【 日 付 】2024年3月7日
【 山 域 】大峰
【メンバー】tsubo
【 天 候 】曇り
【 ルート 】天川川合ー栃尾辻ーカナビキ尾根分岐ー天女の頂ー天女の舞ー栃尾辻-天川川合
そろそろ春の花が咲き始めている。でも、皆さんの投稿を見て、やっぱりまだ白い世界に憧れる。
水曜の雨は山では雪になっただろうか。
台高の山、鈴鹿の山・・・大峰の山はどんな姿をしているだろうか。
国道169号線は下北山村で大きな土砂崩れがあって6月下旬くらいまで通行止めらしい。
釈迦ヶ岳には行けない。行けるのはそれより南の山だ。雪はないだろうな。
国道168号線で行くことを考える。天川村までノーマルタイヤで行けそうだ。168号線は169号線以上にくねくねしているし、狭くて対向できない所もあって好きじゃないがしかたない。
水曜は新宮で用事があった。その足で行けば2時間半くらいで着くだろう。私からしたら2時間半は近い。
私の体力技量では天川村から積雪期の弥山八経ヶ岳も稲村ヶ岳も無理だ。
弥山に行く途中に最近「天女の頂」と呼ばれるようになったピークがある。以前はその手前の笹原を「天女の舞」と言ったが、1518pを天女の頂と呼ぶようになったらしい。
天女の舞は以前7月に八経ヶ岳に行く途中で立ち寄った。目の前に稲村ヶ岳が大きく見えた。美しい場所だった。
その時は坪内林道から登ったので、八経ヶ岳までそれほど時間はかからなかった。だが、紀伊半島大水害で林道は崩れて通れなくなった。
私が八経ヶ岳に登るのはアプローチのいい行者還トンネル西口やその近くの90番からばかりだった。でも、いつかちゃんと天川川合から八経ヶ岳に登りたいと思っていた。その下見にもなる。
6日の午後、新宮での用事を済ませて国道168号線を北上する。
今夜は天川村役場の駐車場で車中泊だ。ネットで見ると、トイレがあって登山者は大概そこに車を止めている。駐車場の右端にきれいなトイレがあり、駐車スペースも10台分くらいあった。役場に用がある人はこのあたりには止めないだろう。飛鳥ナンバー、岡山ナンバーの車が止まっていた。和歌山ナンバーの車が止まっても問題ないよね。
朝、トイレの横に止まった車から登山服姿の女性が下りてきた。話しかけると、やはり天女の頂まで行くという。小さなザックでトレラン風だった。雪があってもあんな格好で行けるのかな。寒くないのかななんて思う。
登山口まではしっかりと弥山への案内板があって迷うことはなかった。植林の中の階段になった登山道を登って行く。かなり急だ。ここをテントを担いで登るのはきついな。
鉄塔のところに出ると、周りが開けた。民家の奥に白い山が見える。稲村ヶ岳だ。上の方は雲がかかっているが、しっかりと霧氷がついている。天女の頂にも霧氷がついているかな。わくわくする。
鉄塔から先は緩やかな登りになった。これならテントを担いでも行けそうだな。
後ろから男性が登ってきた。70代前半だろうか。道を譲った。しばらくその人の後ろを歩いたが、今度はその方が道を譲ってくれた。ほぼ同じペースのようだ。先になると、つい追いつかれないようにとペースを上げてしまう。時々振り返っては距離を確かめる。
霧氷が出てくる。小さな霧氷が杉の葉や枝についていた。
栃尾辻の避難小屋に着く。中には女性が一人いた。ザックにはスノーシューがついていた。「弥山八経ヶ岳に行かれるんですか?」「いえ、頂仙岳まで行こうと思ったんですが、体調がよくないから天女の頂までにしようかと思っているんです。」「せっかくスノーシューを持ってきたのに全然雪がありませんね。上まで行かないと無いかもしれませんね。」
先ほどの男性が小屋を覗いたが、中に入らないで登って行った。一人になった小屋でお湯を沸かして、遅い朝食にした。
30分ほど休んで外に出ると薄日が差してきた。これから晴れるだろうか。霧氷も大きくなってきた。
少し行くと、左手の尾根のところにロープが張ってあった。こっちに行ってはいけないのかなと思い、そのまま進む。霧氷がどんどん大きくなる。高い木にしっかりと霧氷が付いている。
向こうから歩いてきた人がいる。朝会った男性だ。「上まで行くんですか?」「天女の頂までですが。」「天女の頂ならもう通り過ぎていますよ。この先に行ったら弥山に行ってしまいますよ。」「えっ!?」慌ててスマホの地図で確認すると、天女の頂に行く尾根に上がらず、普通のルートを歩いて来たことに気づく。以前天女の舞に行ったときは看板があったので、そのつもりだったのだ。
「戻って、右の尾根に登れば天女の頂です。僕はこの先から別の道で下りようと思ったのですがよくわからなかったので戻ってきたんです。」
地図で確認すると、カナビキ尾根との分岐の手前当たりだった。
このまま頂仙岳に行こうかしら。ここから往復1時間半くらいだし・・・いや、まだ天女の頂にも行っていないのだ。頂仙岳のほうは下調べしていないし。下調べしたはずの天女の頂も間違えたし・・・
見渡すと、そのあたりの霧氷は大きくてきれいだ。青空も少し出てきた。
カナビキ尾根との分岐のあたりまで行って戻ろう。少し登ってみたが、分岐はよくわからなかった。さっきの男性もカナビキ尾根で下るつもりがわからなかったのかな。
霧氷を眺めながら下ると、軽装の若い男性が登ってきた。トレランシューズだ。弥山八経ヶ岳まで行くと言う。「その靴で雪があっても平気なんですか?」「雪が出てきたらチェーンスパイクをつけます。」ほうっ!それで登れちゃうんだ。朝会った女性もトレランっぽかったものな。靴は見なかったけど。この時期、雪があるかもしれないのにトレランシューズで登る人がいることに驚いた。
戻って右の尾根を登る。薄いが踏み跡はある。山頂あたりは倒木が多い。少し探すと「天女の頂」のプレートがかけてあった。だが、木が多くて展望はない。
だが、倒木の枝に付いた霧氷が綺麗だった。
下りのほうが踏み跡はわかりにくかった。スマホで確かめながら下ると、右手に開けた平らな場所が見えた。天女の舞だ。晴れれば正面に稲村ヶ岳が大きく見える。だが、今日は曇っている。さっき見えた青空も隠れている。だが、霧氷の森は美しかった。それほど寒くなかったので、座って昼食にする。
小さな枝にも霧氷がついている。すごいなあ。霧氷は誰彼区別せず、みんなに付いている。大きな木にも小さな木にも。葉っぱにも枝にも幹にも。すべてのものが美しく装っている。
一休みしてから下る。登りであったロープを張ってあるところが天女の頂への登り口だったのだ。迷う人が多いからロープを張って入れないようにしているのだろうか。
今日はどうしよう。予定ではもう1泊車中泊して、今度はバイカオウレンが咲く山に登ろうと思っていた。
今日の霧氷は今季一番の霧氷だったな。青空はちょっとだけだったし、雪は無かったけど満足だ。白い霧氷の広がる森はファンタジーの世界だ。
下山して天の川温泉に向かう。
まず、近くの天河大弁財天にお詣りする。そうか、天川村の人にとっては最高峰の八経ヶ岳より、この天河大弁財天の奥宮のある弥山のほうが大事なんだ。天川村役場から登山口に行く途中に八経ヶ岳へではなく、弥山への標識があったことを思い出す。
やっぱり、今度は天川村から弥山八経ヶ岳に登ろう。今まで漠然と思っていたものが確固たる気持ちになる。
温泉から出ると、気持ちは家に帰る方向に向かっていた。
もう十分。今日の霧氷の余韻を楽しもう。そして夏にテントを背負って天川川合から弥山に行く計画を考えよう。
でも、その前にやっぱりもっと白い山を楽しみたいな。
今日は大峰の天女様に山に向かう気持ちを後押ししてもらった。
ありがとうございました。
tsubo