先週は第一候補のイブネを見送り竜ヶ岳を選んだので今週はイブネに行くことに。
先週宮指路さんは小峠経由で登ろうとしたようだが、雪の深さと時間の関係で断念したということを参考に、わたくしトレりんははオゾ谷右岸のP900を通る尾根を登ってみることにした。
【 日 付 】2012年1月15日(日)
【 山 域 】鈴鹿中部
【メンバー】単独
【 天 候 】おおむねくもり
【 ルート 】朝明有料P7:10―根の平峠8:20―タケ谷出合8:50―クラシ谷出合9:30―クラシ11:25―イブネ北端12:00―小峠13:25―根の平峠14:30~14:40―朝明有料P15:20
朝明有料Pには暗いうちに到着、先着は1台のみだ、宮指路さんの情報どおり料金徴収人はいない、準備をしていると3台の車が次々と入ってきた。単独男性はあっという間に準備を済ませ、釈迦ヶ岳の登山道に消えて行った。2台の車から降りたのは女性ばかりのパーティーのようだった。
準備をする間に明るくなり7時ジャストにスタート。小雪が舞っていてまた積もら無いんだろうなと心配になる。
しばらく歩きカイロを忘れた事に気づき取りに戻って再スタートは7時10分になってしまった、ライトの消し忘れとか、ロック、忘れ物で結構戻ることが多いわたしなんです(^^;
駐車地までは除雪されたのか殆ど無かった雪も少し歩くと道全体に残って入て滑って歩きにくい、山ではあまり滑らないがこんな道で滑ってこける事が多いので気を付けて歩いて登山道へ。途中で熱くなって上着を脱ぐ、雪も止み風も無い穏やかさなので意外に温かいのだ。
根の平への道は良く歩かれているのトレースを追っていくが、外すとずっぽりとはまってしまう、先行者の足跡は2名、足の大きさから男女のようだ、追いつくことなく根の平峠に到着した。
ここでスノーシューを装着、2名の先行者は県境縦走路を中峠方向に向かっていた。千種街道に入りタケ谷に沿って降りて行く、この辺りの雪原はなだらかで、ゆっくりスノーシュートレッキングを楽しむのには良い所だ。
タケ谷には前日までのトレースが残っていてそれを追っていく、途中でテープ道はタケ谷を渡渉している、トレースは左岸を行くがテープを追って右岸に渡ると歩きにくい谷のトラバースだ、ここはトレースを追った方が正解だったようだ。
神崎川に到着、川に降りたいが少し段差がある、道型らしき所を見つけ、踏み込んだとき足元の雪が抜けてスノーシューごと70㎝程落ち込んだ、真っ逆さまになる勢いで倒れて行く、とっさに手を出すが手も潜り込んで何の意味もなさず顔面から雪に突っ込んだ、倒れ込んだ瞬間重いザックが背中にのしかかるのを感じた。
首筋に雪は入るは、顔面はおろか全身ゆきまみれ、中々起き上がれず、すのーしゅーを引き抜くのがまた苦労だったが、幸い雪だったのでけがは無かったが、岩だったらと思うとぞっとする。道型に見えたのは単に岩を雪が隠してなだらかになっていただけだった。もう少し降りやすい所をとタケ谷を渡渉するとトレースに出合い追っていくとたやすく降りられ渡渉も楽にできた。
ここから神崎川左岸をクラシ谷出会いまで下るのだがこちらはノートレースだ、テープルートは川沿いに進むが小尾根が降りて来ている所は崖状に先端が川に落ちている、無雪期ならなんともないのだが、雪が付くと危ないトラバースとなる、ルート通りに進もうとしたが危険そうなので、小尾根を登り巻く、こんな感じで2度、3度、結構クラシ谷出会いまで時間がかかったように感じた。
クラシ谷を渡った所からすぐの植林の尾根に取り付いた。若い植林帯だが密度が高くヤブの様な感じで上がりにくい、なんだか先が思いやられそうで「鈴鹿の上高地でも歩いていた方がいいのとちゃう」なんて考えも出て来るがやはりイブネの台地には乗ってみたいと頑張る事に。
P840mのオゾ谷出合へののジャンクションピ-クに出た辺りから二次林となってくる、クラシ谷を挟んで見えるのは902ピークだ、まだまだ登らないといけないのだ。1000m辺りから太いブナも出てきていい感じの林になる、マキガヒラ谷側は切れ立った岩崖の上だ、ワサビ峠からのクラシ北尾根が良く見える山頂付近は真っ白に霧氷も付いている。
急斜面は立ち木を掴みながら、スノーシューを株もとに乗せて上がっていく、これでもスノーシューハイクなのかなんて思ってしまう。付き始めた霧氷、ガスのかかった御在所の景色を見ながら登る、台地には11時までに付きたかったがちょっと無理そう、11時になって未達なら引き返えそうの気も有ったがここまで来たらままよ!である。
気温も下がって気圧が低いのか息が上がる、何度か息を整える、ここまでほとんど休憩なしで歩きながらおにぎりを2ヶ食べた。台地に着いたら休憩だと、切れたかかったエネルギーの補給は最近の定番の梅酒だ。
マキガヒラ谷からの登山道合流地点の道標を確認、クラシはもう近い、バッチリと霧氷は付いてるがホワイトアウト状態、たまに薄日がさすが青空が見えることは無かった。一応クラシのピークにも寄ったが最近は一枚の山名プレートも無いので判りにくいが少し進むと北尾根の分岐に出たことが判った。
とりあえずイブネに向かおうと越百岳方向に歩く、台地は強風の為か積雪はわずか、ヒカゲノカズラの頭が覗いてる位なのだが、地面にも樹氷付きが荒々しさを感じる、中々こんな光景を見には来れないなとカメラに収める。
越百岳の先に道標が有り、イブネ北端を示す方向に尾根を見つけ歩き出す、右手方向に広い谷がかすかに見える、熊の戸平にしては深い感じ、それにこんな尾根道だったかな?雪庇の出来る方向もおかしいし、イブネ北端へは草地を登るだけのはずだったのだけど、トラバースでイブネに向かってるのだろうか、でもおかしいとGPSを見る、どうもコンパスが変な方向を示してるし、登録してある山頂マークはすぐ近くになってるがこれはイブネ山頂ではなくて銚子じゃないの?、時間に余裕がないのに全然違う方向に来ちゃったよ、戻るしかないよな。
来た道を戻る、どうも道標の所で方向を間違って銚子への尾根に乗ってしまったようだ。道標までもどる、道標が「へ」の字に曲がり方向を狂わせてたようだ、確認を怠ったのがいけなかった。ここからイブネ北端はすぐだった。イブネの稜線にもトレースは全く残っていない。
テーブルランドには着いたもののもう12時だ、道間違いでこれはタイムアウトだな、道間違いしなければイブネは踏めたはずなのに。イブネピークまでは行きたかったが「降りよう!」の決心。三時までには何とかギリギリ戻れそうだ、とここでも休憩無で小峠への尾根に入る。
テープを追いながら、今度は尾根を間違わないように気を付けながら降りる、テープルートは尾根芯を避け右手のコバ地状の上部をトラバースしていく、途中で尾根に復帰するところで谷地にそのまま降りてしまった、もっと下の等高線の緩んだ所で復帰しようと思うが斜面はきつくなる、ステップをきりながら急斜面のトラバースが続く。
何とか赤テープを見つけたがこれまたきわどいトラバースで小峠の尾根に回り込むが、滑れば掴む木が少ない所、これはやばいかなと戻ろうとするが方向が中々変えられない、スノーシューが回せないのだ、片方回転させ180度の大また開き、やっと両方回転させ戻りだせば、ストックが手元まで沈むではないか、見ると先端のラッセルリングがなくなってるよ。ストックプリントを見るとすぐ手前までは付いていた跡があるので、あの回転した付近だなとザックを降ろしさがしに行くが、1m近く潜ったものを探せる訳はなく、時間も無いのであきらめた。
トレースを戻るが登りとなると踏み込む為か自分のトレースさえ潜り込んで登りにくい、それに食うもん食ってないので力が出ない、疲れ気味。でもこれは尾根芯に戻れるところまで上がってトラバースするしかないなと覚悟を決める、これで今日は門限遅刻は濃厚となった。
何とか戻った尾根芯は背の低いアセビ、シャクナゲのブッシュが覆っていた、体の通る隙間もないのだ、何度か辿ったこの尾根がブッシュ帯を避けて斜面を回り込んでいたのを思い出す、さっき通過出来なかったのはこのブッシュ帯の巻道の復帰路だったのだ。無雪には巻道になっても積雪期にはその用をなさないのだ。
尾根芯をはずせば急傾斜、こればもうブッシュを抜けるしかないなぁと、ブッシュに突っ込む、もう尻を付いて滑り下りる感じだ、頭から雪をかぶり、滑り落ちそうになって木を掴む、ザックの上のアイゼンが木に引っ掛かり取れない事もしばしば、枝の間に積もった雪は軟らかく、岩場の足元にずぼっとハマる事もたびたび。宮指路さん達撤退して正解だったよな、こんな尾根登りに使ったら登り切れそうもないや。
何とかブッシュ帯を抜けて傾斜がゆるんでくるとホッとする。小峠が近くなるとトレースと休憩跡、宮指路さん達のものだろうか。小峠手前でやっと休憩パンとお茶とおやつを食べた。小峠からは荒れた谷地を下る、薄いトレースを拾っていくが、ここは登りではルート取りが難しくもがいたのだろうなと想像する。トレースを追って神崎川を渡渉、上水晶谷に出たのが1時55分、急げばそう遅れずに済みそうだとスピードを上げるが僅かな登りがしんどくなってきている。
タケ谷道に合流すると自分のトレースに、ワカンの跡が乗っている、誰か一人は入ったようだ。
足跡の増えた根の平峠、皆さん釈迦からの周回か、ほんとに神崎側に入る人は稀なんだなと感じた。ここでアイゼンに替えて雪道を飛ばす、堰堤が連続する辺りまで下ると、朝から結構雪は解けたみたいで地面が出ているのでアイゼンを外し、駐車場へは20分遅れで辿り着いた、この時間なのにもう残った車は私のだけだった、皆さんサクッと登ってさっさと帰るんだ。
結局津の大渋滞に巻き込まれ家に帰ったのは6時前だった。この日釈迦ヶ岳では転落遭難が有った事が新聞に載っていた。