斜面に移動する.風下側は無風で,驚くほど暖かい.気持ちがいいのでそのまま斜面に横になり,1時間ほどうとうとしてしまった.ハンガリーの山でこんなにのんびりできるなんて幸せ.そのうち10人くらいのグループがやってきた.地元の手軽なハイキングコースになっているようだ.
- 美しい村
少し寒くなってきたので行動再開.早ければセンテンドレまでと思っていたのだが,そこまで行っていると,下手をすれば闇下になりかねない.手前のポマーツで切り上げよう.あとは次回つなげればいい.と思ってのんびり歩き始めたが,ポマーツまで意外に長く,1時間以上かかってしまった.ヘーヴに乗り,アパートへ帰還.
いつものようにキラーイ温泉へ汗を流しに行く.2300フォリント.日本円に換算して1000円ほどなのだが,物価が安いハンガリーでは結構高いのである.感覚としてはフォリントをそのまま円に直して考えてみるといいかもしれない.それでも水着美女鑑賞券付きと考えると安い.ハンガリー女性は若いうちはスリムでナイスバディである.といっても,キラーイ温泉に来る人の約半分は外国からの観光客なので,欧米の若い女性と言い換えた方がいいかもしれない.欧米の女性は大胆でビキニでも被覆面積は最小限である.ジロジロ見るのはもちろんマナー違反なのだが,目の前を通ると見ないわけにはいかない.2時間ほどじっくりと楽しんで(もちろん温泉を),アパートに帰った.