健脚者認定試験・・不合格!!
・・・といったところかな?
「ホントの健脚者なら鷲羽・水晶やらないとね!」って言ってたのは誰だったろうか・・・。
トレランでならばさらに先の赤牛までを余裕でこなした今年のワンデイ記録を見たが、一般登山者としてのこのコースがワンデイ最難関クラスだということは何年も前から認識はしていた。
これを知った時には、トータルコースタイム24時間20分・45キロなんてのはとてもじゃないが自分には無理だし、第一こんな苦行コースは山登りとして楽しくはないだろうと思ったものだ。
昨年夏に、親不知から焼岳までの北ア南北ルート塗りつぶし計画の最終章として後立山部分を完了、残すところは双六小屋から三俣山荘までの間ただ一か所となった。
南北ルートの締めとして、まだ未踏の笠ヶ岳と絡めようと思ってもいたのだが、関連性が薄いのでこじ付けがましくチト面白くない。去年の針ノ木峠からの五色、一昨年の水晶からの読売新道などはきれいな周回ルートとして感動的ですらあった。
感動的な達成感をも絡めた「双六小屋から三俣山荘」って?
やっぱりアレかな~?
くずくずしていたら今年ももう秋になってしまった。
え~い、体育の日に絡めて(?)苦行ルート見切り発車だ~~。も、やけくそかも・・・
【 日 付 】 2013年10月13日(日)
【 山 域 】 北アルプス
【メンバー】 単独
【 天 候 】 快晴
【 ルート 】 新穂高(0:24) -小池新道入口(1:56) -(4:10)鏡平小屋(4:31) -双六小屋(6:37) -(8:47)三俣山荘(9:05) -鷲羽岳(9:59) -(11:48)水晶岳(12:31) -鷲羽岳(14:03) - 三俣山荘(14:37) -双六小屋(16:25)
リタイヤ
自分の中では、最後の左叉林道部分はヘッデンでもオーケーだが、小池新道まではヘッデンを使っての下山は認められない・・・逆算すれば双六小屋を午後三時半前には通過しないとムリ!
今回はさすがにぎりぎりの軽量化を図っての挑戦だ。ルート上にいくつもある山小屋や大勢の登山者を当てにして、ツェルトを小さなものに買い直したりしてザックの重量はおそらく 7・8キロ、もちろん足元はトレランシューズだ。
日の出までにこれだけ時間がある出発は初めてなので、多少の不安感は否めない。0:24 新穂高を出発。
自信のある筈もないワンデイ狙いなのに、なぜか中途半端な出発時間になってしまったのが悔やまれた。
前泊した新穂高の無料駐車場で夕方に降っていた雨は止んでいた。両サイドが山に切り取られ狭くなった見事なまでの満天の星空の下、左叉林道を進み始めるとふたりの下山者とすれ違う。おいおい・・・。
小池新道の登山道へと進むと、思わず笑いが出てくるほどヘッデンの明かりの中で大量のペンキマーク。こりゃ、初めての道だけど全然大丈夫だな。
しかし標高をあげていくと霜に足を滑らせる場面も。
さらに登ると・・・ん? 木道部分が真っ白だ。わっ、霜じゃなくて雪が積もっているのか。昨日の雨が・・・もしかして今日の装備じゃヤバいかな?
過去、ちょうどこの三連休に起きた、白馬や立山での天候急変による気象遭難を考えた。
ま、数時間前の雪はともかく今は星空だ。山小屋も多いし装備も最低限だがそろっている。なんとかなるだろう。
そして驚いたことがもうひとつ、なんとその木道には登りの単独者の足跡がついていた。雪がやんでからのものということだ。いや、そう驚くことではなかったのかもしれない。さらに後続者と思われる二つのヘッデンが下から登ってきた。
もうすこし標高を上げると、風も出てきて寒くなってきた。
鏡平小屋までをがんばって休憩とする。雨具の上を着て、トイレも借りる。
起きだしてきた人が玄関に座っている私を見て、お気をつけて(出発して)~。はいと答えるしかなかった・・・。
鏡平の池にも氷が張っていた。笹の葉には粉雪が積もる。
星空にシルエットとなっている対岸の槍ヶ岳のすぐ下で、これだけの距離なのにヘッデンが動くのがわかる。
と、白み始めた頭上の稜線でもヘッデンがひとつ、こちらのヘッデンも確認したようだ。一時間とは離れてはいない距離だろう。ジャスト午前零時出発のワンデイ狙い登山者ということかな?
すっかり明るくなった弓折の稜線でヘッデンをしまう。今季初の雪景色の中、夜明け前の一番寒い時間帯での冷たい強風だったが結局インナーダウンは出さずに済んだ。
それにしてもこの標高になっても 心配した積雪量はたいしたことはなくてホッとした。もっとも残雪期の締まった雪歩きにも全く問題のなかったトレランシューズは、この程度の新雪でも全然大丈夫だった。
霜柱で浮き上がった地面に積もった新雪で一時的に登山道をロストする場面も出てきたが、おそらく私と同じワンデイ狙いと思われる先行者トレースを追う形になるので慌てることもなかった。私と違いちゃんとした登山靴の足跡は、階段下りなどでも慎重な足運びをしていた。
双六小屋への最後のアップダウンあたりで、槍ヶ岳の北鎌尾根のギザギザからご来光が出てきそうになる。
少し考えたが、なかなか撮れるモノではないこのチャンスを失いたくはなかった。
- ご来光
冷たい強風の中、北鎌の稜線がじわじわと眩しさを増していく。
その私の横を、驚くほどの薄着のトレラン若武者が「風、止まないかな~」と息も乱さず駆け上がっていく。そうこうしながらも結局、寒い中を十五分ほども待たされてしまった。しかし失った時間も大きかったが、かなりの満足感をも得ることが出来た。
- 双六小屋
朝日が差し込んでくるのはずいぶんと先になるだろう、寒々とした双六小屋へ到着。
あたたかいラーメンを食べようと思ったのだが、なんと七時までダメだって・・・がっかり。
後方の山は鷲羽岳。まってろよ~~。
ぐう~、お腹の音ではなく眠気がピークに達してきた。
ぽかぽかと日差しの当たる双六の巻道で、たまらずに岩の上で横になる。
後続者の足音で目が覚めた。たぶん十分ほど眠ったのだろう。気分はすっきり爽快だ ♪
・・・にしても、本来の北ア南北ルート完遂目前という緊張感まるでナシ (^^;
- 鷲羽・ワリモ・水晶
三俣山荘も目前、ということは本来の目的の北ア南北ルートはこれで完遂だ!!
感動の場面のハズなのだが、以前登ったことのある鷲羽岳の急登が気がかりでそれどころではない・・・。
よ~し、とにかく三俣山荘でラーメンでも食べて頑張ってみるか。
そしてなんとか鷲羽の急登に耐えて 9:59 鷲羽岳。この時間は微妙、というか、もしかしたらワンデイができるかも・・・というレベルの時間。
一瞬水晶岳はあきらめようかとも考えたが、このまま鷲羽だけで日帰りしても明日も続くであろうお天気がもったいなさ過ぎる。
つまりは、頑張って鷲羽・水晶ワンデイをやり抜くか、ダメなら翌日の予備日(?)を有効に使うかの二者択一なのだ。
- も、も~少しか?
左奥の水晶はまだまだ遠い。その先の赤牛、剱、黒部湖。
流石に休憩も多くなってくる。
しかし北アルプス最深部を実感できるのは、行き交う登山者たちのザックがみんなデカイこと! いったい何泊するんだというくらい細い身体に似合わない大きな荷物を背負った山ガールから、私の日帰りザックに注がれた目線が痛いほどだ。(^^;
- 富士山もばっちりの上天気
11:48 水晶岳へは、なんとかワンデイ可能かも知れない時間に到着できた。
が、手早く済ませようとしたはずの昼食が、食欲が起きなくて手間取る。疲れで自分の動きが緩慢になっているのが自覚できるほどだ。
そして可能性は限りなくゼロに近くなってしまった時間にやっと出発だ。
十分に休んだ分、これ以上悔いのない歩きに徹しようと心に決めた。
鷲羽のゲキ下りにも歯を食いしばって耐えたが、再び三俣山荘へ着いたのは双六小屋へのリミットを一時間以上割り込んでしまってからだった。
そして双六小屋への巻き道は「巻き」の言葉を使ってほしくないほどの「登り返し」が多い。
ここで、完全にあきらめがついた。
やるだけはやったという思いも強く、さほどの残念さはない。追いついた登山者と話しをしながら双六小屋へと歩いた。
頑張ればまだ明るいうちに次の鏡平まで行けたかもしれないが、それでは明日はホントに下山しなくてはならない。
明日は普通の登山者として、未踏の笠ヶ岳へ紅葉でも楽しみながら向かうとしよう。
夕食後、五時半にはバタンキュウ~だった。